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1章 幸せの花園

20 散髪 (2)

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 机の上にある服を手に取ったノアは、ぎゅっと身構え続けているティアラに水色のワンピースを渡した。

「目分量で大きめに縫い上げています。問題はないかと思いますが、使用していて違和感のある場所等があったら教えてください」

 呆然とノアから受け取った服を握りしめていたティアラはやがげ、震える手でワンピースを広げてから、くちびるを戦慄かせ、やがてアクアマリンの瞳からぼろぼろと涙をこぼした。

「これ………!!」
「僕に縫えるのはこのレベルまでだから、あまり複雑なデザインじゃなくて悪いのですが、その白いワンピースよりはマシかと」

 困ったように笑ったノアに、ティアラはただただ首を横に振りながら泣き続ける。

「おかー、さまが………作ってくれたお洋服にっ、にて、います………っ、」
「———、そうですか」

 ノアの作ったワンピースは、ノアが叔父による国家反逆により王宮を追放された時期に王宮にて流行っていたデザインのドレスを模して作ったものだ。
 つまり、

 ———ティアラはその頃はまだ王都で裕福な暮らしをしていたということか。

 旧王家への恨みつらみがあるのならばもっと古い時期に王都を追われていると思ったが、それは間違いであったらしい。

 にこっとティアラに優しく笑いかけたノアだが、実のところノアの瞳の奥底は彼女と出会った頃から1度として笑っていない。

 ———魔女さまは妙なところで敏感だから、気づいているだろうな………。まあでも、僕に何かしらを言ってこないということは、この件は僕預かりということ。自由にさせてもらおうじゃないか。

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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