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ルカ・シャーリー

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「ロベロン王国第1王女スカーレット・ロベロン殿、もう1度誰が誰との真実の愛に目覚めたか言ってもらっても良いだろうか?」

 興奮気味で周囲の状況が全くもって見えていないスカーレットは気づかない。
 目の前に佇む美女こそが、自らが真実の愛に目覚めた相手であることも、周囲の貴族が『やめてくれ!!』と言わんばかりに、首を全力で、もげそうなぐらいに激しく横に振り続けていることも。

「えぇ!何度でもおっしゃって差し上げますわ、愚鈍さん。わたくし、スカーレット・ロベロンは、麗しの騎士ルカ・シャーリーさまと真実の愛に目覚めましたわ!!」

 溺愛・熱愛されていると有名なご令嬢に、真実の愛を目覚めさせてしまったという繰り返されてしまったスカーレットの言葉に、貴族たちは膝から崩れ落ちた。

「ふーん、そっか。ねえ、シャーリー。こいつずーっと変なこと言ってるけど、君、俺という存在がありながら、こんなバカと真実の愛に目覚めたわけ?」

 全ての空気が凍りそうなぐらいに冷たい空気を纏うライノルト・グレンに、シャーリーは微笑む。

「何のご冗談を。私がこんな阿婆擦れを好きになる?バカも休み休みに言ってくださいまし、グレン」
「あはっ、そうだよね?」

 にっこりと微笑み、冷たい表情をスカーレットへと向けたグレンは、ででーんっ、とご自慢の大きな胸を張っている彼女へと冷徹な裁きを落とす。

「スカーレット殿。我が国は貴殿に抗議をさせてもらおう」
「は?」

 グレンの言葉に怪訝そうな顔をしたスカーレットは、不機嫌な声を上げた。

「まず初めに、我が婚約者ルカ・シャーリーに横恋慕した件について。
 2つ目に、隣国である我がライノルト帝国の皇太子たる私を“愚鈍”と呼んだ件について。
 そして最後に、先程から我らに向けて殺気を放っている件についてだ」

 1つ1つ指を立てながら丁寧に言ったグレンに対して、スカーレットは眉を顰めた。

「何を言っているのか、全くもってわかりませんわ。そもそも、あなた男色ですの?後継ぎを残さなければならぬ身で男同士で婚姻を結ぶなど、万死に値いたしますわ」
「………君、馬鹿を通り越して阿呆だね」

 グレンが顎を前に出した瞬間、グレンの隣に佇んでいた銀髪の美女がゆっくりと前に歩み出る。

「………昨日ぶりですね、スカーレット殿下」

 凛と澄み切っている声に、スカーレットの表情が華やぐ。

「そのお声、ルカさまですわね!!」

 きらきらと表情を輝かせたスカーレットに、ルカ・シャーリーは美しく微笑む。

「公の場では初めてお会いいたしますので、改めてご挨拶させていただきます」

 すっと右足を引き、重心をゆっくりと下げたシャーリーは薄いくちびるに芯の強い声を乗せる。

「ルカ・シャーリー、いいえ、こちら風ではシャーリー・ルカですね。ライノルト帝国伯爵家が長女シャーリー・ルカと申します」

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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