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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十話 母なる海の悪夢(17)
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シャロンが敵の大型船を奪ったことは、後方で戦っている小型船からもよく見えていた。
キーラも同じことをしていた。大型船に乗り込んで戦っていた。
そして間も無く、シャロン達は戦闘を開始した。
大砲が火を噴き、ぶどう弾が炸裂する。
撃たれた敵の大型船は即座に反撃を開始。
その反撃の轟音を合図にしたかのように、近くの大型船も動き始めた。
横一列の陣形を崩し、シャロンとキーラ達を包囲しようとするように移動を開始。
それを見たサイラスは声を上げた。
「シャロンとキーラ達を援護しろ!」
その叫び声には、そうしなければならない理由を示す心の声も含まれていた。
シャロンとキーラの船が沈めば、二人が作ってくれた有利が消え、先の消耗戦の状況に戻ってしまう。
そして消耗戦では単純な数の差で不利。
しかし、援護とは具体的にどうすればいいのか。
その答えを確認するように、兵士の一人が声を上げた。
「シャロン様と魔王を攻撃しようとしている船をなんとかしろってことか?!」
その言葉に、隣にいたフレディは頷き、言葉を返した。
「つまり、突撃しろってことだ!」
さらに隣の兵士が続けて口を開く。
「大砲を積んでいる船じゃないとまともな援護は出来ない! 我々は行くしかないぞ!」
ならばやるしかない。その意思を再確認するように、さらに別の兵士が声を上げた。
「しょうがねえな! 行くぞ、野郎ども!」
その声を合図にフレディの船は動き始めた。
周囲の船もそれに続き始める。
それを見たアルフレッドも声を上げた。
「行こう、ベアトリス!」
アルフレッドの乗っている小型船にも大砲が積まれている。ベアトリスの意思に関係無くこの船は前に出る。
さらに、アルフレッドの「行く」という言葉には、普通では無い手段の意思が含まれていた。
ベアトリスはそれをわかっていた。感じ取れていた。
ゆえに、ベアトリスは即答しなかった。
ベアトリスは自分の覚悟を確認していた。
海の上は動きにくい。もしも連中がまだアルフレッドのことをあきらめていないとしたら、この戦いのどこかで仕掛けてくる可能性が高い。
何があってもアルフレッドを守らないと、そんな思いを秘めながらベアトリスは答えた。
「わかった! 行こう!」
ベアトリスは全てを覚悟した上で、「わかった」と答えた。
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