らぶこめ! わたしのツンが消える時

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第一話 素直になれない再会(1)

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 彼女のことはずっと気になっていた。
 でも、その想いは年齢によって違っていた。
 ちいさい頃は彼女のことが大好きだった。いつも一緒だった。
 しかし小学生になると変わった。
 他の男子にからかわれたからだ。俺はそれがイヤだった。
 当時の俺はダメなやつだった。女子に守られてばかりの男なんてどう考えてもダメだ。バカな俺でもそれくらいのことは分かった。
 だから俺は自分を変えようとしたんだと思う。
 思う、なんて曖昧な言い方をしている理由は自覚が無かったからだ。当時の俺は本当にバカだったから、どうしてイヤだと感じるのかその理由すら判断がつかなかった。
 いま思い返してみると俺のその行動は正しかったんだと思う。その行動のおかげで俺は良い方向に変われたからだ。そして今の俺達があるからだ。

   ◆◆◆

 彼とは子供の時から一緒だった。いわゆる幼馴染というやつだ。

 学年は同じだが、わたしのほうが半年ほど生まれるのが早かった。
 その半年の差は幼少時代では大きなものだった。
 背も体力も、なにもかもわたしのほうが上だった。
 だからわたしは彼の保護者であるかのように、お姉さんであるかのように振舞った。

 いや、振舞ったというのは、その時は違う。正しい表現じゃない。

 幼い彼は時々いじめられていた。そのたびにわたしが助けていた。だから彼は私のことを名前のあとに「お姉ちゃん」をつけて呼んでいた。わたしも彼のことを本当の弟のように思っていた。

 小学生に入る頃にはその差は消えていた。
 それでもわたし達はまだ仲の良い姉弟のように付き合っていた。それをクラスメイトにからかわれたりしたけど、わたしはなんとも思わなかった。

 でも時の流れは残酷だった。

 きっかけはクラス替えだった。
 三年生に上がる時、わたし達は別れることになった。
 その日を境に、わたし達の関係は遠く薄くなっていった。
 まず、一緒に下校しなくなった。彼は新しい男友達と帰るようになった。
 そして一緒に遊ばなくなった。彼は男友達とゲームやサッカー、そしてドッチボールばかりやるようになった。
 わたしの小学校は集団登校が基本であり、高学年にもなると彼との繋がりはそれだけになってしまった。

 中学になるとその細いつながりすら消えた。彼は自転車で男友達や部活仲間と通学するようになった。
 クラスも部活も違う。接点はまったく無かった。家が近いだけの赤の他人だった。
 だから彼が他の女子と話したりしていても何も思わなかった。
 中学時代の彼は女子からの人気が高かった。
 たしかに顔は悪く無い。運動もそこそこ出来て頭も良い。いつもぼーっとしてるように見えるけど、人当たりは良い。ひいき目の無い当時のわたしから見ても、彼はモテても不思議の無い男子だった。
 わたしはそんな彼に興味を抱かなかった。
 いや、抱かなかった、じゃなくて抱こうとしなかったのかもしれない。彼のことを考えないようにしていたと思う。
 彼とわたしの運命が再び交わることは無い、勝手にそう思い込んでいたんだと思う。

 だけど、神様の考えはわたしとは違っていたみたい。
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