345 / 545
第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神
第二十二話 Deus Vult(主はそれを望まれた)(4)
しおりを挟む
ベアトリスは自身の体力が尽きかけていることもかえりみず、突撃を開始した。
同時に、海の怪物も浮上を開始。
これまで触腕しか出さなかった怪物の姿が露わになる。
「……!」
その異質さと異様さとおぞましさに、ベアトリスは言葉を失った。
下半身はイカ。上半身は人間。
だが人間の部分がおかしい。
特に顔は異常。形容し難いほどに。
頭がねじれている。そうとしか見えなかった。
まるで巻貝のように。
口らしき部分からイソギンチャクの触手のようなものが髭のように伸び生えている。
目は見当たらない。
だが前を見ている。いや、前だけじゃ無い。全方位を知覚している。それが感じ取れる。
腕の数と位置もおかしい。
左側には二本見える。肩の後ろからもう一本生えているように見える。
その位置すらゆらめいている。
腕の位置などどこでもいいのだろう。状況に応じて都合の良い位置に変えるのだろう。数も自由に変えられるのだろう。
そしてよく見ると、指が指じゃない。触手だ。
嫌悪感しか抱けない。おぞましい。
なのに、神々しくもある。
山のように巨大であり、全身が光っているせいだろう。
既に日が沈みかけているのに、空が明るく照らされるほどにそれは光っていた。
全身に魔力が蓄えられているのが一目でわかる。ゆえに感知能力者で無くとも、その姿を容易に認識することができる。
まるで神経網のように、体の中で時々雷が走っている。電撃魔法の魔力が全身に張り巡らされている。
心臓にあたる位置は燃えている。炎の魔力が満ちている。
人間を参考にして作られている、そう見えた。
人間も炎魔法の熱と電撃魔法を利用して体を動かしている。魔法使いと無能の差はそれを外に出せるか否かだけだ。
ならば、人間とまったく同じように動き、同じ攻撃手段を持っている可能性が高い。
そしてその巨体にはあふれんばかりの魔力が蓄えられている。
先の海上戦闘ではこんな魔力は感じられなかった。
この魔力の今日この時のためのものであり、ナチャの言う通り準備をしていたのだろう。
これに戦いを挑んで勝てるのだろうか? ナチャも大きいが、アレと比べると子供のようだ。
ベアトリスとナチャとアリスは同時にそれを考えた。
そして最初に声を上げたのはアリスであった。
「……アレと戦う必要は無いわ! わたし達の目的はアルフレッドを取り戻すこと! 乱戦の隙を狙って突っ込みましょう!」
勝てないとは言わなかったが、言い方を変えているだけであって、要はそういうことであった。
その言葉にベアトリスは、
「わかった!」
即座に同意し、集団の中に混じったアルフレッドの気配に向かって一直線の進路を取った。
が、直後、
「「「!!?」」」
三人は同時に新たな巨体の気配を感知し、ベアトリスはその足を思わず止めた。
同時に、海の怪物も浮上を開始。
これまで触腕しか出さなかった怪物の姿が露わになる。
「……!」
その異質さと異様さとおぞましさに、ベアトリスは言葉を失った。
下半身はイカ。上半身は人間。
だが人間の部分がおかしい。
特に顔は異常。形容し難いほどに。
頭がねじれている。そうとしか見えなかった。
まるで巻貝のように。
口らしき部分からイソギンチャクの触手のようなものが髭のように伸び生えている。
目は見当たらない。
だが前を見ている。いや、前だけじゃ無い。全方位を知覚している。それが感じ取れる。
腕の数と位置もおかしい。
左側には二本見える。肩の後ろからもう一本生えているように見える。
その位置すらゆらめいている。
腕の位置などどこでもいいのだろう。状況に応じて都合の良い位置に変えるのだろう。数も自由に変えられるのだろう。
そしてよく見ると、指が指じゃない。触手だ。
嫌悪感しか抱けない。おぞましい。
なのに、神々しくもある。
山のように巨大であり、全身が光っているせいだろう。
既に日が沈みかけているのに、空が明るく照らされるほどにそれは光っていた。
全身に魔力が蓄えられているのが一目でわかる。ゆえに感知能力者で無くとも、その姿を容易に認識することができる。
まるで神経網のように、体の中で時々雷が走っている。電撃魔法の魔力が全身に張り巡らされている。
心臓にあたる位置は燃えている。炎の魔力が満ちている。
人間を参考にして作られている、そう見えた。
人間も炎魔法の熱と電撃魔法を利用して体を動かしている。魔法使いと無能の差はそれを外に出せるか否かだけだ。
ならば、人間とまったく同じように動き、同じ攻撃手段を持っている可能性が高い。
そしてその巨体にはあふれんばかりの魔力が蓄えられている。
先の海上戦闘ではこんな魔力は感じられなかった。
この魔力の今日この時のためのものであり、ナチャの言う通り準備をしていたのだろう。
これに戦いを挑んで勝てるのだろうか? ナチャも大きいが、アレと比べると子供のようだ。
ベアトリスとナチャとアリスは同時にそれを考えた。
そして最初に声を上げたのはアリスであった。
「……アレと戦う必要は無いわ! わたし達の目的はアルフレッドを取り戻すこと! 乱戦の隙を狙って突っ込みましょう!」
勝てないとは言わなかったが、言い方を変えているだけであって、要はそういうことであった。
その言葉にベアトリスは、
「わかった!」
即座に同意し、集団の中に混じったアルフレッドの気配に向かって一直線の進路を取った。
が、直後、
「「「!!?」」」
三人は同時に新たな巨体の気配を感知し、ベアトリスはその足を思わず止めた。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる