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1章 幸せの花園

36 漆黒の復讐、黄金の裁き (2)

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「まあぁ、簡単にまとめるとぉ、あそこに迷い込んだ子は女の子でぇ、多分魔女ぉ」
「魔女、ですか?」
「そうだよぉ~。魔女ぉ~」

 顎に指を当てたノアは、ジィっと考え込みながら走る。
 ここ1年で森の外の情勢から完全に隔絶されてしまったノアには、いまいち状況が腑に落ちない部分がある。

 ———魔女は基本群れないはずなのに、なぜ《永遠の魔女》の元違う魔女が訪れてくるんだ?しかも、魔女曰くまだ親に保護されていなくてはならない年頃の娘。なんだかきな臭い匂いがする。

「っ、」

 一瞬鼻腔をくすぐった焦げ臭い匂いに、ノアは小さく顔を顰めた。

「魔女さま」
「………おばかちゃんが森に火を放ったようだねぇ」

 くるんと人差し指で空中に円を描いた魔女の指先から、澄んだ水が生まれる。

「さぁ~て、さっさと消火しなくちゃねぇ」

 天空へと打ち上げられた水の塊が空の上で大きく爆ぜる。
 瞬間、森の中に大粒の雨がとめどなく降り始めた、僅かに感じる魔力にすうっと瞳を細めたノアは、瞬間、若葉色の瞳を大きく見開いた。

「あらあらぁ、ちゃぁーんと気づけたのねぇ。良い子良い子ぉ」

 ふわふわと頭を撫でられる。

『うがあああああぁぁぁぁ!!』

 遠くで発せられた絶叫が耳を貫き、ノアは俯いた。

 ———最高位闇魔法《復讐》
 故意的な敵対心を持って悪さを行った人間に苦痛を与える魔法。
 総じて難易度が高いとされている闇魔法の中でも最高位に難しいとされているこの魔法は、魔女が激減している現在、永遠の魔女のみが使用できる魔法である。

 遠くに漆黒の雨が降り頻る場所が見える。
 おそらく、そこに敵は潜んでいるのだろう。
 気配は複数人、いずれも動きに練度が見られることから、並の人間ではないことが伝わってくる。

 ノアは魔女に促され、ノアは魔力を込めた腕を大きく掲げる。
 魔法の雨が降り頻る大空に現れるのは1本の黄金の光でできた大きな刃。

「———裁きジャッジメント」 

 振り下ろされた瞬間、鼻腔をくすぐったのは人体が焦げ付く不愉快な香り。

「上手になったわねぇ、ノア」
「………彼らの罪が大きかった、たったそれだけのことです」

 裁きジャッジメントは相手の罪の大きさによって、攻撃力の大きさが大きく変化する。先程の光は、ノアが今までに経験したことがないくらいに攻撃力が高かった。つまり、彼らはそれほどまでに深い深い罪を犯しているということだ。

「………彼らはどんな罪を犯してきていたのでしょうか」

 魔女はにいぃっと嗤う。

「顔も服もなぁんにも見ていないのにぃ、なんでわかると思うのぉ?」
「———、」

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読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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