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プロローグ
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◆◆◆
プロローグ
◆◆◆
わたしはまだ子供。ただの夢見る子供。厳しい現実なんてまだ何も知らない。
だけどステキなものならもういっぱい知ってる! 好きなものならいっぱいある!
やさしいお母さんとお姉ちゃんとおばあちゃんとお父さん、仲の良いお友達と、ソーセージとハンバーグとチョコケーキ! みんな大好き!
おっきくてカッコいい列車! 夜空にきらめくステキな花火! 魔法使いさん達のサーカスは花火よりもキラキラ! 魔力をもった精霊はもっとキラキラ! 一番キラキラ!
でも世の中には怖いものもいっぱいあるみたい。わたしはまだ子供だからそれを知らない。
だけどキラキラな魔法と精霊があればどんな怖いことだってステキに乗り越えられる! わたしはそう信じてる!
◆◆◆
――タタンタタン、タタンタタン
部屋の中にまで響く蒸気機関車の音に、ふくよかな女性は調理の手を止め、ラジオのスイッチに手を伸ばした。
軽快な音楽がラジオから流れ、女性の気を紛らわせる。
その心地よい音に耳を傾けていると、スピーカーから男の声が響き始めた。
“みなさんこんにちは! 突然ですが、神様を倒そうと思ったら、どんな武器を想像しますか?”
それは本当に突然な切り出しであり、なんの番組が始まったのか女性にはわからなかった。
“やはりファンタジー小説にあるような魔力を帯びた光る剣? それとも槍? いいですね! 私も古典的な武器は大好きです! ロマンが詰まってる!”
光る剣と槍、それには共感できた。神と人の戦いにはありがちだからだ。
“ですが、私ならもっと派手な武器を選びます!”
そのセリフを聞いてようやく、女性はこれがなんの番組なのかを理解した。
“たとえばショットガン! 大口径リボルバー!”
これは商品の宣伝だ。通販番組なのだ。
“見て下さいよこのリボルバーの美しさ! 芸術にまで昇華されていると言っても過言じゃ無い!”
見て下さいと言われても、声しか聞こえないのだから想像することしかできない。そしてめんどくさかった女性は想像すること自体を放棄した。
だが、次に響いたセリフはわかりやすいものであり、女性にも想像できた。
“でもこれじゃ神様と戦うにはちょっと小さいですよねえ。頼りない! 我々にはもっと大きな銃が必要だ!”
女性は猟銃のような長射程のライフルを想像したのだが、直後に響いたセリフは想像のはるか斜め上をいくものであった。
“そう思うそこのアナタにオススメするのがコレ! SBML 2インチ迫撃砲!”
え、えすびーえむえる、2いんちはくげきほう? なにそれ?
“こいつはすごいですよ! これなら神様だって吹き飛ばせる! 怖いものなんてありません!”
それがなんなのかは女性には想像できなかったが、たぶん大砲なんだろうなと女性は思った。
“え? アナタは精霊使い? でしたらこちらのほうがオススメ! 和の国で生み出された、九十九神式重擲弾筒!”
つ、つくもがみしきじゅうてきだんとう?
“こいつもスゴイ! 精霊が弾道計算から何から何まで、すべてをサポートしてくれます! 数学が苦手な人でももう安心!”
なにがすごいのかよくわからないが、たぶんマニアが欲しがるんだろう、女性はそう考えることにした。
“欲しくなってきましたか? もうガマンできないって感じですか? でしたらすぐにご連絡を! なんと我が社は電線を利用した最新の通信技術にすでに対応しております! メモの用意はいいですか? 電話番号は――”
女性には興味が無かったため、電話番号はまったく頭に入ってこなかった。
“もちろん! 従来の精霊通信にも対応しております! いますぐ、お近くの基地局にご連絡を!”
わからないことだらけだったが、一つだけはっきりとした感情が女性の中にはあった。
こんなぶっとんだ宣伝をやる会社は、いったいなんて会社なんだろう、と。
その答えは直後に響いた。
“家庭用製品から兵器まで、優れたものを誰よりもどこよりも速くアナタのもとにお届け、ルイステクノロジー株式会社”
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◆◆◆
わたしはまだ子供。ただの夢見る子供。厳しい現実なんてまだ何も知らない。
だけどステキなものならもういっぱい知ってる! 好きなものならいっぱいある!
やさしいお母さんとお姉ちゃんとおばあちゃんとお父さん、仲の良いお友達と、ソーセージとハンバーグとチョコケーキ! みんな大好き!
おっきくてカッコいい列車! 夜空にきらめくステキな花火! 魔法使いさん達のサーカスは花火よりもキラキラ! 魔力をもった精霊はもっとキラキラ! 一番キラキラ!
でも世の中には怖いものもいっぱいあるみたい。わたしはまだ子供だからそれを知らない。
だけどキラキラな魔法と精霊があればどんな怖いことだってステキに乗り越えられる! わたしはそう信じてる!
◆◆◆
――タタンタタン、タタンタタン
部屋の中にまで響く蒸気機関車の音に、ふくよかな女性は調理の手を止め、ラジオのスイッチに手を伸ばした。
軽快な音楽がラジオから流れ、女性の気を紛らわせる。
その心地よい音に耳を傾けていると、スピーカーから男の声が響き始めた。
“みなさんこんにちは! 突然ですが、神様を倒そうと思ったら、どんな武器を想像しますか?”
それは本当に突然な切り出しであり、なんの番組が始まったのか女性にはわからなかった。
“やはりファンタジー小説にあるような魔力を帯びた光る剣? それとも槍? いいですね! 私も古典的な武器は大好きです! ロマンが詰まってる!”
光る剣と槍、それには共感できた。神と人の戦いにはありがちだからだ。
“ですが、私ならもっと派手な武器を選びます!”
そのセリフを聞いてようやく、女性はこれがなんの番組なのかを理解した。
“たとえばショットガン! 大口径リボルバー!”
これは商品の宣伝だ。通販番組なのだ。
“見て下さいよこのリボルバーの美しさ! 芸術にまで昇華されていると言っても過言じゃ無い!”
見て下さいと言われても、声しか聞こえないのだから想像することしかできない。そしてめんどくさかった女性は想像すること自体を放棄した。
だが、次に響いたセリフはわかりやすいものであり、女性にも想像できた。
“でもこれじゃ神様と戦うにはちょっと小さいですよねえ。頼りない! 我々にはもっと大きな銃が必要だ!”
女性は猟銃のような長射程のライフルを想像したのだが、直後に響いたセリフは想像のはるか斜め上をいくものであった。
“そう思うそこのアナタにオススメするのがコレ! SBML 2インチ迫撃砲!”
え、えすびーえむえる、2いんちはくげきほう? なにそれ?
“こいつはすごいですよ! これなら神様だって吹き飛ばせる! 怖いものなんてありません!”
それがなんなのかは女性には想像できなかったが、たぶん大砲なんだろうなと女性は思った。
“え? アナタは精霊使い? でしたらこちらのほうがオススメ! 和の国で生み出された、九十九神式重擲弾筒!”
つ、つくもがみしきじゅうてきだんとう?
“こいつもスゴイ! 精霊が弾道計算から何から何まで、すべてをサポートしてくれます! 数学が苦手な人でももう安心!”
なにがすごいのかよくわからないが、たぶんマニアが欲しがるんだろう、女性はそう考えることにした。
“欲しくなってきましたか? もうガマンできないって感じですか? でしたらすぐにご連絡を! なんと我が社は電線を利用した最新の通信技術にすでに対応しております! メモの用意はいいですか? 電話番号は――”
女性には興味が無かったため、電話番号はまったく頭に入ってこなかった。
“もちろん! 従来の精霊通信にも対応しております! いますぐ、お近くの基地局にご連絡を!”
わからないことだらけだったが、一つだけはっきりとした感情が女性の中にはあった。
こんなぶっとんだ宣伝をやる会社は、いったいなんて会社なんだろう、と。
その答えは直後に響いた。
“家庭用製品から兵器まで、優れたものを誰よりもどこよりも速くアナタのもとにお届け、ルイステクノロジー株式会社”
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