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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(14)
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が、次の瞬間、一つの影が二人の真後ろに降り立った。
「「!?」」
木の上から飛び降りてきた?!
そんな身体能力を持つ者はこの部隊では一人しかいなかった。
ゆえに狂人と化した二人はすぐに距離を取ろうとした。
が、その足裏が地面から離れるよりも早く、影は手にある武器を一閃した。
「ごめんなさい!」
謝罪の言葉と共に水平に描かれた三日月が二人の狂人の首をはねる。
かろうじて振り返っていた一方の狂人の瞳には、槍を振り切ったベアトリスの姿が映っていた。
対し、もう一人の方は感じ取っていた。
あなた達をもとに戻す余裕が無い、ゆえの謝罪の念を。
その思いに対し、かろうじて残っていた人間性は意思を取り戻した。
こういう時、言うべき言葉があったはずだ、そう思った。
しかしその言葉が沸き上がるよりも早く、意思は霧散し、闇のような無と化した。
その無を感じ取ったベアトリスは二人から視線を外し、周囲を見回す。
どこも劣勢だった。まともに動けている人間が少ない。
そしてそれはサイラスの方も同じであった。
指揮官であるサイラスが最前に立って敵を食い止めている有様であった。
足を止めずに敵から敵へ、長剣を振り続けている。
一人、二人、そして三人と、駆け抜けながら撫で切る。
が、直後にサイラスは足を止めて振り返った。
(一人浅い!)
思った通り、最初に斬った一人目も振り返って反撃の態勢に入ろうとしていた。
ゆえにサイラスは心の中で叫んだ。
(止めろ!)
その声に応じ、近くにいたサイラスの精霊が一気に集まってきた。
色の無い炎のような、陽炎のような衣を纏った骸骨の精霊。
まさに死神といった見た目の三体の精霊が同時に狂人に襲い掛かる。
これに対し、狂人は頭から大量の蛇を生やして迎え撃った。
死神は恐れもせずに蛇だらけの狂人の頭にしがみつく。
蛇に牙を突き立てられながらも狂人の頭に指先を突き刺し、制圧しようとする。
が、
(やはり硬い!)
三体がかりでも抵抗されている、それをサイラスは感じ取った。
だからサイラスは長剣を構えながら踏みこもうとした。
瞬間、
「っ!」
上空からの大物の接近を感じ取ったサイラスは後方に地を蹴った。
跳び下がったサイラスの眼前を、ドラゴンのブレスがなぎ払っていく。
光魔法と攻撃的な虫が混ざったブレスに狂人が巻き込まれる。
虫の群れがサイラスの精霊を食い荒らしながら吹き散らし、光の粒子が炸裂音と共に狂人の体をズタズタにする。
「くそっ!」
サイラスは悪態を吐きながらドラゴンを見上げた。
ドラゴンはサイラスに対して固執せず、そのまま上空を通過していったからだ。
対空手段が乏しい己の弱さに対しての悪態。
対空迎撃はアルフレッドとデュラン達が展開している精霊の役目。しかしその数が足りないことに対してのいらだち。
その両方を込めた悪態を吐き捨てたあと、サイラスはルイスがいる部隊のほうに視線を向けた。
すぐにルイスと連絡を取り合わなくてはならない、サイラスはそう感じていた。
そのための使いの死神を何度も送っている。
しかし返事が来ない。すべて撃墜されている可能性が高い。
このままだと左右の両翼が壊滅するのは時間に問題。
すぐにでも何か手を打たなくてはならない! サイラスはそんな思いを強く響かせた。
「「!?」」
木の上から飛び降りてきた?!
そんな身体能力を持つ者はこの部隊では一人しかいなかった。
ゆえに狂人と化した二人はすぐに距離を取ろうとした。
が、その足裏が地面から離れるよりも早く、影は手にある武器を一閃した。
「ごめんなさい!」
謝罪の言葉と共に水平に描かれた三日月が二人の狂人の首をはねる。
かろうじて振り返っていた一方の狂人の瞳には、槍を振り切ったベアトリスの姿が映っていた。
対し、もう一人の方は感じ取っていた。
あなた達をもとに戻す余裕が無い、ゆえの謝罪の念を。
その思いに対し、かろうじて残っていた人間性は意思を取り戻した。
こういう時、言うべき言葉があったはずだ、そう思った。
しかしその言葉が沸き上がるよりも早く、意思は霧散し、闇のような無と化した。
その無を感じ取ったベアトリスは二人から視線を外し、周囲を見回す。
どこも劣勢だった。まともに動けている人間が少ない。
そしてそれはサイラスの方も同じであった。
指揮官であるサイラスが最前に立って敵を食い止めている有様であった。
足を止めずに敵から敵へ、長剣を振り続けている。
一人、二人、そして三人と、駆け抜けながら撫で切る。
が、直後にサイラスは足を止めて振り返った。
(一人浅い!)
思った通り、最初に斬った一人目も振り返って反撃の態勢に入ろうとしていた。
ゆえにサイラスは心の中で叫んだ。
(止めろ!)
その声に応じ、近くにいたサイラスの精霊が一気に集まってきた。
色の無い炎のような、陽炎のような衣を纏った骸骨の精霊。
まさに死神といった見た目の三体の精霊が同時に狂人に襲い掛かる。
これに対し、狂人は頭から大量の蛇を生やして迎え撃った。
死神は恐れもせずに蛇だらけの狂人の頭にしがみつく。
蛇に牙を突き立てられながらも狂人の頭に指先を突き刺し、制圧しようとする。
が、
(やはり硬い!)
三体がかりでも抵抗されている、それをサイラスは感じ取った。
だからサイラスは長剣を構えながら踏みこもうとした。
瞬間、
「っ!」
上空からの大物の接近を感じ取ったサイラスは後方に地を蹴った。
跳び下がったサイラスの眼前を、ドラゴンのブレスがなぎ払っていく。
光魔法と攻撃的な虫が混ざったブレスに狂人が巻き込まれる。
虫の群れがサイラスの精霊を食い荒らしながら吹き散らし、光の粒子が炸裂音と共に狂人の体をズタズタにする。
「くそっ!」
サイラスは悪態を吐きながらドラゴンを見上げた。
ドラゴンはサイラスに対して固執せず、そのまま上空を通過していったからだ。
対空手段が乏しい己の弱さに対しての悪態。
対空迎撃はアルフレッドとデュラン達が展開している精霊の役目。しかしその数が足りないことに対してのいらだち。
その両方を込めた悪態を吐き捨てたあと、サイラスはルイスがいる部隊のほうに視線を向けた。
すぐにルイスと連絡を取り合わなくてはならない、サイラスはそう感じていた。
そのための使いの死神を何度も送っている。
しかし返事が来ない。すべて撃墜されている可能性が高い。
このままだと左右の両翼が壊滅するのは時間に問題。
すぐにでも何か手を打たなくてはならない! サイラスはそんな思いを強く響かせた。
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