舞踏会での婚約破棄～真実の愛に気付いた王子と公爵令嬢～

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　数日後、ファンコニーは父親である国王から呼び出された。彼は緊張しながら王宮に向かい、父親から説教を受けることになった。当然、エリザベートとの婚約破棄の一件についてだった。

「ファンコニー、お前がエリザベートとの婚約を破棄したことは知っている。しかし、それによって我が国がどれほどの損害を被ることになるのか……お前は分かっているのか？」と、国王は質問した。

　ファンコニーにはおおよその想像がついた。でも、この場では敢えて知らないふりをして、「そうなんですか？」と質問返しをした。

「ああ、お前はまだ若いからわからないだろうが、政治には様々な事情がある。お前が行った行動は、国益を損なうものだったんだ……」と、国王は簡単に答えた。

　ファンコニーはめんどくさいので、とりあえず謝っておくことにした。

「申し訳ありません、父上。ただ、私たちは本当に愛し合っているのです。エリザベートとの結婚は、私たちが幸せになれないものだと思ったのです」と簡単に説明した。

　国王は一度深いため息をついた。そして、話を続けた。

「私も若い頃には、愛というものに酔いしれたものだ。しかし、政治という現実がある。お前には皇位継承権がない。しかしながら、王子として国体保持のために結婚する責任があるんだ。分かるな？」

　ファンコニーはがっかりした表情で、「しかし、私たちの愛は何も悪くないはずです。どうして、私たちが幸せになることが許されないのですか？」と訊き返した。

　こう言われてしまったら、国王も余計に厳しくするしかなかった。

「王家の人間として、時には自分自身の幸福よりも、国民の幸福を優先しなければならない。お前も、私の言葉を理解し、自分の行動を振り返る必要があるんだ……」と、国王は静かな口調で説明した。

　ファンコニーは、父親の言葉に納得できず、ひとまず王宮を後にした。家に戻るとカレンが待っていた。非常に心配した面持ちだった。

「どうだったの？何か問題があったの？」と、カレンは訊ねた。

　ファンコニーは悲しげな表情で、「父上から呼び出されて、色々な話を聞かされたよ」と言った。

「そんなことがあったの？でも、私たちは本当に愛し合っているだけなのに……」と、カレンは言った。