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16,依頼
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蓮は黒塗り高級車に乗せられ、菊川家に連れて来られた。宏樹の専属ボディガードはごめんだが、正式な仕事の依頼なら断る理由はない。菊川家はさすが代々の政治家らしい、都内の一等地にあるまさに豪邸だった。地下1階の地上3階建て、立派な門前には警備員、執事や家政婦もひとりふたりではないだろう。国民の血税の無駄遣いだなと、蓮は自分を棚に上げて思う(蓮の父親は警察官で自宅もそれなりの豪邸)。
「俺の妹、菊川澪(きくかわみお)だ。どうだ、美人だろう!未来の総理大臣秘書だ!」
応接間に通され、宏樹が自慢げに紹介したのは今どきの女子高生そのままの女の子。ふんわりカールの茶髪にぱっちりメイク、指定なのか疑わしい大きなリボンが付いた制服を着て、スマホをいじっている。
「美人なんて当たり前のこと、大きな声で言わないでよ、お兄ちゃん!」
「…」
スマホを操作しながら、照れるでもなく言う彼女を見て、兄と同類だと蓮は思った。
「アンタが城野蓮?」
澪は蓮に気づくとスマホから顔を上げ、まじまじと見つめる。
「…ふーん、悪くないね。じゃ、行こ!」
と、ソファーから立ち上がった。
宏樹からの依頼内容は妹、澪の身辺警護だ。彼女はここしばらくストーカー被害に悩まされているという。金はあるのだから、警察でもSPでも雇ってサッサと捕まえればいいと蓮は話したのだが、どうやらそのストーカーは直接的に害を与えてはこず、現時点で逮捕は出来ないらしい。だからといって、常に警察やいかついSP複数人に警護されているのはうっとうしくて嫌だとお嬢様がワガママを言い出し、見かねた兄がひと肌脱ぐことにしたのだ。蓮なら妹と同年代で単独行動なので、警護されているように見えないだろう。
どうやらお嬢様は蓮がボディガードとして頼れるかは置いといて、彼の容姿が気に入ったようだ。
「え?澪、出かけるのか?」
「うん、ネイル予約してるの」
「じょっ、城野!妹には触るんじゃないぞ!ストーカーを近づけさせなければいいだけだからなっ!」
「るせーよ」
焦って命じる宏樹に、頼まれても触らねーよと蓮はうっとうしがる。宏樹は妹が心配というより、正直、惚れている蓮を妹に取られることが嫌なのだが。
「澪、用が済んだらすぐ帰ってくるんだぞ!」
「はーい。わかってるよーお兄ちゃん!」
妹にも釘をさすが、澪は本当にわかっているのか否か、ヒラヒラと手を振った。
「あ~あ、ホントやんなっちゃう!」
あるファッションビル内のネイルサロン。澪はネイリストの女性に爪のケアをしてもらいながらぼやく。
「パパもお兄ちゃんも心配し過ぎなんだよね。ストーカーのひとりやふたり、いて当たり前だと思わない?」
と、退屈そうに個室の壁に寄りかかっている蓮に話しかける。澪自身はストーカーの存在をそれほど深刻に思っていないようだ。
「私、こんなにかわいいんだから!」
「お前もイタイな」
自分の容姿に相当な自信があるらしい。やっぱり似たもの兄妹だと蓮は思う。
「も?もって何?それに『お前』って言った?!私は依頼人だよ!『澪様』か『お嬢様』って呼びなさいよ!」
「…ふぅ~…」
「何そのため息?!アンタ、ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃない?!報酬減らすからね!!」
「ブーメランだな」
「はぁ?!どういう意味?!」
キィキィと怒鳴る澪を冷ややかに見ながら、仕事を引き受けるんじゃなかったかと後悔する。
「嫌なヤツ!アンタ彼女も友達もいないでしょ?!」
「またブーメランか」
「はぁ?!」
「お前もだろって」
「そっ、そんなワケないでしょ?彼氏は日替わり出来るし、友達なんて数えきれないくらいいるし?あ、アンタはどうなのよ?!」
図星だったのか、澪は歯切れが悪くなって蓮をにらむ。
「友達はいる」
蓮は懐かしむように目を伏せてから、ふっと柔らかく笑む。無表情や仏頂面でない初めて見る蓮の笑顔に、澪は思わず見惚れていた。
「…ふ、ふん…どうせろくなヤツじゃ…」
ハッとして意地悪く言い返そうとした時、ビル内の火災報知機がけたたましく鳴り響いた。
「きゃあ?!何っ?!」
澪は飛び上がるほど驚き、ネイリストも驚いて手を止める。
「火事だ」
「ええぇ?!!」
煙と油のわずかな臭いを感じた蓮が平然と言い、ふたりはさらに驚愕する。
「澪ちゃん…」
「?!」
そこへ、個室のドアが開き、20歳前後くらいの男がゆらりと入ってくる。ドアが開いたことで焦げたような臭いが強くなり、澪とネイリストもこのビルで火災が起きていると確信する。
「あ!アイツ…っ!」
澪はその男に見覚えがあるようで、顔をしかめて立ち上がる。
「澪ちゃん…誰だよ、そいつ…?浮気は許さないって言ったよね…?」
男は蓮を指し、ゆらゆら近づいてくる。手には包丁を持ち、目つきが完全に正気を失っているように見える。
「お前のオトコか」
「違う違う!!アイツがストーカー!!」
澪は青ざめ、のんきなことを聞く蓮の背に慌てて隠れる。
「澪ちゃん…僕という彼氏がいながら…浮気するなんて…ひどいよ…」
「アンタみたいに気持ち悪い男、彼氏でも何でもないって言ったでしょ!!」
男からも煙と油の臭いがする。澪を勝手に慕う彼が盛大な思い込みと逆恨みをし、ビル内に火をつけて心中するつもりかと、蓮は大体の流れを察する。
「アンタ、強いんでしょ?!早くやっつけて!!」
「報酬、減らすんだろ」
急かす澪に、しれっと言ってやる。
「えっ?!うそ、嘘だよ、そんなの!報酬ならパパに頼んで倍にしてあげるから!!」
「5倍」
「ご…っ?!」
ここぞとばかりに法外な請求をされて澪はぎょっとするが、煙が天井を這って個室に入ってきている上、包丁を握った男もジリジリ近づいてくる。
「わっ、わかった!5倍でもいいからぁ!早く!!」
命にはかえられない。涙目になってうなずき、蓮の背にすがる。
「ん、成立」
蓮はニヤっと笑い、澪の前から消えると同時にストーカー男の目の前にいた。
「澪ちゃ…んがっっ?!!」
男は蓮を認識したか否か、次の瞬間には首に一撃をくらっていた。包丁を落とし、床にくずれ落ちる。
「す、すご…」
想像以上の早わざに、澪は呆然と蓮を見つめる。
「ここ、最上階だよな。他に何人いる」
蓮はベルが鳴り続ける廊下をのぞきながら、ネイリストに聞く。廊下には2、3人のスタッフらしき者がおろおろと出てきている。まだ店内に煙は充満していないが、ストーカー男が火をつけた店外の廊下に出るのは無理だろう。火災の煙は上に向かう。階下にいる者は階段で避難出来ても、この階の者は逃げるルートがない。
「えっ?あ、す、スタッフは6人です!お客様があとお2人いるかと…!」
「わかった」
彼女の話で店内の人数を把握し、蓮は失神している男のえり首をつかんで窓際まで引きずってくる。蓮の出来る避難方法はひとつだ。
「つかまれ。アンタも」
窓を開けると澪とネイリストに言う。
「は、はい!」
ネイリストはまさか飛び降りるのかと驚きながらも、蓮の背から首に腕をまわす。
「えぇ?!ちょ、ここ6か…っい、きゃああぁあ?!!」
6階だろうが20階だろうが、蓮には関係ない。蓮はためらう澪を無理やり小脇に抱えると、窓枠に足をかけて飛び降りた。澪の悲鳴がうるさいと思いつつ、大人3人を抱えながら、軽々とビル前の歩道に着地する。
「消防…はしてるか。警察にも連絡」
「は…はい!」
蓮はポイッとスマホをネイリストに投げ渡す。
「は…っ?ちょっと、それ私の…っ!」
腰を抜かして立てない澪は、それがいつの間にか取られていた自分のスマホだと気づく。蓮は無視して地を蹴り、さっき飛び降りた窓へ跳び戻る。
「?!!」
澪もその場に居合わせた通行人たちも、その異常な跳躍力に驚愕する。蓮はこうした人並外れた力をあまり不特定多数に見せないようにしていたが、今は人命優先だ。6階に残っている、あと7人を避難させなければならない。迫る煙に背を屈め、店内へ走った。
「城野様、どうぞお納めください」
「どーも」
菊川家の邸宅。応接間の立派なソファーに座る蓮に、兄妹の父親の秘書だという男が分厚い封筒を手渡す。本当に最初に提示された金額の5倍の報酬が入っているようだ。
ビル火災はすぐにやって来た消防車によって、6階のネイルサロンを半焼しただけで無事鎮火した。唯一の怪我人、ストーカー男は放火と殺人未遂の現行犯でかけつけた警察官に逮捕された。
ひとりの犠牲者も出なかったのは蓮のおかげなのだが、蓮は全員避難させた後、腰を抜かした澪を抱えてサッサと現場を離れたので存在が公になっていない。
それから、野次馬が撮影した、蓮が人を抱えてビルから飛び降りる動画がネット上にあげられて話題になっていたが、あまりに人間離れしているのでフェイク動画ということで落ち着きそうだった。
「さすが城野蓮だな!俺が見込んだだけある!なぁ?澪!」
一部始終を聞いた宏樹は、自身の手柄かのように話す。
「…えっ?ま、まあまあじゃない?」
蓮はすすで汚れた服を新しく用意されたものに着替えさせられていた。ラフな若者らしい服装から、きちんとした大人っぽい雰囲気になっていて、ぽぉっと見惚れていた澪はハッとして取り繕う。
そんな兄妹に構わず、蓮は封筒を後ろポケットにねじ込むと立ち上がり、ドアに向かった。
「俺の妹、菊川澪(きくかわみお)だ。どうだ、美人だろう!未来の総理大臣秘書だ!」
応接間に通され、宏樹が自慢げに紹介したのは今どきの女子高生そのままの女の子。ふんわりカールの茶髪にぱっちりメイク、指定なのか疑わしい大きなリボンが付いた制服を着て、スマホをいじっている。
「美人なんて当たり前のこと、大きな声で言わないでよ、お兄ちゃん!」
「…」
スマホを操作しながら、照れるでもなく言う彼女を見て、兄と同類だと蓮は思った。
「アンタが城野蓮?」
澪は蓮に気づくとスマホから顔を上げ、まじまじと見つめる。
「…ふーん、悪くないね。じゃ、行こ!」
と、ソファーから立ち上がった。
宏樹からの依頼内容は妹、澪の身辺警護だ。彼女はここしばらくストーカー被害に悩まされているという。金はあるのだから、警察でもSPでも雇ってサッサと捕まえればいいと蓮は話したのだが、どうやらそのストーカーは直接的に害を与えてはこず、現時点で逮捕は出来ないらしい。だからといって、常に警察やいかついSP複数人に警護されているのはうっとうしくて嫌だとお嬢様がワガママを言い出し、見かねた兄がひと肌脱ぐことにしたのだ。蓮なら妹と同年代で単独行動なので、警護されているように見えないだろう。
どうやらお嬢様は蓮がボディガードとして頼れるかは置いといて、彼の容姿が気に入ったようだ。
「え?澪、出かけるのか?」
「うん、ネイル予約してるの」
「じょっ、城野!妹には触るんじゃないぞ!ストーカーを近づけさせなければいいだけだからなっ!」
「るせーよ」
焦って命じる宏樹に、頼まれても触らねーよと蓮はうっとうしがる。宏樹は妹が心配というより、正直、惚れている蓮を妹に取られることが嫌なのだが。
「澪、用が済んだらすぐ帰ってくるんだぞ!」
「はーい。わかってるよーお兄ちゃん!」
妹にも釘をさすが、澪は本当にわかっているのか否か、ヒラヒラと手を振った。
「あ~あ、ホントやんなっちゃう!」
あるファッションビル内のネイルサロン。澪はネイリストの女性に爪のケアをしてもらいながらぼやく。
「パパもお兄ちゃんも心配し過ぎなんだよね。ストーカーのひとりやふたり、いて当たり前だと思わない?」
と、退屈そうに個室の壁に寄りかかっている蓮に話しかける。澪自身はストーカーの存在をそれほど深刻に思っていないようだ。
「私、こんなにかわいいんだから!」
「お前もイタイな」
自分の容姿に相当な自信があるらしい。やっぱり似たもの兄妹だと蓮は思う。
「も?もって何?それに『お前』って言った?!私は依頼人だよ!『澪様』か『お嬢様』って呼びなさいよ!」
「…ふぅ~…」
「何そのため息?!アンタ、ちょっと顔がいいからって調子乗ってんじゃない?!報酬減らすからね!!」
「ブーメランだな」
「はぁ?!どういう意味?!」
キィキィと怒鳴る澪を冷ややかに見ながら、仕事を引き受けるんじゃなかったかと後悔する。
「嫌なヤツ!アンタ彼女も友達もいないでしょ?!」
「またブーメランか」
「はぁ?!」
「お前もだろって」
「そっ、そんなワケないでしょ?彼氏は日替わり出来るし、友達なんて数えきれないくらいいるし?あ、アンタはどうなのよ?!」
図星だったのか、澪は歯切れが悪くなって蓮をにらむ。
「友達はいる」
蓮は懐かしむように目を伏せてから、ふっと柔らかく笑む。無表情や仏頂面でない初めて見る蓮の笑顔に、澪は思わず見惚れていた。
「…ふ、ふん…どうせろくなヤツじゃ…」
ハッとして意地悪く言い返そうとした時、ビル内の火災報知機がけたたましく鳴り響いた。
「きゃあ?!何っ?!」
澪は飛び上がるほど驚き、ネイリストも驚いて手を止める。
「火事だ」
「ええぇ?!!」
煙と油のわずかな臭いを感じた蓮が平然と言い、ふたりはさらに驚愕する。
「澪ちゃん…」
「?!」
そこへ、個室のドアが開き、20歳前後くらいの男がゆらりと入ってくる。ドアが開いたことで焦げたような臭いが強くなり、澪とネイリストもこのビルで火災が起きていると確信する。
「あ!アイツ…っ!」
澪はその男に見覚えがあるようで、顔をしかめて立ち上がる。
「澪ちゃん…誰だよ、そいつ…?浮気は許さないって言ったよね…?」
男は蓮を指し、ゆらゆら近づいてくる。手には包丁を持ち、目つきが完全に正気を失っているように見える。
「お前のオトコか」
「違う違う!!アイツがストーカー!!」
澪は青ざめ、のんきなことを聞く蓮の背に慌てて隠れる。
「澪ちゃん…僕という彼氏がいながら…浮気するなんて…ひどいよ…」
「アンタみたいに気持ち悪い男、彼氏でも何でもないって言ったでしょ!!」
男からも煙と油の臭いがする。澪を勝手に慕う彼が盛大な思い込みと逆恨みをし、ビル内に火をつけて心中するつもりかと、蓮は大体の流れを察する。
「アンタ、強いんでしょ?!早くやっつけて!!」
「報酬、減らすんだろ」
急かす澪に、しれっと言ってやる。
「えっ?!うそ、嘘だよ、そんなの!報酬ならパパに頼んで倍にしてあげるから!!」
「5倍」
「ご…っ?!」
ここぞとばかりに法外な請求をされて澪はぎょっとするが、煙が天井を這って個室に入ってきている上、包丁を握った男もジリジリ近づいてくる。
「わっ、わかった!5倍でもいいからぁ!早く!!」
命にはかえられない。涙目になってうなずき、蓮の背にすがる。
「ん、成立」
蓮はニヤっと笑い、澪の前から消えると同時にストーカー男の目の前にいた。
「澪ちゃ…んがっっ?!!」
男は蓮を認識したか否か、次の瞬間には首に一撃をくらっていた。包丁を落とし、床にくずれ落ちる。
「す、すご…」
想像以上の早わざに、澪は呆然と蓮を見つめる。
「ここ、最上階だよな。他に何人いる」
蓮はベルが鳴り続ける廊下をのぞきながら、ネイリストに聞く。廊下には2、3人のスタッフらしき者がおろおろと出てきている。まだ店内に煙は充満していないが、ストーカー男が火をつけた店外の廊下に出るのは無理だろう。火災の煙は上に向かう。階下にいる者は階段で避難出来ても、この階の者は逃げるルートがない。
「えっ?あ、す、スタッフは6人です!お客様があとお2人いるかと…!」
「わかった」
彼女の話で店内の人数を把握し、蓮は失神している男のえり首をつかんで窓際まで引きずってくる。蓮の出来る避難方法はひとつだ。
「つかまれ。アンタも」
窓を開けると澪とネイリストに言う。
「は、はい!」
ネイリストはまさか飛び降りるのかと驚きながらも、蓮の背から首に腕をまわす。
「えぇ?!ちょ、ここ6か…っい、きゃああぁあ?!!」
6階だろうが20階だろうが、蓮には関係ない。蓮はためらう澪を無理やり小脇に抱えると、窓枠に足をかけて飛び降りた。澪の悲鳴がうるさいと思いつつ、大人3人を抱えながら、軽々とビル前の歩道に着地する。
「消防…はしてるか。警察にも連絡」
「は…はい!」
蓮はポイッとスマホをネイリストに投げ渡す。
「は…っ?ちょっと、それ私の…っ!」
腰を抜かして立てない澪は、それがいつの間にか取られていた自分のスマホだと気づく。蓮は無視して地を蹴り、さっき飛び降りた窓へ跳び戻る。
「?!!」
澪もその場に居合わせた通行人たちも、その異常な跳躍力に驚愕する。蓮はこうした人並外れた力をあまり不特定多数に見せないようにしていたが、今は人命優先だ。6階に残っている、あと7人を避難させなければならない。迫る煙に背を屈め、店内へ走った。
「城野様、どうぞお納めください」
「どーも」
菊川家の邸宅。応接間の立派なソファーに座る蓮に、兄妹の父親の秘書だという男が分厚い封筒を手渡す。本当に最初に提示された金額の5倍の報酬が入っているようだ。
ビル火災はすぐにやって来た消防車によって、6階のネイルサロンを半焼しただけで無事鎮火した。唯一の怪我人、ストーカー男は放火と殺人未遂の現行犯でかけつけた警察官に逮捕された。
ひとりの犠牲者も出なかったのは蓮のおかげなのだが、蓮は全員避難させた後、腰を抜かした澪を抱えてサッサと現場を離れたので存在が公になっていない。
それから、野次馬が撮影した、蓮が人を抱えてビルから飛び降りる動画がネット上にあげられて話題になっていたが、あまりに人間離れしているのでフェイク動画ということで落ち着きそうだった。
「さすが城野蓮だな!俺が見込んだだけある!なぁ?澪!」
一部始終を聞いた宏樹は、自身の手柄かのように話す。
「…えっ?ま、まあまあじゃない?」
蓮はすすで汚れた服を新しく用意されたものに着替えさせられていた。ラフな若者らしい服装から、きちんとした大人っぽい雰囲気になっていて、ぽぉっと見惚れていた澪はハッとして取り繕う。
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