12 / 50
12,不快感
しおりを挟む
蓮の自室では。まだ足のギプスの取れない部屋主が床に座ってひねりを加えた腹筋をしていた。
「ん、早かったな…」
出かけていたシオンが部屋に入ってきたことに気づき、顔を上げると
「ぅん?!んーっ!!」
何も言わずに覆いかぶさってきた彼の唇に、唇をふさがれる。ジタバタもがいても押さえつけられ、口内を舌でかき回される。
「ふあ…っ!な、何だイキナリ…っ」
蓮は濡れた唇と赤くなったほほを腕で隠し、ようやく離れたシオンをにらむ。
「ハクロより、あなたにお説教をするべきでしたね」
「あ?今日はなんもしてねーぞ」
安静にと言われつつ筋トレをしていたが、無断外出はあれからしていない。来週する予定だが。
「ご自分の魅力をもう少し自覚なさってください」
「っ!?」
シオンは蓮の膝裏に腕を入れると抱き上げ、ベッドに乗せる。
「な、に…っ?」
シオンが腰にまたがり、蓮は恐怖で声が裏返る。ただでさえトラウマなシチュエーションな上、シオンにこれからされることを考えると恐ろしさしか感じない。
「あなたがどれだけの者に愛されているか、ご存知でしょう?」
「あ?」
シオンの言う意味がわからなくて、顔をしかめる。
「…」
関わる者を魅了する蓮の力。何を言っても彼にその自覚など生まれないし、わからないとシオンは思う。けれど、それも彼の魅力で。それに、今ここでそれを自覚しろといくら説教しようが、単なる子どもじみた嫉妬としか思われないだろう。
彼を独占したい訳ではないのに。この胸をかきむしられるような不快感はきっと彼を愛している限り、永遠につきまとう。
「申し訳ありません。手加減出来そうにありませんので、先に謝っておきます」
「ああ?!」
シオンはぎょっとする蓮の服に手をかけながら、再び唇を深く重ねた。
「ぃあ…っああ…!」
蓮の衣服はほとんど脱がされ、はだけた胸元の小さな突起を食まれ、反対側はグリグリと指の腹で転がされる。痛いほど力を込められているのにそこは硬く張り、快感で身体が震える。
「も、や…!シオ、ン…っ」
シオンの服の肩口をつかみ離そうとするが、シオンはかまわずそこに吸いつき、押しつぶす。
「手加減出来そうにないと言ったでしょう…?」
「うぅ…んぁあっ?!」
右足を持ち上げ、唾液で湿らせた指先で後孔を軽くノックした後、一気に根元まで突き入れる。中の粘膜をぐるりとなぞり、指を2本に増やす。そして、前立腺を探り当てるとえぐるようにこする。
「んあっ?!あぁぁっ!!」
胸への愛撫はそのままに、過敏なしこりも刺激される。蓮は強すぎる快感にびくんと大きく腰を跳ね上げ、シオンの服を破きそうなほど握りしめる。
「ふふ…もうこんなになって」
シオンは先端が濡れ、起ちあがる蓮のモノを見て笑む。
「イキたいですか、レン」
「ぐ、ぅう…っ」
中の指をうごめかしながら聞かれるが、蓮は素直にうなずきたくはなく、グッと唇を噛む。
「嫌なのですか」
「…っあぁ!はあっ!」
ぐちゅぐちゅと濡れた音をさせて指を出し入れされ、胸の突起を引っ張られ、ひときわ高い喘ぎ声が出る。
「では、これを使いましょう」
シオンは腰巻きエプロンのポケットを探り、ヘアゴムを取り出す。
「髪を切ってから使い道がなくなっていました。捨てなくて良かったです」
それを首をかしげる蓮の目の前に掲げ、にこりと微笑む。そして、硬く起ち上がる蓮のモノにヘアゴムを引っ掛けた。
「な…っあ、あ…?!痛ぁあっ!」
驚き、もがく蓮のそこへ、片手で器用に結びつける。根元を締められる痛みに、蓮はたまらず悲鳴を上げる。
「ぃ、嫌だ…っ取る…!」
「いけません。イキたくないのでしょう?」
と、シオンはそこに手を伸ばす蓮をやんわり制する。
「ああ、でも…あなたはこのままでもイケますね」
「は…っ?!」
「ならば、好きなだけイキましょうか。もちろん、私も一緒に」
妖艶に笑むシオンに、蓮は血の気が引いた。
「あ…っか、は!?い、くぅ…っ!!」
蓮はビクッと大きく身体を反らし、絶頂する。しかし、精を出すべき器官はまだヘアゴムで締めつけられ、それを許さない。
「ん…イキましたね。3回目です」
たまる熱にガクガク震える蓮の腰をなで、シオンは平然と言う。いつものことながら、身体をつなげているはずなのにこの温度差。蓮はおかしくなりそうになる。そんな蓮の反応を楽しむように、シオンは胎内に挿れたままの自身を動かす。うごめく粘膜をこすられ、前立腺を刺激され、蓮はまた熱が追い上げられていく。
「はぁ…っ!も、ぅ…やっ…!」
締めつけられ、張り詰めたモノにシオンの手が触れ、ビクッと身体が跳ねる。これ以上空イキはしたくない。いい加減止めて欲しくて、蓮は荒く息を吐きながら覆いかぶさるシオンの胸元を押す。
「4回目、イキますか」
しかし、シオンはその手をつかんで唇を当て、からかうように微笑む。
「…っ!」
苦しげに濡れる竿を握られ、また空イキさせられるのかと蓮は絶望感で涙があふれ出る。
「む、無理、嫌だ…っ!も、嫌ぁあ…っ」
首を振り、幼い子どものように泣きわめく。射精を抑えられることが辛くて苦しくて、羞恥心など考えられないくらい限界だった。
「レン…」
シオンはその様にゾクゾクするほど加虐心を煽られる。このままずっと、泣いてすがる様子を見ていたい。いっそ、壊れてしまうまで。
「出したいですか」
痛々しいほど腫れたモノを指先でツウとなぞる。
「ひぐ…っぅ、だ、出した、い…っ」
蓮は震える手でシオンの手を押さえ、しゃくりあげながらうなずく。
「では、『お願い』してください。出来ますね?」
シオンはその手をくるりと返して握る。もうためらう気力もない蓮はコクコクとうなずく。
「う…シオ、ン…っコレ、外して…」
「外して?」
「い、イカせ…て…っ」
真っ赤な蓮のほほに、ポロポロと涙が伝う。蓮が完全に落ちた瞬間。シオンは絶頂しそうになるのをかろうじてこらえる。
この時を味わえるなら、あんな不快感など取るに足らないことだ。蓮は無自覚ながらも、こうしてこの重苦しい感情を受け入れようとしてくれる。それで十分だ。
「…はい、承知しました」
冷静を装い、蓮を締めつけているヘアゴムに手をかける。
「…っあ?!ぅあぁぁっ!!」
そのままゴムを弛めずにカリ部分までずり上げられ、蓮は思わぬ強い痛みに悲鳴をあげる。
「いぃ…っシオン…!はや、く…ぅ」
解放を焦らされたことに耐えきれず、シオンの胸元にすがりつく。流れる涙と唾液が白シャツを濡らす。
「ふふ…本当に、あなたはかわいらしくて…美しいです」
その姿にシオンは口元を緩めて笑い、喘ぐ唇にキスをするとヘアゴムをぱちんと外した。
「あ、あぁあーっ!!」
蓮はぎくりと一瞬身体を強張らせた後、絶頂する。解放されたモノから、たまりにたまった白濁が勢いよく吹き出す。
「まだ気をやらないでください。私は一回しかイってませんよ」
「…ん、ぁ…」
ガクンと脱力した蓮をシオンは抱き止める。
「好きなだけイクのでしょう?私も一緒に」
「いぃ…っ?!」
と、繋がった部分を更に押し込む。蓮は意識を手放すのも許されず、文字通り出なくなるまでイカされ、中に注がれ続けた。
「完治しております。回復訓練を始めてよろしいですよ、レン様」
2週間後。蓮はようやく左足のギプスが取れた。医務室の椅子に座る蓮に、王室お抱えの医師がにこやかにリハビリを促す。
「良かったですね。無理なさらず始めてください」
「へっ、無理させてたのは誰だよ」
付き添いのシオンに、いやみったらしく言う。
「私との訓練をお望みですか、レン様」
「しねーよ、ドS」
微笑んで顔をのぞき込まれ、プイッと顔を反らした。
「ま…っ参りましたぁ!!」
蓮の打撃にふっ飛ばされた護衛はヨロヨロと起き上がり、片膝をついて頭を下げる。
「ふぅ…ん、次」
蓮はあごに流れる汗を拭い、次の相手を指す。
「えっ?!は、はいぃ…っ!」
まだ疲れて屈んでいた護衛はぎょっとして顔を上げ、慌てて蓮の前に走っていく。
主に王室護衛の訓練に使用する闘技場。蓮は早速リハビリとして非番の護衛たちを誘い、戦闘訓練を行っていた。リハビリというには少々激しく、護衛たちにとっては普段の訓練とあまり変わらないが。
「すごいな、レン様」
「ああ…お怪我が治ったばかりとは思えないぞ…」
他の護衛たちもあがる息を整えながら、昨日まで足にギプスをつけていたとは信じがたい動きの蓮を、感心して見ていた。
「参りましたぁ…っ」
やがて、なんとか蓮の相手をしていた護衛もたまらず膝をつく。
「ん。次は…」
蓮が周りを見回せば、訓練に誘った護衛たちは皆疲れ果てている様子。これ以上の相手はキツイと、誰も蓮と目を合わせない。
「も、終わりか」
「ありがとうございました!!」
「またお願いいたします、レン様!!」
蓮の終了宣言に、護衛たちはしめたとばかりにバッと膝をついて頭を下げる。
「お前ら、元気じゃね?」
「レン様!お水をどうぞ!」
「タオルどうぞ!」
「掃除、始めます!」
彼らの機敏な動きに蓮は騙された気分になるが、彼らはごまかすようにバタバタと片づけ始める。
「あ、なぁ」
「はい!」
まだ鈍った身体を動かし足りない蓮はふと思いつき、護衛たちに声をかける。
「まだ掃除すんな」
「?はい」
待ってろと言いながら闘技場を出ていく蓮を、彼らは首をかしげつつ見送った。
「ん、早かったな…」
出かけていたシオンが部屋に入ってきたことに気づき、顔を上げると
「ぅん?!んーっ!!」
何も言わずに覆いかぶさってきた彼の唇に、唇をふさがれる。ジタバタもがいても押さえつけられ、口内を舌でかき回される。
「ふあ…っ!な、何だイキナリ…っ」
蓮は濡れた唇と赤くなったほほを腕で隠し、ようやく離れたシオンをにらむ。
「ハクロより、あなたにお説教をするべきでしたね」
「あ?今日はなんもしてねーぞ」
安静にと言われつつ筋トレをしていたが、無断外出はあれからしていない。来週する予定だが。
「ご自分の魅力をもう少し自覚なさってください」
「っ!?」
シオンは蓮の膝裏に腕を入れると抱き上げ、ベッドに乗せる。
「な、に…っ?」
シオンが腰にまたがり、蓮は恐怖で声が裏返る。ただでさえトラウマなシチュエーションな上、シオンにこれからされることを考えると恐ろしさしか感じない。
「あなたがどれだけの者に愛されているか、ご存知でしょう?」
「あ?」
シオンの言う意味がわからなくて、顔をしかめる。
「…」
関わる者を魅了する蓮の力。何を言っても彼にその自覚など生まれないし、わからないとシオンは思う。けれど、それも彼の魅力で。それに、今ここでそれを自覚しろといくら説教しようが、単なる子どもじみた嫉妬としか思われないだろう。
彼を独占したい訳ではないのに。この胸をかきむしられるような不快感はきっと彼を愛している限り、永遠につきまとう。
「申し訳ありません。手加減出来そうにありませんので、先に謝っておきます」
「ああ?!」
シオンはぎょっとする蓮の服に手をかけながら、再び唇を深く重ねた。
「ぃあ…っああ…!」
蓮の衣服はほとんど脱がされ、はだけた胸元の小さな突起を食まれ、反対側はグリグリと指の腹で転がされる。痛いほど力を込められているのにそこは硬く張り、快感で身体が震える。
「も、や…!シオ、ン…っ」
シオンの服の肩口をつかみ離そうとするが、シオンはかまわずそこに吸いつき、押しつぶす。
「手加減出来そうにないと言ったでしょう…?」
「うぅ…んぁあっ?!」
右足を持ち上げ、唾液で湿らせた指先で後孔を軽くノックした後、一気に根元まで突き入れる。中の粘膜をぐるりとなぞり、指を2本に増やす。そして、前立腺を探り当てるとえぐるようにこする。
「んあっ?!あぁぁっ!!」
胸への愛撫はそのままに、過敏なしこりも刺激される。蓮は強すぎる快感にびくんと大きく腰を跳ね上げ、シオンの服を破きそうなほど握りしめる。
「ふふ…もうこんなになって」
シオンは先端が濡れ、起ちあがる蓮のモノを見て笑む。
「イキたいですか、レン」
「ぐ、ぅう…っ」
中の指をうごめかしながら聞かれるが、蓮は素直にうなずきたくはなく、グッと唇を噛む。
「嫌なのですか」
「…っあぁ!はあっ!」
ぐちゅぐちゅと濡れた音をさせて指を出し入れされ、胸の突起を引っ張られ、ひときわ高い喘ぎ声が出る。
「では、これを使いましょう」
シオンは腰巻きエプロンのポケットを探り、ヘアゴムを取り出す。
「髪を切ってから使い道がなくなっていました。捨てなくて良かったです」
それを首をかしげる蓮の目の前に掲げ、にこりと微笑む。そして、硬く起ち上がる蓮のモノにヘアゴムを引っ掛けた。
「な…っあ、あ…?!痛ぁあっ!」
驚き、もがく蓮のそこへ、片手で器用に結びつける。根元を締められる痛みに、蓮はたまらず悲鳴を上げる。
「ぃ、嫌だ…っ取る…!」
「いけません。イキたくないのでしょう?」
と、シオンはそこに手を伸ばす蓮をやんわり制する。
「ああ、でも…あなたはこのままでもイケますね」
「は…っ?!」
「ならば、好きなだけイキましょうか。もちろん、私も一緒に」
妖艶に笑むシオンに、蓮は血の気が引いた。
「あ…っか、は!?い、くぅ…っ!!」
蓮はビクッと大きく身体を反らし、絶頂する。しかし、精を出すべき器官はまだヘアゴムで締めつけられ、それを許さない。
「ん…イキましたね。3回目です」
たまる熱にガクガク震える蓮の腰をなで、シオンは平然と言う。いつものことながら、身体をつなげているはずなのにこの温度差。蓮はおかしくなりそうになる。そんな蓮の反応を楽しむように、シオンは胎内に挿れたままの自身を動かす。うごめく粘膜をこすられ、前立腺を刺激され、蓮はまた熱が追い上げられていく。
「はぁ…っ!も、ぅ…やっ…!」
締めつけられ、張り詰めたモノにシオンの手が触れ、ビクッと身体が跳ねる。これ以上空イキはしたくない。いい加減止めて欲しくて、蓮は荒く息を吐きながら覆いかぶさるシオンの胸元を押す。
「4回目、イキますか」
しかし、シオンはその手をつかんで唇を当て、からかうように微笑む。
「…っ!」
苦しげに濡れる竿を握られ、また空イキさせられるのかと蓮は絶望感で涙があふれ出る。
「む、無理、嫌だ…っ!も、嫌ぁあ…っ」
首を振り、幼い子どものように泣きわめく。射精を抑えられることが辛くて苦しくて、羞恥心など考えられないくらい限界だった。
「レン…」
シオンはその様にゾクゾクするほど加虐心を煽られる。このままずっと、泣いてすがる様子を見ていたい。いっそ、壊れてしまうまで。
「出したいですか」
痛々しいほど腫れたモノを指先でツウとなぞる。
「ひぐ…っぅ、だ、出した、い…っ」
蓮は震える手でシオンの手を押さえ、しゃくりあげながらうなずく。
「では、『お願い』してください。出来ますね?」
シオンはその手をくるりと返して握る。もうためらう気力もない蓮はコクコクとうなずく。
「う…シオ、ン…っコレ、外して…」
「外して?」
「い、イカせ…て…っ」
真っ赤な蓮のほほに、ポロポロと涙が伝う。蓮が完全に落ちた瞬間。シオンは絶頂しそうになるのをかろうじてこらえる。
この時を味わえるなら、あんな不快感など取るに足らないことだ。蓮は無自覚ながらも、こうしてこの重苦しい感情を受け入れようとしてくれる。それで十分だ。
「…はい、承知しました」
冷静を装い、蓮を締めつけているヘアゴムに手をかける。
「…っあ?!ぅあぁぁっ!!」
そのままゴムを弛めずにカリ部分までずり上げられ、蓮は思わぬ強い痛みに悲鳴をあげる。
「いぃ…っシオン…!はや、く…ぅ」
解放を焦らされたことに耐えきれず、シオンの胸元にすがりつく。流れる涙と唾液が白シャツを濡らす。
「ふふ…本当に、あなたはかわいらしくて…美しいです」
その姿にシオンは口元を緩めて笑い、喘ぐ唇にキスをするとヘアゴムをぱちんと外した。
「あ、あぁあーっ!!」
蓮はぎくりと一瞬身体を強張らせた後、絶頂する。解放されたモノから、たまりにたまった白濁が勢いよく吹き出す。
「まだ気をやらないでください。私は一回しかイってませんよ」
「…ん、ぁ…」
ガクンと脱力した蓮をシオンは抱き止める。
「好きなだけイクのでしょう?私も一緒に」
「いぃ…っ?!」
と、繋がった部分を更に押し込む。蓮は意識を手放すのも許されず、文字通り出なくなるまでイカされ、中に注がれ続けた。
「完治しております。回復訓練を始めてよろしいですよ、レン様」
2週間後。蓮はようやく左足のギプスが取れた。医務室の椅子に座る蓮に、王室お抱えの医師がにこやかにリハビリを促す。
「良かったですね。無理なさらず始めてください」
「へっ、無理させてたのは誰だよ」
付き添いのシオンに、いやみったらしく言う。
「私との訓練をお望みですか、レン様」
「しねーよ、ドS」
微笑んで顔をのぞき込まれ、プイッと顔を反らした。
「ま…っ参りましたぁ!!」
蓮の打撃にふっ飛ばされた護衛はヨロヨロと起き上がり、片膝をついて頭を下げる。
「ふぅ…ん、次」
蓮はあごに流れる汗を拭い、次の相手を指す。
「えっ?!は、はいぃ…っ!」
まだ疲れて屈んでいた護衛はぎょっとして顔を上げ、慌てて蓮の前に走っていく。
主に王室護衛の訓練に使用する闘技場。蓮は早速リハビリとして非番の護衛たちを誘い、戦闘訓練を行っていた。リハビリというには少々激しく、護衛たちにとっては普段の訓練とあまり変わらないが。
「すごいな、レン様」
「ああ…お怪我が治ったばかりとは思えないぞ…」
他の護衛たちもあがる息を整えながら、昨日まで足にギプスをつけていたとは信じがたい動きの蓮を、感心して見ていた。
「参りましたぁ…っ」
やがて、なんとか蓮の相手をしていた護衛もたまらず膝をつく。
「ん。次は…」
蓮が周りを見回せば、訓練に誘った護衛たちは皆疲れ果てている様子。これ以上の相手はキツイと、誰も蓮と目を合わせない。
「も、終わりか」
「ありがとうございました!!」
「またお願いいたします、レン様!!」
蓮の終了宣言に、護衛たちはしめたとばかりにバッと膝をついて頭を下げる。
「お前ら、元気じゃね?」
「レン様!お水をどうぞ!」
「タオルどうぞ!」
「掃除、始めます!」
彼らの機敏な動きに蓮は騙された気分になるが、彼らはごまかすようにバタバタと片づけ始める。
「あ、なぁ」
「はい!」
まだ鈍った身体を動かし足りない蓮はふと思いつき、護衛たちに声をかける。
「まだ掃除すんな」
「?はい」
待ってろと言いながら闘技場を出ていく蓮を、彼らは首をかしげつつ見送った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる