婚約破棄された令嬢の細やかな異世界生活

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　私はアーガイル様に従ってどんどん進んだ。城を守る兵士たちと一悶着あるのではないか、なんて考えたが実際のところは誰も私たちの進軍を止めようとしなかった。むしろ、私たちの活躍を応援？しているようにも感じた。普通、そんなことはありえないはずなのだが。

「どうも、あいつはみんなから嫌われているようだなっ！」

　アーガイル様は言った。そうなのか・・・やはり、あれだけ滅茶苦茶なことをした代償は大きかった、と言うことだろうか。

「どうせだったら、我々がこのままこの城を占拠してしまってもいいかもしれない・・・要するに、この城はもぬけのからであり陥落しているも同然なのだからな・・・」

　アーガイル様の発言通り、誰も私たちと戦おうとしなかった。本当に・・・そんな物なのだろうか。

「ふざけるな！ふざけるなっ！」

　と思った矢先のこと、天井の方からある女の叫び声が聞こえてきた。ある種狂気じみた印象だった。

「私の知っているクロビッツ様は・・・もうここにはいないのだっ！！！」

　よくよく聞いていると、なんとなく聞いたことのある声であった。ひょっとして・・・私は考えを巡らせた。

「あなたたちは・・・どうしてクロビッツ様に敵対するのか・・・」

　その女がやがて姿を現した。そう、私のなんとなく知っているサリーであった。クロビッツ様に支え続けたが、結局のところクロビッツ様の姿がここにないと言うことは・・・要するに裏切られたのだろう。

「どうして・・・私だけがこんな思いをしないといけないの・・・私が一番クロビッツ様のことをお慕い申し上げて・・・なんとかクロビッツ様のためにと思って、ずっと頑張ってきたと言うのに・・・」

　サリーの魂は行き場を失っていた。

「サリー！貴様はこの私が分かるのか！！！」

　アーガイル様はサリーに向かって叫んだ。

「・・・そのお声は、ひょっとしますとアーガイル様でございますか？」

「いかにも・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

　サリーはフリーズしてしまった。

「なあ、カナエ殿。この女は今後我々の脅威になると思うか？」

「・・・正直ならないと思いますわ」

「そうか、ならばこのままにしておこう。目指す敵は他の場所にいるようだからなっ！」

　アーガイル様はそう言って、結局今辿った道をそのまま帰ることとなった。