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簡素で素敵な異世界の旅を終えて、私は普段のフィールドに戻ってきた。
「あの・・・本当についてくるの?」
「もちろんでございます!だって、カナエ様が殺されてしまう可能性がありますから!」
「それは私も同感だ!家の人間だからと言っても、安心できないだろう!」
確かに、私が公爵家に泥を塗ったと解釈されても仕方のない事実であったから。クロビッツ様の婚約破棄は。まあ、事実無根だからこんなんで本当に罰せられたら、世も末ってことになろうけどね。
2人は私のガードという名目だった。カレンやシュトルツのような、下級・中級貴族がそもそも公爵家の住まうエリアに顔を出すこと自体、前代未聞であった。
「カナエさんではないですか?」
知人の公爵令嬢が声をかけた。
「ああ、ごきげんよう・・・」
「お久しぶりですねえ。少しお痩せになったのでは?」
異世界に出て何日も経っていないと思ったが、側から見れば痩せたのだろうか?
「お家の方がいつも心配されているようですよ?早くお父様お母様方に元気なお顔を見せてあげてくださいな」
「ああっ・・・お気遣いありがとうございます・・・」
「いえいえ、それではごきげんよう・・・」
確かに私は元々こちら側の人間であった。思い返せば、クロビッツ様との婚約が決まったのも、私が公爵家に生まれたためであった。ええっと、私の後ろで控える者たちは・・・。
「・・・もう少し綺麗に歩けないの?動物じゃないんだから・・・」
「別に・・・私はカナエ様ほど高い爵位でないですから」
私は二度ため息をついた。そうこうしているうちに見慣れた屋敷・・・生家にたどり着いた。
「・・・本当に入るの?ここで待っていてもいいけれど」
「繰り返すようで恐縮ですが・・・家に入った瞬間、お父様たちに囲まれて殺されてしまうかもしれませんよ。この国には名誉を汚した一族を殺しても罰しないというルールがありますからね。ご存知のように」
「・・・すると、カレン。あなたも大変なのでは?」
「・・・私は今更帰る家なんてありませんから。ご心配なさらず・・・」
「私もついているから、心配するな!いざという時は・・・」
予想通りというか、シュトルツは懐にピストルを携帯しており、見せびらかした。
「やはり、正当防衛は罰せられないからな・・・」
最悪、生家と敵対することになる・・・仕方のないことだと思った。
「あの・・・本当についてくるの?」
「もちろんでございます!だって、カナエ様が殺されてしまう可能性がありますから!」
「それは私も同感だ!家の人間だからと言っても、安心できないだろう!」
確かに、私が公爵家に泥を塗ったと解釈されても仕方のない事実であったから。クロビッツ様の婚約破棄は。まあ、事実無根だからこんなんで本当に罰せられたら、世も末ってことになろうけどね。
2人は私のガードという名目だった。カレンやシュトルツのような、下級・中級貴族がそもそも公爵家の住まうエリアに顔を出すこと自体、前代未聞であった。
「カナエさんではないですか?」
知人の公爵令嬢が声をかけた。
「ああ、ごきげんよう・・・」
「お久しぶりですねえ。少しお痩せになったのでは?」
異世界に出て何日も経っていないと思ったが、側から見れば痩せたのだろうか?
「お家の方がいつも心配されているようですよ?早くお父様お母様方に元気なお顔を見せてあげてくださいな」
「ああっ・・・お気遣いありがとうございます・・・」
「いえいえ、それではごきげんよう・・・」
確かに私は元々こちら側の人間であった。思い返せば、クロビッツ様との婚約が決まったのも、私が公爵家に生まれたためであった。ええっと、私の後ろで控える者たちは・・・。
「・・・もう少し綺麗に歩けないの?動物じゃないんだから・・・」
「別に・・・私はカナエ様ほど高い爵位でないですから」
私は二度ため息をついた。そうこうしているうちに見慣れた屋敷・・・生家にたどり着いた。
「・・・本当に入るの?ここで待っていてもいいけれど」
「繰り返すようで恐縮ですが・・・家に入った瞬間、お父様たちに囲まれて殺されてしまうかもしれませんよ。この国には名誉を汚した一族を殺しても罰しないというルールがありますからね。ご存知のように」
「・・・すると、カレン。あなたも大変なのでは?」
「・・・私は今更帰る家なんてありませんから。ご心配なさらず・・・」
「私もついているから、心配するな!いざという時は・・・」
予想通りというか、シュトルツは懐にピストルを携帯しており、見せびらかした。
「やはり、正当防衛は罰せられないからな・・・」
最悪、生家と敵対することになる・・・仕方のないことだと思った。
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