Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

文字の大きさ
319 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神

第二十話 母なる海の悪夢(17)

しおりを挟む

   ◆◆◆

 シャロンが敵の大型船を奪ったことは、後方で戦っている小型船からもよく見えていた。
 キーラも同じことをしていた。大型船に乗り込んで戦っていた。
 そして間も無く、シャロン達は戦闘を開始した。
 大砲が火を噴き、ぶどう弾が炸裂する。
 撃たれた敵の大型船は即座に反撃を開始。
 その反撃の轟音を合図にしたかのように、近くの大型船も動き始めた。
 横一列の陣形を崩し、シャロンとキーラ達を包囲しようとするように移動を開始。
 それを見たサイラスは声を上げた。

「シャロンとキーラ達を援護しろ!」
 
 その叫び声には、そうしなければならない理由を示す心の声も含まれていた。
 シャロンとキーラの船が沈めば、二人が作ってくれた有利が消え、先の消耗戦の状況に戻ってしまう。
 そして消耗戦では単純な数の差で不利。
 しかし、援護とは具体的にどうすればいいのか。
 その答えを確認するように、兵士の一人が声を上げた。

「シャロン様と魔王を攻撃しようとしている船をなんとかしろってことか?!」

 その言葉に、隣にいたフレディは頷き、言葉を返した。

「つまり、突撃しろってことだ!」

 さらに隣の兵士が続けて口を開く。

「大砲を積んでいる船じゃないとまともな援護は出来ない! 我々は行くしかないぞ!」

 ならばやるしかない。その意思を再確認するように、さらに別の兵士が声を上げた。

「しょうがねえな! 行くぞ、野郎ども!」

 その声を合図にフレディの船は動き始めた。
 周囲の船もそれに続き始める。
 それを見たアルフレッドも声を上げた。

「行こう、ベアトリス!」

 アルフレッドの乗っている小型船にも大砲が積まれている。ベアトリスの意思に関係無くこの船は前に出る。
 さらに、アルフレッドの「行く」という言葉には、普通では無い手段の意思が含まれていた。
 ベアトリスはそれをわかっていた。感じ取れていた。
 ゆえに、ベアトリスは即答しなかった。
 ベアトリスは自分の覚悟を確認していた。
 海の上は動きにくい。もしも連中がまだアルフレッドのことをあきらめていないとしたら、この戦いのどこかで仕掛けてくる可能性が高い。
 何があってもアルフレッドを守らないと、そんな思いを秘めながらベアトリスは答えた。

「わかった! 行こう!」

 ベアトリスは全てを覚悟した上で、「わかった」と答えた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

処理中です...