50 / 109
初夜 ①
しおりを挟む
翌日から僕とカイトくん達は読み書き、計算などを勉強したりした。そして毎日夕食後はアレク様を膝枕をしながら、日中の話をするのが日課となっていた。
ある時、僕が勉強を頑張っているカイトくんの話ばかりするので、アレク様が「他の男の話ばかりするな」と拗ねた時は、お腹を抱えて笑ってしまった。
子ども達と触れ合う中、他の使用人達とも話す機会が増え、日を重ねるごとにアレク様や子ども達、後宮内との人たちとの距離の距離が近くなり始めていた。
なのに殿下とは膝枕をしながら今日あった話だけで、肝心なお互いの話はしていない。
「僕は殿下とも仲良くなりたいのに……」
部屋で1人、窓から園庭を見ながら呟いていると、
「その言葉、聞きましたからね!」
いなかったはずのクロエが目を三日月型にし、ニヤリと笑いならがら立っていた。
なんだか嫌な予感しかしない……。
すごくまずい予感しかしない!
「その問題、このクロエが解決して見せましょう!」
クロエは自分の胸を2回叩き、意気揚々と部屋を後にし、またすぐに帰ってきた。
「ユベール様、今夜こそ続きをするときがやってきました!」
クロエはあの本を僕の目の前に差し出す。
あの本……。
ー白い薔薇が赤く染まる時ー
あの官能小説!
ということは……。
恐る恐るクロエの方を見ると。
「そうです。お察しの通り、今日こそ『初夜』のやり直しをするのです!」
やっぱり……。
「やはり殿下と親密になるには、肌と肌との触れ合いが必要です。ユベール様は殿下の愛情を全身で感じられ、愛を深められるのです」
クロエは自分の両指を絡め合わせ、祈るポーズで天井を見上げる。
ああ……完全に想像の世界に飛んでいっている……。
「クロエが僕のことを考えてくれているのは嬉しいけれど、これは陛下のお気持ちも大切で……」
とりあえず、早すぎる展開をどうにか止めようとしたのに、
「なんの問題もございません」
そこに現れたのはヒューゴ様。
「クロエからこの話を聞き、すぐに殿下にお伝えしたところ、殿下は夢見心地でいらっしゃいます。なのでなんの問題もございません。あとはユベール様のご意志だけです」
「僕の……意識?」
もう一度、あの官能小説のページを捲ると、あの挿絵が出てくる。
心臓がドキンと跳ねた。
僕と殿下があんなことするの?
想像しただけで、体がカッと熱くなる。
殿下を膝枕するのとは、話が違う。
だって2人とも裸だよ?
殿下が僕の裸を見るんだよ。
この女の人みたいにふくよかな胸もないし、柔らかい体もない。
こんな貧弱な体見せられないよ……。
無意識に両手で体を隠そうとした。
「ユベール様はお美しいですよ。殿下との関係を踏み出されたいと思われるのならば、一歩踏み出してみませんか?」
「でも……僕、この本みたいなことできない……」
僕は何も知らない。
知らなすぎる。
それが怖いしはずかしい。
「殿下に身を預けるだけです。殿下の愛を全身で受け止めるだけです。ユベール様は殿下に愛されるべき方なんです」
殿下に身を預けるってなに?
愛を全身で受け止めるってなに?
僕が殿下に愛される存在なの?
殿下との距離を縮めたい。
一歩を踏み出したい。
「殿下は僕と一歩踏み出すことを、望まれていますか?」
僕がヒューゴ様に訊くと、
「心から」
真剣な表情でヒューゴ様が言った。
殿下は僕と一歩踏み出すことを願っている。
だったら僕も……。
「僕も一歩、踏み出したいです」
覚悟を決めた。
ある時、僕が勉強を頑張っているカイトくんの話ばかりするので、アレク様が「他の男の話ばかりするな」と拗ねた時は、お腹を抱えて笑ってしまった。
子ども達と触れ合う中、他の使用人達とも話す機会が増え、日を重ねるごとにアレク様や子ども達、後宮内との人たちとの距離の距離が近くなり始めていた。
なのに殿下とは膝枕をしながら今日あった話だけで、肝心なお互いの話はしていない。
「僕は殿下とも仲良くなりたいのに……」
部屋で1人、窓から園庭を見ながら呟いていると、
「その言葉、聞きましたからね!」
いなかったはずのクロエが目を三日月型にし、ニヤリと笑いならがら立っていた。
なんだか嫌な予感しかしない……。
すごくまずい予感しかしない!
「その問題、このクロエが解決して見せましょう!」
クロエは自分の胸を2回叩き、意気揚々と部屋を後にし、またすぐに帰ってきた。
「ユベール様、今夜こそ続きをするときがやってきました!」
クロエはあの本を僕の目の前に差し出す。
あの本……。
ー白い薔薇が赤く染まる時ー
あの官能小説!
ということは……。
恐る恐るクロエの方を見ると。
「そうです。お察しの通り、今日こそ『初夜』のやり直しをするのです!」
やっぱり……。
「やはり殿下と親密になるには、肌と肌との触れ合いが必要です。ユベール様は殿下の愛情を全身で感じられ、愛を深められるのです」
クロエは自分の両指を絡め合わせ、祈るポーズで天井を見上げる。
ああ……完全に想像の世界に飛んでいっている……。
「クロエが僕のことを考えてくれているのは嬉しいけれど、これは陛下のお気持ちも大切で……」
とりあえず、早すぎる展開をどうにか止めようとしたのに、
「なんの問題もございません」
そこに現れたのはヒューゴ様。
「クロエからこの話を聞き、すぐに殿下にお伝えしたところ、殿下は夢見心地でいらっしゃいます。なのでなんの問題もございません。あとはユベール様のご意志だけです」
「僕の……意識?」
もう一度、あの官能小説のページを捲ると、あの挿絵が出てくる。
心臓がドキンと跳ねた。
僕と殿下があんなことするの?
想像しただけで、体がカッと熱くなる。
殿下を膝枕するのとは、話が違う。
だって2人とも裸だよ?
殿下が僕の裸を見るんだよ。
この女の人みたいにふくよかな胸もないし、柔らかい体もない。
こんな貧弱な体見せられないよ……。
無意識に両手で体を隠そうとした。
「ユベール様はお美しいですよ。殿下との関係を踏み出されたいと思われるのならば、一歩踏み出してみませんか?」
「でも……僕、この本みたいなことできない……」
僕は何も知らない。
知らなすぎる。
それが怖いしはずかしい。
「殿下に身を預けるだけです。殿下の愛を全身で受け止めるだけです。ユベール様は殿下に愛されるべき方なんです」
殿下に身を預けるってなに?
愛を全身で受け止めるってなに?
僕が殿下に愛される存在なの?
殿下との距離を縮めたい。
一歩を踏み出したい。
「殿下は僕と一歩踏み出すことを、望まれていますか?」
僕がヒューゴ様に訊くと、
「心から」
真剣な表情でヒューゴ様が言った。
殿下は僕と一歩踏み出すことを願っている。
だったら僕も……。
「僕も一歩、踏み出したいです」
覚悟を決めた。
26
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
愛する公爵と番になりましたが、大切な人がいるようなので身を引きます
まんまる
BL
メルン伯爵家の次男ナーシュは、10歳の時Ωだと分かる。
するとすぐに18歳のタザキル公爵家の嫡男アランから求婚があり、あっという間に婚約が整う。
初めて会った時からお互い惹かれ合っていると思っていた。
しかしアランにはナーシュが知らない愛する人がいて、それを知ったナーシュはアランに離婚を申し出る。
でもナーシュがアランの愛人だと思っていたのは⋯。
執着系α×天然Ω
年の差夫夫のすれ違い(?)からのハッピーエンドのお話です。
Rシーンは※付けます
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
生き急ぐオメガの献身
雨宮里玖
BL
美貌オメガのシノンは、辺境の副将軍ヘリオスのもとに嫁ぐことになった。
実はヘリオスは、昔、番になろうと約束したアルファだ。その約束を果たすべく求婚したのだが、ヘリオスはシノンのことなどまったく相手にしてくれない。
こうなることは最初からわかっていた。
それでもあなたのそばにいさせてほしい。どうせすぐにいなくなる。それまでの間、一緒にいられたら充分だ——。
健気オメガの切ない献身愛ストーリー!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる