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悪ガキと噂と植物人間
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「おい、起きろ」
どこか遠くで、ぶっきらぼうな声が聞こえた。男の人のものだ。私の寝室近くでこんな声が聞こえるなんて珍しい。そう思いながら、もぞもぞと体勢を変える。
「……ネリス?」
名前を呼ばれた気がするけれど、眠気には勝てない。ぼんやりとした意識の海の中で、とりとめないことばかり考える。
そもそも、ネリス、なんて名前を呼ぶのは誰なんだろう。いつも起こしてくれる侍女頭のエレンはネリー様って呼んでくれるし、まさかお兄様は私のことなんて起こしに来るわけないし。
「起きろ。まったく、随分と寝汚い……」
随分な言われようだけど、本当に誰だろう。
薄目を開けて、その声の主を確認した途端、昨日一昨日の記憶が一気に自己主張を始めた。
「……どうして」
「聞きたいことがある。扉の外で待っててやるからすぐに着替えろ。時間が経ったら遠慮なく入るからな」
言いたいことだけまくしたてると、声の主――ヴァルはさっさと部屋を出て行った。
何が何やら訳が分からないまま、机の上に畳まれた服を手に取る。モーリィが用意してくれたらしい服は、昨日着たものと似た感じだった。これならば一人でも着られるだろう。着替え途中で入られてはたまらないから、慌てて広げると、小さな封筒が舞い落ちた。とにかく着替えを済ませてから、その封筒を拾い上げる。封筒の表には「ネリス様へ」とお世辞にもきれいではない文字が書かれていた。裏を確認すれば、同じ筆致でシオンの名前が書かれている。少し逡巡して、昨晩の件なら、ヴァルに見られると面倒だと、腰に巻いた帯の中に封筒ごと突っ込んだ。
「まだか?」
扉の向こうから響く不機嫌な声に、私は「もう出るわ」と返事をした。布でできたぺたんこの靴を履き、急いで扉を開けると、ものすごく不機嫌な顔をしたヴァルが立っていた。
「いったい何なの? わざわざ起こしに来るなんて……」
「ちょっとした問題が起きた。行くぞ」
有無を言わせぬ雰囲気に、私は寝起きでうまく思考が働かないままの状態で、大人しくついていく。もしかしたら、それもヴァルの狙いだったのかもしれない、と後で思った。
「ねぇ、どこに向かっているの?」
「西の三階だ」
ヴァルの答えに、彼の言う「ちょっとした問題」が何なのか、予想がついた。でも、シラを切るためには、もう少し話を続けた方がいいかもしれない。
「何のために?」
「……行ってみれば分かる」
取り付く島もないとはこのことだ。十中八九、枯れかけていた蔦が青々と茂っていることに関してだろうけど。
無言で歩きながら、私はそっと腰に手をやった。ほとんど痛みはない。いつまでも怪我人ではいられないと、昨晩、しっかり治しておいて正解だった。
「入れ」
予想通り、一番奥の部屋へ到着したヴァルは、私に扉を開けるように促す。
「うわぁ……」
私は感嘆の声を洩らした。演技ではない。陽のある時間に改めて見る鮮やかな緑に、自然と声が出てしまったのだ。
演技はこれからだ。とりあえずヴァルの方を振り向いて先手を打ってみることにする。
「これはどうしたの? 水をたくさんあげたの?」
「いや、何もしていない。――――お前も何もしていないんだな?」
「何言ってるの? そんなことできるわけがないじゃない。……でも、昨日話していたのは、これだったのね」
「昨日?」
「シオンが落ちた理由よ。緑色に光っていたから、屋上から下りて覗こうとして、あの状況になってしまったそうよ」
そのシオンからの手紙の内容が気になるけれど、私は「久しぶりの緑ね」と無邪気に葉を撫でておく。
「昨日の……そういえば、もう痛まないのか?」
「ここまで歩かせておいて、それを言うの?」
半ば本気で呆れながら、私はヴァルを背に窓辺へ近づく。別に何かを考えてのことではないけれど、外の風景の中に不思議なものを見つけた。
「あれは何? 煙突?」
東の棟の屋上に、小さく突出している何かが見えた。煙突にしては随分と細いようにも見える。
「あぁ、あれか……」
ヴァルは何故か皮肉な笑いを浮かべた。
「そうだな。こういう過酷な場所には欠かせない、生贄を捧げる場所さ」
物騒な単語に、私がその真意を問おうとしたとき、遠慮がちなノックの音が響いた。
「ヴァル様、ここにいらっしゃいますか?」
聞き覚えのある髭の――ロングウェイの声だ。
「ジィグ殿が参っております。第三広間でお待たせしていますが、いかがいたしますか?」
「分かった。すぐに行く。――――と、オレは行かなきゃなんねぇが、本当にお前は何も知らないんだな?」
まだ勘ぐってくるヴァルの言葉に、私はこくりと頷いた。ヴァルの目が「そういうことにしといてやる」と語っているようで怖い。考え過ぎかもしれないけれど。
「……行っちゃった」
どうやら、この部屋では色々な邪魔が入るらしい。以前にここへ来たときも、ロングウェイが呼びに来たし、もしかしたら意図的なのかもしれない。あまりここに入り浸らないように、ロングウェイも心配しているのだろう。
せっかく一人になったので、私は腰帯から封筒を取り出して読むことにした。おそらくモーリィの仕事を手伝うふりをして、シオンがわざわざ手紙を書いて寄越したのだ。よほど伝えたいことがあるに違いない。
――――いきなりの手紙でごめんなさい。ぼくはネリス様の噂を聞いたことがあります。そのとき、ぼくは、なんて馬鹿な噂だろうと思いました。けど、昨日の夜、もしかしたらと思いました。
もしかしたら、ネリス様なら何とかしてくれるかもしれないので、打ち明けることにします。これは、ザイルやヨークにも話していないことです。
昨日、王妃様の話題が出ましたよね。実は、王妃様が王様に抱き上げられて、王様の部屋から出てくるのを見たんです。ぼくの兄が。兄はこっそりぼくに打ち明けてくれました。それで、このことを話していいのかわからないですけど、ぼくの推測を離します。全然間違っていたらごめんなさい。
今、ぼくたちは屋上でよく遊んでます。ネリス様のいる東棟からは見えないと思いますが、東棟の屋上には煙突みたいなのがあります。でも、煙が出るわけじゃないし、煙突の内側はつるんとしてて擦ると鏡みたいにキラキラ光るんです。何のためのものなのか、全然分かりません。でも、王様の部屋の近くにあるものなので、もしかしたら、何か特別なものなのかもしれなくて。
王妃様が倒れたのは、本当は西棟じゃなくて王様の部屋で、王様の部屋の近くにある謎の煙突。この2つが関係あるかも、なんて考え過ぎかもしれないけど、ひょっとすると、って思ってネリス様にお知らせしようと思いました。
とりとめのない話でごめんなさい。でも、兄が見てしまったことを罰せられてしまいたくないので、ザイルとヨークにも内緒にしておいてください。お願いします。
子どもらしい、まとまりのない手紙を読み終わった私は、長い長いため息をついた。
(シオン……マジ天使!)
情報源がキャズだけ、しかも一日の大半を苦しみに喘いで会話もままならない状態……なんてことになっているので、シオンのこの情報は本当にありがたい。これは重要なヒントだ。
(ただ、問題は、どれが王の部屋か分からないってことよね)
幸いなことに、ヴァルは「この部屋を出るな」なんてことは言ってない。それなら、自由に動いたって咎められる筋合いはない! ……まぁ、怒られそうだけど。
とりあえず、「煙突」のある東棟に向かってみようと歩き出した。誰かに遭遇しても怪しまれないように、堂々と歩く。
「おや、ネリス様。どちらへ?」
間の悪いことに、髭の老人に声を掛けられてしまった。
「あら、えぇと、ロングウェイさん? 部屋に戻って休もうと思っていたのですけれど……何か?」
初対面の悪印象が抜けずに、つい声に棘を含ませてしまう。東棟に向かっているのは間違いないのだから、この対応でいいはず……なんだけど。
「そうでしたか。しかし、お食事はいかがいたしますか?」
「そうね、部屋で頂いてもいいかしら?」
「はい、では、そのように。……先程は邪魔をして申し訳ありませんでした」
「いえ、いいの。ありがとう。無理を言ってごめんなさいね」
問題もなくロングウェイと別れてから数歩、私はその場に崩れ落ちそうになった。
(邪魔を……邪魔を……って!)
もしかして、二人きりでいるのを邪魔したことで、不機嫌になってると思われた? そう思われたの!?
(そんな仲じゃないのに……)
どこか遠くで、ぶっきらぼうな声が聞こえた。男の人のものだ。私の寝室近くでこんな声が聞こえるなんて珍しい。そう思いながら、もぞもぞと体勢を変える。
「……ネリス?」
名前を呼ばれた気がするけれど、眠気には勝てない。ぼんやりとした意識の海の中で、とりとめないことばかり考える。
そもそも、ネリス、なんて名前を呼ぶのは誰なんだろう。いつも起こしてくれる侍女頭のエレンはネリー様って呼んでくれるし、まさかお兄様は私のことなんて起こしに来るわけないし。
「起きろ。まったく、随分と寝汚い……」
随分な言われようだけど、本当に誰だろう。
薄目を開けて、その声の主を確認した途端、昨日一昨日の記憶が一気に自己主張を始めた。
「……どうして」
「聞きたいことがある。扉の外で待っててやるからすぐに着替えろ。時間が経ったら遠慮なく入るからな」
言いたいことだけまくしたてると、声の主――ヴァルはさっさと部屋を出て行った。
何が何やら訳が分からないまま、机の上に畳まれた服を手に取る。モーリィが用意してくれたらしい服は、昨日着たものと似た感じだった。これならば一人でも着られるだろう。着替え途中で入られてはたまらないから、慌てて広げると、小さな封筒が舞い落ちた。とにかく着替えを済ませてから、その封筒を拾い上げる。封筒の表には「ネリス様へ」とお世辞にもきれいではない文字が書かれていた。裏を確認すれば、同じ筆致でシオンの名前が書かれている。少し逡巡して、昨晩の件なら、ヴァルに見られると面倒だと、腰に巻いた帯の中に封筒ごと突っ込んだ。
「まだか?」
扉の向こうから響く不機嫌な声に、私は「もう出るわ」と返事をした。布でできたぺたんこの靴を履き、急いで扉を開けると、ものすごく不機嫌な顔をしたヴァルが立っていた。
「いったい何なの? わざわざ起こしに来るなんて……」
「ちょっとした問題が起きた。行くぞ」
有無を言わせぬ雰囲気に、私は寝起きでうまく思考が働かないままの状態で、大人しくついていく。もしかしたら、それもヴァルの狙いだったのかもしれない、と後で思った。
「ねぇ、どこに向かっているの?」
「西の三階だ」
ヴァルの答えに、彼の言う「ちょっとした問題」が何なのか、予想がついた。でも、シラを切るためには、もう少し話を続けた方がいいかもしれない。
「何のために?」
「……行ってみれば分かる」
取り付く島もないとはこのことだ。十中八九、枯れかけていた蔦が青々と茂っていることに関してだろうけど。
無言で歩きながら、私はそっと腰に手をやった。ほとんど痛みはない。いつまでも怪我人ではいられないと、昨晩、しっかり治しておいて正解だった。
「入れ」
予想通り、一番奥の部屋へ到着したヴァルは、私に扉を開けるように促す。
「うわぁ……」
私は感嘆の声を洩らした。演技ではない。陽のある時間に改めて見る鮮やかな緑に、自然と声が出てしまったのだ。
演技はこれからだ。とりあえずヴァルの方を振り向いて先手を打ってみることにする。
「これはどうしたの? 水をたくさんあげたの?」
「いや、何もしていない。――――お前も何もしていないんだな?」
「何言ってるの? そんなことできるわけがないじゃない。……でも、昨日話していたのは、これだったのね」
「昨日?」
「シオンが落ちた理由よ。緑色に光っていたから、屋上から下りて覗こうとして、あの状況になってしまったそうよ」
そのシオンからの手紙の内容が気になるけれど、私は「久しぶりの緑ね」と無邪気に葉を撫でておく。
「昨日の……そういえば、もう痛まないのか?」
「ここまで歩かせておいて、それを言うの?」
半ば本気で呆れながら、私はヴァルを背に窓辺へ近づく。別に何かを考えてのことではないけれど、外の風景の中に不思議なものを見つけた。
「あれは何? 煙突?」
東の棟の屋上に、小さく突出している何かが見えた。煙突にしては随分と細いようにも見える。
「あぁ、あれか……」
ヴァルは何故か皮肉な笑いを浮かべた。
「そうだな。こういう過酷な場所には欠かせない、生贄を捧げる場所さ」
物騒な単語に、私がその真意を問おうとしたとき、遠慮がちなノックの音が響いた。
「ヴァル様、ここにいらっしゃいますか?」
聞き覚えのある髭の――ロングウェイの声だ。
「ジィグ殿が参っております。第三広間でお待たせしていますが、いかがいたしますか?」
「分かった。すぐに行く。――――と、オレは行かなきゃなんねぇが、本当にお前は何も知らないんだな?」
まだ勘ぐってくるヴァルの言葉に、私はこくりと頷いた。ヴァルの目が「そういうことにしといてやる」と語っているようで怖い。考え過ぎかもしれないけれど。
「……行っちゃった」
どうやら、この部屋では色々な邪魔が入るらしい。以前にここへ来たときも、ロングウェイが呼びに来たし、もしかしたら意図的なのかもしれない。あまりここに入り浸らないように、ロングウェイも心配しているのだろう。
せっかく一人になったので、私は腰帯から封筒を取り出して読むことにした。おそらくモーリィの仕事を手伝うふりをして、シオンがわざわざ手紙を書いて寄越したのだ。よほど伝えたいことがあるに違いない。
――――いきなりの手紙でごめんなさい。ぼくはネリス様の噂を聞いたことがあります。そのとき、ぼくは、なんて馬鹿な噂だろうと思いました。けど、昨日の夜、もしかしたらと思いました。
もしかしたら、ネリス様なら何とかしてくれるかもしれないので、打ち明けることにします。これは、ザイルやヨークにも話していないことです。
昨日、王妃様の話題が出ましたよね。実は、王妃様が王様に抱き上げられて、王様の部屋から出てくるのを見たんです。ぼくの兄が。兄はこっそりぼくに打ち明けてくれました。それで、このことを話していいのかわからないですけど、ぼくの推測を離します。全然間違っていたらごめんなさい。
今、ぼくたちは屋上でよく遊んでます。ネリス様のいる東棟からは見えないと思いますが、東棟の屋上には煙突みたいなのがあります。でも、煙が出るわけじゃないし、煙突の内側はつるんとしてて擦ると鏡みたいにキラキラ光るんです。何のためのものなのか、全然分かりません。でも、王様の部屋の近くにあるものなので、もしかしたら、何か特別なものなのかもしれなくて。
王妃様が倒れたのは、本当は西棟じゃなくて王様の部屋で、王様の部屋の近くにある謎の煙突。この2つが関係あるかも、なんて考え過ぎかもしれないけど、ひょっとすると、って思ってネリス様にお知らせしようと思いました。
とりとめのない話でごめんなさい。でも、兄が見てしまったことを罰せられてしまいたくないので、ザイルとヨークにも内緒にしておいてください。お願いします。
子どもらしい、まとまりのない手紙を読み終わった私は、長い長いため息をついた。
(シオン……マジ天使!)
情報源がキャズだけ、しかも一日の大半を苦しみに喘いで会話もままならない状態……なんてことになっているので、シオンのこの情報は本当にありがたい。これは重要なヒントだ。
(ただ、問題は、どれが王の部屋か分からないってことよね)
幸いなことに、ヴァルは「この部屋を出るな」なんてことは言ってない。それなら、自由に動いたって咎められる筋合いはない! ……まぁ、怒られそうだけど。
とりあえず、「煙突」のある東棟に向かってみようと歩き出した。誰かに遭遇しても怪しまれないように、堂々と歩く。
「おや、ネリス様。どちらへ?」
間の悪いことに、髭の老人に声を掛けられてしまった。
「あら、えぇと、ロングウェイさん? 部屋に戻って休もうと思っていたのですけれど……何か?」
初対面の悪印象が抜けずに、つい声に棘を含ませてしまう。東棟に向かっているのは間違いないのだから、この対応でいいはず……なんだけど。
「そうでしたか。しかし、お食事はいかがいたしますか?」
「そうね、部屋で頂いてもいいかしら?」
「はい、では、そのように。……先程は邪魔をして申し訳ありませんでした」
「いえ、いいの。ありがとう。無理を言ってごめんなさいね」
問題もなくロングウェイと別れてから数歩、私はその場に崩れ落ちそうになった。
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