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EX:第18話裏 その初めての朝を迎えるために(ゼファクロ)
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叔父から、大事な話があると書状があり、セシリアとその伯母たちは、小さな会議室で王の到着を待った。
そうして迎えた叔父の相貌は、いつになく緊張していた。セシリアは正直に驚いて、だが淑女らしい挨拶だけをした。
「珍しいこともあるものだ。こちらから呼び出さねば王都に来ぬというのに」
「此度の件は、姉上たちとセシリアに、まとめて話さねばならぬ件だったもので」
伯母テミスが嫌味混じりに聞けば、淡々と叔父は返す。直接に話さねばならぬと考えたのだろう叔父のその用事がわからす、セシリアにも緊張が伝染する。
「あら……近い血族まとめてというなら、婚姻や後継に関わる話かしらね、陛下」
「ええ」
穏やかに問いかけた伯母ベラの指摘は正しく、静かに頷く叔父の声に、セシリアの緊張は高まる。
叔父の婚姻や後継と言うなら、皇太女であるセシリアに、もっとも関係する話である。
「セシリア、いずれ王として立つ覚悟は変わらないか」
「……はい」
改めて問われたそれに、セシリアは努めて声が震えないように答えた。
「わかった。ならば任せる。私は後継を残さん」
「は……、いえ、叔父上、そのような配慮を」
「配慮ではない。私が伴侶に望む相手が男なのでな」
思いも寄らない叔父の宣言に、セシリアは驚いた。
だが、同時に思い浮かぶ青年の顔がある。
「あら……あらあら、陛下。勘違いでしたら、申し訳ないのだけれど……それは、ユーノヴェルト辺境伯、かしら?」
伯母ベラもまた、同じ青年を思い浮かべていたようだ。あの青年と共にある時、叔父は本当に穏やかになるものだから。
「……お気づきでしたか」
「本当か?お前の一方的な恋慕ではなく、あの俊才も、それを了承してのことか?」
「想いとしては、確かめ合ってのことですが」
「……信じられんな。だが……、もし本当に、そうであるなら」
テミスの言葉はまだ疑うものだった。だが、同時に薄っすらと祝福も滲んでいた。
「決して逃がすな」
「ええ、そうね。陛下、逃がしちゃだめよ」
「ずいぶんと強い口調でおっしゃる」
「だって、ねぇ?」
「ああ」
「私も、決してお離しにならない方がよいかと思います」
「セシリアまで言うか」
苦笑で笑った叔父の、言葉尻が甘い。もちろん最初からそのつもりだと、そう告げるように。
「お前についていける人間など、あのユーノヴェルト辺境伯を置いて他にはいないだろう。だから離すな」
重ねて言ったテミスに、ベラもセシリアも強く頷いた。
離すわけがない、決して。
クロードを寝台に導きながら、ゼファーは姉たちと姪とのやりとりを思い出していた。
腕の中に収まったクロードの、長い長い脚が揺れる。ずいぶん腕から余るようになった。
二年前は、抱けば折れるような体だった。それが今や、美丈夫と呼ぶに相応しい均整の取れた肉体をしている。
これを今から、暴く。クロードも許して、求めた。ならばもう、躊躇うことなどなかった。
再会のあの日。クロードの巡礼の旅が終わったあの日、病の熱を持ったクロードを休ませ、今日まで待った。
体調を整え、道理を整え。
空想で組み敷いた体ではなく、ようやく本物のクロードと肌を合わせることが出来る。
「クロード」
ゆっくりと、クロードの体を寝台に降ろす。
もうすっかり首まで赤く染まったクロードの顔が、愛おしくて、愛おしくて。
ゼファーはクロードを抱き寄せた。その巨躯が、長い腕でクロードを閉じ込めるように抱きしめ、その唇にかぶりつく。
舌を絡ませるキスに、慣れぬクロードが追いすがる。その指先の強さも愛おしかった。
「…っふ、…ん、ん………」
「クロード、クロード…」
二年の間、大事に待ち望んだ愛が、戻ってきた。慣れぬ忍耐で自由にした愛が、自らその腕に飛び込んできた。
二年前、熱情のまま肌を暴こうとして思いとどまったその手が、続きを求めてクロードの服の上を這う。
「クロード……、自分で脱いで、私に今のお前を見せてくれ……」
「は、い……」
とろり、と溶けた目で、クロードは頷いた。
そうしてクロードは、自身の赤いリボンタイを解いて見せた。鎖骨まで紅潮した胸元が露わになる。
それが、誘い方も満足に知らないクロードの、精一杯であった。
だが、ゼファーにとって、それで十分だった。
誘われるままに、首筋に吸いつく。
「ん…っ」
「クロード、全部、全部だ。見せて、くれるな」
「っはい………、あ、の……陛下、も」
「ああ……」
恋人の求めにゼファーは頷く。恋人、そう、恋人だ。
あの美しい業火を率いるこの男が。お慕いしています、と柔らかく笑ったあの少年が。恋人、なのだ。
すべてあなたのものにしてください、と言った、この青年が。
これほどの幸福があるものか。その実感に陶然とするゼファーに気付いているのかいないのか、クロードの視線が密やかに向いて伏せてを繰り返す。
未だ誰とも肌を合わせたことなどない、と告げたこの青年にとって、恋人の肌を直視するのは躊躇われることなのだろう。生娘のごとき反応に、ゼファーの劣情はぐらぐらと茹で上がる。
さすがに聖人君子とまでは思われてはいないだろうが、いくらかクロードから夢見がちな印象を抱かれているという自覚のあるゼファーは、平静を取り繕った。敢えてそうしなくとも、それほど表情に出る性質ではなかったが。
そうして互いに衣服を取り払って、対の神剣は揃えて枕元に。
「クロード」
「……は、い……」
名を呼んで、裸体となったクロードの体に乗り上げてキスをする。先ほどからクロードの名ばかりを呼んでいる。
緊張を、している。
ゼファーにとって性行など数える気も失せるほどの経験がある。だが、今日この時、クロードとの初めての素肌同士の夜、クロードにとって誰かと肌を合わせる初めての夜というのが、この王をらしくもなく緊張させた。
「触れて、いいか」
「陛下の…お望みの、ままに」
震えた声でそう答えるクロードの顔が赤い。まだキス以上のことは何もしていないというのに、興奮と緊張で、潤んだ瞳には震える睫毛の影さえ落として。
下劣な衝動的な欲望と、愛おしさで大事にしてやりたい気持ちがせめぎ合う。この純情な男が知りもしない卑猥なことをしてやって、羞恥と快感で泣き喚させて、そしてそれを全て食らってしまいたい。
ゼファーの欲望など知りもせずに、クロードは撫でるだけの愛撫を、ただただ睫毛を震わせて受け入れた。
十分に戦士の体だった。だが本来成長するべき時期を逃したせいか、その武勇を思えば線の細い印象がある。
なすがままのクロードが、おずおずと手を伸ばして、ゼファーの右腕に伸びる。
あの魔竜との戦いで、一度は完全に千切れたその場所を。
「気になるか」
「あれから……なんともありませんでしたか」
「そうだな……お前を想って、自分自身を慰めるのに、支障がない程度には」
意地の悪い答え方だ、とわかっていながら、ゼファーは言った。
浮かれて、いるのだ。
その年にしては泰然としているゼファーですら、恋の前では冷静ではなかった。あの業火のごとき苛烈さでゼファーの魂を灼いた少年が、その輝きを失わぬまま美しい青年となって、ゼファーを求めている。
愛情に飢えていた王が、舞い上がるのは至極当然であった。
ゼファーの言い回しを、すぐには理解出来なかったのだろうクロードの顔が、しばらくしてじわ、と汗を浮かべた。
「そ、それは、その……」
「男ならば、わかるだろう。……それとも、まさかとは思うが、自分でも触れたことがないのか」
「……まさか」
「そうか」
小さく笑って、ゼファーはクロードに口付けた。
口付けの狭間に、名を呼ぶ。何度も、何度も。
「っふ……、陛、下……」
「クロード。名で呼べ」
「っ、ん、ぅ……ゼ、ファー……」
快感の色の乗ったクロードの声が、ゼファーの名を呼ぶ。何度も夢想した。だが、本物からもたらされる興奮は、想定を遥かに超えた。
舌を差し込んで、小さな口を隅々まで愛撫してやる。食事をしていた時からゼファーは思っていたが、クロードの口は人に比べて小さい。
その小さな口で一生懸命ゼファーの分厚い舌を受け入れているのだから、たまらなかった。
「…っ、ふ…、ん、ぅ……」
何度も擦るように舐めてやれば、次第にクロードの声が甘く溶ける。いつもの、掠れているのに明瞭なよく通る声が、吐息に淡く滲んでゼファーの情欲を煽った。
初めて見る顔だ。唇を離して、ゼファーは見惚れた。星のごとき輝いていた瞳は、今や夕焼けの波間のように揺れ、その視線にたしかに快楽を乗せている。
ゾクゾクと肉欲が湧き上がるのを感じながら、ゼファーはクロードの頬を撫でた。
「慣れぬな」
「初めて…なものですから…」
「いくら私でもいきなり挿れたりはせぬ」
「そ…ういうものなのですか。その、本当、に経験がないもので……」
クロードの言葉に、ゼファーはずく、と自身の下半身が重くなるのを感じた。知ってはいたが、改めて告白されると、初夜である、というのが強く意識されて、劣情は簡単に熱を上げた。
「本当にここを、誰にも触らせていないと?」
「…っ!」
ゼファーは無遠慮に、クロードの股間に手を伸ばした。ほんの指先が触れただけで、クロードの息が詰まる。
恋人などいたことがない、というクロードの言葉を疑っているわけではない。ただただ、ゼファーが言わせたいだけだった。
「…、…」
「クロード」
芯をもって固くなり始めているそれを、意地悪く指先で捏ねれてやれば、熱い吐息が漏れた。
「……っ、空想の、あなた以外には、誰も」
そうして、快楽に薄ら涙さえ浮かべたクロードは白状した。ゼファーを喜ばせるものでしかないその言葉は、震えていた。
誰にも知られていない秘密だったろうそれを、ゼファーだけが知っている。
「…ふ、ふふ」
ぐい、とクロードの肩を押し、その体をベッドに押し付ける。そうしてクロードの上に、ゼファーは下半身を擦り付けるようにして、乗り出した。
熱と熱が触れて、クロードも気づいたのだろう。驚いたように目を見開いて、そうしてふるりと睫毛を震わせた。
「それは、妬けるな」
「…っ陛下、」
「お前の空想の私は、どうやって触れた?」
手の平で陰茎を包みこんでやりながら、ゼファーは意地悪く聞いた。この高潔で誠実な男に、淫猥な告白をさせたい欲求が止まらなかった。
「…っ陛下、不敬をお許しください…っ」
「許す。言ってみろ、クロード」
すり、と撫でる手つきをしながら、ゼファーはクロードの額に口付けた。
気を抜けばすぐに尊称に戻る呼び名を、いつか自然と自分の名前にしてやろうと思いながら。
「…っ直接、触れて、撫でて……」
「ああ」
羞恥で涙を堪えるクロードを、口付けでなだめてやりながら、ゼファーはクロードのゆるく勃起した陰茎を、言葉の通り素手で触れてやる。
クロードの息が詰まる。
「…っキスを、しながら、僕が出す、まで、握って……」
「……お前の想像の私は、ずいぶんと大人しいな」
「え…、っん、ぅん、ん……っ」
驚いて唇を開いたクロードに、舌をねじ込むキスをして、すでに劣情で反り上がった自身の雄の徴を、クロードのそれに擦りつける。
「へ、いか……っ」
「私が、空想の中で、どのようにお前を犯し汚したか、教えてやろうか」
「んっ、んぅ……っ」
ゼファーは、二人分の雄を一緒に握り込んで、クロードの耳元に顔を寄せると、吹き込むように告げた。
自覚するほど淫猥で、肉欲に塗れた下劣な声で。
「こうやって互いのものを握り込んで、お前の腹の上で撒き散らして、胸に、腹に、尻に、脚までドロドロに濡らしてやった」
「っん、ふ、ぅ、う…っ…」
「時にはお前のその小さな口に咥えさせる妄想をしたこともある。我ながら情けないことだが、あれは幾分も保たずに出した」
「んんっ!ん、ん…っ!」
喉でくつくつと笑い、ゼファーは大きな手で握り込みながら、長大な陰茎で擦ってやる。クロードの焦点がゆらゆらと揺れ始める。
ぬちぬち、と互いの先走りが漏れて混じり、互いの快感をいや応なしに伝えていた。
「それから、ここを」
「!ん、ぁ…っ!」
熱い塊が尻たぶの合間に滑り込んで、クロードの目が驚愕で開かれる。
「拓いて、突いて、泣き縋るお前を犯した。……クロード、私はな、そういう男だ」
「…っん、…ふっ……」
「幻滅したか?」
「いい、え……」
陰茎を擦りつけられながら、クロードは戦慄く唇で、それでも言葉を紡いだ。
真っ赤に熟れた頬も、とろりもと溶けた眼差しも、空想しきれなかった色気を帯びて、ただただ真っ直ぐに、ゼファーに向けられていた。
「僕、は……全部、あなたの、好きに、されたい……」
そうしてクロードは、誰のことも知らない体を明け渡すように、脚を広げ、腕を広げてゼファーの体を迎え入れた。
「……お前はまったく、恐ろしいことを言う。そのような睦言を囁かれては……離してやれなくなる」
「陛下のお気に召す内は、どうか、お側に置いてください」
眉を下げて笑ったクロードに、ゼファーは堪らずキスを落とす。舌を捩じ込んで、健気に応えようとする薄い舌を吸い上げて、唾液を混ぜ合うキスに夢中になった。
ゼファーはゆっくりと、その唇を下へと落としていく。首筋、鎖骨、胸、腹、そして。
「…っぁ、あ、あ、」
太ももに吸い付けば、クロードの堪えた甘い声が漏れる。
クロードの立ち上がった陰茎がとろりと雫をこぼし、ひそやかに揺れている。
ここを愛してやったら、もっと甘い声で啼くのだろう。
そう思ったら、やらぬ理由などなかった。
大きく口を開けて、クロードの股座に顔を沈めようとしたゼファーを、震えた手が止めた。
「陛下!そのようなところを!」
「好きにされたい、と言ったのはお前だぞ、クロード」
「ですが……っ!」
力の入らぬ制止をものともせず、ゼファーはそのまま、クロードの逸物を口に含んだ。
「だめ、だめです、陛下、ぁ、あ!」
クロードの長い指が、ゼファーの髪を滑る。まるで撫でられているようなそれに、充足感があった。
制止の声を無視して、ゼファーはしゃぶってやりながら、ぐぐ、と抵抗しようとする太ももを開いた。
「っぁ、あ!陛下、陛下、ぁ」
「…たまらんな」
「ふ…………、んぅ、う…っ」
開かせた足に指が食い込むほどに、がっちりと押さえ込んで、ゼファーはクロードの陰茎を根元まで咥える。じゅう、と口の中で絞ってやれば、クロードの腰が震えた。
何度も何度も絞って、舌で撫でて、そう繰り返している内に、クロードの腰が堪らずに揺れ始める。ゼファーは陶然とした。誰も知らぬ体が、自分の手の内の堕ちてこようとしている。
「っはぁ、は、ぁ…あ…っ、んぅ、ん…っ、んっ」
王の蛮行を止めようとしていたクロードの手は、すでに縋るものに変わっている。ビクビクと震える指先が、快感の頂点が近いことを告げていた。
ただただ性欲に支配された腰が射精を求めて揺れるのに任せ、ゼファーは足を開かせる腕の力を緩めた。もはや強制する圧力もないのに、クロードの足は快楽に負けてただただベッドに爪を立てるばかり。
堕ちてこい。
ゼファーはゾクゾクと背筋を震わせた。もはや快楽に身を捩らせるクロードは、空想の存在ではない。空想では得られなかった匂いと吐息の熱さを振りまいて、ここに、ある。
「ん…っ、ん、ん、ん…っーー!!」
極まった抑えたうめき声と同時に、クロードの背が快楽から逃げようと反り返る。ゼファーの口にドロリと生臭いものが広がった。
じゅう、と吸ってやれば、クロードの腰が跳ねて太腿が震える。
「…っ、ぁ、ふ…、ぅ、へ、いか…、……」
ビクビクと体を震わせて余韻に浸るクロードの顔を、ゼファーはじっと見た。クロードの顔はいっそう溶けて、汗ばんだ額に前髪を張り付けていた。
かつてアレストの炎を恐れて冷や汗ばかりを浮かべていた額が、熱く熟れて色香を振り撒いていた。
本当に、よく育った。ゼファーは見せつけるように精を飲み干して、クロードの貴公子然とした相貌を視線で愛でる。
その顔が、カッと深紅に染まった。
「陛下っ、そ、そのようなものを……っ」
「ふ、ふ……本当に閨のことは何も知らぬと見える。安心しろ、お前にもやれとは言わぬ」
「しかし……っ」
「クロード、お前の義理堅さは美徳だが……閨のことでは、義理で返されたくはない」
ゼファーが固さを失ったクロードの陰茎にちゅう、と悪戯にキスをすれば、白い太腿が震える。
はぁ、と悩ましい吐息を吐き出したクロードの体の上で、ゼファーは身を起こして反り立った陰茎をクロードの腹へと押し付けた。先走りの淫液が、クロードの臍へと溜まる。
「心配せずとも全て教えてやる。閨での作法も、どうすれば私が悦ぶかも。急くことはあるまい。これからは、共にいる時間もとれよう」
「……はい。ですが、その……僕も、陛下に、触れたいのです」
ろくに裸もまともに見ることすら出来ていないというのに、そのような欲求を。
ゼファーは嗜虐の芽が出そうになるのを理性で抑えて、クロードの口の端に触れた。
「……ふむ。だが今この口に入れたなら、窒息させかねんな。……まったく、お前ときたら……喉の奥まで突き入れたくなる顔だ」
「少しの乱暴など、陛下にされるのならば、本望です」
「よせ。少しでは済まぬから言っている。ここを乱暴にされても快楽を覚えるようになったら入れてやる」
ゼファーの指先が、クロードの腔内に入る。巨大な体躯に見合った肉厚の長い指は、一本でもうクロードの口をいっぱいにした。その指が腔内を愛撫しすれば、慣れぬクロードは噎せてゴホゴホと咳を繰り返す。
「ゲホッ、も……しわけ、ありま、せ……」
「いいや。本当にお前が誰にも躾けられていない体と分かって気分がいい」
ここも、最初から全部、私が拓く。そう思えばゼファーの心はざわめく。すべて、すべて、この愛しい男の初めてになれる。そのことが、ゼファーの独占欲を満たし、そしてより欲深くさせた。
「クロード、今日はお前の腹の上を許してくれ。お前の薄い腹を……私の精で汚して、お前に私の匂いをつけたい」
「……はい……陛下……して、ください……」
答えを聞くやいなや、ゼファーはクロードの脚を掴んで抱え込んだ。
まるで挿入するような姿勢だったが、性交経験のないクロードにははっきりとその意図がわからなかったようだった。
ずるり、とゼファーの長大な陰茎が、クロードの太腿を出入りして、股から臍までを行き来する。
「……っ、陛、下、陛下、触れ、ても…構いません、か」
「ああ、触れてくれ、クロード。そしてしかと覚えろ。これを、いずれ、お前に挿れる」
「……っはい……」
クロードの両手が、ゼファーの陰茎に触れる。そうして包み込むように輪の形を取った手の平に、ゼファーは息を詰めた。クロードの手が、興奮で汗ばんでいる。夢にまでみた肌だった。
「……、ふ、はは…っ、く、保たんな、これは」
「っ陛下、陛下……お力に、なれて、いますか……?」
「ああ、ああ……お前の全てが心地よい……、クロード、クロード……っ!」
じっと、熱に浮かされた目で、クロードはゼファーの欲情しきった顔を凝視していた。その目にも煽られて、ゼファーの欲望は今にも弾けんとクロードの腹を突く。
抉るように腹を擦るゼファーの固い陰茎と擦れ合って、先ほど射精したばかりのクロードの陰茎も芯を持ち始める。
「くっ…………、は、は……、ふ……っ、……っ」
クロードも、欲情をしている。性欲など無縁そうな、この清廉が。
そう思えば、もう駄目だった。クロードの弾力のある太腿に挟まれ、ゼファーは陰茎の先端をクロードの臍辺りに押し付けて射精した。
どぷ、どぷ、と粘ついた精液はクロードの手を汚し、溢れてしばらく腹の上に留まった。
は、とクロードが詰めていた息を吐き出せば、腹の稜線は動いて、精液はクロードの体に纏わりつきながら、四方に流れ落ちていく。
その流れに感じたのか、クロードの再び勃起した陰茎がピクリと揺れる。
「……ふふ、若いな」
「す……いません、普段は、こんな……一度出せば、十分なのですが」
「はは、それは……名誉だな、お前をそれほど昂らせることが出来るとは」
射精したばかりだというのに、ゼファーの陰茎は鎮まる気配すらなかった。それどころか、恥じ入る様子のクロードに煽られて、より固く反り返るばかり。
「クロード、こちらへ。……共に気持ちよくなりたい」
「……はい」
だからこの夜は始まったばかりで、ゼファーはまだ、愛しい男の体温を感じていたくて、その体を自分の身体ですっぽり抱き込んで、しまいこんだ。
何も予習をせずにこの夜を迎える、と決めていたクロードだったが、やはり知識の一つや二つ得ていた方がよかったのではないかと目を回した。
どこを見ていればいいのかさえ、わからない。
恋人となった王の顔ははっきりと欲情を乗せていて、少し視線を下げれば逞しく美しい筋肉に覆われた身体があり。そうして、さらに目線を下げれば、大層立派な男の徴が天を衝くようにそびえ立っていた。
それが興奮のためだということぐらいわかっている。わかっているから余計に、目が回った。触れたい、と想っていてくれているところまではわかっていた。だがこれほどまでに性器を昂らせるほど、求められていたとは。
目を回している間に、夜は深まる。
ゼファーに背を預けて抱き込まれれば、クロードの上半身は完全にゼファーに覆われる。つむじにキスが落とされて、クロードは思わず身を震わせた。
そうして、丁寧に体の位置を整えられて、整った時には股の間からゼファーの陰茎で自身のそれの裏筋を擦られ、クロードは息を詰めた。
全然、違う。今さらながらにじっと王の陰茎を眺め見て、クロードは自身のものと見比べた。太さも長さも色も、自分のものとは全然違う。くらくらとした。
「クロード、手を貸してくれ」
「は……い……」
クロードがゼファーのものに視線を釘付けにしていれば、当の本人から促す声が掛かる。
ゼファーの手が、クロードの手に絡む。恋人でしかあり得ない絡ませ方で、指の間の水かきの部分に潜ってきた指は、するりと滑り、関節の辺りでクロードの手を捕まえた。それも、両手を。
クロードとて手の小さい方ではない。だがゼファーのものと比べれば、凡庸な大きさであった。すっかり大きな手に繋がれ、まるで少年に戻ってしまったような心地さえあった。
だが、ゼファーはクロードの手を、到底少年の手では触らせない場所へと導いた。
二人分の陰茎を、二人の両手が包み込む。ひゅ、とクロードの喉が鳴った。触れられて触れてくっついて。その視覚情報だけで、クロードの感じやすい脳は震えて身体に快感を送り出す。
「…っぁ、あ……っ」
「まだ触れただけだぞ」
耳元でゼファーが低く甘い声で囁く。ぞくぞくと背筋を快感が走り、クロードは口を閉じることも出来ずに息を荒くした。
陛下、陛下に触られて、いる。本物の、本物の陛下に、本当に、触られて、いる。
その事実だけでもう、クロードの意識は最初からずっと興奮して止まらなかった。陰茎を口に含まれた時も、陰茎への刺激自体よりも、ゼファーがそれをしている、という事実に追い立てられた。
「拓きがいのある、感じやすい身体だ」
「あな、た、だから……」
ゆっくりと、ゼファーの手が上下する。クロードの手もそれに導かれて、ゆっくりと陰茎を擦りはじめた。
とろとろと快感に負けて、陰茎から先走りが雫を作って、溢れる。クロードのものも、ゼファーのものも。淫液は二人の手の間で混ざり合い、その温度を同じにした。
クロードは、手でこんな風に簡単に気持ちよくなったことなどなかった。それは単純にクロードの自慰が壊滅的に下手ということを除いても、ゼファーとしている、その事がクロードを快感に追いやった。
まるで頭の中に火花が散っているようだった。
「っは、…は、ぅ、はっ、ぁ……」
「クロード、クロード……っ」
ゼファーが堪えた声で名を呼ぶたびに、小さく電流が走るようだった。まるで内側から、クロード自身すらも知りもしない性感帯を、撫でられているようだった。
名前を呼ばれるだけで、息を吹きかけられるだけで、気持ち良くて止まらなかった。視線を落とせば、止めどなく溢れる先走りが二人の手を濡らして、もう濡れていないところなどないほど。
混ざり、合っている。
もう口を閉じていることも出来なかった。たらり、と口の端から涎が滴り落ちて、分かっているのに、クロードはただそれを知覚することしか出来なかった。
みっともない、顔を、している。
見えもしないがそう思った。けれど、ゼファーが見えていないのは分かっていたから、取り繕おうとする理性も働かずに、ただただ、クロードは快感のままに表情を溶かした。
「っぅ、う、うぁ、ふっ」
「クロード、堪えるな、イけ」
ゼファーの声が吹き込む。
言葉を知りもしないのに射精を促されていることだけはわかって、クロードの頭がビリビリと痺れた。
して、いる。陛下と、いやらしい、ことを。いやらしく触れて、いやらしく言葉で責めて。そう思ったらもう、脳が身体を追い立てるのを抑えきれなかった。
ゼファーが触れたところ全部痺れて、身体すべて、恋人が与える快感に屈服してしまえと、脳が命令をする。
「で、出る、出ます、陛下、陛下…っ」
「っふ、はは、ああ、私も……」
ゼファーの堪えて掠れた声が、耳をくすぐって、それが最後の一押しになった。
震えて射精した陰茎のびくびくした痙攣が、自分の物が恋人のものかも分からない。
恋人。そう、恋人なのだ。ずっと慕っていたこの人が、低く甘い、色っぽい声で自分の名を呼ぶ、この人が。
夢みたいだ。
そう思うクロードの口から、だらだらと涎が落ちる。全身気持ち良くて、ただただそれしか分からなかった。
背中からゼファーの体温が離れて、とすりとベッドに横たえられる。そうして、最初と同じ姿勢に戻れば、クロードを見下ろす金の瞳があった。
綺麗だ。
劣情にギラギラ光る目をも、クロードはそう思った。金の瞳も、汗ばんだ身体も。この身体で僕に触れてくださったんだ。頭が茫洋とする。幸福で、どうにかしそうだった。
ゼファーがぎゅうと眉間に皺を寄せ、唇を吊り上げて笑った。そんな顔も色っぽいな、とクロードはぼんやり思った。
「……ずいぶんと、乱れてくれたようだな?」
ゼファーは獰猛に笑う。まだ食い足りないと、獣の声色で。
そのゼファーにも見惚れて、クロードが言われた意味を理解したのは、常の聡明を思えばずいぶんと遅かった。
「あ……、あ、お見苦しい、ものを……」
クロードは焦って自分の顔を両手で隠す。べちゃり、と混じり合った精液がクロードの顔に、髪にまとわりつく。やってしまった。不慣れ故の失敗に、クロードはさらに焦った。だが恋人は酷く上機嫌そうに喉で笑った。
「見せろ、クロード。妄想のお前ではもう足りん」
「陛、下……」
空想で、この恋人は自分を犯したという。言葉一つで夜伽相手などいくらでも用意できる、この恋人が。だから、恋人のお願いに、クロードは逆らえなかった。いじらしく自分を待ち続けた、恋人の願いなのだ。
ゆっくりと、ゼファーの手が、クロードの手首を掴んで開かせる。どこまでも優しい手つきで、クロードの乱れてみっともない顔を、暴く。
「……っは……」
「ひどい、ものでしょう……」
「……それに興奮する私の方が、よほど酷い」
「は…、っぁ、ん、ん…っ」
ゼファーの言葉を理解しきる前に、唇に舌を差し込まれて、クロードは喘いだ。ぐちゅぐちゅ、と口の中で卑猥な水音が絶えず起こり、恋人の興奮を伝えてくる。
掴まれた手首を抑えつけられて、ベッドに縫い付けられる。深いキスに目を回していれば、ゼファーの指先が滑って、クロードの手の平、指の間、指先を何度も撫でて擦った。互いに、精液まみれの手で。
まるでそこで交接しているかのようだった。
「ふ、ふ……いつか顔に掛けてやろうとは思っていたが、自ら擦り付けるとはな」
「そ、粗忽な行い、でした……」
「そのような不慣れ、閨では可愛げでしかないがな。クロード。全部私に、見せてくれるな?」
「……陛下が、お嫌でなければ」
「嫌なものか。ずっと焦がれていたお前を、私の手で乱せるのだぞ。見たくないわけがあるか」
「ん、ん……っ」
そうしてまた、深いキスを落とされて、クロードは再び愛欲の波に攫われた。舌で撫でて、唾液を交換し合って、クロードが苦しそうにすれば、手慣れた年上の恋人は、クロードの顔についた精液を舌と唇で舐め取った。
そうしてまた呼吸が整えば、舌を入れるキスでクロードの口の中をいっぱいにした。意識がぼんやりするほど、何度も何度も繰り返されて、クロードは絶対に人に見せられない顔をしている、と思うのに、少し顔を離したゼファーが獣の顔で笑うから、その興奮が嬉しくて、捧げてしまおうと思うのだ。
当然、ゼファーの興奮は、クロードの唇と顔だけでは収まらなかった。
額に、耳に、首筋に、そうして鎖骨に。ゆっくりと長く吸い付くキスをしながら、ゼファーの唇が、クロードの身体を降りていく。
「んん……、ふ……っ」
堪らずクロードが身じろいで喘げば、くつくつとゼファーは笑う。
胸元には何度も場所を変えて吸いつかれ、乳首には特別長く吸いつかれた。その間もう片方には精液の残る指先で愛撫されて、感じるわけでもないのにクロードは息を詰めた。
吸い付くのが終われば、舌で舐め上げられて、もう片方も。
その頃にはもう、クロードの陰茎は十分に勃起しており、ゆらゆらと腰が揺れはじめていた。
そのようなことが本当に初めてだったクロードは、動揺した。呆れられはしないだろうか、と腹に降りた唇から愛撫を受けつつ、足の指を丸めた。
ゼファーの視線が、クロードの陰茎に向く。目を細めて笑ったゼファーが、甘い声でクロードを呼んだ。
「クロード。またここを可愛がってやりたい。いいか」
「あ、ぅ、陛下、陛下、おゆ、お許しください……」
「許すも何も、私がそうした。クロード、自分で足を広げられるな?」
ゼファーの声は優しい。優しい声で、欲情の印を見せろといやらしくねだられて、クロードは羞恥に耐えながら足を広げてみせた。
ふふ、とゼファーが笑う。笑って、クロードの太腿を掴んで、陰茎にその精悍な顔を寄せる。
「……んっ、ん、ぅ…っ」
王に再び陰茎を咥えられて、クロードは恐縮と興奮で頭がいっぱいになった。
蓄えられた快感はすぐに耐えられなくなって、ほんのひと舐めされただけで、射精感がこみ上げてくる。
「っぁ、あ、出る、出…っ」
「……おっと」
ぎゅう、とシーツを握って射精してしまおうとしたクロードの快感が、急に浮く。ゼファーが口を離したからだ。
「へい、へいか……」
「さすがにもう何度も出せまい。……が、もう少しこの夜を楽しみたいのでな」
にこり、とゼファーは笑う。
そのような仕打ちを受けたのは、クロードにとって初めてだった。当然クロードの陰茎にとっても。
吸い付くキスの続きと言わんばかりに、ゼファーはクロードの太腿に唇を落とした。
「……ん、ん……」
性行とは。射精をすることではないのだろうか。クロードの頭の中を疑問がぐるぐると駆け回る。
もちろんそればかりが性行の範疇ではないだろうが、このように射精を焦らして快感を長引かせるなど、一般的な交合の内なのだろうか。
当然クロードの中に答えはない。ただただ、楽しげにクロードの太腿を愛撫するゼファーの熱い唇のことしかわからない。
柔い愛撫で、クロードの射精感も落ち着いてくる。それを見越していたかのように、ゼファーはクロードの濡れた亀頭にキスをした。
「っぁ!……っぁ、あ……っ……!」
そうしてまた、ゼファーの大きい口にクロードの陰茎は飲み込まれて、再び齎された快感にクロードは悶えた。
どこか触れて縋っていたくて、クロードはゼファーの後頭部に指先を差し込む。いつもきっちりと結われたゼファーの髪は、もうぼさぼさになって、乱れてクロードの身体に幾筋も落ちている。それすらもクロードの肌を滑って快感になった。
じゅぽじゅぽ、とわざとらしく音を立ててゼファーはクロードの陰茎を弄ぶ。
「んぅ、う………あ、あ………っ、あっ……」
解放を求めて腰が下品に揺れるのも、悶えて長い脚がシーツを蹴るのも、甘えてだらしなく漏れる声も、もう何一つ抑えられなかった。
寸止めされた射精感はずっと下腹に溜まり続けて、クロードの思考力を鈍らせていく。
「あ、あ…っ、陛下、へい、か……っもう、もう……」
「……まだだぞ、クロード」
また、ゼファーは口を離して太腿を食む。ちゅう、と強く長く吸われて、そこに真っ赤な鬱血痕が残る。
ゆらゆらとクロードの腰が誘うように揺れる。
「へいか……」
もう自分がどんな顔をしているかもわからなかった。口などとっくに閉まらない。だらだらと涎が流れでて、けれど恋人も同じように口の端から涎なのだか、先走りなのだか分からないものを流している。
ならいいのか、と思った。
性行は、セックスは、みっともなくて汚くて恥ずかしくて、それでも興奮して気持ち良くて幸せで。
そういう、もの、なのだと思った。
だからクロードはゼファーの思うままに翻弄された。それを許した。
何度も、何度も、クロードが射精しそうになればゼファーは口を離して、緩やかな愛撫に切り替えて、太腿に鬱血痕を増やした。
どんどん善がる声は大きくなって、媚びるように甘えて溶けて、喉が枯れるほどに喘いだ。
「あっ、あっ、あっ!」
ゼファーがあまりに熱心に舐めるものだから、唾液と先走りの混じった淫液は、クロードの尻まで濡らしてシーツに染み込んだ。
まるで粗相をしたようで恥ずかしいのに、気持ちが良くて、何も考えられなくて、クロードはただただゼファーの髪を乱す。もはや乱れに乱れた長髪は、いつの間にか髪留めをなくして、クロードの足に絡みついて流れている。
「ひ、ぅ、う…っ、あぅ、う、あっ、あ……っ!」
すごいことをされている、気がする。
クロードは沸騰した頭の中で、ぼんやりとそう思った。初めて、初めてなのにこんな、こんなに気持ち良くされて、こんな声で善がらせられている。
「あっ、あっ!もっ、だめ、ぁっ、あ……っ!」
繰り返される激しい愛撫と緩やかな愛撫に翻弄されて、クロードの喘ぎ声が掠れていく。途切れぬ喘ぎ声の狭間に、もうだめとか、むりだとか、そういう言葉をしかと見つけてゼファーは唇を離した。
「っぁ、あ、ぅ……」
「ずっと聞いていたい声だな、クロード……」
うっとりと囁きながら、ゼファーは唇でクロードの白い太腿を食む。クロードのがちがちに固まった陰茎からトロリと先走りの淫汁が流れ落ちた。
口を離す度に太腿を愛でるものだから、クロードの太腿はもう、ゼファーのつけた跡でいっぱいだった。
「へ…いか、も…、出したい、出したいです……」
「ふ、ふ……。少し虐めすぎたか。すまぬな。お前の声に夢中になった」
陛下のお気に召したなら、何よりです。
そう言おうと思うのに、喉から出るのは、はふはふと乱れた呼気だけで、それをみっともないと思うのに、ゼファーが笑うから。
ぜんぶ、あなたのものになれたかな。そう思って、愛しい人の頬に手を伸ばせば、自ら頬を寄せてくれるから、クロードは満たされて眉を下げて笑った。
「クロード、その声で私の名を呼んでくれ」
「……は、い……ゼファー……」
「射精しそうな時はイく、と言え。一層可愛がってやる。出来るな?」
「……はい……」
期待で先走りの汁が溢れて、クロードは腰を震わせた。もはや言われている内容の判断も十分に出来ずに、ただただ性行に慣れた年上の恋人の、求めのままに頷く。
また、陰茎を飲み込まれる。
焦らすつもりのない愛撫は激しく、クロードはがくがくと腰を震わせて、ゼファーの青い髪をぐしゃぐしゃと乱した。全身気持ち良くされて堪えられなかった。
「っあ、ゼファーっ…ぁ、あ、ゼファー!」
ただ、ただ、名前を、呼ぶ。だらしなく甘えて、快感に屈服しきった情けない声だ。それでも、恋しい人がそれを求めてくれるから。
シーツをかいて暴れる足を、ゼファーが抱え上げる。尻が持ち上がって、下半身のほとんどがゼファーの支配下に置かれた。逃げられなく、されている。太腿が痙攣して、足先がぴんと伸びる。
「イく、イく…っあっ!あ!ゼファー、ゼファーっ…!も…っもうイく…っ」
教えられた言葉を、ただ繰り返す。ゼファーの手に力がこもる。股を、開かされて、いる。急所を晒して、降伏しきった身体で、ただただ、いやらしく腰をよじって善がるしか、出来なくされている。
ああ、ぼくのぜんぶ、あなたの。
「あ、あ、あ、っあーっ!あーっ!!」
喉を反らせて、クロードは深く深く突き落されるような絶頂をした。長く長く焦らされた陰茎は、疲れ果てたのかとぷっ、とぷっ、と漏らすようにしか射精出来ずに震えている。
「っはぁ……っ、はっ、はっ…、は、ぁ……」
「上手にイけたな」
勢いのない射精をする陰茎を、ゼファーは可愛がるように、つつくようなキスを落とす。こぷ、と射精は続いて溢れる。
「ぁ、あ……ゼファー、ゼファー……終わ、終わらな……」
「ずいぶん焦らしたからな。最後まで見せてくれ、クロード」
「……っぁ、あ……なん、で、なんでこんなに……っ、あ、あ……っ」
射精する度にまた小さく快感の波が体の奥から湧き上がって、クロードは慣れぬ感覚に喘いで、溜まった涙が目尻から落ちた。
ゼファーは、じっと、クロードが長い射精をする様を眺めている。尻を上げられているから、溢れた精液はクロードの体に落ちて、遡って流れていく。腹に、肋骨に、胸元に、鎖骨に、そして首筋を伝って、顎まで。
そうやって、精液が流れていくさままで、ゼファーはじっと見ていた。そのゼファーの金の瞳を、クロードは焦点の定まらぬ目で、ずっと見ていた。
こんなことをしているのに、この人はほんとうに綺麗だ。
そうして最後に、ぴたりと視線が合う。ゆっくりとクロードの足を下ろしたゼファーが、身を乗り出して、クロードの顔に唇を寄せる。
慈しむようなキスだった。触れるだけのキスを繰り返し、ゼファーの唇が再び降りる。鎖骨の上から首筋を舐め上げられて、顎に吸い付くキスをされて、クロードは、すっかり緩くなってしまった口から、掠れて艶めいた吐息をもらした。
「ゼ、ファー……」
たらり、とゼファーの口の端からクロードの精液が垂れている。少しでもそれに報いたくて、クロードは気だるい体を起こし、唇を寄せてそれを舐め取った。
その唇はすぐに捕まえられて、クロードは体ごとベッドに沈まされる。呼吸まで食われているかのように何度も何度もキスをして、舌を吸い上げられて舌で撫でられて。
「ふ、ふふ、止まらんな。……クロード、すまぬな、初めてだというのに、長く付き合わせた」
クロードの体がもう限界だと分かっているのだろう。ゼファーは口づけの狭間にそう告げ、だがはっきりとは唇を離さなかった。
「ぼく、ばかり、気持ちよくして、いただいて……」
「いいや。お前に触れて、私もひどく心地がいい。それに……」
一際強く吸い付かれて、クロードの喉からくぐもった喘ぎ声があがる。
そうしてかり、と唇の端を噛まれて、ゼファーはひどくいやらしい声で、言った。
「お前を私の手で乱すことが、これほど愉しいとは」
いまだそのような閨の戯れに返す言葉を持たぬクロードは、ただただ、年上の恋人の体に、ぎゅう、と抱きついた。
ゼファーは喉で笑って、クロードの額にキスを落とす。
「そろそろ眠るか?」
「まだ、触れていたいです、まだ……」
「ならば眠るまで、離さんぞ」
「はい……」
それからは唇同士がくっついてしまったように、口付けを離さなかった。互いの唾液が空気であるかのようにずっとずっとキスをして、互いの舌が自分の体の一部かのような錯覚をするほど侵入しあって、舌で交合を繰り返した。
脚を絡ませあって、互いに性器を擦り合わせた。クロードはゼファーの陰茎がまだまだ固く反り返っているのに気づいたが、乞われずに手や口で触れるにはまだ勇気が出ず、ただただ熱い体を寄せた。
そうしてずっとベッドの中で絡み合い、気だるい空気にクロードの眠気は誘われて、日付が変わるその頃には、瞼をすっかりと落とした。
クロードの二十歳の誕生日はそうやって幕を閉じ、その右手の薬指に光る指輪は、ゼファーとクロードの最初の愛の証人となった。
夢かと思ったのだ。
「クロード」
「…ん……」
低く重く響く声に呼ばれて、クロードは目を開いた。朝日に照らされて、長い青髪が色を薄くしている。
きれいだ。
そんな風に見惚れていたのも数瞬。
金の瞳と目が合って、クロードの眠気を吹き飛ばした。
「…っ!?陛…っ」
「こら」
尊称で呼ぼうとした唇が塞がれる。昨夜一晩で、すっかり形を覚えさせられた唇で。
「こういう時の呼び方は、昨日教え込んだはずだが?」
目を細めて笑うゼファーが、布の1枚も身にまとっていないことに気付いて、クロードの心拍が急速に上がる。
「…っ、…ゼ、ファー、おはよう、ございます」
「ああ、おはよう」
緩んだ眦で、再び唇を寄せたゼファーを、クロードは頬を紅潮させて迎えた。
緊張で固まる唇を舌が掠める。恋しい人の求めに応じて、クロードは口を柔く開いた。
「ん…」
口内を撫でられて、素肌の体を撫でられて、クロードは昨夜の熱を再び煙らせる。明るい光の下では、恥ずかしくて到底できそうもない、昨夜の触れ合いの端々が蘇る。
「慣れぬな。昨夜は随分と呼んでくれたが」
ゼファーの言葉に、一気に昨夜の記憶が蘇って、カッと頬に熱が集まった。
最後の方には、何度も、何度も呼んだ。熱に浮かされて、触れる腔内の熱さに喘いで、甘えて、すがって、その言葉しか知らぬように、ただただ、ゼファーの名を繰り返して善がった。
「あれ…っあれは、無我夢中で……」
「はは、そうだな」
ちゅ、ちゅ、とゼファーはクロードにキスを降らすのを止めない。絡ませた足の間では、柔らかくなった互いの陰茎が、ほんの少し、触れた。
ふ、とクロードは思う。あれほど昂ったままの王を残して眠ってしまったのだ、自分は。一人で気持ちよくなって。
「っあの、ゼファー、昨夜、は……その、ご満足、いただけ、なかった、の、では……」
気まずい顔をしたクロードに、ゼファーは少し考え込む顔をした。乱れた長髪が、前髪に混じって顔にかかっている。
「クロード。聞きたいのなら聞かせてやるが」
「は……はい……」
目を伏せて、ゼファーは笑った。その目尻が少し赤らんでいる。
「お前が眠った後、三度も出した」
「は、」
「興奮で眠れなくてな」
ふふ、とゼファーは笑う。
恥じている。この王が。
「全く、ずいぶんと誘惑してくれた。お前の穏やかな寝息を聞きながら、濡れた唇の寝顔を見ながら、惨めにも三度も自分で慰めた」
「ひ、ぇ……も、もうしわけ、ありませ……」
「まあ私の自業自得だ。お前の前では格好をつけたくてな。私のものを握ってくれと言えば、お前は応えてくれるとわかっていたが、三擦り半も保たずに情けなく射精するのが目に見えていたのでな」
ハハ、とゼファーはその内心まで告白して自嘲した。その裏には、それほどまでにクロードに欲情しているのだと、クロードに教え込もうとしている嗜虐も見え隠れしている。
わかっているのに、クロードはそれでも、年上の恋人に、正直に告白した。
「し、した、したかった、ですけれど、それ……」
「ほう」
自分で言い出す勇気もなかったくせに。言ってからクロードは自省したが、緩んだゼファーの眼差しに見惚れて、そのまま言葉で欲求を告げた。
自分も、触れたいのだと。
「あ、あなた、が、満足するまで、射精、のお手伝い、して、差し上げたかった、です」
「ふむ……ありがたい奉仕だが……そうだな、そのようなことも、これから身体でも言葉でも、共にいい形に出来るよう、尽力していくか。……恋人だからな」
言いながら、ゼファーはクロードにキスをする。労るような、感謝をするような、幸せなキスだった。
「……はい。恋人、ですから……」
キスをキスで返して、クロードもまた、同じ言葉を返す。
初めての夜の反省はそこで終わって、二人はまた唇を離さなかった。
それこそ、朝議に急かすユリウスの怒声が聞こえるまで。
そうして恋人になった二人は、長い月日で何度も何度も肌を合わせることになるのだが、いわゆる絶倫で遅漏の精力旺盛だった年上の恋人に、三擦り半って何だったんですか!?などと内心で叫びながら、クロードが夜通し鳴かされることになるのは、もうしばらく後のことになる。
そうして迎えた叔父の相貌は、いつになく緊張していた。セシリアは正直に驚いて、だが淑女らしい挨拶だけをした。
「珍しいこともあるものだ。こちらから呼び出さねば王都に来ぬというのに」
「此度の件は、姉上たちとセシリアに、まとめて話さねばならぬ件だったもので」
伯母テミスが嫌味混じりに聞けば、淡々と叔父は返す。直接に話さねばならぬと考えたのだろう叔父のその用事がわからす、セシリアにも緊張が伝染する。
「あら……近い血族まとめてというなら、婚姻や後継に関わる話かしらね、陛下」
「ええ」
穏やかに問いかけた伯母ベラの指摘は正しく、静かに頷く叔父の声に、セシリアの緊張は高まる。
叔父の婚姻や後継と言うなら、皇太女であるセシリアに、もっとも関係する話である。
「セシリア、いずれ王として立つ覚悟は変わらないか」
「……はい」
改めて問われたそれに、セシリアは努めて声が震えないように答えた。
「わかった。ならば任せる。私は後継を残さん」
「は……、いえ、叔父上、そのような配慮を」
「配慮ではない。私が伴侶に望む相手が男なのでな」
思いも寄らない叔父の宣言に、セシリアは驚いた。
だが、同時に思い浮かぶ青年の顔がある。
「あら……あらあら、陛下。勘違いでしたら、申し訳ないのだけれど……それは、ユーノヴェルト辺境伯、かしら?」
伯母ベラもまた、同じ青年を思い浮かべていたようだ。あの青年と共にある時、叔父は本当に穏やかになるものだから。
「……お気づきでしたか」
「本当か?お前の一方的な恋慕ではなく、あの俊才も、それを了承してのことか?」
「想いとしては、確かめ合ってのことですが」
「……信じられんな。だが……、もし本当に、そうであるなら」
テミスの言葉はまだ疑うものだった。だが、同時に薄っすらと祝福も滲んでいた。
「決して逃がすな」
「ええ、そうね。陛下、逃がしちゃだめよ」
「ずいぶんと強い口調でおっしゃる」
「だって、ねぇ?」
「ああ」
「私も、決してお離しにならない方がよいかと思います」
「セシリアまで言うか」
苦笑で笑った叔父の、言葉尻が甘い。もちろん最初からそのつもりだと、そう告げるように。
「お前についていける人間など、あのユーノヴェルト辺境伯を置いて他にはいないだろう。だから離すな」
重ねて言ったテミスに、ベラもセシリアも強く頷いた。
離すわけがない、決して。
クロードを寝台に導きながら、ゼファーは姉たちと姪とのやりとりを思い出していた。
腕の中に収まったクロードの、長い長い脚が揺れる。ずいぶん腕から余るようになった。
二年前は、抱けば折れるような体だった。それが今や、美丈夫と呼ぶに相応しい均整の取れた肉体をしている。
これを今から、暴く。クロードも許して、求めた。ならばもう、躊躇うことなどなかった。
再会のあの日。クロードの巡礼の旅が終わったあの日、病の熱を持ったクロードを休ませ、今日まで待った。
体調を整え、道理を整え。
空想で組み敷いた体ではなく、ようやく本物のクロードと肌を合わせることが出来る。
「クロード」
ゆっくりと、クロードの体を寝台に降ろす。
もうすっかり首まで赤く染まったクロードの顔が、愛おしくて、愛おしくて。
ゼファーはクロードを抱き寄せた。その巨躯が、長い腕でクロードを閉じ込めるように抱きしめ、その唇にかぶりつく。
舌を絡ませるキスに、慣れぬクロードが追いすがる。その指先の強さも愛おしかった。
「…っふ、…ん、ん………」
「クロード、クロード…」
二年の間、大事に待ち望んだ愛が、戻ってきた。慣れぬ忍耐で自由にした愛が、自らその腕に飛び込んできた。
二年前、熱情のまま肌を暴こうとして思いとどまったその手が、続きを求めてクロードの服の上を這う。
「クロード……、自分で脱いで、私に今のお前を見せてくれ……」
「は、い……」
とろり、と溶けた目で、クロードは頷いた。
そうしてクロードは、自身の赤いリボンタイを解いて見せた。鎖骨まで紅潮した胸元が露わになる。
それが、誘い方も満足に知らないクロードの、精一杯であった。
だが、ゼファーにとって、それで十分だった。
誘われるままに、首筋に吸いつく。
「ん…っ」
「クロード、全部、全部だ。見せて、くれるな」
「っはい………、あ、の……陛下、も」
「ああ……」
恋人の求めにゼファーは頷く。恋人、そう、恋人だ。
あの美しい業火を率いるこの男が。お慕いしています、と柔らかく笑ったあの少年が。恋人、なのだ。
すべてあなたのものにしてください、と言った、この青年が。
これほどの幸福があるものか。その実感に陶然とするゼファーに気付いているのかいないのか、クロードの視線が密やかに向いて伏せてを繰り返す。
未だ誰とも肌を合わせたことなどない、と告げたこの青年にとって、恋人の肌を直視するのは躊躇われることなのだろう。生娘のごとき反応に、ゼファーの劣情はぐらぐらと茹で上がる。
さすがに聖人君子とまでは思われてはいないだろうが、いくらかクロードから夢見がちな印象を抱かれているという自覚のあるゼファーは、平静を取り繕った。敢えてそうしなくとも、それほど表情に出る性質ではなかったが。
そうして互いに衣服を取り払って、対の神剣は揃えて枕元に。
「クロード」
「……は、い……」
名を呼んで、裸体となったクロードの体に乗り上げてキスをする。先ほどからクロードの名ばかりを呼んでいる。
緊張を、している。
ゼファーにとって性行など数える気も失せるほどの経験がある。だが、今日この時、クロードとの初めての素肌同士の夜、クロードにとって誰かと肌を合わせる初めての夜というのが、この王をらしくもなく緊張させた。
「触れて、いいか」
「陛下の…お望みの、ままに」
震えた声でそう答えるクロードの顔が赤い。まだキス以上のことは何もしていないというのに、興奮と緊張で、潤んだ瞳には震える睫毛の影さえ落として。
下劣な衝動的な欲望と、愛おしさで大事にしてやりたい気持ちがせめぎ合う。この純情な男が知りもしない卑猥なことをしてやって、羞恥と快感で泣き喚させて、そしてそれを全て食らってしまいたい。
ゼファーの欲望など知りもせずに、クロードは撫でるだけの愛撫を、ただただ睫毛を震わせて受け入れた。
十分に戦士の体だった。だが本来成長するべき時期を逃したせいか、その武勇を思えば線の細い印象がある。
なすがままのクロードが、おずおずと手を伸ばして、ゼファーの右腕に伸びる。
あの魔竜との戦いで、一度は完全に千切れたその場所を。
「気になるか」
「あれから……なんともありませんでしたか」
「そうだな……お前を想って、自分自身を慰めるのに、支障がない程度には」
意地の悪い答え方だ、とわかっていながら、ゼファーは言った。
浮かれて、いるのだ。
その年にしては泰然としているゼファーですら、恋の前では冷静ではなかった。あの業火のごとき苛烈さでゼファーの魂を灼いた少年が、その輝きを失わぬまま美しい青年となって、ゼファーを求めている。
愛情に飢えていた王が、舞い上がるのは至極当然であった。
ゼファーの言い回しを、すぐには理解出来なかったのだろうクロードの顔が、しばらくしてじわ、と汗を浮かべた。
「そ、それは、その……」
「男ならば、わかるだろう。……それとも、まさかとは思うが、自分でも触れたことがないのか」
「……まさか」
「そうか」
小さく笑って、ゼファーはクロードに口付けた。
口付けの狭間に、名を呼ぶ。何度も、何度も。
「っふ……、陛、下……」
「クロード。名で呼べ」
「っ、ん、ぅ……ゼ、ファー……」
快感の色の乗ったクロードの声が、ゼファーの名を呼ぶ。何度も夢想した。だが、本物からもたらされる興奮は、想定を遥かに超えた。
舌を差し込んで、小さな口を隅々まで愛撫してやる。食事をしていた時からゼファーは思っていたが、クロードの口は人に比べて小さい。
その小さな口で一生懸命ゼファーの分厚い舌を受け入れているのだから、たまらなかった。
「…っ、ふ…、ん、ぅ……」
何度も擦るように舐めてやれば、次第にクロードの声が甘く溶ける。いつもの、掠れているのに明瞭なよく通る声が、吐息に淡く滲んでゼファーの情欲を煽った。
初めて見る顔だ。唇を離して、ゼファーは見惚れた。星のごとき輝いていた瞳は、今や夕焼けの波間のように揺れ、その視線にたしかに快楽を乗せている。
ゾクゾクと肉欲が湧き上がるのを感じながら、ゼファーはクロードの頬を撫でた。
「慣れぬな」
「初めて…なものですから…」
「いくら私でもいきなり挿れたりはせぬ」
「そ…ういうものなのですか。その、本当、に経験がないもので……」
クロードの言葉に、ゼファーはずく、と自身の下半身が重くなるのを感じた。知ってはいたが、改めて告白されると、初夜である、というのが強く意識されて、劣情は簡単に熱を上げた。
「本当にここを、誰にも触らせていないと?」
「…っ!」
ゼファーは無遠慮に、クロードの股間に手を伸ばした。ほんの指先が触れただけで、クロードの息が詰まる。
恋人などいたことがない、というクロードの言葉を疑っているわけではない。ただただ、ゼファーが言わせたいだけだった。
「…、…」
「クロード」
芯をもって固くなり始めているそれを、意地悪く指先で捏ねれてやれば、熱い吐息が漏れた。
「……っ、空想の、あなた以外には、誰も」
そうして、快楽に薄ら涙さえ浮かべたクロードは白状した。ゼファーを喜ばせるものでしかないその言葉は、震えていた。
誰にも知られていない秘密だったろうそれを、ゼファーだけが知っている。
「…ふ、ふふ」
ぐい、とクロードの肩を押し、その体をベッドに押し付ける。そうしてクロードの上に、ゼファーは下半身を擦り付けるようにして、乗り出した。
熱と熱が触れて、クロードも気づいたのだろう。驚いたように目を見開いて、そうしてふるりと睫毛を震わせた。
「それは、妬けるな」
「…っ陛下、」
「お前の空想の私は、どうやって触れた?」
手の平で陰茎を包みこんでやりながら、ゼファーは意地悪く聞いた。この高潔で誠実な男に、淫猥な告白をさせたい欲求が止まらなかった。
「…っ陛下、不敬をお許しください…っ」
「許す。言ってみろ、クロード」
すり、と撫でる手つきをしながら、ゼファーはクロードの額に口付けた。
気を抜けばすぐに尊称に戻る呼び名を、いつか自然と自分の名前にしてやろうと思いながら。
「…っ直接、触れて、撫でて……」
「ああ」
羞恥で涙を堪えるクロードを、口付けでなだめてやりながら、ゼファーはクロードのゆるく勃起した陰茎を、言葉の通り素手で触れてやる。
クロードの息が詰まる。
「…っキスを、しながら、僕が出す、まで、握って……」
「……お前の想像の私は、ずいぶんと大人しいな」
「え…、っん、ぅん、ん……っ」
驚いて唇を開いたクロードに、舌をねじ込むキスをして、すでに劣情で反り上がった自身の雄の徴を、クロードのそれに擦りつける。
「へ、いか……っ」
「私が、空想の中で、どのようにお前を犯し汚したか、教えてやろうか」
「んっ、んぅ……っ」
ゼファーは、二人分の雄を一緒に握り込んで、クロードの耳元に顔を寄せると、吹き込むように告げた。
自覚するほど淫猥で、肉欲に塗れた下劣な声で。
「こうやって互いのものを握り込んで、お前の腹の上で撒き散らして、胸に、腹に、尻に、脚までドロドロに濡らしてやった」
「っん、ふ、ぅ、う…っ…」
「時にはお前のその小さな口に咥えさせる妄想をしたこともある。我ながら情けないことだが、あれは幾分も保たずに出した」
「んんっ!ん、ん…っ!」
喉でくつくつと笑い、ゼファーは大きな手で握り込みながら、長大な陰茎で擦ってやる。クロードの焦点がゆらゆらと揺れ始める。
ぬちぬち、と互いの先走りが漏れて混じり、互いの快感をいや応なしに伝えていた。
「それから、ここを」
「!ん、ぁ…っ!」
熱い塊が尻たぶの合間に滑り込んで、クロードの目が驚愕で開かれる。
「拓いて、突いて、泣き縋るお前を犯した。……クロード、私はな、そういう男だ」
「…っん、…ふっ……」
「幻滅したか?」
「いい、え……」
陰茎を擦りつけられながら、クロードは戦慄く唇で、それでも言葉を紡いだ。
真っ赤に熟れた頬も、とろりもと溶けた眼差しも、空想しきれなかった色気を帯びて、ただただ真っ直ぐに、ゼファーに向けられていた。
「僕、は……全部、あなたの、好きに、されたい……」
そうしてクロードは、誰のことも知らない体を明け渡すように、脚を広げ、腕を広げてゼファーの体を迎え入れた。
「……お前はまったく、恐ろしいことを言う。そのような睦言を囁かれては……離してやれなくなる」
「陛下のお気に召す内は、どうか、お側に置いてください」
眉を下げて笑ったクロードに、ゼファーは堪らずキスを落とす。舌を捩じ込んで、健気に応えようとする薄い舌を吸い上げて、唾液を混ぜ合うキスに夢中になった。
ゼファーはゆっくりと、その唇を下へと落としていく。首筋、鎖骨、胸、腹、そして。
「…っぁ、あ、あ、」
太ももに吸い付けば、クロードの堪えた甘い声が漏れる。
クロードの立ち上がった陰茎がとろりと雫をこぼし、ひそやかに揺れている。
ここを愛してやったら、もっと甘い声で啼くのだろう。
そう思ったら、やらぬ理由などなかった。
大きく口を開けて、クロードの股座に顔を沈めようとしたゼファーを、震えた手が止めた。
「陛下!そのようなところを!」
「好きにされたい、と言ったのはお前だぞ、クロード」
「ですが……っ!」
力の入らぬ制止をものともせず、ゼファーはそのまま、クロードの逸物を口に含んだ。
「だめ、だめです、陛下、ぁ、あ!」
クロードの長い指が、ゼファーの髪を滑る。まるで撫でられているようなそれに、充足感があった。
制止の声を無視して、ゼファーはしゃぶってやりながら、ぐぐ、と抵抗しようとする太ももを開いた。
「っぁ、あ!陛下、陛下、ぁ」
「…たまらんな」
「ふ…………、んぅ、う…っ」
開かせた足に指が食い込むほどに、がっちりと押さえ込んで、ゼファーはクロードの陰茎を根元まで咥える。じゅう、と口の中で絞ってやれば、クロードの腰が震えた。
何度も何度も絞って、舌で撫でて、そう繰り返している内に、クロードの腰が堪らずに揺れ始める。ゼファーは陶然とした。誰も知らぬ体が、自分の手の内の堕ちてこようとしている。
「っはぁ、は、ぁ…あ…っ、んぅ、ん…っ、んっ」
王の蛮行を止めようとしていたクロードの手は、すでに縋るものに変わっている。ビクビクと震える指先が、快感の頂点が近いことを告げていた。
ただただ性欲に支配された腰が射精を求めて揺れるのに任せ、ゼファーは足を開かせる腕の力を緩めた。もはや強制する圧力もないのに、クロードの足は快楽に負けてただただベッドに爪を立てるばかり。
堕ちてこい。
ゼファーはゾクゾクと背筋を震わせた。もはや快楽に身を捩らせるクロードは、空想の存在ではない。空想では得られなかった匂いと吐息の熱さを振りまいて、ここに、ある。
「ん…っ、ん、ん、ん…っーー!!」
極まった抑えたうめき声と同時に、クロードの背が快楽から逃げようと反り返る。ゼファーの口にドロリと生臭いものが広がった。
じゅう、と吸ってやれば、クロードの腰が跳ねて太腿が震える。
「…っ、ぁ、ふ…、ぅ、へ、いか…、……」
ビクビクと体を震わせて余韻に浸るクロードの顔を、ゼファーはじっと見た。クロードの顔はいっそう溶けて、汗ばんだ額に前髪を張り付けていた。
かつてアレストの炎を恐れて冷や汗ばかりを浮かべていた額が、熱く熟れて色香を振り撒いていた。
本当に、よく育った。ゼファーは見せつけるように精を飲み干して、クロードの貴公子然とした相貌を視線で愛でる。
その顔が、カッと深紅に染まった。
「陛下っ、そ、そのようなものを……っ」
「ふ、ふ……本当に閨のことは何も知らぬと見える。安心しろ、お前にもやれとは言わぬ」
「しかし……っ」
「クロード、お前の義理堅さは美徳だが……閨のことでは、義理で返されたくはない」
ゼファーが固さを失ったクロードの陰茎にちゅう、と悪戯にキスをすれば、白い太腿が震える。
はぁ、と悩ましい吐息を吐き出したクロードの体の上で、ゼファーは身を起こして反り立った陰茎をクロードの腹へと押し付けた。先走りの淫液が、クロードの臍へと溜まる。
「心配せずとも全て教えてやる。閨での作法も、どうすれば私が悦ぶかも。急くことはあるまい。これからは、共にいる時間もとれよう」
「……はい。ですが、その……僕も、陛下に、触れたいのです」
ろくに裸もまともに見ることすら出来ていないというのに、そのような欲求を。
ゼファーは嗜虐の芽が出そうになるのを理性で抑えて、クロードの口の端に触れた。
「……ふむ。だが今この口に入れたなら、窒息させかねんな。……まったく、お前ときたら……喉の奥まで突き入れたくなる顔だ」
「少しの乱暴など、陛下にされるのならば、本望です」
「よせ。少しでは済まぬから言っている。ここを乱暴にされても快楽を覚えるようになったら入れてやる」
ゼファーの指先が、クロードの腔内に入る。巨大な体躯に見合った肉厚の長い指は、一本でもうクロードの口をいっぱいにした。その指が腔内を愛撫しすれば、慣れぬクロードは噎せてゴホゴホと咳を繰り返す。
「ゲホッ、も……しわけ、ありま、せ……」
「いいや。本当にお前が誰にも躾けられていない体と分かって気分がいい」
ここも、最初から全部、私が拓く。そう思えばゼファーの心はざわめく。すべて、すべて、この愛しい男の初めてになれる。そのことが、ゼファーの独占欲を満たし、そしてより欲深くさせた。
「クロード、今日はお前の腹の上を許してくれ。お前の薄い腹を……私の精で汚して、お前に私の匂いをつけたい」
「……はい……陛下……して、ください……」
答えを聞くやいなや、ゼファーはクロードの脚を掴んで抱え込んだ。
まるで挿入するような姿勢だったが、性交経験のないクロードにははっきりとその意図がわからなかったようだった。
ずるり、とゼファーの長大な陰茎が、クロードの太腿を出入りして、股から臍までを行き来する。
「……っ、陛、下、陛下、触れ、ても…構いません、か」
「ああ、触れてくれ、クロード。そしてしかと覚えろ。これを、いずれ、お前に挿れる」
「……っはい……」
クロードの両手が、ゼファーの陰茎に触れる。そうして包み込むように輪の形を取った手の平に、ゼファーは息を詰めた。クロードの手が、興奮で汗ばんでいる。夢にまでみた肌だった。
「……、ふ、はは…っ、く、保たんな、これは」
「っ陛下、陛下……お力に、なれて、いますか……?」
「ああ、ああ……お前の全てが心地よい……、クロード、クロード……っ!」
じっと、熱に浮かされた目で、クロードはゼファーの欲情しきった顔を凝視していた。その目にも煽られて、ゼファーの欲望は今にも弾けんとクロードの腹を突く。
抉るように腹を擦るゼファーの固い陰茎と擦れ合って、先ほど射精したばかりのクロードの陰茎も芯を持ち始める。
「くっ…………、は、は……、ふ……っ、……っ」
クロードも、欲情をしている。性欲など無縁そうな、この清廉が。
そう思えば、もう駄目だった。クロードの弾力のある太腿に挟まれ、ゼファーは陰茎の先端をクロードの臍辺りに押し付けて射精した。
どぷ、どぷ、と粘ついた精液はクロードの手を汚し、溢れてしばらく腹の上に留まった。
は、とクロードが詰めていた息を吐き出せば、腹の稜線は動いて、精液はクロードの体に纏わりつきながら、四方に流れ落ちていく。
その流れに感じたのか、クロードの再び勃起した陰茎がピクリと揺れる。
「……ふふ、若いな」
「す……いません、普段は、こんな……一度出せば、十分なのですが」
「はは、それは……名誉だな、お前をそれほど昂らせることが出来るとは」
射精したばかりだというのに、ゼファーの陰茎は鎮まる気配すらなかった。それどころか、恥じ入る様子のクロードに煽られて、より固く反り返るばかり。
「クロード、こちらへ。……共に気持ちよくなりたい」
「……はい」
だからこの夜は始まったばかりで、ゼファーはまだ、愛しい男の体温を感じていたくて、その体を自分の身体ですっぽり抱き込んで、しまいこんだ。
何も予習をせずにこの夜を迎える、と決めていたクロードだったが、やはり知識の一つや二つ得ていた方がよかったのではないかと目を回した。
どこを見ていればいいのかさえ、わからない。
恋人となった王の顔ははっきりと欲情を乗せていて、少し視線を下げれば逞しく美しい筋肉に覆われた身体があり。そうして、さらに目線を下げれば、大層立派な男の徴が天を衝くようにそびえ立っていた。
それが興奮のためだということぐらいわかっている。わかっているから余計に、目が回った。触れたい、と想っていてくれているところまではわかっていた。だがこれほどまでに性器を昂らせるほど、求められていたとは。
目を回している間に、夜は深まる。
ゼファーに背を預けて抱き込まれれば、クロードの上半身は完全にゼファーに覆われる。つむじにキスが落とされて、クロードは思わず身を震わせた。
そうして、丁寧に体の位置を整えられて、整った時には股の間からゼファーの陰茎で自身のそれの裏筋を擦られ、クロードは息を詰めた。
全然、違う。今さらながらにじっと王の陰茎を眺め見て、クロードは自身のものと見比べた。太さも長さも色も、自分のものとは全然違う。くらくらとした。
「クロード、手を貸してくれ」
「は……い……」
クロードがゼファーのものに視線を釘付けにしていれば、当の本人から促す声が掛かる。
ゼファーの手が、クロードの手に絡む。恋人でしかあり得ない絡ませ方で、指の間の水かきの部分に潜ってきた指は、するりと滑り、関節の辺りでクロードの手を捕まえた。それも、両手を。
クロードとて手の小さい方ではない。だがゼファーのものと比べれば、凡庸な大きさであった。すっかり大きな手に繋がれ、まるで少年に戻ってしまったような心地さえあった。
だが、ゼファーはクロードの手を、到底少年の手では触らせない場所へと導いた。
二人分の陰茎を、二人の両手が包み込む。ひゅ、とクロードの喉が鳴った。触れられて触れてくっついて。その視覚情報だけで、クロードの感じやすい脳は震えて身体に快感を送り出す。
「…っぁ、あ……っ」
「まだ触れただけだぞ」
耳元でゼファーが低く甘い声で囁く。ぞくぞくと背筋を快感が走り、クロードは口を閉じることも出来ずに息を荒くした。
陛下、陛下に触られて、いる。本物の、本物の陛下に、本当に、触られて、いる。
その事実だけでもう、クロードの意識は最初からずっと興奮して止まらなかった。陰茎を口に含まれた時も、陰茎への刺激自体よりも、ゼファーがそれをしている、という事実に追い立てられた。
「拓きがいのある、感じやすい身体だ」
「あな、た、だから……」
ゆっくりと、ゼファーの手が上下する。クロードの手もそれに導かれて、ゆっくりと陰茎を擦りはじめた。
とろとろと快感に負けて、陰茎から先走りが雫を作って、溢れる。クロードのものも、ゼファーのものも。淫液は二人の手の間で混ざり合い、その温度を同じにした。
クロードは、手でこんな風に簡単に気持ちよくなったことなどなかった。それは単純にクロードの自慰が壊滅的に下手ということを除いても、ゼファーとしている、その事がクロードを快感に追いやった。
まるで頭の中に火花が散っているようだった。
「っは、…は、ぅ、はっ、ぁ……」
「クロード、クロード……っ」
ゼファーが堪えた声で名を呼ぶたびに、小さく電流が走るようだった。まるで内側から、クロード自身すらも知りもしない性感帯を、撫でられているようだった。
名前を呼ばれるだけで、息を吹きかけられるだけで、気持ち良くて止まらなかった。視線を落とせば、止めどなく溢れる先走りが二人の手を濡らして、もう濡れていないところなどないほど。
混ざり、合っている。
もう口を閉じていることも出来なかった。たらり、と口の端から涎が滴り落ちて、分かっているのに、クロードはただそれを知覚することしか出来なかった。
みっともない、顔を、している。
見えもしないがそう思った。けれど、ゼファーが見えていないのは分かっていたから、取り繕おうとする理性も働かずに、ただただ、クロードは快感のままに表情を溶かした。
「っぅ、う、うぁ、ふっ」
「クロード、堪えるな、イけ」
ゼファーの声が吹き込む。
言葉を知りもしないのに射精を促されていることだけはわかって、クロードの頭がビリビリと痺れた。
して、いる。陛下と、いやらしい、ことを。いやらしく触れて、いやらしく言葉で責めて。そう思ったらもう、脳が身体を追い立てるのを抑えきれなかった。
ゼファーが触れたところ全部痺れて、身体すべて、恋人が与える快感に屈服してしまえと、脳が命令をする。
「で、出る、出ます、陛下、陛下…っ」
「っふ、はは、ああ、私も……」
ゼファーの堪えて掠れた声が、耳をくすぐって、それが最後の一押しになった。
震えて射精した陰茎のびくびくした痙攣が、自分の物が恋人のものかも分からない。
恋人。そう、恋人なのだ。ずっと慕っていたこの人が、低く甘い、色っぽい声で自分の名を呼ぶ、この人が。
夢みたいだ。
そう思うクロードの口から、だらだらと涎が落ちる。全身気持ち良くて、ただただそれしか分からなかった。
背中からゼファーの体温が離れて、とすりとベッドに横たえられる。そうして、最初と同じ姿勢に戻れば、クロードを見下ろす金の瞳があった。
綺麗だ。
劣情にギラギラ光る目をも、クロードはそう思った。金の瞳も、汗ばんだ身体も。この身体で僕に触れてくださったんだ。頭が茫洋とする。幸福で、どうにかしそうだった。
ゼファーがぎゅうと眉間に皺を寄せ、唇を吊り上げて笑った。そんな顔も色っぽいな、とクロードはぼんやり思った。
「……ずいぶんと、乱れてくれたようだな?」
ゼファーは獰猛に笑う。まだ食い足りないと、獣の声色で。
そのゼファーにも見惚れて、クロードが言われた意味を理解したのは、常の聡明を思えばずいぶんと遅かった。
「あ……、あ、お見苦しい、ものを……」
クロードは焦って自分の顔を両手で隠す。べちゃり、と混じり合った精液がクロードの顔に、髪にまとわりつく。やってしまった。不慣れ故の失敗に、クロードはさらに焦った。だが恋人は酷く上機嫌そうに喉で笑った。
「見せろ、クロード。妄想のお前ではもう足りん」
「陛、下……」
空想で、この恋人は自分を犯したという。言葉一つで夜伽相手などいくらでも用意できる、この恋人が。だから、恋人のお願いに、クロードは逆らえなかった。いじらしく自分を待ち続けた、恋人の願いなのだ。
ゆっくりと、ゼファーの手が、クロードの手首を掴んで開かせる。どこまでも優しい手つきで、クロードの乱れてみっともない顔を、暴く。
「……っは……」
「ひどい、ものでしょう……」
「……それに興奮する私の方が、よほど酷い」
「は…、っぁ、ん、ん…っ」
ゼファーの言葉を理解しきる前に、唇に舌を差し込まれて、クロードは喘いだ。ぐちゅぐちゅ、と口の中で卑猥な水音が絶えず起こり、恋人の興奮を伝えてくる。
掴まれた手首を抑えつけられて、ベッドに縫い付けられる。深いキスに目を回していれば、ゼファーの指先が滑って、クロードの手の平、指の間、指先を何度も撫でて擦った。互いに、精液まみれの手で。
まるでそこで交接しているかのようだった。
「ふ、ふ……いつか顔に掛けてやろうとは思っていたが、自ら擦り付けるとはな」
「そ、粗忽な行い、でした……」
「そのような不慣れ、閨では可愛げでしかないがな。クロード。全部私に、見せてくれるな?」
「……陛下が、お嫌でなければ」
「嫌なものか。ずっと焦がれていたお前を、私の手で乱せるのだぞ。見たくないわけがあるか」
「ん、ん……っ」
そうしてまた、深いキスを落とされて、クロードは再び愛欲の波に攫われた。舌で撫でて、唾液を交換し合って、クロードが苦しそうにすれば、手慣れた年上の恋人は、クロードの顔についた精液を舌と唇で舐め取った。
そうしてまた呼吸が整えば、舌を入れるキスでクロードの口の中をいっぱいにした。意識がぼんやりするほど、何度も何度も繰り返されて、クロードは絶対に人に見せられない顔をしている、と思うのに、少し顔を離したゼファーが獣の顔で笑うから、その興奮が嬉しくて、捧げてしまおうと思うのだ。
当然、ゼファーの興奮は、クロードの唇と顔だけでは収まらなかった。
額に、耳に、首筋に、そうして鎖骨に。ゆっくりと長く吸い付くキスをしながら、ゼファーの唇が、クロードの身体を降りていく。
「んん……、ふ……っ」
堪らずクロードが身じろいで喘げば、くつくつとゼファーは笑う。
胸元には何度も場所を変えて吸いつかれ、乳首には特別長く吸いつかれた。その間もう片方には精液の残る指先で愛撫されて、感じるわけでもないのにクロードは息を詰めた。
吸い付くのが終われば、舌で舐め上げられて、もう片方も。
その頃にはもう、クロードの陰茎は十分に勃起しており、ゆらゆらと腰が揺れはじめていた。
そのようなことが本当に初めてだったクロードは、動揺した。呆れられはしないだろうか、と腹に降りた唇から愛撫を受けつつ、足の指を丸めた。
ゼファーの視線が、クロードの陰茎に向く。目を細めて笑ったゼファーが、甘い声でクロードを呼んだ。
「クロード。またここを可愛がってやりたい。いいか」
「あ、ぅ、陛下、陛下、おゆ、お許しください……」
「許すも何も、私がそうした。クロード、自分で足を広げられるな?」
ゼファーの声は優しい。優しい声で、欲情の印を見せろといやらしくねだられて、クロードは羞恥に耐えながら足を広げてみせた。
ふふ、とゼファーが笑う。笑って、クロードの太腿を掴んで、陰茎にその精悍な顔を寄せる。
「……んっ、ん、ぅ…っ」
王に再び陰茎を咥えられて、クロードは恐縮と興奮で頭がいっぱいになった。
蓄えられた快感はすぐに耐えられなくなって、ほんのひと舐めされただけで、射精感がこみ上げてくる。
「っぁ、あ、出る、出…っ」
「……おっと」
ぎゅう、とシーツを握って射精してしまおうとしたクロードの快感が、急に浮く。ゼファーが口を離したからだ。
「へい、へいか……」
「さすがにもう何度も出せまい。……が、もう少しこの夜を楽しみたいのでな」
にこり、とゼファーは笑う。
そのような仕打ちを受けたのは、クロードにとって初めてだった。当然クロードの陰茎にとっても。
吸い付くキスの続きと言わんばかりに、ゼファーはクロードの太腿に唇を落とした。
「……ん、ん……」
性行とは。射精をすることではないのだろうか。クロードの頭の中を疑問がぐるぐると駆け回る。
もちろんそればかりが性行の範疇ではないだろうが、このように射精を焦らして快感を長引かせるなど、一般的な交合の内なのだろうか。
当然クロードの中に答えはない。ただただ、楽しげにクロードの太腿を愛撫するゼファーの熱い唇のことしかわからない。
柔い愛撫で、クロードの射精感も落ち着いてくる。それを見越していたかのように、ゼファーはクロードの濡れた亀頭にキスをした。
「っぁ!……っぁ、あ……っ……!」
そうしてまた、ゼファーの大きい口にクロードの陰茎は飲み込まれて、再び齎された快感にクロードは悶えた。
どこか触れて縋っていたくて、クロードはゼファーの後頭部に指先を差し込む。いつもきっちりと結われたゼファーの髪は、もうぼさぼさになって、乱れてクロードの身体に幾筋も落ちている。それすらもクロードの肌を滑って快感になった。
じゅぽじゅぽ、とわざとらしく音を立ててゼファーはクロードの陰茎を弄ぶ。
「んぅ、う………あ、あ………っ、あっ……」
解放を求めて腰が下品に揺れるのも、悶えて長い脚がシーツを蹴るのも、甘えてだらしなく漏れる声も、もう何一つ抑えられなかった。
寸止めされた射精感はずっと下腹に溜まり続けて、クロードの思考力を鈍らせていく。
「あ、あ…っ、陛下、へい、か……っもう、もう……」
「……まだだぞ、クロード」
また、ゼファーは口を離して太腿を食む。ちゅう、と強く長く吸われて、そこに真っ赤な鬱血痕が残る。
ゆらゆらとクロードの腰が誘うように揺れる。
「へいか……」
もう自分がどんな顔をしているかもわからなかった。口などとっくに閉まらない。だらだらと涎が流れでて、けれど恋人も同じように口の端から涎なのだか、先走りなのだか分からないものを流している。
ならいいのか、と思った。
性行は、セックスは、みっともなくて汚くて恥ずかしくて、それでも興奮して気持ち良くて幸せで。
そういう、もの、なのだと思った。
だからクロードはゼファーの思うままに翻弄された。それを許した。
何度も、何度も、クロードが射精しそうになればゼファーは口を離して、緩やかな愛撫に切り替えて、太腿に鬱血痕を増やした。
どんどん善がる声は大きくなって、媚びるように甘えて溶けて、喉が枯れるほどに喘いだ。
「あっ、あっ、あっ!」
ゼファーがあまりに熱心に舐めるものだから、唾液と先走りの混じった淫液は、クロードの尻まで濡らしてシーツに染み込んだ。
まるで粗相をしたようで恥ずかしいのに、気持ちが良くて、何も考えられなくて、クロードはただただゼファーの髪を乱す。もはや乱れに乱れた長髪は、いつの間にか髪留めをなくして、クロードの足に絡みついて流れている。
「ひ、ぅ、う…っ、あぅ、う、あっ、あ……っ!」
すごいことをされている、気がする。
クロードは沸騰した頭の中で、ぼんやりとそう思った。初めて、初めてなのにこんな、こんなに気持ち良くされて、こんな声で善がらせられている。
「あっ、あっ!もっ、だめ、ぁっ、あ……っ!」
繰り返される激しい愛撫と緩やかな愛撫に翻弄されて、クロードの喘ぎ声が掠れていく。途切れぬ喘ぎ声の狭間に、もうだめとか、むりだとか、そういう言葉をしかと見つけてゼファーは唇を離した。
「っぁ、あ、ぅ……」
「ずっと聞いていたい声だな、クロード……」
うっとりと囁きながら、ゼファーは唇でクロードの白い太腿を食む。クロードのがちがちに固まった陰茎からトロリと先走りの淫汁が流れ落ちた。
口を離す度に太腿を愛でるものだから、クロードの太腿はもう、ゼファーのつけた跡でいっぱいだった。
「へ…いか、も…、出したい、出したいです……」
「ふ、ふ……。少し虐めすぎたか。すまぬな。お前の声に夢中になった」
陛下のお気に召したなら、何よりです。
そう言おうと思うのに、喉から出るのは、はふはふと乱れた呼気だけで、それをみっともないと思うのに、ゼファーが笑うから。
ぜんぶ、あなたのものになれたかな。そう思って、愛しい人の頬に手を伸ばせば、自ら頬を寄せてくれるから、クロードは満たされて眉を下げて笑った。
「クロード、その声で私の名を呼んでくれ」
「……は、い……ゼファー……」
「射精しそうな時はイく、と言え。一層可愛がってやる。出来るな?」
「……はい……」
期待で先走りの汁が溢れて、クロードは腰を震わせた。もはや言われている内容の判断も十分に出来ずに、ただただ性行に慣れた年上の恋人の、求めのままに頷く。
また、陰茎を飲み込まれる。
焦らすつもりのない愛撫は激しく、クロードはがくがくと腰を震わせて、ゼファーの青い髪をぐしゃぐしゃと乱した。全身気持ち良くされて堪えられなかった。
「っあ、ゼファーっ…ぁ、あ、ゼファー!」
ただ、ただ、名前を、呼ぶ。だらしなく甘えて、快感に屈服しきった情けない声だ。それでも、恋しい人がそれを求めてくれるから。
シーツをかいて暴れる足を、ゼファーが抱え上げる。尻が持ち上がって、下半身のほとんどがゼファーの支配下に置かれた。逃げられなく、されている。太腿が痙攣して、足先がぴんと伸びる。
「イく、イく…っあっ!あ!ゼファー、ゼファーっ…!も…っもうイく…っ」
教えられた言葉を、ただ繰り返す。ゼファーの手に力がこもる。股を、開かされて、いる。急所を晒して、降伏しきった身体で、ただただ、いやらしく腰をよじって善がるしか、出来なくされている。
ああ、ぼくのぜんぶ、あなたの。
「あ、あ、あ、っあーっ!あーっ!!」
喉を反らせて、クロードは深く深く突き落されるような絶頂をした。長く長く焦らされた陰茎は、疲れ果てたのかとぷっ、とぷっ、と漏らすようにしか射精出来ずに震えている。
「っはぁ……っ、はっ、はっ…、は、ぁ……」
「上手にイけたな」
勢いのない射精をする陰茎を、ゼファーは可愛がるように、つつくようなキスを落とす。こぷ、と射精は続いて溢れる。
「ぁ、あ……ゼファー、ゼファー……終わ、終わらな……」
「ずいぶん焦らしたからな。最後まで見せてくれ、クロード」
「……っぁ、あ……なん、で、なんでこんなに……っ、あ、あ……っ」
射精する度にまた小さく快感の波が体の奥から湧き上がって、クロードは慣れぬ感覚に喘いで、溜まった涙が目尻から落ちた。
ゼファーは、じっと、クロードが長い射精をする様を眺めている。尻を上げられているから、溢れた精液はクロードの体に落ちて、遡って流れていく。腹に、肋骨に、胸元に、鎖骨に、そして首筋を伝って、顎まで。
そうやって、精液が流れていくさままで、ゼファーはじっと見ていた。そのゼファーの金の瞳を、クロードは焦点の定まらぬ目で、ずっと見ていた。
こんなことをしているのに、この人はほんとうに綺麗だ。
そうして最後に、ぴたりと視線が合う。ゆっくりとクロードの足を下ろしたゼファーが、身を乗り出して、クロードの顔に唇を寄せる。
慈しむようなキスだった。触れるだけのキスを繰り返し、ゼファーの唇が再び降りる。鎖骨の上から首筋を舐め上げられて、顎に吸い付くキスをされて、クロードは、すっかり緩くなってしまった口から、掠れて艶めいた吐息をもらした。
「ゼ、ファー……」
たらり、とゼファーの口の端からクロードの精液が垂れている。少しでもそれに報いたくて、クロードは気だるい体を起こし、唇を寄せてそれを舐め取った。
その唇はすぐに捕まえられて、クロードは体ごとベッドに沈まされる。呼吸まで食われているかのように何度も何度もキスをして、舌を吸い上げられて舌で撫でられて。
「ふ、ふふ、止まらんな。……クロード、すまぬな、初めてだというのに、長く付き合わせた」
クロードの体がもう限界だと分かっているのだろう。ゼファーは口づけの狭間にそう告げ、だがはっきりとは唇を離さなかった。
「ぼく、ばかり、気持ちよくして、いただいて……」
「いいや。お前に触れて、私もひどく心地がいい。それに……」
一際強く吸い付かれて、クロードの喉からくぐもった喘ぎ声があがる。
そうしてかり、と唇の端を噛まれて、ゼファーはひどくいやらしい声で、言った。
「お前を私の手で乱すことが、これほど愉しいとは」
いまだそのような閨の戯れに返す言葉を持たぬクロードは、ただただ、年上の恋人の体に、ぎゅう、と抱きついた。
ゼファーは喉で笑って、クロードの額にキスを落とす。
「そろそろ眠るか?」
「まだ、触れていたいです、まだ……」
「ならば眠るまで、離さんぞ」
「はい……」
それからは唇同士がくっついてしまったように、口付けを離さなかった。互いの唾液が空気であるかのようにずっとずっとキスをして、互いの舌が自分の体の一部かのような錯覚をするほど侵入しあって、舌で交合を繰り返した。
脚を絡ませあって、互いに性器を擦り合わせた。クロードはゼファーの陰茎がまだまだ固く反り返っているのに気づいたが、乞われずに手や口で触れるにはまだ勇気が出ず、ただただ熱い体を寄せた。
そうしてずっとベッドの中で絡み合い、気だるい空気にクロードの眠気は誘われて、日付が変わるその頃には、瞼をすっかりと落とした。
クロードの二十歳の誕生日はそうやって幕を閉じ、その右手の薬指に光る指輪は、ゼファーとクロードの最初の愛の証人となった。
夢かと思ったのだ。
「クロード」
「…ん……」
低く重く響く声に呼ばれて、クロードは目を開いた。朝日に照らされて、長い青髪が色を薄くしている。
きれいだ。
そんな風に見惚れていたのも数瞬。
金の瞳と目が合って、クロードの眠気を吹き飛ばした。
「…っ!?陛…っ」
「こら」
尊称で呼ぼうとした唇が塞がれる。昨夜一晩で、すっかり形を覚えさせられた唇で。
「こういう時の呼び方は、昨日教え込んだはずだが?」
目を細めて笑うゼファーが、布の1枚も身にまとっていないことに気付いて、クロードの心拍が急速に上がる。
「…っ、…ゼ、ファー、おはよう、ございます」
「ああ、おはよう」
緩んだ眦で、再び唇を寄せたゼファーを、クロードは頬を紅潮させて迎えた。
緊張で固まる唇を舌が掠める。恋しい人の求めに応じて、クロードは口を柔く開いた。
「ん…」
口内を撫でられて、素肌の体を撫でられて、クロードは昨夜の熱を再び煙らせる。明るい光の下では、恥ずかしくて到底できそうもない、昨夜の触れ合いの端々が蘇る。
「慣れぬな。昨夜は随分と呼んでくれたが」
ゼファーの言葉に、一気に昨夜の記憶が蘇って、カッと頬に熱が集まった。
最後の方には、何度も、何度も呼んだ。熱に浮かされて、触れる腔内の熱さに喘いで、甘えて、すがって、その言葉しか知らぬように、ただただ、ゼファーの名を繰り返して善がった。
「あれ…っあれは、無我夢中で……」
「はは、そうだな」
ちゅ、ちゅ、とゼファーはクロードにキスを降らすのを止めない。絡ませた足の間では、柔らかくなった互いの陰茎が、ほんの少し、触れた。
ふ、とクロードは思う。あれほど昂ったままの王を残して眠ってしまったのだ、自分は。一人で気持ちよくなって。
「っあの、ゼファー、昨夜、は……その、ご満足、いただけ、なかった、の、では……」
気まずい顔をしたクロードに、ゼファーは少し考え込む顔をした。乱れた長髪が、前髪に混じって顔にかかっている。
「クロード。聞きたいのなら聞かせてやるが」
「は……はい……」
目を伏せて、ゼファーは笑った。その目尻が少し赤らんでいる。
「お前が眠った後、三度も出した」
「は、」
「興奮で眠れなくてな」
ふふ、とゼファーは笑う。
恥じている。この王が。
「全く、ずいぶんと誘惑してくれた。お前の穏やかな寝息を聞きながら、濡れた唇の寝顔を見ながら、惨めにも三度も自分で慰めた」
「ひ、ぇ……も、もうしわけ、ありませ……」
「まあ私の自業自得だ。お前の前では格好をつけたくてな。私のものを握ってくれと言えば、お前は応えてくれるとわかっていたが、三擦り半も保たずに情けなく射精するのが目に見えていたのでな」
ハハ、とゼファーはその内心まで告白して自嘲した。その裏には、それほどまでにクロードに欲情しているのだと、クロードに教え込もうとしている嗜虐も見え隠れしている。
わかっているのに、クロードはそれでも、年上の恋人に、正直に告白した。
「し、した、したかった、ですけれど、それ……」
「ほう」
自分で言い出す勇気もなかったくせに。言ってからクロードは自省したが、緩んだゼファーの眼差しに見惚れて、そのまま言葉で欲求を告げた。
自分も、触れたいのだと。
「あ、あなた、が、満足するまで、射精、のお手伝い、して、差し上げたかった、です」
「ふむ……ありがたい奉仕だが……そうだな、そのようなことも、これから身体でも言葉でも、共にいい形に出来るよう、尽力していくか。……恋人だからな」
言いながら、ゼファーはクロードにキスをする。労るような、感謝をするような、幸せなキスだった。
「……はい。恋人、ですから……」
キスをキスで返して、クロードもまた、同じ言葉を返す。
初めての夜の反省はそこで終わって、二人はまた唇を離さなかった。
それこそ、朝議に急かすユリウスの怒声が聞こえるまで。
そうして恋人になった二人は、長い月日で何度も何度も肌を合わせることになるのだが、いわゆる絶倫で遅漏の精力旺盛だった年上の恋人に、三擦り半って何だったんですか!?などと内心で叫びながら、クロードが夜通し鳴かされることになるのは、もうしばらく後のことになる。
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