異世界国家の建て直し!

らしん

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「ルーナさん今日は随分と服装の感じが違いますね」

「変装よへ、ん、そ、う!」

「どうしてまた…」

「街へ行くとね、やれルーナさんが何買った。ルーナさんがどのお店に入った、握手して下さい、飲みに行きませんか……だの…ほんっとゆっくり買い物もしていられないのよ!」

「あら、ルーナさんは外面だけは最高に良いですもんね。その反面、内心どう思っているか知ったらきっと誰も寄り付かなくなりそうですけど笑」
その瞬間、ローレンスの身体は強い衝撃と共に空中に舞い上げられるとそのまま地面に打ち付けられた。

「ルーナさん…ヒドいじゃないですか……。戦時以外は人に対して攻撃魔法を使用してはならないってルール知らない訳じゃないですよね!!」

「なんのことかしら?私にはあなたが勝手に宙を舞ったと思えば落ちてきたようにしか見えなかったけれど。それとも、なにか確証があって私を悪者にしようというの?」

ルーナの鋭い視線が地面に這いつくばったローレンスを見下ろしていた。
ふと開いた窓から心地よい風が室内に流れ込むとルーナのふんわりしたロングスカートをめくり上げ、ローレンスの視線はそのスカートに隠されていた脚を下から上に辿るとハッキリとその黒い布地を目にした。

(Jesus!!!)

咄嗟にルーナはスカートを押さえると、赤面と共に目に涙を浮かべている。

「見た?」
「はい?」
「見たの?」
「いえ」
「見たの?」
「いいえ…」
「み、た、の?」
「まぁ……黒でした。」

「この変態!!」
容赦なくヒールの靴でローレンスの顔を踏みつけにした。

「理不尽だ…」
ローレンスはそう言い残し意識が途切れた。


「いつまで寝てるのよ!」
頬を叩く心配そうなルーナさんがおぼろげに見えた。
ここは…!!感触的にもこの目線の角度的にもルーナさんの膝の上だ。
「目が覚めたなら早くどいてくれる?」
ローレンスはゆっくりと首を振り、下向きになって顔中でルーナさんの感触を感じつつ匂いを堪能した。

普段ならここで追撃が入るタイミングなのだが今はその一撃がない。
不安になって顔をあげると、ルーナは心底邪魔だ。といった表情ではあったが…怒りの中になんというか恥じらいというかよそよそしさがあった。

「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないでしょ!!」
返答はいつものルーナさんだった。
「でも…あんな姿を見られてしまったからには責任を取ってくれるのよね…?」
「責任…?」
ルーナさんの話しを聞くと、どうやらあられもない姿を見られてしまったからにはもう汚れてしまったと(少なくとも本人だけは)思っているらしい。

こんな美人嫁ゲットのチャンスじゃんか!という声とそうやって純潔を守ってきたルーナさんを陥れていいのか?という声がローレンスの中でせめぎ合った。

ルーナさんと過ごしてきたこの3年で僕は成長させてもらったし、そもそもこれまでも谷間に埋もれることはセーフだったんだろうか…。ルーナさんの歪んだ認識が少し心配になった。

「ルーナさんが僕に責任を取ることを望んでくれるのなら喜んで応えましょう。しかし、世間では下着が見えてしまう不慮の事故は稀に起こるものです。ですからなんら汚れたなどと思う必要はないのですよ。」
「うそ。そうやって汚れものにして私を捨てる気ね?」
「違いますって!ちょっと誰か連れてくるので聞いてみて下さいよ。」

運よくちょうどエルミィがすぐに捕まった。
「頼む、ちょっと来てくれ!」
エルミィを連れて行くと事と次第を話した。

「そうですねぇ。そのくらいの事はまぁ…極々まれに、わりとありますね。。。私なんて注意散漫だってよく怒られるのですが、このメイド服は転んでしまうと後ろが必ずめくれ上がって丸出しになってしまうのですよ。それが汚れた事になるのでしたら、私はもう汚れきった存在です。ルーナさまは私のことを汚れきった存在だとお思いですか?」

「そうねぇ…。エルミィちゃんが汚れているとは思わないわ。でもこの気持ちはどうしたら良いのかしらね。だって、一方的にローレンスに変態の喜びを与えてしまったようなものでしょう?」

「そこは紳士として女性のお気持ちを埋めて差し上げるのがよろしいかと思います。ね?殿下!」

「あっ…うん。風の気まぐれとはいえルーナさんを恥ずかしく不快な気持ちにしてしまった事には変わりないのですからルーナさんの気がすむまでなんなりと尽くさせて頂きます。」

「さすが殿下。では私はこれでお仕事に戻りますね。お邪魔しました。」

エルミィはこの2人が未来のこの国を担う方々だと思うと一抹の不安を感じたが、仕えている身でそんな事を言えるはずもなく心の底にその思いをしまった。


「さて、ルーナさんは何をお望みですか?」

「うーん。望みって言われてもローレンスくんに望むようなことは特にないのだけれど」

「なんなんですか笑 エルミィまで引っ張り出して大立ち回りをしたのに特にないって!びっくりですよ!」

「強いて言うなら行くつもりだった買い物をお願いしたいくらいなものね。」

「任せて下さい!僕が行って来ましょう!」

「私が愚痴ったように人だかりに埋もれたりしないの?」

「えぇ…ビックリするほど我が国の民は僕に興味関心がありませんからね!気付かれることすら稀ですし、それどころか街を巡回している衛兵に身分確認をされる有り様ですよ。」

「うわー…やっぱり国民は賢いのね。変態王子なんかよりも私に注目しているのですから」

「あれあれ?ルーナさん?いつも愚民は◯◯なんて言ってませんでした!?」

「ローレンスくん?いつも余計な言動が多いって注意してるわよね?忘れちゃったのかな?それともローレンスくんの葬儀で国民の注目を集めたいって意味なのかな?」

「いやいやいや…買い物に行ってきます!」

ローレンスは逃げるように駆け出して行った。
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