親子ほど歳の離れた異性に恋に落ちたことはありますか?

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第21話

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その日の夕方、朋美さんは先に退勤して、僕も片付けを全て終えて退勤した。駐車場の車に乗る前に朋美さんに電話をかけた。

「もしもし、朋美さんお疲れ様です。ちょっと話したいことがあるので今から行ってもいいですか?」

「そんな遠慮することないでしょ?自分家に帰ってくるみたいに来たらいいじゃない」

「はい、それじゃすぐに向かいます」

電話を切ったあと、僕は真っ直ぐ朋美さん家に向かった。朋美さん家に上がり込んで小さなテーブルの前に腰を下ろし、朋美さんと隣り合わせに座る。

「朋美さん…ご飯はもう済みましたか?」

「ううん、和ちゃんがどうするか分からなかったから待ってたわよ。どうする?」

「じゃあ、お寿司とかどうです?僕が持つんで」

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えるわ」

僕らは安い回転寿司でボックス席に着いた。お寿司を一通り注文してから本題に入る。

「あの…朋美さん…気付いてましたか?今日のパートさん方の態度…」

「えぇ、何か凄く嫌な空気だったよね。私達のことを凄く観察してるような…何か噂されてるような感じで…」

「気付いてたんですね?てっきり僕はあの時朋美さんが何も感じて無くて、普通に僕におやつを勧めて来たのかと思ってヒヤッとしました」

「あれだけあからさまにジロジロ見られたらどんな鈍い人でも気付くじゃない!」

「そ…そうですよね…」

「いったい何が起こったのかしらね」

僕は昨日の梅田さんとの件を話すべきか、それとも伏せておくべきか悩んだ。もし朋美さんがそれを知ったらきっと凄くショックを受けるだろう…例えやましい気持ちが無かったとしても、他の女性と会ってたことじたい面白いわけがない。朋美さんの気持ちを考えるととてもじゃ無いけど言えやしない…
僕は軽い気持ちでなんて浅はかなことをしてしまったんだろうと後悔している。

しかし、朋美さんは後に僕のそんな後悔をはるかに上回る裏切り行為をしてくるとは、今この段階で予想するにはあまりにも現実離れしていた。


注文したお寿司が回って来て、朋美さんの食事する姿を然り気無く覗いてみる。それは上品な振る舞いだが、時折唇に付いた米粒を舌でペロリとするしぐさがあまりにも可愛くて見とれてしまう。

そんな僕の視線に気付いた朋美さんが恥ずかしそうに

「ちょっと和ちゃん、食べてるとこあんまり見ないでぇ!」

朋美さんは少し頬を赤らめながら照れ笑いしている。

僕は気を取り直して切り出す。

「朋美さん、僕は心配なんです!朋美さんが他のパートさん方に白い目で見られて、耳を塞ぎたくなるようなことを沢山言われたりして…周りの皆が朋美さんに冷たい視線を送るんじゃないかと…」

僕は真剣に心配して言ったのだが、朋美さんの口からは意外にもポジティブな言葉が返ってきた。

「ねぇ和ちゃん、そんなに気に病むようなことじゃないと思うの。しょせん人なんて噂話が好きなもんなのよ。つまらない退屈な毎日に、何か面白おかしく喋れるネタがあればそれで十分なの。ただ単に言いたいだけ!だから放っておけば良くない?人の噂も七十五日っていうじゃない?」

僕の心配は杞憂(きゆう)に終わった。やっぱり朋美さんは僕の想像以上に大人なんだと実感させられた。

「朋美さんがそれで良いのなら僕は全然大丈夫なんですけど…なんか拍子抜けしちゃいました」

「それに、何が原因であんなに空気が悪くなったのかわからないし…私何かしちゃったかしら?」

そうか…僕は梅田さんとの件があるから状況が掴めてるけど、朋美さんには思い当たる節が無いんだ!
僕はあえて何も知らない振りを通すことに決めた。

「いえ!朋美さんに限っては無いでしょう!きっと何かの思い違いで話が一人歩きしてるんですよ!きっと…」

「そうよね?きっとそうよ!どっちにしても気にしないのが一番!」

朋美さんの明るい表情と声に、逆に僕が励まされたような気がする。僕の心の憂鬱は一変、急に空が明るくなったかのように晴れやかになる。
僕達は食事を終えて店を出て車に乗り込む。朋美さんのポジティブな考え方に、つまらないことで気にするのは止めようと思い直し、凄く心が軽くなって気分が良くなったので、僕はそのまま家に帰ることにした。

「朋美さん、今日は気分が落ち着いたからこのまま朋美さんを送って帰りますね」

「あら、そうなの?そうね、もうすっかり遅くなったし明日も和ちゃん朝早いしね。わかった、じゃあ送ってくれる?」

「もちろん!あの…朋美さん?」

「ん?どうしたの?」

僕は照れ笑いしながら言った。

「朋美さん、大好きです!」

「なぁに?やだぁ、もう!」

朋美さんも照れ笑いしながら顔を手で覆っている。
こんな何気ない時間も、僕達には至福のひとときだった。


それから数週間、パートさん方のいやらしい視線の集中豪雨は続いたが、朋美さんの言う通り次第にその視線は無くなって行った。ただ一人を除いては……
梅田さんは、すれ違う度に嫉妬とプライドを傷つけられたと言わんばかりの怒りに満ちた怖い目付きで僕を睨んでくる。
しかし僕はそれをあえて無視し続けた。

そんなある日を境に朋美さんの様子が少しずつ変わっていくような気がして、僕は朋美さんに対して違和感を感じるようになる。
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