Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第一章 火蓋を切って新たな時代への狼煙を上げよ

第四話 魔王戦(10)

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「!」

 直後に再び銃声。
 展開していた鳥達が、爆発魔法が全て撃墜される。
 それとほぼ同時に配下の兵達がとうとう全滅。
 魔王に向けられる攻撃意識の線の数が激増し、比例して銃撃が激しくなる。

「ぐうぅっ!」

 銃撃の嵐の中で魔王の体に穴が開いていく。
 柱にぴったりと体を貼り付けているが、射線から逃れられない。
 壁側に寄ればフレディ達に撃たれ、玉座の奥側に身をずらせば、そちら側に回りこんできた銃兵達に撃たれる。
 どこに身を隠しても誰かの射線に晒される。
 ゆえに嵐のように銃撃が鳴りやまない。

「がはっ!」

 魔王の体に決して軽くない傷が刻まれていく。
 その痛みと苦しみに対し、

「おのれ……こんなオモチャにこの我が……っ!」

 魔王はやはり怒りでねじ伏せようとしたが、

「っ!」

 直後に銃声と共に刻み込まれた傷は、その怒りすらも逆にねじ伏せるものだった。
 終わった。それが分かった。ゆえに、魔王は柱の陰に隠れるのをやめ、

「……いいだろう、負けを認めよう」

 全員の目線に傷ついた己の体を晒しながら、生涯言うことは無いと思っていた台詞を吐いた。
 だが、やはり魔王は魔王だった。
 魔王は強い視線をシャロンに向け、指差し、そして叫んだ。

「だが、我はお前に敗れたのではないぞ!」

 その叫びが響き終わった直後に、とどめの銃声が響いた。
 魔王の体に数え切れないほどの穴が開く。
 そして魔王はその蛇口から流れ出た赤色の中に身を沈めるように、その場に崩れ落ちた。

「「「……」」」

 その亡骸を前に、誰も何も言わない。言えない。
 だが、少しずつ湧き上がる勝利の実感はその口をこじ開けた。

「……勝った」

 誰かがその言葉を漏らす。

「ああ、勝った」

 別の誰かがその言葉に続き、

「俺達は勝ったんだ!」

 さらに別の誰かが力強い言葉を響かせる。
 それがきっかけとなり、全員に火がついた。

「勝利だ! 俺達はついに魔王を倒したんだ!」
「やったぞおおぉっ!」
「「「うおおおおぉぉっ!」」」

 そして突如始まる大歓声。
 であったが、

「……」

 一人、サイラスは違う表情を浮かべていた。
 サイラスには分かっていた。
 魔王が最後に言った言葉が間違いであることを。
 我々が勝てたのはシャロンが魔王の攻撃を一身に引き受けてくれたおかげだ。
 もしも、魔王がシャロンをまともに相手にせず、銃兵達の殲滅に最初から力を入れていたら結果はまったく逆のものになっていた可能性がある。
 そうだ。この武器は、銃はまだ弱い。頼りない。欠点が多すぎる。
 早急になんとかしなければならない。
 が、

「「「うおおおおおおっ!」」」

 それを深刻にとらえているのは、今はサイラス以外に誰もいないようであった。

   第五話 最後の晩餐? に続く
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