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パン屋の店長おみくんの嫉妬
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episode7 パン屋の店長おみくん
今日も店のキッチンで仕込みをするために、バンダナをまくシバに見惚れてしまう。
シバは誰から見てもかっこよくて渋い、いい男だと思う。そんな奴の恋人が同性で、しかも俺だなんて誰も思わない。
出会った当時は高校の同級生で、あまり仲良くもなかった俺達が現在付き合っている事実を知っているのは高校からの友人でも、あの無口な親友ぐらいで。俺がシバと付き合いはじめたことを伝えたときも、
「…男同士でも、ゴムはつけろよ。」
と、余計な一言以外言わなかったし、興味がなさそうな顔だった。…興味を持ってもらっても困るけど。
俺達は客商売の仕事をしているから、同性同士で付き合っているということを、偏見を気にして周囲の人間に言っていない。
だから、シバの店のバイトの子達が俺とシバの関係を知っているはずもない。バイトの女子の中で2人ぐらいシバに本気で恋してる子がいることを俺はしっているんだからな。そりゃあ、年上で精神的にも余裕のある渋いイケメンなんて、学生バイトの子達からすると、魅力的でしかない。
俺はシバの店にいくとき、シバの友人で、たまに店を手伝いにきてることになっている。皆、俺のことをシバの恋人だなんて思うはずがない。
俺の気持ちも知らないで、さっきも開店準備にきた、女子バイトがシバに構ってもらいに話しかけてた。
なんか悔しい…。
そう思って俺は、仕込みに集中している彼氏に何か、俺にしかできないような意地の悪いことをしたくなった。
仕込みを一緒にしていた、キッチン担当の廣田君が、トイレに行ったすきに、シバに声をかけた。振り向きざまにマスク越しに口にちゅーをかましてやった!思いついたら即実行を体現した俺はとても満足していて、作業に戻ろうとしたら、首を急に片手で引き寄せられた。シバがもう片方の手でマスクをはずす。表情は糸目で堅く口を結んでいるから、感情が分からない。
きづくと、ぐいっとシバの口元まで頭を引き寄せられてしまい、そのまま口と口が重なってしまった。
シバの舌が俺の上顎をツーっとなぞる。上顎が気持ちよくて奥に引っこんでいた俺の舌は力が抜けてしまって、シバに捕まってしまった。何度回数を重ねても慣れない気持ちよさに涙がでる。このあたりで、いつもだったら、気持ちよさにいっぱいいっぱいになった俺をきづかって、シバが、
「ごめん。がっつきすぎたな。」
とか言って、止めてくれるのに、全然とまる気配がない。むしろいつもより深くなってる。シバは何もわからなくなる俺を見て、目を細める。両手で両耳を塞ぎながら親指で耳をスリスリと弄り始めた。
身長は俺の方が高いから有利なのに、シバが耳を弄るから力が更に抜けて、頭をあげられない。
やだ、もうやだ。むり。
そう思うのに、気持ちよくてシバを振りほどけない。俺の頭を固定する腕にしがみつくことしか出来なくなってしまった。廣田君が帰ってくるのに。みつかるかも。
恥ずかしさから本気で泣きそうになった時、シバからやっと解放された。
息を必死に整えながら、シバの表情を伺う。
「俺の部屋に行ってろ。」
あ…、怒ってる。
仕事とプライベートは分けるタイプだと分かっていたのに。小さな嫉妬で、シバに酷いことをしてしまった。
嫌われたかもしれない。今日はパン屋が休みで、店を手伝いに来たはずなのに、邪魔をしてしまった。
涙目になりながら、店の上にあるシバの部屋へ向かった。階段を登っていると、
「おみ、待って。」
下から、シバの声が聞こえてきた。振り向くと、まだ堅い表情をしていて、俺はやっぱり怒っているんだと思った。
「別に怒ってるわけじゃないから!ただ、職場でキスはよくないかな。」
嫌われたかもと思っていたから、その言葉に安心して少し視界が涙で霞んでしまった。
「ごめん。」
おれが謝ると、シバは慌てて、
「部屋に行って、って言ったのは俺が今余裕ないからだから!がっつきそうだったし、廣田にもおみのその顔見せたらやばい…とにかく!部屋で仕事終わるまで待ってろな!」
捲し立てると、バタバタとシバはキッチンに戻っていってしまった。
悪いことをしてしまった。
…でも、さっきみたいなキスもう一回してくれないかな。
今日も店のキッチンで仕込みをするために、バンダナをまくシバに見惚れてしまう。
シバは誰から見てもかっこよくて渋い、いい男だと思う。そんな奴の恋人が同性で、しかも俺だなんて誰も思わない。
出会った当時は高校の同級生で、あまり仲良くもなかった俺達が現在付き合っている事実を知っているのは高校からの友人でも、あの無口な親友ぐらいで。俺がシバと付き合いはじめたことを伝えたときも、
「…男同士でも、ゴムはつけろよ。」
と、余計な一言以外言わなかったし、興味がなさそうな顔だった。…興味を持ってもらっても困るけど。
俺達は客商売の仕事をしているから、同性同士で付き合っているということを、偏見を気にして周囲の人間に言っていない。
だから、シバの店のバイトの子達が俺とシバの関係を知っているはずもない。バイトの女子の中で2人ぐらいシバに本気で恋してる子がいることを俺はしっているんだからな。そりゃあ、年上で精神的にも余裕のある渋いイケメンなんて、学生バイトの子達からすると、魅力的でしかない。
俺はシバの店にいくとき、シバの友人で、たまに店を手伝いにきてることになっている。皆、俺のことをシバの恋人だなんて思うはずがない。
俺の気持ちも知らないで、さっきも開店準備にきた、女子バイトがシバに構ってもらいに話しかけてた。
なんか悔しい…。
そう思って俺は、仕込みに集中している彼氏に何か、俺にしかできないような意地の悪いことをしたくなった。
仕込みを一緒にしていた、キッチン担当の廣田君が、トイレに行ったすきに、シバに声をかけた。振り向きざまにマスク越しに口にちゅーをかましてやった!思いついたら即実行を体現した俺はとても満足していて、作業に戻ろうとしたら、首を急に片手で引き寄せられた。シバがもう片方の手でマスクをはずす。表情は糸目で堅く口を結んでいるから、感情が分からない。
きづくと、ぐいっとシバの口元まで頭を引き寄せられてしまい、そのまま口と口が重なってしまった。
シバの舌が俺の上顎をツーっとなぞる。上顎が気持ちよくて奥に引っこんでいた俺の舌は力が抜けてしまって、シバに捕まってしまった。何度回数を重ねても慣れない気持ちよさに涙がでる。このあたりで、いつもだったら、気持ちよさにいっぱいいっぱいになった俺をきづかって、シバが、
「ごめん。がっつきすぎたな。」
とか言って、止めてくれるのに、全然とまる気配がない。むしろいつもより深くなってる。シバは何もわからなくなる俺を見て、目を細める。両手で両耳を塞ぎながら親指で耳をスリスリと弄り始めた。
身長は俺の方が高いから有利なのに、シバが耳を弄るから力が更に抜けて、頭をあげられない。
やだ、もうやだ。むり。
そう思うのに、気持ちよくてシバを振りほどけない。俺の頭を固定する腕にしがみつくことしか出来なくなってしまった。廣田君が帰ってくるのに。みつかるかも。
恥ずかしさから本気で泣きそうになった時、シバからやっと解放された。
息を必死に整えながら、シバの表情を伺う。
「俺の部屋に行ってろ。」
あ…、怒ってる。
仕事とプライベートは分けるタイプだと分かっていたのに。小さな嫉妬で、シバに酷いことをしてしまった。
嫌われたかもしれない。今日はパン屋が休みで、店を手伝いに来たはずなのに、邪魔をしてしまった。
涙目になりながら、店の上にあるシバの部屋へ向かった。階段を登っていると、
「おみ、待って。」
下から、シバの声が聞こえてきた。振り向くと、まだ堅い表情をしていて、俺はやっぱり怒っているんだと思った。
「別に怒ってるわけじゃないから!ただ、職場でキスはよくないかな。」
嫌われたかもと思っていたから、その言葉に安心して少し視界が涙で霞んでしまった。
「ごめん。」
おれが謝ると、シバは慌てて、
「部屋に行って、って言ったのは俺が今余裕ないからだから!がっつきそうだったし、廣田にもおみのその顔見せたらやばい…とにかく!部屋で仕事終わるまで待ってろな!」
捲し立てると、バタバタとシバはキッチンに戻っていってしまった。
悪いことをしてしまった。
…でも、さっきみたいなキスもう一回してくれないかな。
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