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最終章 そして戦士達は人類の未来のための戦いに挑む
第二十四話 神殺し、再び(13)
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精霊だけが変わらずに戦闘力を維持している。
ゆえに、精霊の数が多い中央はまだ守れている。
だが、左右の森は違った。
既に生身の敵に接近され、白兵戦の状況になっていた。
いや、それは戦闘と呼べる状況では無かった。
まともな抵抗はできていなかった。
ゆえに、
「ぐぁっ?!」
これまでに無い奇妙な攻撃でも通ってしまっていた。
それは噛みつき。
狂人が兵士に抱き突き、首筋に牙を突き立てる。
しかし頸動脈を狙ったものでは無い。致命傷を与えようとしていない。
どういう意味がある行為なのか?
その答えは噛まれている兵士の脳内から響いた。
(何かが……首から頭に……っ!)
何かが流し込まれていた。
そしてそれだけでは無かった。
感知能力者にはそれが見えていた。
噛みついている狂人の髪の毛が一斉に逆立った、一瞬そう見えた。
しかし違った。
髪の毛が立ったのでは無く、細い触手のような異形が大量に生えたのだ。
異形の造形は蛇によく似ていた。先端には口のようなものがあった。
ゆえに、その見た目はメデューサと呼ばれる神話の怪物によく似ていた。
そして、蛇は身をしならせながらその口を大きく開き、
「っ!」
一斉に兵士の頭に噛みついた。
兵士はもがくが、狂人の腕の力は異常。
兵士の頭の中が違うもので満たされていく。
その感覚と恐怖が頂点に達しかけた直前、一発の銃声が響き、狂人の頭は撃ち抜かれた。
「おい、大丈夫か!」
窮地を救った銃兵が兵士に駆け寄る。
兵士はひざを突いたが、すぐに立ち上がって答えた。
「ああ、大丈夫だ。助かった!」
その答えの力強さに安心した銃兵は兵士から目を離し、周囲の状況を見回しながら口を開いた。
「走れるか?」
後退の指示はまだ出てないが、ここは一旦下がるべきだ、銃兵はそう思っていた。
が、
「っ?!」
突如、銃兵の腹に鋭く熱い感覚が走った。
見ると、銃兵の腹は剣に刺されていた。
刺したのは兵士。
なぜ? 苦痛で喋れない銃兵はそんな視線を兵士に向けた。
兵士も同じ目をしていた。
わけがわからない、そんな表情で兵士は口を開いた。
「え? あれ? なんで? おれ、一体どうして? 頭いたい。おれ、どうなって?」
言い訳のような戸惑いの言葉を吐いているうちに、目の前の銃兵が腹をおさえて崩れ落ちる。
彼は命の恩人、そんな意識が兵士の心にはまだ残っていた。
「すまない! すぐに止血を――」
が、その言葉とはまったく異なることを兵士は始めた。
兵士は口から蛇を垂れ伸ばし、それを銃兵の口にねじこんだ。
「……っ!!」
銃兵は抵抗したが、兵士の力は異常に強くなっていた。
明らかに人間の限界を超えた筋力。
ぶちぶちと、筋線維がちぎれる音が腕から響いている。
しかし兵士の筋力が残っているうちにそのおぞましい作業は終わってしまった。
そして兵士は確認のために声をかけた。
「ウゴケルカ?」
声をかけられた銃兵は何事も無かったかのように立ち上がった。
立ち上がった拍子に裂け目から臓物がはみだす。
しかし銃兵は気にもとめず、答えた。
「アア。シバラクハタタカエル」
そして銃兵は手当もせず、臓物をぶらさげたまま兵士と共に次の獲物に向かって走り出した。
ゆえに、精霊の数が多い中央はまだ守れている。
だが、左右の森は違った。
既に生身の敵に接近され、白兵戦の状況になっていた。
いや、それは戦闘と呼べる状況では無かった。
まともな抵抗はできていなかった。
ゆえに、
「ぐぁっ?!」
これまでに無い奇妙な攻撃でも通ってしまっていた。
それは噛みつき。
狂人が兵士に抱き突き、首筋に牙を突き立てる。
しかし頸動脈を狙ったものでは無い。致命傷を与えようとしていない。
どういう意味がある行為なのか?
その答えは噛まれている兵士の脳内から響いた。
(何かが……首から頭に……っ!)
何かが流し込まれていた。
そしてそれだけでは無かった。
感知能力者にはそれが見えていた。
噛みついている狂人の髪の毛が一斉に逆立った、一瞬そう見えた。
しかし違った。
髪の毛が立ったのでは無く、細い触手のような異形が大量に生えたのだ。
異形の造形は蛇によく似ていた。先端には口のようなものがあった。
ゆえに、その見た目はメデューサと呼ばれる神話の怪物によく似ていた。
そして、蛇は身をしならせながらその口を大きく開き、
「っ!」
一斉に兵士の頭に噛みついた。
兵士はもがくが、狂人の腕の力は異常。
兵士の頭の中が違うもので満たされていく。
その感覚と恐怖が頂点に達しかけた直前、一発の銃声が響き、狂人の頭は撃ち抜かれた。
「おい、大丈夫か!」
窮地を救った銃兵が兵士に駆け寄る。
兵士はひざを突いたが、すぐに立ち上がって答えた。
「ああ、大丈夫だ。助かった!」
その答えの力強さに安心した銃兵は兵士から目を離し、周囲の状況を見回しながら口を開いた。
「走れるか?」
後退の指示はまだ出てないが、ここは一旦下がるべきだ、銃兵はそう思っていた。
が、
「っ?!」
突如、銃兵の腹に鋭く熱い感覚が走った。
見ると、銃兵の腹は剣に刺されていた。
刺したのは兵士。
なぜ? 苦痛で喋れない銃兵はそんな視線を兵士に向けた。
兵士も同じ目をしていた。
わけがわからない、そんな表情で兵士は口を開いた。
「え? あれ? なんで? おれ、一体どうして? 頭いたい。おれ、どうなって?」
言い訳のような戸惑いの言葉を吐いているうちに、目の前の銃兵が腹をおさえて崩れ落ちる。
彼は命の恩人、そんな意識が兵士の心にはまだ残っていた。
「すまない! すぐに止血を――」
が、その言葉とはまったく異なることを兵士は始めた。
兵士は口から蛇を垂れ伸ばし、それを銃兵の口にねじこんだ。
「……っ!!」
銃兵は抵抗したが、兵士の力は異常に強くなっていた。
明らかに人間の限界を超えた筋力。
ぶちぶちと、筋線維がちぎれる音が腕から響いている。
しかし兵士の筋力が残っているうちにそのおぞましい作業は終わってしまった。
そして兵士は確認のために声をかけた。
「ウゴケルカ?」
声をかけられた銃兵は何事も無かったかのように立ち上がった。
立ち上がった拍子に裂け目から臓物がはみだす。
しかし銃兵は気にもとめず、答えた。
「アア。シバラクハタタカエル」
そして銃兵は手当もせず、臓物をぶらさげたまま兵士と共に次の獲物に向かって走り出した。
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