俺のスパダリはギャップがすごい 〜いつも爽やかスパダリが豹変すると… 〜

葉月

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第四章

蓮と松野の出会い ②

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「…司…真司…おはよ」
真司の額をチュッとキスをして蓮が真司を起こす。
「‼︎蓮、今何時⁉︎」
ガバッと起きた真司が時計を確認すると午前7時半。

昨日、蓮がもう一度寝たのは確か午前4時…

「蓮…何時に起きたの?」
「ん?6時ぐらい」

じゃあ、あれから寝たのって2時間だけ⁉︎

「蓮、昨日あんまり寝てないんじゃない?」
「そんな事ないよ。真司と一緒だったから、よく寝れた」
ニコリと蓮が微笑むと、
「真司、早く用意しないと遅刻するよ」
もう一度額にキスをして部屋から出て行った。


朝食を済ませ、お互い『いってきます』のキスをしてから、先に真司がマンションを出た。

が、会社までの時間配分を間違え、かなり早めに店についてしまう。

店の鍵も持ってないしな…

「あれ?先輩、今日も早いんですね」
次にやってきたのは松野だった。
「家を出る時間間違えてしまって…」
「俺でも出勤早い方なのに…先輩…彼女さんの家からですよ…ね…」
松野の表情が曇る。

彼女…が…
俺が付き合ってたの、今まで女の人だったから、そうなるか…

「…まー、そうだな…」
「先輩は、その人と…」
松野が何か言いかけた時、真司の携帯がなった。

『もしもし、真司』
「ん?」
『今日、合鍵持っていくの忘れてるよ』
「‼︎」
慌てて鞄の中を見たが、やっぱり合鍵が入っていない…
『今、真司の店の近くにいるから、取りに来られる?俺が行ってもいいんだけど…真司、仕事場の人に見られるの…嫌だろう?』
真司の気のせいかもしれないが、蓮の声が寂しそうに聞こえた。

蓮は俺に気を使って、みんなに俺が同性と付き合っている事を気付かれないように…
蓮は何も悪いことしていないのに…

蓮の気持ちを考えると、真司の気持ちもが切なくなった。

蓮だけが寂しい思いをする事じゃない…
二人で乗り越える事だ…

真司は決心した。

「今後輩いるけど、蓮が良ければもってきてくれる?」
『え⁉︎後輩いるのに⁉︎』
「いいよ。こいつには俺が付き合ってる人の家に居候してるって事も言ってあるし」
『‼︎』
明らかに電話の向こうの蓮が驚く気配がした。
「だからいいよ。持ってきて。蓮」

俺が男性と付き合ってるって松野が知ったら、
引かれるかもしれない…
気持ち悪がられるかもしれない…
それでも、俺は蓮が大事だ。


しばらくして、蓮が真司と松野のところへやってきた。
どこかどう見ても男性で、しかも長身のイケメンだ。
蓮をみた松野は驚き目を見開く。

「真司…これ…」
「わざわざありがとう」
蓮は真司に合鍵を渡す。
松野は驚きのあまり言葉を失う。
蓮はそんな松野の様子を見て、気まずそうにしていた。
「じゃあ、俺はこれで…」
蓮はさっとその場を立ち去ろうとした時、
「蓮、もし帰りが遅くなりそうだったら連絡して」
真司が蓮に声をかけると、蓮は嬉しそうに振り返り微笑んだ。

「松野…びっくりしただろう?俺、蓮と…同性と付き合ってる…」

正直、松野の反応が怖い…
怖いけど、誰かに本当のことが言えて、何故だかホッとしている。

真司はそんな不思議な感覚になっていた。

「先輩…男の人と…付き合ってるんですか?」
松野は真司の方を見ずに、ずっと蓮の背中をみつめたままだ。
「ああ…」
「でも先輩、前付き合ってた人って女性でしたよね…」
松野は蓮の背中から目を逸らさない。
「蓮と付き合うまで付き合ってきた人は女性だった…だから、同性と付き合うのは今回が初めてで…」
真司はこちらを全くみない松野に語りかける。
「……俺は何してたんだろう…」
「え?」
松野の呟きの意味がわからず、真司が聞き返すと、
「先輩、これ持っててください!」
「⁉︎松野⁉︎」
驚いた真司をおいて、松野はぐっと自分の鞄を真司に押し付けると、蓮の方へ走って行った。

松野は前を歩く蓮の方に走っていくと、蓮に何か話し、真司の方へ戻ってきた。

「先輩。俺、諦めるのやめます!」
松野はそれだけ真司に宣言すると店の中に入って行った。
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