Iron Maiden Queen

稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)

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第四章 偽りの象徴。偽りの信仰。そして偽りの神

第二十三話 偶然と気まぐれと運命の収束点(24)

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 そしてその奥義はムカデを利用した技術と同じ類のもの。魔力を生み出す内臓を酷使するというもの。
 魔力を生み出す速度は心臓の鼓動と比例関係にあることを利用した技術。
 心臓の近くで魔力を爆発させ、鼓動を加速させるのだ。
 なので負荷は比べ物にならない。調整も困難。
 アリスが操作しているベアトリスの心臓はうるさいほどに響き、常に激痛を発している。
 全身の神経は魔力の過剰供給によって焼け付くような痛みを発している。
 はっきり言って狂気の沙汰。
 その狂気で得られる力は人外の域であるが、限界はあっという間に訪れる。
 もしも限界を超えれば魔力を生み出す臓器は休止状態に入り、ほとんど動けなくなる。
 命を爆発させて燃やし尽くすような、超絶強化技術。
 常人より強い臓器を有するベアトリスの体であるが、その残り時間は――

(あと三秒!)

 残り三秒で決着をつける! そんな叫びをアリスは心の奥底で響かせた。
 そしてその叫びと共に繰り出し始めたのは連打。
 目にも止まらぬ、息もつかせぬ連打。
 両手両足すべての動を使い、常に先の先を取り続けて相手の動きの初動を潰し続ける。
 烈火のような乱舞。
 ゆえにナイアラは悲鳴をあげることも出来なかった。

(二秒!)

 その凄まじさと時間制限の中でも、アリスは完璧な手加減をしていた。
 折れているあばらには一発も入れていない。
 そして命中の直前に打撃の勢いを殺している。強く押しているだけ。
 にもかかわらず、アルフレッドの体がほんの少し浮いている。つま先が地面から離れている。
 そしてこの乱舞はただ激しいだけでは無かった。
 打撃と共に数多くの蝶が舞っていた。
 蝶はみな青い火の粉をまとっていた。
 火の粉はバークからゆずり受けた虫。
 とても小さいが、内部で炎の魔力を燃焼することで速く飛ぶことができる。
 この技術の恩恵によって、蝶は打撃に遅れることなく華麗に、かつ鋭く舞っていた。
 ハチのように旋回しながらアルフレッドの体に鱗粉を、虫を撒き散らす。
 虫は体内に侵入し、神経の伝達と魔力の制御を阻害していく。
 そして、

(一!)

 制限時間の針が最後の一目盛を指した瞬間、アリスは叫んだ。

(いまよ! ベアトリス!)
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