夏の思ひ出

憂希

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観光

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海ちゃんに案内されたのは商店街だった。
近年地方などではシャッター街などと言われるところが増えているようだがこの町の商店街は賑わっていた。

歩く度に海ちゃんに声がかかり、町ぐるみで仲が良いようだった。
商店街の肉屋でメンチカツやコロッケを買い食いし、駄菓子屋になぜかある熱々のおでんを食べたりととても楽しくみてまわれた。

商店街を抜けると海があった。

海には海の家も出ており、食べ物だけでなく水着や浮き輪などが置いてあるお店もあった。

『お兄さん、泳げる?』

「泳げなくはないけど、もう中学生から海へ来たことがなかったからなぁ」

『そうなんだ…じゃあ泳ぐのはまたいつかで景色の良いところ案内してあげる』

そう言うと海ちゃんは堤防の上を歩き始めた。
20分は歩いただろうか、海岸から少し離れやわ崖のように岩がゴロゴロとしており、岩の上で釣りをしている人がみえる。

『お兄さん、あの上だよ!』

そう指差した方向に灯台がみえた。
間近で灯台をみるのは初めてだ。
坂道の上、崖の上にある白い灯。
近づいていくと思っていたのより小さく感じた。

『この灯台、中に入れて上まで登れるの。』

そう言って灯台の中へ入っていった。
中は螺旋階段のような造りになっており、階段を登るだけなのに目がまわるようだった。
一番上へ着くと、扉があり開くと強い風が入ってきた。
風が落ち着き、外へ出ると一面の海。
水平線が望め、遠くに船がみえた。
来た道が小さく、町も遠くに感じる。

『ここからの景色良いでしょ?』

そう言って笑う海ちゃんは海より輝いてみえた。

『いけない!もう16時!18時までに戻らないとお母さんに怒られちゃうから、お兄さん帰ろう!』

楽しい時間はあっという間で、2人で帰路につく。

旅館に戻り、部屋に着くと布団が用意されていた。
食事の手伝いを申し出ようと女将さんと海ちゃんを探す。
ラウンジで忙しそうに動いている女将さんを見つけた。

「女将さん、何か手伝うことありませんか?」

『あら、お兄さんお帰りなさい。気にしないでお風呂でもどうぞ。うちのお風呂温泉引いてるからリラックスできるはずよ。ただ、塩水の温泉でのぼせやすいから気をつけてね。』

「何から何まですみません、ありがとうございます」

『ここであったのも何かの縁よ、楽しみなさい。』

「ありがとうございます」

女将さんにお風呂を勧められ、お風呂へ向かうことに。
ラウンジを抜けて宴会席などを通りすぎると大浴場があった。
お風呂は内湯1つに露天風呂が1つ、ドライサウナがあった。洗い場で身体と頭を洗い流したあと内湯へ入った。
温度は38度と温めだが、女将さんの行った塩分が含まれているからかだんだんとポカポカしてきたためのぼせる前にと早めにあがることにした。

大浴場の手前に休憩室のようなソファーが置いてある場所があり、そこにある自販機で水を買い飲みながら身体の熱が落ち着くのを待った。

『あっお兄さん!ご飯の準備できたよ!お母さんが呼んでたから一緒に行こう!』

海ちゃんにそう声をかけられ、ご飯へ。一緒に食べてくれるようでスタッフオンリーの扉の向こうへ。
宿直室のような少し狭めな和室のテーブルにご飯は用意されていた。

『さぁ、お兄さん食べて食べて!』

海ちゃんに勧められるままご飯をいただく。
懐石料理と一言に片付けられない程、品数も多くこの町の特産の野菜や海鮮が並んでいた。
海ちゃんや時折様子をみに来てくれる女将さんと話ながら楽しい夕食を終えて部屋に戻った。

布団に入り横になると疲れからかすぐに眠気がやってきた。

どのくらい寝ただろうか、尿意から目が覚め部屋の外のトイレへ。
用を済ませ、部屋へ戻ろうとすると隣の部屋に海ちゃんのような人影が入っていくのがみえた。
家族も客室に泊ることがあるんだなと気をもせず部屋へ戻り再び眠った。
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