悪役令嬢の古

岡暁舟

文字の大きさ
上 下
1 / 2

悪役令嬢

しおりを挟む
私が悪役令嬢と言われる理由についてはよくわからない。よくわからないが、とにかくそう言われているのである。

「フォルフェウス?そろそろ出発の準備はできたのかしら???」

「はい、お母様。準備完了でございます!!!!」

「あら、まあ、別に準備完了でなくてもいいのに!!!!」

「それは一体どういうことでございましょうか???」

「別にあなたに聞いてるわけじゃないのよ。これはあくまでも建前であって、本当は妹が目当てなの。エリカ?準備はできたかしら???」

「はい、お母様!!!!まもなく完了いたしますわ」

「あら、そうなの!!!!」

お母様は、妹の事ばかり可愛がっていた。まぁそれも当たり前の話ではあるのだが。

何せ、妹は非常によくモテる。何故かと言うと、容姿が良いからである。それに対して私は、どれほどお世辞を言ったとしても、決して評価することができないほどひどいのだ。

誰もがそのことを知っている。だから、私も最初から諦めていたのだ。本当は、私が長女だから、婚約する必要があるんだけれども、このままいくと、私は一生誰とも婚約できずに終わってしまう人生を迎えることになるんだと思った。いや、やっぱり最初からわかっていたのだ。

でも1つ、わかったことがあった。私は確かにくだらない令嬢かもしれない。だが、もしも妹がいなかったとすれば、私のことをもう少し評価してくれる人がいるかもしれない。だから、簡単に言えば妹を消してしまえばいいと言う発想になった。

ああ、こんな簡単なことに、なんで今まで気づかなかったのだろうか。そう、早いところ実行して、願わくば、妹の婚約者を寝取ってしまおうか。私はそんなことを考えていた。これで私の人生は勝利する。あれ、ひょっとしてこれが悪役令嬢の理由なのかしら?
しおりを挟む

処理中です...