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流行病 ②
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しばらくすると、ドタドタと誰かが廊下を駆けてくる音がした。
何事?
廊下に様子を見に行こうと起き上がったと同時に、ミカエルの部屋のドアは開けられ、父様と母様、お医者さんに数人の使用人が入ってくる。
「ああミカエル!」
母様が僕をキツく抱きしめる。
「本当に心配したんだよ」
父様も僕を抱きしめる。
侍女だけじゃなくて、父様と母様も僕のことをミカエルとおっしゃっている。
僕たちは大きくなるにつれて見分けがつきにくく、毎日会っている使用人たちですら、僕たちが着る服の色でしか、どちらが僕でどちらがミカか、わからなくなっていたとはいえ父様と母様はきちんと見分けられていた。
なのにどうして、今、僕のことをミカエルって呼ぶの?
「旦那様、奥様、少し失礼します」
お医者様が僕の目の前に現れ、目の様子や心音を聞かれる。
「熱もさがっておられ、胸の音も綺麗です。ご安心ください。ミカエル様は病に打ち勝たれました」
「本当ですか!?先生、ありがとうございます!さ、お茶の用意をさせますので別のお部屋でお待ちください」
父様が使用人たちに目配せをすると、使用人たちは父様に一礼して部屋を出ていった。
部屋には父様、母様、僕の面倒をみてくれていた侍女、そして僕の4人だけになる。
「ミカエル、大事な話がある」
「父様、僕ミカエルじゃなくてレオナルドだよ」
いくら父様たちがミカのことが大好きで大切だからって、僕とミカを見間違うなんて悲しすぎる。
「ああ。そのことで話がある。ベッドのヘリに座りなさい」
父様に促されるまま僕はベッドのへりに座り、父様と母様は僕の両隣りに座った。
「今から話すことは、とても重要で誰にも話してもいけない。それがたとえサイモンでも、だ。誰にも言わないと約束するか?」
今まで見たことのない父様の表情に、僕は大きく頷いた。
「レオナルド、ミカエルは死んだ」
「……え……?」
父様が何をおっしゃっているのかわからず、思考が止まる。
「今……なんて……」
「ミカエルは、死んだ」
父様はもう一度、今度ははっきりと言う。
「ミカエルは……死んだ……?どういう、ことですか?」
ミカが死んだ?
信じられない。
だってミカは昨日、僕にお茶を淹れにきてくれていたじゃないか。
僕の知っているミカは元気で体調が良さそうだった。
だったらどうして?
父様と母様は僕に嘘をついている?
でもどうしてそんな嘘をつくの?
それにどうして僕のことを『ミカエル』って呼ぶの?
「ミカは……ミカは、どこですか?」
「……」
「ミカの体調はどうなんですか?」
「……」
「どうしてここにミカはいないんですか?」
「……」
「どうして僕は、ミカの部屋のミカのベッドで眠っていたんですか?」
「……」
「どうしてみんな僕のことを、ミカエルって呼ぶんですか?」
「……」
「どうしてですか!?どうしてそんな嘘をつかれるのですか!?答えてください!ねぇ父様!母様!」
僕はベッドから立ち上がり叫び、部屋の中には僕の声だけ響く。
「レオナルド座りなさい。座って落ち着いてしっかりと聞くんだ」
父様は落ち着いて話し始められた。
ミカエルはサイモンに丘の上に連れて行ってもらい、上機嫌で帰って来て、そのままサイモンを見送った。
体調もよく元気だったので安心していたが、その晩、急に容態が悪化し三日三晩、高熱と嘔吐を繰り返し4日目の夜中、眠るように亡くなったと話された。
でもそんな話しは嘘だ!
だってミカは元気な姿で僕に会いにきてくれたじゃないか!
額に掌を当ててくれたり、お茶だって淹れてくれた。
「そんなのは嘘です!サイモンが帰った3日後の夜中、ミカは元気な姿で僕に会いにきてくれていました!僕のことを心配して、会いにきてくれてました!ミカだけが僕に会いにきてくれてました!」
ほぼ叫ぶように言っていた。
「そう、だったんだな」
みるみるうちに父様の目に涙が浮かび、母様は手で口を塞ぎ、鳴き声を抑えている。
「ミカエルはレオナルドにお別れを、言いに行っていたんだな」
ーお別れー
その言葉が頭の中で響く。
ミカが来てくれたのは、決してお別れのためじゃない。ミカは元気だったから、僕の様子を見に来てくれていただけなんだ。
だけど、ミカが言っていた言葉がずっと引っかかっている。
何事?
廊下に様子を見に行こうと起き上がったと同時に、ミカエルの部屋のドアは開けられ、父様と母様、お医者さんに数人の使用人が入ってくる。
「ああミカエル!」
母様が僕をキツく抱きしめる。
「本当に心配したんだよ」
父様も僕を抱きしめる。
侍女だけじゃなくて、父様と母様も僕のことをミカエルとおっしゃっている。
僕たちは大きくなるにつれて見分けがつきにくく、毎日会っている使用人たちですら、僕たちが着る服の色でしか、どちらが僕でどちらがミカか、わからなくなっていたとはいえ父様と母様はきちんと見分けられていた。
なのにどうして、今、僕のことをミカエルって呼ぶの?
「旦那様、奥様、少し失礼します」
お医者様が僕の目の前に現れ、目の様子や心音を聞かれる。
「熱もさがっておられ、胸の音も綺麗です。ご安心ください。ミカエル様は病に打ち勝たれました」
「本当ですか!?先生、ありがとうございます!さ、お茶の用意をさせますので別のお部屋でお待ちください」
父様が使用人たちに目配せをすると、使用人たちは父様に一礼して部屋を出ていった。
部屋には父様、母様、僕の面倒をみてくれていた侍女、そして僕の4人だけになる。
「ミカエル、大事な話がある」
「父様、僕ミカエルじゃなくてレオナルドだよ」
いくら父様たちがミカのことが大好きで大切だからって、僕とミカを見間違うなんて悲しすぎる。
「ああ。そのことで話がある。ベッドのヘリに座りなさい」
父様に促されるまま僕はベッドのへりに座り、父様と母様は僕の両隣りに座った。
「今から話すことは、とても重要で誰にも話してもいけない。それがたとえサイモンでも、だ。誰にも言わないと約束するか?」
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「レオナルド、ミカエルは死んだ」
「……え……?」
父様が何をおっしゃっているのかわからず、思考が止まる。
「今……なんて……」
「ミカエルは、死んだ」
父様はもう一度、今度ははっきりと言う。
「ミカエルは……死んだ……?どういう、ことですか?」
ミカが死んだ?
信じられない。
だってミカは昨日、僕にお茶を淹れにきてくれていたじゃないか。
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だったらどうして?
父様と母様は僕に嘘をついている?
でもどうしてそんな嘘をつくの?
それにどうして僕のことを『ミカエル』って呼ぶの?
「ミカは……ミカは、どこですか?」
「……」
「ミカの体調はどうなんですか?」
「……」
「どうしてここにミカはいないんですか?」
「……」
「どうして僕は、ミカの部屋のミカのベッドで眠っていたんですか?」
「……」
「どうしてみんな僕のことを、ミカエルって呼ぶんですか?」
「……」
「どうしてですか!?どうしてそんな嘘をつかれるのですか!?答えてください!ねぇ父様!母様!」
僕はベッドから立ち上がり叫び、部屋の中には僕の声だけ響く。
「レオナルド座りなさい。座って落ち着いてしっかりと聞くんだ」
父様は落ち着いて話し始められた。
ミカエルはサイモンに丘の上に連れて行ってもらい、上機嫌で帰って来て、そのままサイモンを見送った。
体調もよく元気だったので安心していたが、その晩、急に容態が悪化し三日三晩、高熱と嘔吐を繰り返し4日目の夜中、眠るように亡くなったと話された。
でもそんな話しは嘘だ!
だってミカは元気な姿で僕に会いにきてくれたじゃないか!
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「そんなのは嘘です!サイモンが帰った3日後の夜中、ミカは元気な姿で僕に会いにきてくれていました!僕のことを心配して、会いにきてくれてました!ミカだけが僕に会いにきてくれてました!」
ほぼ叫ぶように言っていた。
「そう、だったんだな」
みるみるうちに父様の目に涙が浮かび、母様は手で口を塞ぎ、鳴き声を抑えている。
「ミカエルはレオナルドにお別れを、言いに行っていたんだな」
ーお別れー
その言葉が頭の中で響く。
ミカが来てくれたのは、決してお別れのためじゃない。ミカは元気だったから、僕の様子を見に来てくれていただけなんだ。
だけど、ミカが言っていた言葉がずっと引っかかっている。
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