雪山のペンションで、あなたひとり

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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Ep1 あなたひとりの章(4)

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 言われるがままに靴を脱いで上がる。
 ひんやりとした冷気が靴下を越えて伝わってきたが、オーナーはすぐに暖かそうなスリッパを差し出してくれた。
 あなたと友人がそれに足を入れると、オーナーは間取りの説明を始めた。

「廊下の右手側にある、そこの部屋が食堂です。真っ直ぐいった突き当りは台所。そのすぐ左にある二つのドアはトイレとお風呂です。全ての客室にバストイレはありますが、こちらを利用していただいてもけっこうですよ」

 その説明を聞きながら、あなたは友達と一緒に食堂を覗き込んだ。
 そこは、壁を取り払って二つの部屋を一つに繋いだように見える構造だった。
 だから入り口が二つある。窓の位置の不自然さもそれを証明しているように思えた。

「では、こちらへどうぞ」

 そして再び響いたオーナーの誘導の声に、あなたと友人は従った。
 廊下の左手側にあるドアを通る。
 そこは二階に続く階段のある、吹き抜けの広間だった。
 広間の角にはL字型の大きなソファーが置かれている。
 革張りで、座り心地が良さそうだ。
 そしてそのソファーの前には膝ほどの高さのテーブルが置かれている。
 それもお値段が張りそうな一品であったが、それよりもあなたの意識を引いたものがあった。
 ソファーの背もたれ側から日光を入れる役目を果たしている窓の上にそれはあった。
 神棚だ。
 それは妙に大きく、そして立派だった。
 背の高いやつがソファーから立ち上がったら頭をぶつけるのではないか、そんな位置にあるから余計に目立つ。
 だが、あなたのそんな意識は直後に響いた「ボーン」という音によって切り替えられた。
 それはソファーの対面側の壁にかけられている柱時計の音であった。
 玄関に入った時点で秒を刻む音は聞こえていた。それほどに大きい。
 あなたの意識はその振り子の揺れにとらわれたが、それは数秒のことであった。

「それでは二階のお部屋にご案内します」
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