婚約破棄が始まりの鐘でしたのよ?

水鳥楓椛

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 4年ぶりに城下へと繰り出した2人は、そこで信じられないものを見た。曾て栄華を誇っていた城下は、たった4年の間に、見るに耐えない姿へと変貌を遂げていた。
 死にゆく子供達。子供達の生活費を稼ぐために、身を粉にして働く大人たち。老人の遺体が街にごろごろ転がっている。
 絶対に国を奪うという覚悟が大きくなった瞬間だった。

 参加する夜会では、毎度毎度貴族が平民から巻き上げた食材とお金で、豪華絢爛な生活を楽しんでいた。吐き気がした。

 オリヴィアとアレクは現状を理解している貴族としていない貴族を幾重にも篩にかけ、そして、『生き残らせる貴族』と『殺す貴族』とに分けた。

 作戦の決行日は一切揉めなかった。
 2人の中で、すでに決定事項であったからだ。

「………ここにいる貴族たちには、無償で炭鉱にて働いていただきます。衣食住は最低限用意しますが、まともな生活はできないと思っておいてください」

 オリヴィアは絶対に殺さない。
 死は、逃げだから。
 絶対に逃さない。

 ぎゅっと拳を握り込んだオリヴィアに、アレクは少し苦しそうな顔をする。

「………リヴィア、衛兵を」
「………………そうですわね」

 オリヴィアは自分たちの味方である衛兵を呼び寄せ、全ての受刑者を片付けるように命じた。彼らが送られるは、最北にある鉱山。最近見つかったばかりの、ダイヤモンドが発掘できるとても危険な地だ。
 ダイヤモンドがあれば、この地を再び反映させることができるかもしれないという不確かな希望に縋っているオリヴィアは、今にも泣きそうな顔でアレクを見上げる。
 すっかり誰もいなくなったダンスホールは、無惨に砕け散った食器や床に落とされてしまった贅沢を尽くした食事たち、そして抵抗の際に飛び散った少しの血痕が息を呑んでいる。

「………あの石は、本当にこの国を救ってくれるのかしら」

 独白にも近い小さな声を、アレクは決して聞き逃さない。
 不安に押しつぶされ、今にも儚くなってしまいそうなオリヴィアが空へと飛び立っていかないように、アレクはそっと、けれど、力強くオリヴィアを抱きしめる。

「願うしかない。もう、我が国にはこの道しか残っていないのだから」

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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