完 馬鹿兄貴の尻拭いで悲しみに暮れた妖精姫に会いにいったら、愛犬にされた件について。

水鳥楓椛

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今、なんとおっしゃいました?

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「———今、なんとおっしゃいました?」

 父上と執務机を間にして対峙した俺、優しい金髪と焦茶色の瞳が犬っぽいと言われるチャーリー・ルティアスは笑顔でピシリと固まった。

「だから、バディーの馬鹿の行いのせいでで悲しみに暮れているという、フローラ・オパール公爵令嬢の心を落としてこいと言っているのだ」

 貫禄たっぷりな父上の厳かな言葉に、俺は頬が思いっきり引き攣ったのを感じた。

「———、………つまり、馬鹿兄貴の尻拭いをしてこいと?」
「あぁ」

 こともなげに頷いた父上に、笑顔も、穏やかな仮面もかなぐり捨てて、俺は、引き攣った顔面で思いっきり叫ぶ。

「んなもん、無理に決まってんだろーがッ!尻拭い?勘弁してくれや!!馬鹿兄貴の尻拭いはこれで何回めだよ!!つーか!娘を溺愛していると名高いオパール公爵のところに、悲しみに暮れる原因を作った馬鹿兄貴バディーの弟である俺が訪れた時点で、俺の人生バッドエンドの終焉だよ!ちょっとはものを考えてから話せや!こんのクッソ親父!!」

 思いっきり執務机を両手で叩いた俺は、腕の痺れも気にせず唾を散らして怒鳴り散ららした。

「大丈夫だ、チャーリー。お前ならできる!」
「出来ねーわッ!!」
「さあ勇者よ、永劫の旅に行ってくるのだ!!英雄譚はまだ始まったばかり!我が国1番の勇者たる我が愛息子チャーリーの健闘を、心から期待しておるぞ!!」
「いや、期待せんでいいわ!!」

 勢い良くツッコンだ俺の言葉は完璧に無視され、父上はさらに言葉を連ねる。

「さあデズモンドよ。我国の救世主、勇者チャーリーの出発だ。すぐに馬車を用意しろ!!」
「はっ!!」

 できる男デズモンドによって、馬車はあっという間に用意された。
 あれよあれよという間に馬車へと乗せられた俺は、あっという間にオパール公爵家へと連れ去られる。

「勘弁してくれやああああぁぁぁぁぁ!!」

 馬車に響く悲鳴は、王宮からオパール邸に向かうために過ぎ去る道へと、綺麗さっぱり放棄されていったらしい———。

*******************

見つけてくださり、そして読んでいただきありがとうございます🐈🐈🐈

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