70 / 167
1章 幸せの花園
20 散髪 (3)
しおりを挟む
いつのまにかノアの作ったワンピースに身を包んだティアラは、ひょいっとノアの顔をのぞいてきていた。
「似合っています、か?」
「えぇ、よくお似合いです。お髪を整えましょうか?」
ノアの言葉に一瞬キョトンとしたティアラは、けれど次の瞬間自らの無惨に切り裂かれた金髪を撫でて頷いた。
「よろしくお願いします、ノア」
「はい、ティアラ」
部屋の奥から鋏と布、そして青いリボンを取ってきたノアは、彼女を椅子に座らせてから彼女に布を巻く。
「髪型のご希望はありますか?」
「う~ん、前髪邪魔」
「じゃあ、短めに揃えておきますね」
のんびりとした、けれどはっきりと言ったノアはしゃきんしゃきんとティアラの美しいプラチナブロンドに鋏を入れていく。できるだけ長く残せるように気を配りながら、少しずつ少しずつ切り揃えて、すいてを繰り返す。
「———できました」
「っぅわぁ!!」
ぱちっと瞳を変えたティアラが、心底嬉しそうな声を上げるのを聞きながら、ノアはほっと吐息をこぼす。
「よくお似合いです」
「ありがとうございます!」
肩上ぎりぎりのところで真っ直ぐと揃えられた後ろ髪に、眉の下で7対3に分けられた前髪、そしてカチューシャにするように頭にリボンを巻きつけたティアラは、まるで本物のお姫さまみたいだった。
「ふふっ、ノアはなんでもできるのですね」
「………いいえ、ここに来るまで僕はたくさんの時間を必要としましたよ」
苦笑したノアは、ふっと遠い瞳をする。
「僕は、天才なんかじゃない。秀才です」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
「似合っています、か?」
「えぇ、よくお似合いです。お髪を整えましょうか?」
ノアの言葉に一瞬キョトンとしたティアラは、けれど次の瞬間自らの無惨に切り裂かれた金髪を撫でて頷いた。
「よろしくお願いします、ノア」
「はい、ティアラ」
部屋の奥から鋏と布、そして青いリボンを取ってきたノアは、彼女を椅子に座らせてから彼女に布を巻く。
「髪型のご希望はありますか?」
「う~ん、前髪邪魔」
「じゃあ、短めに揃えておきますね」
のんびりとした、けれどはっきりと言ったノアはしゃきんしゃきんとティアラの美しいプラチナブロンドに鋏を入れていく。できるだけ長く残せるように気を配りながら、少しずつ少しずつ切り揃えて、すいてを繰り返す。
「———できました」
「っぅわぁ!!」
ぱちっと瞳を変えたティアラが、心底嬉しそうな声を上げるのを聞きながら、ノアはほっと吐息をこぼす。
「よくお似合いです」
「ありがとうございます!」
肩上ぎりぎりのところで真っ直ぐと揃えられた後ろ髪に、眉の下で7対3に分けられた前髪、そしてカチューシャにするように頭にリボンを巻きつけたティアラは、まるで本物のお姫さまみたいだった。
「ふふっ、ノアはなんでもできるのですね」
「………いいえ、ここに来るまで僕はたくさんの時間を必要としましたよ」
苦笑したノアは、ふっと遠い瞳をする。
「僕は、天才なんかじゃない。秀才です」
*************************
読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる