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追いかけて追いかけて、追いかけても中々捕まらなかった王子様。アーガイル様の勢いに任せて、私は馬の勢いに任せて進んでいく。どこを目指しているのかは分からない。でも、なんとなくアーガイル様の示す方向に進めば、そこに元婚約者であるクロビッツ様がいるような感じがしたのだ。
「カナエ殿、私のペースについて来れるとは・・・中々乗りこなしが器用なのだなっ!」
アーガイル様はそう言った。ああ、こういう一見乱雑だけどしっかり見てくださる殿方の方が頼りになるんだと私は思った。クロビッツ様とは違って。そもそも、クロビッツ様がアーアイル様を追いやった理由はわからないけど。
気がつけば、そこにはカレンもシュトルツも・・・そして、他の兵士の姿もなかった。霧深い森林の中・・・恐らくは王家の所有物なのだろう。アーガイル様は、クロビッツ様がここに逃げ込むことを最初から分かっていたのではなかろうか、なんて考えた。
「久しぶりだな。クロビッツ・・・」
アーガイル様は身動きしないクロビッツ様に語りかけた。
「どうして何も話さない?兄弟水入らずで話をしようじゃないか・・・」
クロビッツ様は話をしようとしなかった。ひょっとして・・・既に死んでいるのだろうか?
「ダメか・・・そうなのか、分かったよ。カナエ殿・・・このまま魂を失う前にこの世界から去ることにしよう」
最後に見たクロビッツ様の姿はどう見ても死んでいた。ただ、実際のところ本当に死んでいたのか、実際は寝たふりをして生きていたのかはわからない。アーガイル様がこの世界と指摘した空間は、間違いなくクロビッツ様のみの存在であった・・・。
クロビッツ様の存在した空間から出て、一見元々の世界に戻ったように思えた。だがしかし、そこには私の知っているカレンやシュトルツ、アーガイル様の姿は無かった。今まで過ごしてきた光景と大きく変わらないはずなのに、結果は大きく変わっていた。
「もしや、迷子ですかな?」
1人の老婆が声をかけてきた。
「ここはあなたの理想で満たされた、言うなれば異世界です。自由に生活してごらんなさいっ・・・」
「・・・・・・へえっ、そうなんですねっ」
私だけが存在する、それ以外は普段と変わらないこの世界。住人は恐らくこの私だけ。面白い・・・?
「それと、この世界であなたが死ぬことは基本ないのでね、悠久の時を過ごすことが出来るわよ・・・」
悠久の時も同時にゲットして・・・私は大きくため息をつくことから始めた。一瞬迷い込んだ異世界のさらに別の異世界に辿り着いて・・・無限に広がる空間と時間の統治者となった私には案外何も残っていなかった。
「カナエ殿、私のペースについて来れるとは・・・中々乗りこなしが器用なのだなっ!」
アーガイル様はそう言った。ああ、こういう一見乱雑だけどしっかり見てくださる殿方の方が頼りになるんだと私は思った。クロビッツ様とは違って。そもそも、クロビッツ様がアーアイル様を追いやった理由はわからないけど。
気がつけば、そこにはカレンもシュトルツも・・・そして、他の兵士の姿もなかった。霧深い森林の中・・・恐らくは王家の所有物なのだろう。アーガイル様は、クロビッツ様がここに逃げ込むことを最初から分かっていたのではなかろうか、なんて考えた。
「久しぶりだな。クロビッツ・・・」
アーガイル様は身動きしないクロビッツ様に語りかけた。
「どうして何も話さない?兄弟水入らずで話をしようじゃないか・・・」
クロビッツ様は話をしようとしなかった。ひょっとして・・・既に死んでいるのだろうか?
「ダメか・・・そうなのか、分かったよ。カナエ殿・・・このまま魂を失う前にこの世界から去ることにしよう」
最後に見たクロビッツ様の姿はどう見ても死んでいた。ただ、実際のところ本当に死んでいたのか、実際は寝たふりをして生きていたのかはわからない。アーガイル様がこの世界と指摘した空間は、間違いなくクロビッツ様のみの存在であった・・・。
クロビッツ様の存在した空間から出て、一見元々の世界に戻ったように思えた。だがしかし、そこには私の知っているカレンやシュトルツ、アーガイル様の姿は無かった。今まで過ごしてきた光景と大きく変わらないはずなのに、結果は大きく変わっていた。
「もしや、迷子ですかな?」
1人の老婆が声をかけてきた。
「ここはあなたの理想で満たされた、言うなれば異世界です。自由に生活してごらんなさいっ・・・」
「・・・・・・へえっ、そうなんですねっ」
私だけが存在する、それ以外は普段と変わらないこの世界。住人は恐らくこの私だけ。面白い・・・?
「それと、この世界であなたが死ぬことは基本ないのでね、悠久の時を過ごすことが出来るわよ・・・」
悠久の時も同時にゲットして・・・私は大きくため息をつくことから始めた。一瞬迷い込んだ異世界のさらに別の異世界に辿り着いて・・・無限に広がる空間と時間の統治者となった私には案外何も残っていなかった。
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