虹色の未来を

わだすう

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12,不快感

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 蓮の自室では。まだ足のギプスの取れない部屋主が床に座ってひねりを加えた腹筋をしていた。

「ん、早かったな…」

 出かけていたシオンが部屋に入ってきたことに気づき、顔を上げると

「ぅん?!んーっ!!」

 何も言わずに覆いかぶさってきた彼の唇に、唇をふさがれる。ジタバタもがいても押さえつけられ、口内を舌でかき回される。

「ふあ…っ!な、何だイキナリ…っ」

 蓮は濡れた唇と赤くなったほほを腕で隠し、ようやく離れたシオンをにらむ。

「ハクロより、あなたにお説教をするべきでしたね」
「あ?今日はなんもしてねーぞ」

 安静にと言われつつ筋トレをしていたが、無断外出はあれからしていない。来週する予定だが。

「ご自分の魅力をもう少し自覚なさってください」
「っ!?」

 シオンは蓮の膝裏に腕を入れると抱き上げ、ベッドに乗せる。

「な、に…っ?」

 シオンが腰にまたがり、蓮は恐怖で声が裏返る。ただでさえトラウマなシチュエーションな上、シオンにこれからされることを考えると恐ろしさしか感じない。

「あなたがどれだけの者に愛されているか、ご存知でしょう?」
「あ?」

 シオンの言う意味がわからなくて、顔をしかめる。

「…」

 関わる者を魅了する蓮の力。何を言っても彼にその自覚など生まれないし、わからないとシオンは思う。けれど、それも彼の魅力で。それに、今ここでそれを自覚しろといくら説教しようが、単なる子どもじみた嫉妬としか思われないだろう。
 彼を独占したい訳ではないのに。この胸をかきむしられるような不快感はきっと彼を愛している限り、永遠につきまとう。

「申し訳ありません。手加減出来そうにありませんので、先に謝っておきます」
「ああ?!」

 シオンはぎょっとする蓮の服に手をかけながら、再び唇を深く重ねた。







「ぃあ…っああ…!」

 蓮の衣服はほとんど脱がされ、はだけた胸元の小さな突起を食まれ、反対側はグリグリと指の腹で転がされる。痛いほど力を込められているのにそこは硬く張り、快感で身体が震える。

「も、や…!シオ、ン…っ」

 シオンの服の肩口をつかみ離そうとするが、シオンはかまわずそこに吸いつき、押しつぶす。

「手加減出来そうにないと言ったでしょう…?」
「うぅ…んぁあっ?!」

 右足を持ち上げ、唾液で湿らせた指先で後孔を軽くノックした後、一気に根元まで突き入れる。中の粘膜をぐるりとなぞり、指を2本に増やす。そして、前立腺を探り当てるとえぐるようにこする。

「んあっ?!あぁぁっ!!」

 胸への愛撫はそのままに、過敏なしこりも刺激される。蓮は強すぎる快感にびくんと大きく腰を跳ね上げ、シオンの服を破きそうなほど握りしめる。

「ふふ…もうこんなになって」

 シオンは先端が濡れ、起ちあがる蓮のモノを見て笑む。

「イキたいですか、レン」
「ぐ、ぅう…っ」

 中の指をうごめかしながら聞かれるが、蓮は素直にうなずきたくはなく、グッと唇を噛む。

「嫌なのですか」
「…っあぁ!はあっ!」

 ぐちゅぐちゅと濡れた音をさせて指を出し入れされ、胸の突起を引っ張られ、ひときわ高い喘ぎ声が出る。

「では、これを使いましょう」

 シオンは腰巻きエプロンのポケットを探り、ヘアゴムを取り出す。

「髪を切ってから使い道がなくなっていました。捨てなくて良かったです」

 それを首をかしげる蓮の目の前に掲げ、にこりと微笑む。そして、硬く起ち上がる蓮のモノにヘアゴムを引っ掛けた。

「な…っあ、あ…?!痛ぁあっ!」

 驚き、もがく蓮のそこへ、片手で器用に結びつける。根元を締められる痛みに、蓮はたまらず悲鳴を上げる。

「ぃ、嫌だ…っ取る…!」
「いけません。イキたくないのでしょう?」

 と、シオンはそこに手を伸ばす蓮をやんわり制する。

「ああ、でも…あなたはこのままでもイケますね」
「は…っ?!」
「ならば、好きなだけイキましょうか。もちろん、私も一緒に」

 妖艶に笑むシオンに、蓮は血の気が引いた。







「あ…っか、は!?い、くぅ…っ!!」

 蓮はビクッと大きく身体を反らし、絶頂する。しかし、精を出すべき器官はまだヘアゴムで締めつけられ、それを許さない。

「ん…イキましたね。3回目です」

 たまる熱にガクガク震える蓮の腰をなで、シオンは平然と言う。いつものことながら、身体をつなげているはずなのにこの温度差。蓮はおかしくなりそうになる。そんな蓮の反応を楽しむように、シオンは胎内に挿れたままの自身を動かす。うごめく粘膜をこすられ、前立腺を刺激され、蓮はまた熱が追い上げられていく。

「はぁ…っ!も、ぅ…やっ…!」

 締めつけられ、張り詰めたモノにシオンの手が触れ、ビクッと身体が跳ねる。これ以上空イキはしたくない。いい加減止めて欲しくて、蓮は荒く息を吐きながら覆いかぶさるシオンの胸元を押す。

「4回目、イキますか」

 しかし、シオンはその手をつかんで唇を当て、からかうように微笑む。

「…っ!」

 苦しげに濡れる竿を握られ、また空イキさせられるのかと蓮は絶望感で涙があふれ出る。

「む、無理、嫌だ…っ!も、嫌ぁあ…っ」

 首を振り、幼い子どものように泣きわめく。射精を抑えられることが辛くて苦しくて、羞恥心など考えられないくらい限界だった。

「レン…」

 シオンはその様にゾクゾクするほど加虐心を煽られる。このままずっと、泣いてすがる様子を見ていたい。いっそ、壊れてしまうまで。

「出したいですか」

 痛々しいほど腫れたモノを指先でツウとなぞる。

「ひぐ…っぅ、だ、出した、い…っ」

 蓮は震える手でシオンの手を押さえ、しゃくりあげながらうなずく。

「では、『お願い』してください。出来ますね?」

 シオンはその手をくるりと返して握る。もうためらう気力もない蓮はコクコクとうなずく。

「う…シオ、ン…っコレ、外して…」
「外して?」
「い、イカせ…て…っ」

 真っ赤な蓮のほほに、ポロポロと涙が伝う。蓮が完全に落ちた瞬間。シオンは絶頂しそうになるのをかろうじてこらえる。
 この時を味わえるなら、あんな不快感など取るに足らないことだ。蓮は無自覚ながらも、こうしてこの重苦しい感情を受け入れようとしてくれる。それで十分だ。

「…はい、承知しました」

 冷静を装い、蓮を締めつけているヘアゴムに手をかける。

「…っあ?!ぅあぁぁっ!!」

 そのままゴムを弛めずにカリ部分までずり上げられ、蓮は思わぬ強い痛みに悲鳴をあげる。

「いぃ…っシオン…!はや、く…ぅ」

 解放を焦らされたことに耐えきれず、シオンの胸元にすがりつく。流れる涙と唾液が白シャツを濡らす。

「ふふ…本当に、あなたはかわいらしくて…美しいです」

 その姿にシオンは口元を緩めて笑い、喘ぐ唇にキスをするとヘアゴムをぱちんと外した。

「あ、あぁあーっ!!」

 蓮はぎくりと一瞬身体を強張らせた後、絶頂する。解放されたモノから、たまりにたまった白濁が勢いよく吹き出す。

「まだ気をやらないでください。私は一回しかイってませんよ」
「…ん、ぁ…」

 ガクンと脱力した蓮をシオンは抱き止める。

「好きなだけイクのでしょう?私も一緒に」
「いぃ…っ?!」

 と、繋がった部分を更に押し込む。蓮は意識を手放すのも許されず、文字通り出なくなるまでイカされ、中に注がれ続けた。














「完治しております。回復訓練を始めてよろしいですよ、レン様」

 2週間後。蓮はようやく左足のギプスが取れた。医務室の椅子に座る蓮に、王室お抱えの医師がにこやかにリハビリを促す。

「良かったですね。無理なさらず始めてください」
「へっ、無理させてたのは誰だよ」

 付き添いのシオンに、いやみったらしく言う。

「私との訓練をお望みですか、レン様」
「しねーよ、ドS」

 微笑んで顔をのぞき込まれ、プイッと顔を反らした。










「ま…っ参りましたぁ!!」

 蓮の打撃にふっ飛ばされた護衛はヨロヨロと起き上がり、片膝をついて頭を下げる。

「ふぅ…ん、次」

 蓮はあごに流れる汗を拭い、次の相手を指す。

「えっ?!は、はいぃ…っ!」

 まだ疲れて屈んでいた護衛はぎょっとして顔を上げ、慌てて蓮の前に走っていく。

 主に王室護衛の訓練に使用する闘技場。蓮は早速リハビリとして非番の護衛たちを誘い、戦闘訓練を行っていた。リハビリというには少々激しく、護衛たちにとっては普段の訓練とあまり変わらないが。

「すごいな、レン様」
「ああ…お怪我が治ったばかりとは思えないぞ…」

 他の護衛たちもあがる息を整えながら、昨日まで足にギプスをつけていたとは信じがたい動きの蓮を、感心して見ていた。



「参りましたぁ…っ」

 やがて、なんとか蓮の相手をしていた護衛もたまらず膝をつく。

「ん。次は…」

 蓮が周りを見回せば、訓練に誘った護衛たちは皆疲れ果てている様子。これ以上の相手はキツイと、誰も蓮と目を合わせない。

「も、終わりか」
「ありがとうございました!!」
「またお願いいたします、レン様!!」

 蓮の終了宣言に、護衛たちはしめたとばかりにバッと膝をついて頭を下げる。

「お前ら、元気じゃね?」
「レン様!お水をどうぞ!」
「タオルどうぞ!」
「掃除、始めます!」

 彼らの機敏な動きに蓮は騙された気分になるが、彼らはごまかすようにバタバタと片づけ始める。

「あ、なぁ」
「はい!」

 まだ鈍った身体を動かし足りない蓮はふと思いつき、護衛たちに声をかける。

「まだ掃除すんな」
「?はい」

 待ってろと言いながら闘技場を出ていく蓮を、彼らは首をかしげつつ見送った。
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