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本編間話
EX:第14.5話 兄弟子の甲斐性にて初夜(シアロべ)
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ロベルトが目を覚ました時、周りは忙しそうに駆け回る治癒術師で溢れていた。
だが、その顔のどれにも悲壮感はない。だから戦勝を確信して、ロベルトは関節と筋肉が痛む全身と、酷く揺れる目眩にそのまま身を任せた。
「ノグレー隊長。目を覚まされましたか」
「ああ……いまいつだ」
治癒術師の一人が、ロベルトに気付いて声を掛ける。顔見知りの治癒術師に、ロベルトは気安く尋ねた。
「丸一日経ちました。今は魔竜の死骸による瘴気対策をとっております」
「陛下とクロード殿は」
「ご無事です。陛下は瘴気対策の陣頭に、ユーノヴェルト辺境伯はまだ療養中かと」
「陛下やっぱ体力めちゃくちゃだな」
話している間に全身の痛みと目眩に慣れてきて、ロベルトは体を起こした。
「戦闘中、アレストの癒炎を何度も受けられていたからか、余計に普段より活力が漲っていらっしゃるご様子でした」
「無敵か?怖いなうちの主君」
「それを言ったらノグレー隊長のご活躍も、我々か見れば規格外なのですがね」
治癒術師は言いながら、ロベルトに蓄積した余剰魔力残渣を排出するための治癒魔法を掛ける。
「魔力デブリがかなり多いですね。しばらくは安静になさった方がいいでしょう」
「ああ……デブリと言えば、うちの副隊長大丈夫か」
ユリウスの弟によるほとんど奇跡の治癒魔法を思い出して、ロベルトは問うた。あれほどの治癒魔法を受ければ、本来肉体の方が耐えられないのである。
「ラドウィン家の次男殿ご本人が対応を。四肢が壊死しそうなほどに残滓として残った余剰魔力を急速排出して、残りは……どうにか他の症状に転換して安定はさせました。生死に関わる状態ではありませんが……今は少々苦しいかと」
「……会える状態か?」
「はい。ご案内します」
「ああ、助かる」
ゆっくりとロベルトは地に足をつけて、治癒術師の後に続いた。視点が高くなれば、その場所が教会というのがわかる。
そして、野戦病院と化したそこにいるのが、ほとんど直接的な傷ではなく、治癒魔法の魔力負荷で寝込んでいる兵がほとんどだということも。
癒炎剣アレストがなければ見れなかった光景だ。とロベルトは自分の責務をやりきった少年を思う。
そうして目当ての砂色の髪を見つけた。
「シアン」
「あー?あー……おう……」
シアンはバケツを抱えてうずくまっていた。
その中身が吐いたものだというのは、匂いで分かっていたが、シアンの顔が涙やら鼻水やら胃液やらで全部ベチャベチャになっていたのまでは、予測外だった。
「……これ本当に大丈夫なやつなのか?」
「命に関わるわけではないので」
「まあ……おう………うん………」
治癒術師特有の判断に気圧されつつ、ロベルトはシアンの背を擦った。顔を拭いてやろうかとも思ったが、ロベルトの服はシアンの血をまだらに浴びて乾いたもので、拭けば余計に酷いことになるだろうことが予想されて、やめた。
「シアン、軍都帰ったら何する」
「は…ぁ……??」
「何か楽しいことでも考えとけって。飯なら俺が奢ってやる。弓具でもいいぞ。陛下から恩賞たんまりもらう予定だしな」
「あー、……ぅ」
こぷ、とシアンの喉から水音がして、ロベルトは背を擦ってやる。
実のところ、この後のことなど全く考えていないのはロベルトの方だった。魔竜との戦いで命を賭けるつもりだったのが、こうして生き残っている。この弟弟子に、身を挺して庇われて、互いに生き残って。
よく真面目に見えて大雑把、それでいて思慮深いと周りに思われている自覚が、ロベルトにはある。だが実際のところ、本当に魔竜との戦いの後の人生設計を一切考えずに生きてきたのである。
だからロベルトは、シアンの奔放に付き合って便乗しようとした。その下心が、人生の致命的な転換点になるとは思わずに。
「……あんたの」
つう、とシアンの口の端から唾液が伝う。そういえばキスしたんだっけ。なぜか。
今生の別れになるかもしれなかったその瞬間の、血塗れのキス。先にその理由を聞くべきだったか。
そう思っても、もう遅かった。
「あんたのケツに、チンコ入れてぇな……」
饐えた匂いを上げるバケツの中身を澱んだ目で見下ろしながら、シアンは心底本音の声でそう言った。
「……………………………は?」
何を言い出すんだこの弟弟子は。
理解が少しも追いつかなくて、ロベルトはただ問い返す声色を返すことしか出来なかった。
ぎろりとシアンが恨みがましい目でロベルトを睨む。睨まれる筋合いあるか俺?ロベルトの疑問は、だが内心に収まった。睨まれる筋合いはない、と自身で結論づけて、話を進めることに意識が向いたからである。
「いや……お前……チンコの行き場を失いすぎだろ……」
「うる、せ……、ここまでやったんだ、そんくらい、してくれて、も、いいだろ」
それくらいか?ケツが?
ロベルトは胸中で自問自答の審議に入った。理性的であれば比べるものではないだろう、というのが模範解答だったが、シアンに無意識に甘いロベルトの答えは、『それくらい』か、というものだったので最早救えなかった。
「ノグレー隊長。傷自体はそれほどではないとは言え、魔力枯渇で生命力まで削っています。アナルセックスはまだ推奨できませんね」
「いや、こいつがこの状態で、さすがにすぐには」
しれっと治癒術師が言うので、ロベルトは流石に焦った。焦ったのに、行為自体を否定する言葉が出ないのだから、即断即決の弓騎士隊の隊長らしい、といえばらしいものだった。
「そうですか。では事前に軟膏をお出ししておきますね。さすがに性生活での傷の治療は、互いに気まずいので」
「もうこの会話が気まずくないか?」
「死線の中ではままあることですので。それでは、ご用意してまいりますので」
本当になんの驚きもなさそうな声で言いきって、治癒術師は薬品を取りにその場を辞した。
「ロベルト」
シアンが珍しく名前で呼んでくるので、ロベルトの反応は遅れた。シアンは相変わらず恨みがましいじっとりした目でロベルトを見ている。
それが粘着質な恋慕の温度であるのを、ロベルトだけが気づいていていない。
なぜなら、シアンがロベルトを見る目の色は、出会いの時からこうだったから。人の変化に臨機応変に対応してきたロベルトは、変化のないそれの正体に気づく機会を十年、失っていた。
「忘れんなよ。ぜったい、だからな」
「わかった。わかったって。お前の魔力酔い終わったらしてやるから。無茶すんな。ほら」
わかっていないのに、ロベルトの言葉選びは、シアンの恋慕などお見通しの恋愛玄人めいて優しく、またシアンは一つ、誤解をした。
やっちまった。
健康で健全な肉体状況を取り戻してから、シアンが最初に思ったのがそれだった。
抱きたいという欲求に逆らえなかったのはともかく、そんな言い方ないだろう、と。
死を覚悟したあの時、最期にキス一つ出来れば満足だ、と思ったのも嘘ではない。だが、死線を抜ければ、そんな馬鹿な話があるかよ、である。
どこかぼんやりとしたロベルトの顔を見た途端、死を目前にした時の恐怖と、死から抜け出した喜びが入り混じって、普段は飼い慣らしていた性欲が爆発するのを抑えられなかった。
ぜってぇ抱く。すぐ抱く。タイミングとかもう知らねぇ、抱く。
結果、口から出たのが、ただただ直截に行為を示すだけの一言で。
けれど、あの話忘れてくれ、と言う機会はあったのに、言わなかったのは、それもまた抑えきれぬ性欲故にであった。
なにしろ、十年温めた初恋なのである。それに気付いていただろうロベルトが、行為に否やを言わなかったというなら、この長い初恋も報われるというものである。
ロベルトは全く気付いていないのだから、完全な誤解なのだが、浮かれたシアンに、それほど思考する脳の容量は残っていなかった。
「ロベルト」
「……おう」
シアンが改まって名前で呼ぶので、ロベルトは軽く驚いた顔をした。ムラムラする顔しやがって。シアンは完全に浮かれきった頭で、ロベルトの秀麗な顔の輪郭を視線でなぞった。
「明日の全体待機休日、俺のために空けといてくれ」
「おう。………うん?あ~…?……ああ、あれの話か?」
「……忘れてたんじゃねーだろーな」
「忘れてはねぇけど。わかった明日な」
胡乱なロベルトの返答に一抹の不安がよぎったものの、シアンはそれほど深く考えずに、次の日を待つことにした。興奮で、それほど眠れもしなかったが。
翌日十三時。
シアンとの約束があるので、ロベルトは午前にすべての用事を詰め込んだ。
騎士団員からの相談に乗り、図書室から借りた本をまとめて返し、実家であるノグレー商会から来た書簡の返事を書き、昼食を取りに城下町に出るついでに、仕立て直した服を受け取り、寝酒用の酒とつまみをいくらか買い足して、騎士団の寮に戻る。
弓騎士隊でまとめられた奥の方、隊長職用に少し広めに作られたロベルトの部屋は、いつも鍵が閉まっていないことで有名だった。
だから、ロベルトは自分の部屋にシアンがいること自体には驚かなかった。
「来てたのか」
「おー。……じっとしてらんなくてよ」
「はは、デートでも行けばよかったか」
シアンの声に緊張が満ちていた。
弟弟子の可愛げに、ロベルトはついついからかうような言い回しで笑った。それが誘っているように見えているなど思いもせずに。
だから、買い込んだものを戸棚にしまうロベルトの後ろに立ったシアンが、肩越しにキスをしてくるなど、思いもしなかったのだ。
二回目のキスは、かすかにハッカの香りがした。歯磨き粉の味だった。
「我慢出来ねえ。もう抱く」
「……、お前……こんな昼から……」
年下の男の声があまりに真摯で、ロベルトは茶化すことも出来ず、だが真っ向から受けて返すには内心に材料が足りずに、結局模範に外れているとの指摘しか出来なかった。
するり。シアンの手が、ロベルトの腰に回って、腹まで捕まえる。不思議と嫌悪感はなかった。それは元から、シアンの目線がこのあたりを無遠慮に撫でることがあるのを知っていたからかもしれなかった。
「うるせえ。絶対今日中に突っ込むって決めてんだ。はええ方がいいだろ」
「あー、おう……じゃあどうぞ……」
その由来まではロベルトには分からぬことだったが、シアンの情熱をしかと感じて、ロベルトは荷物の片付けもそこそこに、シアンの腕に体を預けた。
ぎゅう。とシアンの眉が寄る。重かったかと、ロベルトは姿勢を正した。
「…俺の部屋に全部準備してっから。あんたの部屋だとあの道化野郎入ってくるかもしんねぇだろ」
「まあそうだけど、そんな時間かけるつもりで来てんのお前」
なんでそんなわざわざ面倒なことを。
ロベルトはシアンの恋情に気付いていない。だから平然とそう思った。どんなに手間がかかろうと、シアンにとって自分の体でないと意味がないなどとは、一つも思い至っていないのである。
「いやあんた処女だろ。そんな簡単に入るか」
「処女言うな。確かにケツの経験はねえけど」
「……ヤマ勘で言ったけど、マジで処女なのかよ」
だから処女言うな。ロベルトは内心毒づきながら、これまでの性遍歴を振り返る。そもそも男と付き合ったことはないし、尻まで触りたがる女もいたが、許したことはない。
「何回か誘われたことあるけど、さすがにそんなホイホイ他人にケツ貸すかよ」
「ホイホイ貸そうとしてんだろ、今まさに」
「他人じゃないだろお前は」
「…あー?」
ロベルトの中では理屈の通っていることだった。この憎たらしくて可愛い弟弟子のわがままを、叶えてやれるのが自分ならば、まあ、してやってもいいだろう。それが兄弟子としての愛着だ、と自覚していた。
「は?この期に及んで他人面するつもりなのかお前」
「いや、そういうつもりはねえけど……」
もごもごと口ごもるシアンの頬を、ロベルトは軽くペチペチと手のひらで叩いてやった。
「怖気づいたか?」
ロベルト自身としては、ちょっとした軽口のつもりなのである。だが、初恋に身を焦がした男にとっては、特大の煽り文句であった。
「……ぶち込まれてから泣いてもやめねーからな」
「あー…お手柔らかによろしく?処女なもんで」
口から先に出た軽口に、シアンはじっとりとした目つきを返した。こういう言い方をするから、シアンが劣情を持て余すことになっているのを、まだロベルトは知らない。
寮の個室内にシャワールームが付いているのが隊長格だけのため、ロベルトは身綺麗にしてからシアンの部屋に入る。
すでにカーテンの引かれた室内は薄暗い。ベッドに腰掛けたシアンの視線が、ロベルトの水滴のついた首筋をなぞった。
ほんとにこいつセックスする気なんだなあ。
どこか他人事のようにロベルトは思って、何の衒いもなく、シアンの隣に腰を下ろした。二人分の体重を受けて、ぎしりとベッドが軋む。
ふー、と長く重いシアンの溜め息が落とされて、ロベルトはシアンの顔を覗き込んだ。思い詰めているような顔だ。
「失礼なやつだな。女抱く時もそんな風にしてんの、お前」
「してねぇよ。……相手があんただから緊張してんだろうが」
「なんだそれ」
シアンの緊張が、長く重い初恋故だと気付いていないロベルトの答えは軽い。軽く言って軽く笑ったロベルトの、唇にシアンは噛み付いた。
ぬるり、唇に熱い舌が触れてきて、ロベルトは唇をわずかに開いた。途端捩じ込むようにして腔内に侵入される。
「……っ、は…、ぅん……ッ」
これからこう犯す、とでも言いたげな舌は、どろどろのねばついた、発情した雄の匂いを擦りつけている。ロベルトはそれを受けながら、シアンの背を撫でてやった。
それに興奮したのか、舌先はどんどん遠慮をなくし、息つく暇もないほど、ロベルトの口の中を責め立てた。
キスをしながら、押し倒してきたシアンに、ロベルトは逆らわなかった。
枕に沈んだ後頭部がわずかに跳ねて、寝具から生活の匂いが香り立つ。いま目の前にいるシアンよりよほど、ロベルトがよく知っている匂いがした。
獣の匂いを放つシアンは、ロベルトの舌を絡め取って、吸い上げる。
唇を離せば、ぎらぎらと性欲で輝く瞳が、薄暗闇で光っていた。
「……挿れるからな」
服越しにシアンの硬くなった性器を擦り付けられて、ロベルトは息を呑んだ。キスだけでこんなに。
実はと言えば、ロベルトがシアンの部屋に入ったときからすでにそれは熱を持っていたのだが、ロベルトは気づかぬことだった。
「あのな……。挿れるつもりなのはいいけど……そもそも入るか?」
「入るまであんたの尻穴広げてやるっつってんだよ」
「お…おう……」
すり、とシアンの手が服の内側に入って、ロベルトの素肌の腰を撫でる。
「何だその反応」
「いや、やる気すぎてビビるだろ。その熱意を普段の訓練で出せよ」
「萎えること言うなよ」
眉を寄せてぶすくれて言ったシアンが、その子どもじみた表情とはうって変わって、口の端にスマートなキスを落としてくるので、ロベルトは面食らった。なんだこいつ、生意気に一丁前に。
「……夢精のこと、病気だと思って師匠に泣きついてたガキがなぁ」
「だから萎えること言うなって」
「萎えたなら頑張ってしなくてもいいんだぞ」
善意半分、からかい半分で言ったロベルトに、シアンは眉を寄せた。
そして無言で、ズボンの前を寛げたかと思うと、自らの固く反り上がった性器を見せつけるように取り出した。
「……は」
「萎えること言われてんのになぁ」
苛立たしげな苦笑で、シアンはロベルトの腹の辺りにそれを擦り付けた。服の上からぐり、と臍の辺りを押されて、ロベルトは息を詰める。
兄弟弟子で直属の上官と部下。長く戦場を共にした二人は、互いの裸を知らぬ仲ではない。
だが、平時のそれとは全く風貌の違うそれに、ロベルトは戸惑いを隠すことが出来なかった。主に、大きさに。
「いや、お前、デ……デカくなったな」
「盛り上がること言ってくれんじゃん。サービスがいいな、隊長?」
「いやサービスじゃなくて……、はい……入るかこれ?さすがに入れてやれる自信なくなってきたんだが」
ぐりぐりと陰茎を押し付けられて、ロベルトはつい早口になる。
その様子に気をよくしたシアンが、含み笑いをしながら首筋に唇での愛撫を落としていく。ロベルトはどっと汗が吹き出るのを感じた。
ああ、本当に、セックスするのか。俺と、こいつで。
今更ながらの実感に、肌がざわついて仕方がなかった。首筋と耳元を何度も行き来するシアンの唇の形まで意識してしまって。ロベルトは目もあっていないのに視線を逸らした。
「はは……興奮してきた。なんだあんた、その処女しぐさ」
言いながら、シアンはロベルトのタートルネックを捲り上げるようにして触れた。腹筋をなぞりあげて、乳首を掠って、胸筋を揉み上げて、そして脇を回って。身体の輪郭をなぞるように背中に指先を沿わせてゆっくりとその熱い手の平を腰に降ろして。
服がめくれれば、シアンの陰茎の先はロベルトの臍に直接ふれた。ぬち、と音を立ち、ロベルトは先走りを擦り付けられたことに気付いた。
「は、入んねぇって……」
「広げてやるっつってんだろ。オラ、観念してケツ出せや」
「わかった、わかったって。自分で脱ぐから急かすな」
相変わらず口汚い言い回しで急かすシアンを制しながら、ロベルトは自らベルトを緩めて、腰を上げた。途端、シアンの手がスボンと下着をまとめて引っ張り下ろす。
「おい……」
「脱がすのもセックスの楽しみだろうが。とるなよ」
抗議しようとしたロベルトの言葉を遮った、その言い回しの尾がずいぶんと幼い。
出会った頃の、十歳の少年の面影がよぎって、ロベルトは目を細めた。あのクソガキがこんなになって、まあ。
だからロベルトは、かつての少年のわがままを聞いてやるだけのつもりで、笑った。
笑って、半端に服を脱がされた両足で、シアンの腰を挟み込んだ。まるで、誘うように。
「それじゃほら、好きに脱がせよ」
「そこは恥じらわねぇのかよ」
「…ふ、ははっ」
不満げに口をへの字に曲げたシアンに、ロベルトは控えめに声をあげて、笑い飛ばした。
「お前に見られてんなら、服着てようが同じだろ」
「は?」
「お前の目は、ユリウスさえすぐに特定出来なかった、あの厄災の隠れた心臓まで見つけた『本物』の目だぞ」
怪訝な顔をするシアンの目尻に、ロベルトは手を伸ばす。ぴくりと震えて、シアンの黄緑の瞳が細められた。
「お前の目なら、俺の身体のことなんか、すぐに全部わかるだろ」
きっと、ロベルト自身も知らない、身体の奥まで暴いて見抜いてしまうのだろう。
それはロベルトにとって、恐ろしくもあり、楽しみでもあった。
いままで、セックスにおいて全ての主導権を相手に渡したことなどなかった。けれど、全て見抜いたのなら、きっとこの弟弟子は最後まで主導権を握って離さないだろう。
シアンが相手なら、それでもいい。
子どもの頃、この弟弟子の我儘やら癇癪やらに振り回されていた時の延長だと、ロベルトは本気で思っていた。
「……ベッドで他の男の名前呼ぶなよ。いくらあの野郎とは言え」
「そこかよ。わかったわかった」
ロベルトの胸中をわかっているのかいないのか、シアンがむすっとした顔で言う。ロベルトはたまらなくおかしくなって、シアンの顔を、両手で掴んで、その髪に指を差し込んだ。
「セックスが終わるまで、もう、お前の名前しか、呼ばない」
お前のための休日だからな。その言葉を続ける前に唇は塞がれて、ロベルトは早速一つ、唇の主導権を譲り渡した。
じっとりとした熱を分け合っている。
座って向かい合い、素肌をぴったりとつけて抱き合った姿勢で、シアンは黙々とロベルトの固く閉ざされた尻の穴を撫でて解して拓いて、潤滑油をその奥に擦り付けて、指の腹で押して引いて、自分の指がふやけるのも構わずに奉仕し続けた。
正直、シアンの性器は限界だった。時折ロベルトが悩ましげな吐息を漏らして、腹を揺らせば、ロベルトの腹や緩く立ち上がった陰茎にぶつかり、自らの先走りで濡れたぬるりとした刺激で痺れて、射精欲求を抑えるのに必死だった。
ことんとシアンの肩に頭を預けたロベルトの、吐息が熱い。すっかり力が抜けきった身体は、くたりとシアンの胸板にその体重を乗せている。
普段ならばとっくに挿れている。自分の快感だけを拾う為だけならば。
だがそれでも、今日だけは。
ぜってぇ俺のちんこで善がらせてやる。
自分の快感だけでは満足できないとわかっていたから、シアンはただただひたすら、指での奉仕を続けていた。
そのシアンを、不意にロベルトが掠れた声で呼んだ。
「……、……シアン……」
「どうした」
くったりと溶けた気怠げな声が、空気だけでなく、二人のくっついた肌越しに響く。
「……あの、な……」
「どうしたよ。気持ち悪いか?」
途切れ途切れに言いにくそうに呼びかけるロベルトに、シアンは指を抜いて問いかけた。ロベルトの身体が震える。だが、すっかり力の抜けきった身体がシアンに寄りかかってくる重みはそのまま。
「いや……そうじゃねーんだけど……怒らないで聞けよ……」
「おう」
なんか聞いたことのある声だな。シアンはそう思った。ぼんやりとして、気怠げで、ぽつりぽつりとぶつぎれで。
その答えは、次のロベルトの言葉で判明することとなる。
「あの……すまん……寝そ……」
「寝そう!!!!????」
いやに体から力が抜けているとは、思ったのだ。だが、睡魔まで感じているとまでは思わず、シアンはオウム返しで叫んだ。
「声でっか……」
苦笑で笑うロベルトの声は秘めるわけでもないのに、密やかだった。ほんとうに意識が茫洋としているのだろう声である。
シアンは卒倒しそうになった。こっちはお姫様相手かってぐらい丁寧に抱こうと必死になってるってのに?
「おいあんたマジか?マジで言ってんのか?ケツに指入れられといて?寝そう?」
「そうなんだけどな……お前の体温も、匂いも、気持ち……よくて……」
するり、とロベルトが頭を動かして、シアンの首筋に甘えるように擦り付く。
ロベルトの吐息が、シアンの首元をくすぐって、声と言葉と仕草と触感で極上の愛撫をされたシアンの腹の熱は、出口を探して暴れまわった。
「……、っ、まっ……~ッ!!くそ、く、そ……」
少し出ただろうが!
内心で悪態をつきながら、気合で射精を押し留めて、シアンはロベルトの肩口に顔を埋める。
「くそっ……、あ……っぶね……」
「お前、それもう出した方が楽だろ……手伝うか?」
やや意識をはっきりさせたロベルトが呆れてシアンの濡れた陰茎に手を伸ばす。善意ゆえなのは、シアンにも伝わっていた。だが。
「いい。いいから。いいっつうの!!触んなイく!!」
「いやだから出した方が楽、」
「今日は全部あんたの中に出すって決めてんだよ!」
必死な形相でロベルトの手首を掴んで制止したシアンに、いよいよ眠気もすっかり吹っ飛んでロベルトはぽかんと口を開けた。
「お……おお……そうか……」
「真面目に答えんな。俺が居た堪れねーだろうが……」
「いや……うーん……うん」
ロベルトの手首を掴んだシアンの指先は暖かく濡れてふやけている。そのしわしわの指先を見下ろされているのに気付いて、シアンは思わず、ぱっと手を離した。
ロベルトは、何とも言えない、笑うのを失敗したような素朴な顔をしていた。
「そしたら、もう挿れろよ。俺がうとうとするぐらい解したんだ、いけるだろ」
「あんたあんなに弱音吐いといて」
「そりゃまあ、お前がこんなに優しいセックスするとは思わなかったからな」
ちゅう、とロベルトの唇がシアンの口の端に吸い付く。まるで恋に恋で返すような触れ方に、シアンの頭が沸騰する。
「じゃあ、遠慮しねえけど。……笑うなよ。多分いま挿れただけでイく」
「お前こそ、俺が泣いても笑うなよ」
吐息に笑みを混ぜたロベルトに、シアンは深く舌を絡ませるキスで返した。自分が先に言ったことなのに、約束はできなかった。
この男が自分に抱かれて泣くと言うなら、嬉しくて、堪らなくて、笑ってしまうだろう、という確信に近い予感があったから。
これ以上我慢出来るわけもなく、シアンはキスの勢いそのまま、ロベルトを寝台に押し付けた。
枕が押しつぶされて、生活の匂いがする。自分の部屋で、この男を自分のものにしようとしている。
あまりの興奮に、痛みが走るほど陰茎が膨れ上がる。思わず本能のまま、固くなったそれをロベルトの股の間に擦り付ければ、ぴくりと震えた感覚が返って来る。
ロベルトの腕が自身の太ももを掴んで、シーツに皺が寄った。
「…………」
「何だよ」
「あんま興奮することすんなって……」
「言ってる場合か。余裕ないんだから使えるもんはなんでも使っとけ」
ロベルトが当たり前の顔をして言うので、シアンは余計に興奮した。両足を抱え込んで自ら股を開いたロベルトの姿は、何度も夢想したもの。それが現実にある。それも、シアンが懇願したわけでなく、ロベルトが自ら判断して、体を自ら動かして。
熱く湿った吐息を吐き出して、ゆるりと腰を動かす。
ぬち。散々に指で拓いた穴が、柔らかく出迎えようとしていた。シアンもロベルトも、息を詰める。
「……、ふ……」
「……」
ロベルトの翡翠の目が、自分を見つめているのに、シアンは気付いていた。その目にからかいの色はない。それどころか、心配の色さえ浮いている。
ゆっくりと体を沈めながら、シアンはロベルトの表情をじっと見下ろしていた。その顔に痛みの影はなかったが、快感の影もなかった。ただただ、シアンの侵入を許している顔は、わずかに汗ばんでいる。
「……、ぅ、……」
「は、は……嘘だろ、本当にちんこ入ってん、じゃん」
「あ、んたってやつは、本当に口の減らない……」
軽口で意識を散らしながら、シアンはぐぐ、と腰を進めた。ロベルトの緩く笑う顔が、なんだか珍しくも懐かしいもので、きつくて熱い中を割り進みながら、シアンは思考を巡らせる。
上官の顔ではない。兄弟子でも、戦友でも、あるいは悪友の顔でもない。
記憶を遡って遡って、ようやく、シアンは一つ、思い当たった。
それはシアンがロベルトと同じ師に師事する前。初めて出会って、ほんの一カ月ほど。二人が互いに何者でもなかった頃の、笑い方だった。
ならばこれは。服どころか、肩書も名声も武勇までも全部取り払った、ロベルトの素顔だった。
だから堪らなくなって、シアンはぐい、とそれまでから比べればいささか性急に腰を進めた。
「……っ、く……んぅ……ッ」
「……はぁ、はーっ………はっ、………ふ」
苦しさからか快感からかわからぬ喘ぎ声がロベルトから喉から漏れて、シアンはぐっと下半身に力を込めて耐えた。
もう少しで全部入る。全部、全部、挿れて、そして。
「……シアン」
ロベルトが、吐息まじりの声で呼んだ。掠れて色気を帯びたその声に呼ばれて、シアンの理性はボロボロと剥がれ落ちていく。
「気持ちいい、か……?」
ずっと、焦がれていた翡翠が、熱を帯びて潤んでいた。
俺に、抱かれて、そうなっている。
そう思ったらもう駄目だった。堰き止めていた情欲の大波は止めようもなく、びゅくり、と埋めた陰茎から飛び出すのを感じながら、全部全部、この目の前の男に擦り付けてやりたい、と欲望のまま、腰を押し付けた。
「っん…!」
「……ふ…っ!!ぅ、あ………っ、くっ……そ、くそ………っ」
溜め込んだ精を出し切らんと、勝手にがくがくと腰が揺れる。耐えられずに頭を落として、ロベルトの首筋に埋めれば、頬で、唇で、なだめるように撫でられて、情けないのに嬉しくて、涙が染み出してくる。
「っ……はぁ、はー……っ」
「……お前が泣くのかよ」
奔流が収まって、顔を上げれば涙が伝って落ちた。それはロベルトの頬に落ちて、その輪郭をなぞった。
「うる、せ……っ、……っ」
「死にそうになった時も泣かなかったくせに」
眉を寄せて、苦笑いしたロベルトが、頭を浮かせてシアンに口づける。
こいつ、どういうつもりで俺にキスしてんだ。
シアンは自らも好意を言葉にしていないことなど棚にあげて、年上の男の世慣れたキスを甘受する。
「満足したか?」
「するかよ。こっからだろ」
「まあそうだよな」
キスの狭間に、そんな軽口を叩き合い、舌を差し込めば、ロベルトの口から湿った吐息が漏れる。
抜かぬままの陰茎が、この男の中で暴れまわりたいと、その固さを取り戻す。
「ヒイヒイ言わせてやる」
「……怖いな、お前の謎のやる気」
短く言葉を交わして、唇はまた、キスのためのものに。
「なあ」
「うん?」
「足。俺が持つ」
「重たいぞ」
「それがイイんだろ」
キスの狭間に湿った声で言葉を交わしあい、言われるがままに、ロベルトは自らの脚をシアンに受け渡して、腕を宙に浮かせた。その手の平が、シアンの肩に乗る。
「ふ、くく……はは……」
ゆっくりと腰を揺らしながら、シアンは笑った。
ぬち、ぬち、と鳴る卑猥な音に相応しい下卑た熱を乗せた笑い方で。
シアンの手が、ロベルトの太腿に食い込む。絡ませた舌が震えて、シアンはその震えさえ啜るように吸い上げた。
「……っは、なに、笑って……」
「あんたに……股、開かせてんだと思ったら、めちゃくちゃクるな……って思って」
「ん……ぅ、なんだ、そりゃ……」
ロベルトの声が甘く緩み始める。指で散々拓いた内側の、弱いところなどもう十分に分かりきっていた。
だから、ゆっくり、ゆっくりとその場所を撫でて溶かす。荒くなる呼吸を吸うようにキスして、舌で唾液を混ぜ合って、匂いを擦り付けて。
「……、ん、ん……っ、は……ぁ……」
「ヨくなって来たろ」
唇を離してその顔を見下ろせば、じろり、とロベルトがシアンを睨む。その鋭い眼差しに、快感の熱が乗っているのを見抜いて、シアンの体の内側で、ゾクゾク情欲と支配欲が駆け回った。
「……っ、……くそがき……」
そうして絞り出された悪態は、どうしたって愛着が滲んでいて、シアンははぁー、と熱く熟れた息を大きく吐き出す。
「あんま興奮させんなつってんだろ……」
「し、るかよ……っ」
ぐり、と意地悪く弱い場所を強く押せば、ロベルトの声が詰まる。顔どころか首筋も、胸元まで汗ばんだその肌が、カーテンから漏れるかすかな日光に照らされて艶めいていた。
こんな時間にセックスをしている。
それだけでも背徳的だというのに、昼の姿をよく知っているから余計にひどくそれを実感する。頼もしくて、時に大雑把で、けれど真っ直ぐ伸びたその背の、ストイックな空気を、よく知っている。
その男が、快感で熱い息を吐き、情欲に煽られて汗を浮かべ、腰を押し曲げて、股を開いている。
「たまんねぇな……」
「……っふ……、ん、ん……ぅ……」
快楽を受け流そうと呻くロベルトの唇から、たらり、と涎が一筋溢れた。本当に、本当にたまんねぇ。シアンは恋しい男のそれをぺろりと舌で掬い取って飲み下す。
ふるりとロベルトの黒いまつ毛が揺れた。
「……ほんとに、セックス、してる、みたいだ」
どこかぼんやりとロベルトが言った。その視線がゆらゆらと揺れている。
どんどん正体を無くしていくロベルトの顔は、どこか幼く見えた。体の内側を撫でられる性行が初めてだからか、その表情に戸惑いさえ浮かんでいる。
「は、セックスだろ。ほら」
「……っあ、あ!…っふ、はぁ……っ、ぁ…っ」
「はは……エロい声……」
緩く揺する中に強めの律動を混ぜれば、ロベルトが喉を反らして喘ぐ。その喉はすっかり快楽で濡れて、流れた汗は鎖骨のくぼみに溜まっている。
シアンは身をかがめてその汗を舐め取る。塩辛いそれを舌で味わえば、身を捩らせたロベルトが、熱い吐息をもらす。
そして、その口はもうしっかり閉じずに、密やかに熱い息と嬌声を溢れさせるものとなった。
この男が、自分とのセックスに耽溺しようとしている。
そのことに激情が弾けそうになるのを我慢して、シアンは丁寧に丁寧に腹の中を陰茎で撫でて捏ねて、ロベルトの体を淫靡に導いた。
ゆっくりゆっくり、ロベルトの口が広がっていく。堪えることの出来なくなった快楽が、声を甘く切なく染めて、密やかだった嬌声は、跳ねるようにして、その粒を大きくしていった。
「…っあ、あぁっ……あ……っ!」
「なぁ、痛くしねぇから、もうちょい強くしていいか?」
頃合いを見計らって、シアンは叶う限り優しい声でロベルトの耳に吹き込んだ。
欲に染まりきった劣情は隠せないにしろ、本当に、大事に抱きたいのだけは伝えたくて。大事に抱いて、その上でただただ自分の与える快感に満たされて乱れた姿を見たいのだと。
「……んっ、ぁ……、シア、ン、お、まえ……」
「なに」
ロベルトの翡翠の目が、シアンのことを慈しむように見ていた。
「っぁ、あ……っ、セックス、の…っとき、そういう、こときくのか……っぁ、あ……」
「駄目かよ」
揺すられながら、ロベルトはそれでも言葉を続けて、ふふ、と小さく笑った。その時、翡翠の目は遠くを見ていた。
誰か、を求めているわけではない。ただただ虚空を、空白の未来を見ている、とシアンは直感的に思った。
「しあわせだな、とおもって……」
どういうつもりで言ってんだこの男は。
その言葉への反応の半分は、不可解だと、理解な追いつかないから怪訝な表情に出た。
もう半分は。
勘違いだとわかっているのに、自分に抱かれて幸せだと、そう言われたのだと思い込みたくて、激情は破裂した。
「……あ!あ、あ、あぁっ!」
「はっ……、ふ、ぅ、……ふっ……」
パン、と肌と肌がぶつかり合う音をさせて、激しく抽挿すれば、大きく開いた口の喉奥さえ見えるようにロベルトは喘いだ。シアンの肩に置かれた手はすっかり汗ばんで、指先を滑らせながら縋っている。
「あっ、ア、う…っ、はぁ、はっ……」
「……っロベルト、ロベルト……!」
「んっ、あ、あ、あ…っ、ふ、んぅ、う…っ!」
繋がった場所から、ぐちゅっぐちゅっと卑猥な音が上がって、シアンは余計に興奮した。
ぐい、と長いロベルトの脚を折り畳んで、身を乗り出してキスをする。隙だらけの口の中を舌で蹂躙すれば、ロベルトの指がシアンの肩から滑り落ちて、再び縋ったそれは、背に回って爪を立てた。
「あーっ!あ…っ、あッ!ァ、ぅ、んんっ」
ロベルトの腰がしなって弓なりにシアンの体に吸い付く。
シアンの腹に、先走りでべちゃべちゃに濡れたロベルトの陰茎が触れた。粗相をしたのではないかというぐらいに濡れたそれを、わざと擦れるように腰を動かせば、ひときわ大きな嬌声が上がる。
「ああっ!あ!あ!んーっ!!んんっ、んぅ…っ!」
「……っふ、ぅっ、く……すげ……、やば……っ」
「んっ、んーっ、はぁ……っ、は、う、う…ッ」
ぎゅう、とロベルトの太腿に何度も力がこもる。その動きが妙で、シアンは顔を離してロベルトを見下ろす。
ぐっと目を閉じて、眉を寄せている。痛みを堪えているかのような表情だが、真っ赤に染まった頬も、熱く熟れた汗に濡れた額も、痛みよりも快感を伝えている。
「はっ、は、はっ…う、うーっ、うー…っ!」
「お、い……ロベルト、ど、した」
だからシアンは聞くことにした。
シアンの目でもってしても、ロベルトの体がすっかり快感に支配されているのまではわかっても、その意図までは見えなかった。
「も…っ、イく、イけそ…っなの、に…っぁ、う…っ、うーっ、っく、ッあ、なんか、掴めね…っ」
うっすら目を開いてロベルトが言う。
潤んだ瞳にシアンの欲情しきった顔を映している。体はシアンの与える快感を享受して、快楽の頂点に自分の体を追いやろうと、身を捩らせて。
「あ、んた、いきなり、ケツだけでイこうと、してんの」
腹の奥で加虐の欲情が芽を出そうとしていて、シアンは大きく息を吐いて飼い慣らす。
やってやりたい。尻だけで快楽を極めるまで、突いて突いて、腹が膨らむほど精液を注ぎ込んで、尻の穴が性器になったと錯覚するまで、犯し尽くしたい。
けれど。今じゃない。初めての性行で、繋がれただけで、快感を拾えただけで。
そして、ここまで、穏やかに受け入れられた。
だから次への期待で理性は正しく働き、加虐はもっと先の楽しみに、と眠らせる。
「っく、ぅんっ、ん…っ、こんだけ、ヨくされて…っイけねーのも、不甲斐ねーだろ…っぅ、あ、あっ」
「……あっのなぁ…っ!」
ロベルトの腰がシアンの律動に追いすがって揺れる。あまりの痴態に、背筋がゾクゾクと興奮で震えて、シアンは腰を退かせて動きを止めると、熱い息を吐き出した。
「さすがに俺も、初めてで中イキさせようとか高望みしてねぇよ……。ちんこ擦ってやっから、ちょっと横向け」
シアンが片方の脚を下ろすと、その意図を理解して、ロベルトは横向きに体勢を変える。
シーツに伸びた脚の、太腿に真っ赤な手形がついていた。おそらく、跡になるだろう。
「はぁ……っ、はーっ、は…っ、……悪い、頼んだ……、ケツ掘られながら自分でやったら、握りつぶしそ、だし……」
「怖ぇこと言うなよ……。大人しく俺にイかされとけ」
掴んだままの片足を、ぐいと大きく開かせて、シアンは再びロベルトのすっかり熱くぬかるんだ穴に性器を収めた。緩く動けば、ぬちゅぬちゅ、と淫猥な音がたつ。
「は、はは……なんでおまえ、セックスん時そんな優しいの……」
「……あんた処女だからな」
ただただ丁寧に劣情に沈めるためだけの手つきを、優しいと言うのなら、ロベルトにだけだというのは自覚の上だった。
けれど、それを直截に言うのは気恥ずかしく、シアンは返答をずらした。ロベルトが緩んだ顔で小さく笑う。
「ああ、そうだった……律儀だな、おまえ……お手柔らかにどうも……ん……ぁ、ん……っ」
ロベルトの腰が律動に合わせて揺れたのを見計らって、はち切れんばかりに膨らんだロベルトの陰茎にそっと触れた。
びく、びく、と陰茎が震える。本当に限界なのが分かって、シアンの腰もずんと重くなった。
「っあ!あ、ぅん、んっ!イく、イき、そ…っ」
「…っふ、はは、ああ、うん、イけよ、ほら…っ、ロベルト…っ」
ゆっくりと陰茎を撫でてやりながら、シアンは律動を早めた。
パンパン、と肌と肌がぶつかり合う音も、ぐちゅぐちゅ、と繋がった場所の淫靡な水音も、全部全部セックスの音で、ロベルトが、シアンを受け入れている音だった。
「っぁ、あ!シアン、シアン…っ!」
ロベルトが、シアンに手を伸ばす。
この男が、俺を求めてる。
それだけで頭は沸騰して、その手が届く前に、シアンは身を屈めて唇に食いつく。舌を絡ませれば、ロベルトの指先がシアンの髪をかき混ぜて震える。
「あっ、う、んぅ、う…っ、あ、あ、あ!」
「…っロベルト」
ロベルトの太腿が震えて、頂点が近いのを知る。シアンももう、限界だった。すっかり中側の快楽を知ったロベルトの胎は、うねって震えて、まるで誘い込むようだった。
俺が、そうした。
そう思うと余計に煽られて、でももう我慢する必要もない。シアンは挿入を激しくして、ひときわ深くロベルトの中にねじ込むと同時に、ぐりぐり、とロベルトの陰茎の先端を刺激してやった。
「っあーっ!あっ、あっ!あーっ!!」
体全体を反らして絶頂して、ロベルトの目からはとうとう涙がこぼれ落ちた。長く焦らされた陰茎からは、止めどなく精液が溢れて、シアンの手を汚した。そのシアンの手も快感で震える。
「っく、ぅ……ふ、んん、……っは……っ!」
ロベルトのガクガクと揺れる腰を逃さず、股座を擦り付けながらシアンは射精した。
じっくりと丁寧に育て上げた情欲のせいで、二人ともが長い長い絶頂から降りて来られずに、互いの体を、体液を擦り合わせながらベッドの上で縺れ合いながら震える。
「っは、はぁっ……、は……」
「ふ…っ、はーっ、はーっ……」
「はぁ……っ、は……、な、んか……」
先に言葉にしたのはロベルトだった。その顔に涙の筋がある。シアンは呼吸を整えながら、その跡を見つめていた。
「すげぇ、イき方、した……」
「おー……」
「……これ、隣、声……とか、聞こえてねーか……」
激しく善がった自覚があるのだろう。ロベルトは気まずい顔をして壁を見た。
息を整えたシアンは、ロベルトのこめかみにキスを落として笑った。秘所に埋めた陰茎は抜かぬまま。
「あー……、夜まで帰ってこねーの、確認してる。つか、誘導した」
「おまえ……だからそれを普段の仕事で活かせって……」
呆れた顔をしたいつもの調子のロベルトに、シアンは喉で笑った。ぬるり、とシアンはロベルトの腹の上に撒き散らされた精液を撫でる。
「あんた、イったら即お説教かよ。切り替え早すぎんだろ」
「いやお前のせいだろ。説教させるな、ケツにチンコ入れられてんだぞ俺は」
「そうだな」
「そうだなてお前……。………………………いや抜けよ」
「まだ昼なんだよな」
「…………」
ロベルトは渋い顔をした。シアンの言葉の意図を正しく理解したのだろう。
言外の意図を汲むのが上手すぎる兄弟子の尻の穴を、シアンはいくらか柔らかくなった、だがまだ芯の残る陰茎で柔く刺激する。
「お、まえ……チンコの行き場失いすぎだろ……」
「だめか?」
呆れた声で言うロベルトに、シアンはねだるように言った。案外ロベルトがセックスのことならば、何でも許してくれることが分かったので。
じっとロベルトがシアンの顔を見つめている。しばらくもしないうちに、その表情が許すものになった。
チョロすぎるだろ。
シアンは思ったが、それが自分にだけ許されているのだとは、まだ知らぬことである。
「まあ……あのクソ竜もぶっ飛ばしたことだし」
「どういう理屈だよ」
「人生を使う宛がなくなったんだよなぁ」
「はあ?」
ふー、と息を吐き出して、ロベルトはゆっくりと脚を動かして、シアンの腰に回した。踵が腰に触れて、シアンの陰茎がぐんと立ち上がる。
「萎える話だから今はやめとく。まあ、苦労して拡げた穴だしな。使えるだけ使っとけ」
「……ほんとケツだけでイけるまでガン突きしてやろうかな」
「こええよ。なんなんだ、そのやる気は」
自分の振る舞いを全て棚上げしてロベルトが言うので、シアンはつい胡乱なものを見る目つきになった。
「あんたが頑張ろうとしてたんじゃねーか」
「そりゃあそこまでお前が頑張ってんだから、まあ……」
「それ、どういうつもりで言ってんだ、あんた」
報われたい、という気持ちが顔を出して、シアンはついきつく問うた。どうかその理由が、愛着で、恋慕で、愛欲であってくれ、と願う。
「クソかわいい弟弟子にご褒美くれてやるのも、兄弟子の甲斐性ってもんだろ」
はは、とロベルトが笑った。
相変わらずの返答に、シアンまた初恋を昇華する機会を失って、苛ついて滾った肉欲を、この男が許す限りぶつけてしまうことにした。
だが、その顔のどれにも悲壮感はない。だから戦勝を確信して、ロベルトは関節と筋肉が痛む全身と、酷く揺れる目眩にそのまま身を任せた。
「ノグレー隊長。目を覚まされましたか」
「ああ……いまいつだ」
治癒術師の一人が、ロベルトに気付いて声を掛ける。顔見知りの治癒術師に、ロベルトは気安く尋ねた。
「丸一日経ちました。今は魔竜の死骸による瘴気対策をとっております」
「陛下とクロード殿は」
「ご無事です。陛下は瘴気対策の陣頭に、ユーノヴェルト辺境伯はまだ療養中かと」
「陛下やっぱ体力めちゃくちゃだな」
話している間に全身の痛みと目眩に慣れてきて、ロベルトは体を起こした。
「戦闘中、アレストの癒炎を何度も受けられていたからか、余計に普段より活力が漲っていらっしゃるご様子でした」
「無敵か?怖いなうちの主君」
「それを言ったらノグレー隊長のご活躍も、我々か見れば規格外なのですがね」
治癒術師は言いながら、ロベルトに蓄積した余剰魔力残渣を排出するための治癒魔法を掛ける。
「魔力デブリがかなり多いですね。しばらくは安静になさった方がいいでしょう」
「ああ……デブリと言えば、うちの副隊長大丈夫か」
ユリウスの弟によるほとんど奇跡の治癒魔法を思い出して、ロベルトは問うた。あれほどの治癒魔法を受ければ、本来肉体の方が耐えられないのである。
「ラドウィン家の次男殿ご本人が対応を。四肢が壊死しそうなほどに残滓として残った余剰魔力を急速排出して、残りは……どうにか他の症状に転換して安定はさせました。生死に関わる状態ではありませんが……今は少々苦しいかと」
「……会える状態か?」
「はい。ご案内します」
「ああ、助かる」
ゆっくりとロベルトは地に足をつけて、治癒術師の後に続いた。視点が高くなれば、その場所が教会というのがわかる。
そして、野戦病院と化したそこにいるのが、ほとんど直接的な傷ではなく、治癒魔法の魔力負荷で寝込んでいる兵がほとんどだということも。
癒炎剣アレストがなければ見れなかった光景だ。とロベルトは自分の責務をやりきった少年を思う。
そうして目当ての砂色の髪を見つけた。
「シアン」
「あー?あー……おう……」
シアンはバケツを抱えてうずくまっていた。
その中身が吐いたものだというのは、匂いで分かっていたが、シアンの顔が涙やら鼻水やら胃液やらで全部ベチャベチャになっていたのまでは、予測外だった。
「……これ本当に大丈夫なやつなのか?」
「命に関わるわけではないので」
「まあ……おう………うん………」
治癒術師特有の判断に気圧されつつ、ロベルトはシアンの背を擦った。顔を拭いてやろうかとも思ったが、ロベルトの服はシアンの血をまだらに浴びて乾いたもので、拭けば余計に酷いことになるだろうことが予想されて、やめた。
「シアン、軍都帰ったら何する」
「は…ぁ……??」
「何か楽しいことでも考えとけって。飯なら俺が奢ってやる。弓具でもいいぞ。陛下から恩賞たんまりもらう予定だしな」
「あー、……ぅ」
こぷ、とシアンの喉から水音がして、ロベルトは背を擦ってやる。
実のところ、この後のことなど全く考えていないのはロベルトの方だった。魔竜との戦いで命を賭けるつもりだったのが、こうして生き残っている。この弟弟子に、身を挺して庇われて、互いに生き残って。
よく真面目に見えて大雑把、それでいて思慮深いと周りに思われている自覚が、ロベルトにはある。だが実際のところ、本当に魔竜との戦いの後の人生設計を一切考えずに生きてきたのである。
だからロベルトは、シアンの奔放に付き合って便乗しようとした。その下心が、人生の致命的な転換点になるとは思わずに。
「……あんたの」
つう、とシアンの口の端から唾液が伝う。そういえばキスしたんだっけ。なぜか。
今生の別れになるかもしれなかったその瞬間の、血塗れのキス。先にその理由を聞くべきだったか。
そう思っても、もう遅かった。
「あんたのケツに、チンコ入れてぇな……」
饐えた匂いを上げるバケツの中身を澱んだ目で見下ろしながら、シアンは心底本音の声でそう言った。
「……………………………は?」
何を言い出すんだこの弟弟子は。
理解が少しも追いつかなくて、ロベルトはただ問い返す声色を返すことしか出来なかった。
ぎろりとシアンが恨みがましい目でロベルトを睨む。睨まれる筋合いあるか俺?ロベルトの疑問は、だが内心に収まった。睨まれる筋合いはない、と自身で結論づけて、話を進めることに意識が向いたからである。
「いや……お前……チンコの行き場を失いすぎだろ……」
「うる、せ……、ここまでやったんだ、そんくらい、してくれて、も、いいだろ」
それくらいか?ケツが?
ロベルトは胸中で自問自答の審議に入った。理性的であれば比べるものではないだろう、というのが模範解答だったが、シアンに無意識に甘いロベルトの答えは、『それくらい』か、というものだったので最早救えなかった。
「ノグレー隊長。傷自体はそれほどではないとは言え、魔力枯渇で生命力まで削っています。アナルセックスはまだ推奨できませんね」
「いや、こいつがこの状態で、さすがにすぐには」
しれっと治癒術師が言うので、ロベルトは流石に焦った。焦ったのに、行為自体を否定する言葉が出ないのだから、即断即決の弓騎士隊の隊長らしい、といえばらしいものだった。
「そうですか。では事前に軟膏をお出ししておきますね。さすがに性生活での傷の治療は、互いに気まずいので」
「もうこの会話が気まずくないか?」
「死線の中ではままあることですので。それでは、ご用意してまいりますので」
本当になんの驚きもなさそうな声で言いきって、治癒術師は薬品を取りにその場を辞した。
「ロベルト」
シアンが珍しく名前で呼んでくるので、ロベルトの反応は遅れた。シアンは相変わらず恨みがましいじっとりした目でロベルトを見ている。
それが粘着質な恋慕の温度であるのを、ロベルトだけが気づいていていない。
なぜなら、シアンがロベルトを見る目の色は、出会いの時からこうだったから。人の変化に臨機応変に対応してきたロベルトは、変化のないそれの正体に気づく機会を十年、失っていた。
「忘れんなよ。ぜったい、だからな」
「わかった。わかったって。お前の魔力酔い終わったらしてやるから。無茶すんな。ほら」
わかっていないのに、ロベルトの言葉選びは、シアンの恋慕などお見通しの恋愛玄人めいて優しく、またシアンは一つ、誤解をした。
やっちまった。
健康で健全な肉体状況を取り戻してから、シアンが最初に思ったのがそれだった。
抱きたいという欲求に逆らえなかったのはともかく、そんな言い方ないだろう、と。
死を覚悟したあの時、最期にキス一つ出来れば満足だ、と思ったのも嘘ではない。だが、死線を抜ければ、そんな馬鹿な話があるかよ、である。
どこかぼんやりとしたロベルトの顔を見た途端、死を目前にした時の恐怖と、死から抜け出した喜びが入り混じって、普段は飼い慣らしていた性欲が爆発するのを抑えられなかった。
ぜってぇ抱く。すぐ抱く。タイミングとかもう知らねぇ、抱く。
結果、口から出たのが、ただただ直截に行為を示すだけの一言で。
けれど、あの話忘れてくれ、と言う機会はあったのに、言わなかったのは、それもまた抑えきれぬ性欲故にであった。
なにしろ、十年温めた初恋なのである。それに気付いていただろうロベルトが、行為に否やを言わなかったというなら、この長い初恋も報われるというものである。
ロベルトは全く気付いていないのだから、完全な誤解なのだが、浮かれたシアンに、それほど思考する脳の容量は残っていなかった。
「ロベルト」
「……おう」
シアンが改まって名前で呼ぶので、ロベルトは軽く驚いた顔をした。ムラムラする顔しやがって。シアンは完全に浮かれきった頭で、ロベルトの秀麗な顔の輪郭を視線でなぞった。
「明日の全体待機休日、俺のために空けといてくれ」
「おう。………うん?あ~…?……ああ、あれの話か?」
「……忘れてたんじゃねーだろーな」
「忘れてはねぇけど。わかった明日な」
胡乱なロベルトの返答に一抹の不安がよぎったものの、シアンはそれほど深く考えずに、次の日を待つことにした。興奮で、それほど眠れもしなかったが。
翌日十三時。
シアンとの約束があるので、ロベルトは午前にすべての用事を詰め込んだ。
騎士団員からの相談に乗り、図書室から借りた本をまとめて返し、実家であるノグレー商会から来た書簡の返事を書き、昼食を取りに城下町に出るついでに、仕立て直した服を受け取り、寝酒用の酒とつまみをいくらか買い足して、騎士団の寮に戻る。
弓騎士隊でまとめられた奥の方、隊長職用に少し広めに作られたロベルトの部屋は、いつも鍵が閉まっていないことで有名だった。
だから、ロベルトは自分の部屋にシアンがいること自体には驚かなかった。
「来てたのか」
「おー。……じっとしてらんなくてよ」
「はは、デートでも行けばよかったか」
シアンの声に緊張が満ちていた。
弟弟子の可愛げに、ロベルトはついついからかうような言い回しで笑った。それが誘っているように見えているなど思いもせずに。
だから、買い込んだものを戸棚にしまうロベルトの後ろに立ったシアンが、肩越しにキスをしてくるなど、思いもしなかったのだ。
二回目のキスは、かすかにハッカの香りがした。歯磨き粉の味だった。
「我慢出来ねえ。もう抱く」
「……、お前……こんな昼から……」
年下の男の声があまりに真摯で、ロベルトは茶化すことも出来ず、だが真っ向から受けて返すには内心に材料が足りずに、結局模範に外れているとの指摘しか出来なかった。
するり。シアンの手が、ロベルトの腰に回って、腹まで捕まえる。不思議と嫌悪感はなかった。それは元から、シアンの目線がこのあたりを無遠慮に撫でることがあるのを知っていたからかもしれなかった。
「うるせえ。絶対今日中に突っ込むって決めてんだ。はええ方がいいだろ」
「あー、おう……じゃあどうぞ……」
その由来まではロベルトには分からぬことだったが、シアンの情熱をしかと感じて、ロベルトは荷物の片付けもそこそこに、シアンの腕に体を預けた。
ぎゅう。とシアンの眉が寄る。重かったかと、ロベルトは姿勢を正した。
「…俺の部屋に全部準備してっから。あんたの部屋だとあの道化野郎入ってくるかもしんねぇだろ」
「まあそうだけど、そんな時間かけるつもりで来てんのお前」
なんでそんなわざわざ面倒なことを。
ロベルトはシアンの恋情に気付いていない。だから平然とそう思った。どんなに手間がかかろうと、シアンにとって自分の体でないと意味がないなどとは、一つも思い至っていないのである。
「いやあんた処女だろ。そんな簡単に入るか」
「処女言うな。確かにケツの経験はねえけど」
「……ヤマ勘で言ったけど、マジで処女なのかよ」
だから処女言うな。ロベルトは内心毒づきながら、これまでの性遍歴を振り返る。そもそも男と付き合ったことはないし、尻まで触りたがる女もいたが、許したことはない。
「何回か誘われたことあるけど、さすがにそんなホイホイ他人にケツ貸すかよ」
「ホイホイ貸そうとしてんだろ、今まさに」
「他人じゃないだろお前は」
「…あー?」
ロベルトの中では理屈の通っていることだった。この憎たらしくて可愛い弟弟子のわがままを、叶えてやれるのが自分ならば、まあ、してやってもいいだろう。それが兄弟子としての愛着だ、と自覚していた。
「は?この期に及んで他人面するつもりなのかお前」
「いや、そういうつもりはねえけど……」
もごもごと口ごもるシアンの頬を、ロベルトは軽くペチペチと手のひらで叩いてやった。
「怖気づいたか?」
ロベルト自身としては、ちょっとした軽口のつもりなのである。だが、初恋に身を焦がした男にとっては、特大の煽り文句であった。
「……ぶち込まれてから泣いてもやめねーからな」
「あー…お手柔らかによろしく?処女なもんで」
口から先に出た軽口に、シアンはじっとりとした目つきを返した。こういう言い方をするから、シアンが劣情を持て余すことになっているのを、まだロベルトは知らない。
寮の個室内にシャワールームが付いているのが隊長格だけのため、ロベルトは身綺麗にしてからシアンの部屋に入る。
すでにカーテンの引かれた室内は薄暗い。ベッドに腰掛けたシアンの視線が、ロベルトの水滴のついた首筋をなぞった。
ほんとにこいつセックスする気なんだなあ。
どこか他人事のようにロベルトは思って、何の衒いもなく、シアンの隣に腰を下ろした。二人分の体重を受けて、ぎしりとベッドが軋む。
ふー、と長く重いシアンの溜め息が落とされて、ロベルトはシアンの顔を覗き込んだ。思い詰めているような顔だ。
「失礼なやつだな。女抱く時もそんな風にしてんの、お前」
「してねぇよ。……相手があんただから緊張してんだろうが」
「なんだそれ」
シアンの緊張が、長く重い初恋故だと気付いていないロベルトの答えは軽い。軽く言って軽く笑ったロベルトの、唇にシアンは噛み付いた。
ぬるり、唇に熱い舌が触れてきて、ロベルトは唇をわずかに開いた。途端捩じ込むようにして腔内に侵入される。
「……っ、は…、ぅん……ッ」
これからこう犯す、とでも言いたげな舌は、どろどろのねばついた、発情した雄の匂いを擦りつけている。ロベルトはそれを受けながら、シアンの背を撫でてやった。
それに興奮したのか、舌先はどんどん遠慮をなくし、息つく暇もないほど、ロベルトの口の中を責め立てた。
キスをしながら、押し倒してきたシアンに、ロベルトは逆らわなかった。
枕に沈んだ後頭部がわずかに跳ねて、寝具から生活の匂いが香り立つ。いま目の前にいるシアンよりよほど、ロベルトがよく知っている匂いがした。
獣の匂いを放つシアンは、ロベルトの舌を絡め取って、吸い上げる。
唇を離せば、ぎらぎらと性欲で輝く瞳が、薄暗闇で光っていた。
「……挿れるからな」
服越しにシアンの硬くなった性器を擦り付けられて、ロベルトは息を呑んだ。キスだけでこんなに。
実はと言えば、ロベルトがシアンの部屋に入ったときからすでにそれは熱を持っていたのだが、ロベルトは気づかぬことだった。
「あのな……。挿れるつもりなのはいいけど……そもそも入るか?」
「入るまであんたの尻穴広げてやるっつってんだよ」
「お…おう……」
すり、とシアンの手が服の内側に入って、ロベルトの素肌の腰を撫でる。
「何だその反応」
「いや、やる気すぎてビビるだろ。その熱意を普段の訓練で出せよ」
「萎えること言うなよ」
眉を寄せてぶすくれて言ったシアンが、その子どもじみた表情とはうって変わって、口の端にスマートなキスを落としてくるので、ロベルトは面食らった。なんだこいつ、生意気に一丁前に。
「……夢精のこと、病気だと思って師匠に泣きついてたガキがなぁ」
「だから萎えること言うなって」
「萎えたなら頑張ってしなくてもいいんだぞ」
善意半分、からかい半分で言ったロベルトに、シアンは眉を寄せた。
そして無言で、ズボンの前を寛げたかと思うと、自らの固く反り上がった性器を見せつけるように取り出した。
「……は」
「萎えること言われてんのになぁ」
苛立たしげな苦笑で、シアンはロベルトの腹の辺りにそれを擦り付けた。服の上からぐり、と臍の辺りを押されて、ロベルトは息を詰める。
兄弟弟子で直属の上官と部下。長く戦場を共にした二人は、互いの裸を知らぬ仲ではない。
だが、平時のそれとは全く風貌の違うそれに、ロベルトは戸惑いを隠すことが出来なかった。主に、大きさに。
「いや、お前、デ……デカくなったな」
「盛り上がること言ってくれんじゃん。サービスがいいな、隊長?」
「いやサービスじゃなくて……、はい……入るかこれ?さすがに入れてやれる自信なくなってきたんだが」
ぐりぐりと陰茎を押し付けられて、ロベルトはつい早口になる。
その様子に気をよくしたシアンが、含み笑いをしながら首筋に唇での愛撫を落としていく。ロベルトはどっと汗が吹き出るのを感じた。
ああ、本当に、セックスするのか。俺と、こいつで。
今更ながらの実感に、肌がざわついて仕方がなかった。首筋と耳元を何度も行き来するシアンの唇の形まで意識してしまって。ロベルトは目もあっていないのに視線を逸らした。
「はは……興奮してきた。なんだあんた、その処女しぐさ」
言いながら、シアンはロベルトのタートルネックを捲り上げるようにして触れた。腹筋をなぞりあげて、乳首を掠って、胸筋を揉み上げて、そして脇を回って。身体の輪郭をなぞるように背中に指先を沿わせてゆっくりとその熱い手の平を腰に降ろして。
服がめくれれば、シアンの陰茎の先はロベルトの臍に直接ふれた。ぬち、と音を立ち、ロベルトは先走りを擦り付けられたことに気付いた。
「は、入んねぇって……」
「広げてやるっつってんだろ。オラ、観念してケツ出せや」
「わかった、わかったって。自分で脱ぐから急かすな」
相変わらず口汚い言い回しで急かすシアンを制しながら、ロベルトは自らベルトを緩めて、腰を上げた。途端、シアンの手がスボンと下着をまとめて引っ張り下ろす。
「おい……」
「脱がすのもセックスの楽しみだろうが。とるなよ」
抗議しようとしたロベルトの言葉を遮った、その言い回しの尾がずいぶんと幼い。
出会った頃の、十歳の少年の面影がよぎって、ロベルトは目を細めた。あのクソガキがこんなになって、まあ。
だからロベルトは、かつての少年のわがままを聞いてやるだけのつもりで、笑った。
笑って、半端に服を脱がされた両足で、シアンの腰を挟み込んだ。まるで、誘うように。
「それじゃほら、好きに脱がせよ」
「そこは恥じらわねぇのかよ」
「…ふ、ははっ」
不満げに口をへの字に曲げたシアンに、ロベルトは控えめに声をあげて、笑い飛ばした。
「お前に見られてんなら、服着てようが同じだろ」
「は?」
「お前の目は、ユリウスさえすぐに特定出来なかった、あの厄災の隠れた心臓まで見つけた『本物』の目だぞ」
怪訝な顔をするシアンの目尻に、ロベルトは手を伸ばす。ぴくりと震えて、シアンの黄緑の瞳が細められた。
「お前の目なら、俺の身体のことなんか、すぐに全部わかるだろ」
きっと、ロベルト自身も知らない、身体の奥まで暴いて見抜いてしまうのだろう。
それはロベルトにとって、恐ろしくもあり、楽しみでもあった。
いままで、セックスにおいて全ての主導権を相手に渡したことなどなかった。けれど、全て見抜いたのなら、きっとこの弟弟子は最後まで主導権を握って離さないだろう。
シアンが相手なら、それでもいい。
子どもの頃、この弟弟子の我儘やら癇癪やらに振り回されていた時の延長だと、ロベルトは本気で思っていた。
「……ベッドで他の男の名前呼ぶなよ。いくらあの野郎とは言え」
「そこかよ。わかったわかった」
ロベルトの胸中をわかっているのかいないのか、シアンがむすっとした顔で言う。ロベルトはたまらなくおかしくなって、シアンの顔を、両手で掴んで、その髪に指を差し込んだ。
「セックスが終わるまで、もう、お前の名前しか、呼ばない」
お前のための休日だからな。その言葉を続ける前に唇は塞がれて、ロベルトは早速一つ、唇の主導権を譲り渡した。
じっとりとした熱を分け合っている。
座って向かい合い、素肌をぴったりとつけて抱き合った姿勢で、シアンは黙々とロベルトの固く閉ざされた尻の穴を撫でて解して拓いて、潤滑油をその奥に擦り付けて、指の腹で押して引いて、自分の指がふやけるのも構わずに奉仕し続けた。
正直、シアンの性器は限界だった。時折ロベルトが悩ましげな吐息を漏らして、腹を揺らせば、ロベルトの腹や緩く立ち上がった陰茎にぶつかり、自らの先走りで濡れたぬるりとした刺激で痺れて、射精欲求を抑えるのに必死だった。
ことんとシアンの肩に頭を預けたロベルトの、吐息が熱い。すっかり力が抜けきった身体は、くたりとシアンの胸板にその体重を乗せている。
普段ならばとっくに挿れている。自分の快感だけを拾う為だけならば。
だがそれでも、今日だけは。
ぜってぇ俺のちんこで善がらせてやる。
自分の快感だけでは満足できないとわかっていたから、シアンはただただひたすら、指での奉仕を続けていた。
そのシアンを、不意にロベルトが掠れた声で呼んだ。
「……、……シアン……」
「どうした」
くったりと溶けた気怠げな声が、空気だけでなく、二人のくっついた肌越しに響く。
「……あの、な……」
「どうしたよ。気持ち悪いか?」
途切れ途切れに言いにくそうに呼びかけるロベルトに、シアンは指を抜いて問いかけた。ロベルトの身体が震える。だが、すっかり力の抜けきった身体がシアンに寄りかかってくる重みはそのまま。
「いや……そうじゃねーんだけど……怒らないで聞けよ……」
「おう」
なんか聞いたことのある声だな。シアンはそう思った。ぼんやりとして、気怠げで、ぽつりぽつりとぶつぎれで。
その答えは、次のロベルトの言葉で判明することとなる。
「あの……すまん……寝そ……」
「寝そう!!!!????」
いやに体から力が抜けているとは、思ったのだ。だが、睡魔まで感じているとまでは思わず、シアンはオウム返しで叫んだ。
「声でっか……」
苦笑で笑うロベルトの声は秘めるわけでもないのに、密やかだった。ほんとうに意識が茫洋としているのだろう声である。
シアンは卒倒しそうになった。こっちはお姫様相手かってぐらい丁寧に抱こうと必死になってるってのに?
「おいあんたマジか?マジで言ってんのか?ケツに指入れられといて?寝そう?」
「そうなんだけどな……お前の体温も、匂いも、気持ち……よくて……」
するり、とロベルトが頭を動かして、シアンの首筋に甘えるように擦り付く。
ロベルトの吐息が、シアンの首元をくすぐって、声と言葉と仕草と触感で極上の愛撫をされたシアンの腹の熱は、出口を探して暴れまわった。
「……、っ、まっ……~ッ!!くそ、く、そ……」
少し出ただろうが!
内心で悪態をつきながら、気合で射精を押し留めて、シアンはロベルトの肩口に顔を埋める。
「くそっ……、あ……っぶね……」
「お前、それもう出した方が楽だろ……手伝うか?」
やや意識をはっきりさせたロベルトが呆れてシアンの濡れた陰茎に手を伸ばす。善意ゆえなのは、シアンにも伝わっていた。だが。
「いい。いいから。いいっつうの!!触んなイく!!」
「いやだから出した方が楽、」
「今日は全部あんたの中に出すって決めてんだよ!」
必死な形相でロベルトの手首を掴んで制止したシアンに、いよいよ眠気もすっかり吹っ飛んでロベルトはぽかんと口を開けた。
「お……おお……そうか……」
「真面目に答えんな。俺が居た堪れねーだろうが……」
「いや……うーん……うん」
ロベルトの手首を掴んだシアンの指先は暖かく濡れてふやけている。そのしわしわの指先を見下ろされているのに気付いて、シアンは思わず、ぱっと手を離した。
ロベルトは、何とも言えない、笑うのを失敗したような素朴な顔をしていた。
「そしたら、もう挿れろよ。俺がうとうとするぐらい解したんだ、いけるだろ」
「あんたあんなに弱音吐いといて」
「そりゃまあ、お前がこんなに優しいセックスするとは思わなかったからな」
ちゅう、とロベルトの唇がシアンの口の端に吸い付く。まるで恋に恋で返すような触れ方に、シアンの頭が沸騰する。
「じゃあ、遠慮しねえけど。……笑うなよ。多分いま挿れただけでイく」
「お前こそ、俺が泣いても笑うなよ」
吐息に笑みを混ぜたロベルトに、シアンは深く舌を絡ませるキスで返した。自分が先に言ったことなのに、約束はできなかった。
この男が自分に抱かれて泣くと言うなら、嬉しくて、堪らなくて、笑ってしまうだろう、という確信に近い予感があったから。
これ以上我慢出来るわけもなく、シアンはキスの勢いそのまま、ロベルトを寝台に押し付けた。
枕が押しつぶされて、生活の匂いがする。自分の部屋で、この男を自分のものにしようとしている。
あまりの興奮に、痛みが走るほど陰茎が膨れ上がる。思わず本能のまま、固くなったそれをロベルトの股の間に擦り付ければ、ぴくりと震えた感覚が返って来る。
ロベルトの腕が自身の太ももを掴んで、シーツに皺が寄った。
「…………」
「何だよ」
「あんま興奮することすんなって……」
「言ってる場合か。余裕ないんだから使えるもんはなんでも使っとけ」
ロベルトが当たり前の顔をして言うので、シアンは余計に興奮した。両足を抱え込んで自ら股を開いたロベルトの姿は、何度も夢想したもの。それが現実にある。それも、シアンが懇願したわけでなく、ロベルトが自ら判断して、体を自ら動かして。
熱く湿った吐息を吐き出して、ゆるりと腰を動かす。
ぬち。散々に指で拓いた穴が、柔らかく出迎えようとしていた。シアンもロベルトも、息を詰める。
「……、ふ……」
「……」
ロベルトの翡翠の目が、自分を見つめているのに、シアンは気付いていた。その目にからかいの色はない。それどころか、心配の色さえ浮いている。
ゆっくりと体を沈めながら、シアンはロベルトの表情をじっと見下ろしていた。その顔に痛みの影はなかったが、快感の影もなかった。ただただ、シアンの侵入を許している顔は、わずかに汗ばんでいる。
「……、ぅ、……」
「は、は……嘘だろ、本当にちんこ入ってん、じゃん」
「あ、んたってやつは、本当に口の減らない……」
軽口で意識を散らしながら、シアンはぐぐ、と腰を進めた。ロベルトの緩く笑う顔が、なんだか珍しくも懐かしいもので、きつくて熱い中を割り進みながら、シアンは思考を巡らせる。
上官の顔ではない。兄弟子でも、戦友でも、あるいは悪友の顔でもない。
記憶を遡って遡って、ようやく、シアンは一つ、思い当たった。
それはシアンがロベルトと同じ師に師事する前。初めて出会って、ほんの一カ月ほど。二人が互いに何者でもなかった頃の、笑い方だった。
ならばこれは。服どころか、肩書も名声も武勇までも全部取り払った、ロベルトの素顔だった。
だから堪らなくなって、シアンはぐい、とそれまでから比べればいささか性急に腰を進めた。
「……っ、く……んぅ……ッ」
「……はぁ、はーっ………はっ、………ふ」
苦しさからか快感からかわからぬ喘ぎ声がロベルトから喉から漏れて、シアンはぐっと下半身に力を込めて耐えた。
もう少しで全部入る。全部、全部、挿れて、そして。
「……シアン」
ロベルトが、吐息まじりの声で呼んだ。掠れて色気を帯びたその声に呼ばれて、シアンの理性はボロボロと剥がれ落ちていく。
「気持ちいい、か……?」
ずっと、焦がれていた翡翠が、熱を帯びて潤んでいた。
俺に、抱かれて、そうなっている。
そう思ったらもう駄目だった。堰き止めていた情欲の大波は止めようもなく、びゅくり、と埋めた陰茎から飛び出すのを感じながら、全部全部、この目の前の男に擦り付けてやりたい、と欲望のまま、腰を押し付けた。
「っん…!」
「……ふ…っ!!ぅ、あ………っ、くっ……そ、くそ………っ」
溜め込んだ精を出し切らんと、勝手にがくがくと腰が揺れる。耐えられずに頭を落として、ロベルトの首筋に埋めれば、頬で、唇で、なだめるように撫でられて、情けないのに嬉しくて、涙が染み出してくる。
「っ……はぁ、はー……っ」
「……お前が泣くのかよ」
奔流が収まって、顔を上げれば涙が伝って落ちた。それはロベルトの頬に落ちて、その輪郭をなぞった。
「うる、せ……っ、……っ」
「死にそうになった時も泣かなかったくせに」
眉を寄せて、苦笑いしたロベルトが、頭を浮かせてシアンに口づける。
こいつ、どういうつもりで俺にキスしてんだ。
シアンは自らも好意を言葉にしていないことなど棚にあげて、年上の男の世慣れたキスを甘受する。
「満足したか?」
「するかよ。こっからだろ」
「まあそうだよな」
キスの狭間に、そんな軽口を叩き合い、舌を差し込めば、ロベルトの口から湿った吐息が漏れる。
抜かぬままの陰茎が、この男の中で暴れまわりたいと、その固さを取り戻す。
「ヒイヒイ言わせてやる」
「……怖いな、お前の謎のやる気」
短く言葉を交わして、唇はまた、キスのためのものに。
「なあ」
「うん?」
「足。俺が持つ」
「重たいぞ」
「それがイイんだろ」
キスの狭間に湿った声で言葉を交わしあい、言われるがままに、ロベルトは自らの脚をシアンに受け渡して、腕を宙に浮かせた。その手の平が、シアンの肩に乗る。
「ふ、くく……はは……」
ゆっくりと腰を揺らしながら、シアンは笑った。
ぬち、ぬち、と鳴る卑猥な音に相応しい下卑た熱を乗せた笑い方で。
シアンの手が、ロベルトの太腿に食い込む。絡ませた舌が震えて、シアンはその震えさえ啜るように吸い上げた。
「……っは、なに、笑って……」
「あんたに……股、開かせてんだと思ったら、めちゃくちゃクるな……って思って」
「ん……ぅ、なんだ、そりゃ……」
ロベルトの声が甘く緩み始める。指で散々拓いた内側の、弱いところなどもう十分に分かりきっていた。
だから、ゆっくり、ゆっくりとその場所を撫でて溶かす。荒くなる呼吸を吸うようにキスして、舌で唾液を混ぜ合って、匂いを擦り付けて。
「……、ん、ん……っ、は……ぁ……」
「ヨくなって来たろ」
唇を離してその顔を見下ろせば、じろり、とロベルトがシアンを睨む。その鋭い眼差しに、快感の熱が乗っているのを見抜いて、シアンの体の内側で、ゾクゾク情欲と支配欲が駆け回った。
「……っ、……くそがき……」
そうして絞り出された悪態は、どうしたって愛着が滲んでいて、シアンははぁー、と熱く熟れた息を大きく吐き出す。
「あんま興奮させんなつってんだろ……」
「し、るかよ……っ」
ぐり、と意地悪く弱い場所を強く押せば、ロベルトの声が詰まる。顔どころか首筋も、胸元まで汗ばんだその肌が、カーテンから漏れるかすかな日光に照らされて艶めいていた。
こんな時間にセックスをしている。
それだけでも背徳的だというのに、昼の姿をよく知っているから余計にひどくそれを実感する。頼もしくて、時に大雑把で、けれど真っ直ぐ伸びたその背の、ストイックな空気を、よく知っている。
その男が、快感で熱い息を吐き、情欲に煽られて汗を浮かべ、腰を押し曲げて、股を開いている。
「たまんねぇな……」
「……っふ……、ん、ん……ぅ……」
快楽を受け流そうと呻くロベルトの唇から、たらり、と涎が一筋溢れた。本当に、本当にたまんねぇ。シアンは恋しい男のそれをぺろりと舌で掬い取って飲み下す。
ふるりとロベルトの黒いまつ毛が揺れた。
「……ほんとに、セックス、してる、みたいだ」
どこかぼんやりとロベルトが言った。その視線がゆらゆらと揺れている。
どんどん正体を無くしていくロベルトの顔は、どこか幼く見えた。体の内側を撫でられる性行が初めてだからか、その表情に戸惑いさえ浮かんでいる。
「は、セックスだろ。ほら」
「……っあ、あ!…っふ、はぁ……っ、ぁ…っ」
「はは……エロい声……」
緩く揺する中に強めの律動を混ぜれば、ロベルトが喉を反らして喘ぐ。その喉はすっかり快楽で濡れて、流れた汗は鎖骨のくぼみに溜まっている。
シアンは身をかがめてその汗を舐め取る。塩辛いそれを舌で味わえば、身を捩らせたロベルトが、熱い吐息をもらす。
そして、その口はもうしっかり閉じずに、密やかに熱い息と嬌声を溢れさせるものとなった。
この男が、自分とのセックスに耽溺しようとしている。
そのことに激情が弾けそうになるのを我慢して、シアンは丁寧に丁寧に腹の中を陰茎で撫でて捏ねて、ロベルトの体を淫靡に導いた。
ゆっくりゆっくり、ロベルトの口が広がっていく。堪えることの出来なくなった快楽が、声を甘く切なく染めて、密やかだった嬌声は、跳ねるようにして、その粒を大きくしていった。
「…っあ、あぁっ……あ……っ!」
「なぁ、痛くしねぇから、もうちょい強くしていいか?」
頃合いを見計らって、シアンは叶う限り優しい声でロベルトの耳に吹き込んだ。
欲に染まりきった劣情は隠せないにしろ、本当に、大事に抱きたいのだけは伝えたくて。大事に抱いて、その上でただただ自分の与える快感に満たされて乱れた姿を見たいのだと。
「……んっ、ぁ……、シア、ン、お、まえ……」
「なに」
ロベルトの翡翠の目が、シアンのことを慈しむように見ていた。
「っぁ、あ……っ、セックス、の…っとき、そういう、こときくのか……っぁ、あ……」
「駄目かよ」
揺すられながら、ロベルトはそれでも言葉を続けて、ふふ、と小さく笑った。その時、翡翠の目は遠くを見ていた。
誰か、を求めているわけではない。ただただ虚空を、空白の未来を見ている、とシアンは直感的に思った。
「しあわせだな、とおもって……」
どういうつもりで言ってんだこの男は。
その言葉への反応の半分は、不可解だと、理解な追いつかないから怪訝な表情に出た。
もう半分は。
勘違いだとわかっているのに、自分に抱かれて幸せだと、そう言われたのだと思い込みたくて、激情は破裂した。
「……あ!あ、あ、あぁっ!」
「はっ……、ふ、ぅ、……ふっ……」
パン、と肌と肌がぶつかり合う音をさせて、激しく抽挿すれば、大きく開いた口の喉奥さえ見えるようにロベルトは喘いだ。シアンの肩に置かれた手はすっかり汗ばんで、指先を滑らせながら縋っている。
「あっ、ア、う…っ、はぁ、はっ……」
「……っロベルト、ロベルト……!」
「んっ、あ、あ、あ…っ、ふ、んぅ、う…っ!」
繋がった場所から、ぐちゅっぐちゅっと卑猥な音が上がって、シアンは余計に興奮した。
ぐい、と長いロベルトの脚を折り畳んで、身を乗り出してキスをする。隙だらけの口の中を舌で蹂躙すれば、ロベルトの指がシアンの肩から滑り落ちて、再び縋ったそれは、背に回って爪を立てた。
「あーっ!あ…っ、あッ!ァ、ぅ、んんっ」
ロベルトの腰がしなって弓なりにシアンの体に吸い付く。
シアンの腹に、先走りでべちゃべちゃに濡れたロベルトの陰茎が触れた。粗相をしたのではないかというぐらいに濡れたそれを、わざと擦れるように腰を動かせば、ひときわ大きな嬌声が上がる。
「ああっ!あ!あ!んーっ!!んんっ、んぅ…っ!」
「……っふ、ぅっ、く……すげ……、やば……っ」
「んっ、んーっ、はぁ……っ、は、う、う…ッ」
ぎゅう、とロベルトの太腿に何度も力がこもる。その動きが妙で、シアンは顔を離してロベルトを見下ろす。
ぐっと目を閉じて、眉を寄せている。痛みを堪えているかのような表情だが、真っ赤に染まった頬も、熱く熟れた汗に濡れた額も、痛みよりも快感を伝えている。
「はっ、は、はっ…う、うーっ、うー…っ!」
「お、い……ロベルト、ど、した」
だからシアンは聞くことにした。
シアンの目でもってしても、ロベルトの体がすっかり快感に支配されているのまではわかっても、その意図までは見えなかった。
「も…っ、イく、イけそ…っなの、に…っぁ、う…っ、うーっ、っく、ッあ、なんか、掴めね…っ」
うっすら目を開いてロベルトが言う。
潤んだ瞳にシアンの欲情しきった顔を映している。体はシアンの与える快感を享受して、快楽の頂点に自分の体を追いやろうと、身を捩らせて。
「あ、んた、いきなり、ケツだけでイこうと、してんの」
腹の奥で加虐の欲情が芽を出そうとしていて、シアンは大きく息を吐いて飼い慣らす。
やってやりたい。尻だけで快楽を極めるまで、突いて突いて、腹が膨らむほど精液を注ぎ込んで、尻の穴が性器になったと錯覚するまで、犯し尽くしたい。
けれど。今じゃない。初めての性行で、繋がれただけで、快感を拾えただけで。
そして、ここまで、穏やかに受け入れられた。
だから次への期待で理性は正しく働き、加虐はもっと先の楽しみに、と眠らせる。
「っく、ぅんっ、ん…っ、こんだけ、ヨくされて…っイけねーのも、不甲斐ねーだろ…っぅ、あ、あっ」
「……あっのなぁ…っ!」
ロベルトの腰がシアンの律動に追いすがって揺れる。あまりの痴態に、背筋がゾクゾクと興奮で震えて、シアンは腰を退かせて動きを止めると、熱い息を吐き出した。
「さすがに俺も、初めてで中イキさせようとか高望みしてねぇよ……。ちんこ擦ってやっから、ちょっと横向け」
シアンが片方の脚を下ろすと、その意図を理解して、ロベルトは横向きに体勢を変える。
シーツに伸びた脚の、太腿に真っ赤な手形がついていた。おそらく、跡になるだろう。
「はぁ……っ、はーっ、は…っ、……悪い、頼んだ……、ケツ掘られながら自分でやったら、握りつぶしそ、だし……」
「怖ぇこと言うなよ……。大人しく俺にイかされとけ」
掴んだままの片足を、ぐいと大きく開かせて、シアンは再びロベルトのすっかり熱くぬかるんだ穴に性器を収めた。緩く動けば、ぬちゅぬちゅ、と淫猥な音がたつ。
「は、はは……なんでおまえ、セックスん時そんな優しいの……」
「……あんた処女だからな」
ただただ丁寧に劣情に沈めるためだけの手つきを、優しいと言うのなら、ロベルトにだけだというのは自覚の上だった。
けれど、それを直截に言うのは気恥ずかしく、シアンは返答をずらした。ロベルトが緩んだ顔で小さく笑う。
「ああ、そうだった……律儀だな、おまえ……お手柔らかにどうも……ん……ぁ、ん……っ」
ロベルトの腰が律動に合わせて揺れたのを見計らって、はち切れんばかりに膨らんだロベルトの陰茎にそっと触れた。
びく、びく、と陰茎が震える。本当に限界なのが分かって、シアンの腰もずんと重くなった。
「っあ!あ、ぅん、んっ!イく、イき、そ…っ」
「…っふ、はは、ああ、うん、イけよ、ほら…っ、ロベルト…っ」
ゆっくりと陰茎を撫でてやりながら、シアンは律動を早めた。
パンパン、と肌と肌がぶつかり合う音も、ぐちゅぐちゅ、と繋がった場所の淫靡な水音も、全部全部セックスの音で、ロベルトが、シアンを受け入れている音だった。
「っぁ、あ!シアン、シアン…っ!」
ロベルトが、シアンに手を伸ばす。
この男が、俺を求めてる。
それだけで頭は沸騰して、その手が届く前に、シアンは身を屈めて唇に食いつく。舌を絡ませれば、ロベルトの指先がシアンの髪をかき混ぜて震える。
「あっ、う、んぅ、う…っ、あ、あ、あ!」
「…っロベルト」
ロベルトの太腿が震えて、頂点が近いのを知る。シアンももう、限界だった。すっかり中側の快楽を知ったロベルトの胎は、うねって震えて、まるで誘い込むようだった。
俺が、そうした。
そう思うと余計に煽られて、でももう我慢する必要もない。シアンは挿入を激しくして、ひときわ深くロベルトの中にねじ込むと同時に、ぐりぐり、とロベルトの陰茎の先端を刺激してやった。
「っあーっ!あっ、あっ!あーっ!!」
体全体を反らして絶頂して、ロベルトの目からはとうとう涙がこぼれ落ちた。長く焦らされた陰茎からは、止めどなく精液が溢れて、シアンの手を汚した。そのシアンの手も快感で震える。
「っく、ぅ……ふ、んん、……っは……っ!」
ロベルトのガクガクと揺れる腰を逃さず、股座を擦り付けながらシアンは射精した。
じっくりと丁寧に育て上げた情欲のせいで、二人ともが長い長い絶頂から降りて来られずに、互いの体を、体液を擦り合わせながらベッドの上で縺れ合いながら震える。
「っは、はぁっ……、は……」
「ふ…っ、はーっ、はーっ……」
「はぁ……っ、は……、な、んか……」
先に言葉にしたのはロベルトだった。その顔に涙の筋がある。シアンは呼吸を整えながら、その跡を見つめていた。
「すげぇ、イき方、した……」
「おー……」
「……これ、隣、声……とか、聞こえてねーか……」
激しく善がった自覚があるのだろう。ロベルトは気まずい顔をして壁を見た。
息を整えたシアンは、ロベルトのこめかみにキスを落として笑った。秘所に埋めた陰茎は抜かぬまま。
「あー……、夜まで帰ってこねーの、確認してる。つか、誘導した」
「おまえ……だからそれを普段の仕事で活かせって……」
呆れた顔をしたいつもの調子のロベルトに、シアンは喉で笑った。ぬるり、とシアンはロベルトの腹の上に撒き散らされた精液を撫でる。
「あんた、イったら即お説教かよ。切り替え早すぎんだろ」
「いやお前のせいだろ。説教させるな、ケツにチンコ入れられてんだぞ俺は」
「そうだな」
「そうだなてお前……。………………………いや抜けよ」
「まだ昼なんだよな」
「…………」
ロベルトは渋い顔をした。シアンの言葉の意図を正しく理解したのだろう。
言外の意図を汲むのが上手すぎる兄弟子の尻の穴を、シアンはいくらか柔らかくなった、だがまだ芯の残る陰茎で柔く刺激する。
「お、まえ……チンコの行き場失いすぎだろ……」
「だめか?」
呆れた声で言うロベルトに、シアンはねだるように言った。案外ロベルトがセックスのことならば、何でも許してくれることが分かったので。
じっとロベルトがシアンの顔を見つめている。しばらくもしないうちに、その表情が許すものになった。
チョロすぎるだろ。
シアンは思ったが、それが自分にだけ許されているのだとは、まだ知らぬことである。
「まあ……あのクソ竜もぶっ飛ばしたことだし」
「どういう理屈だよ」
「人生を使う宛がなくなったんだよなぁ」
「はあ?」
ふー、と息を吐き出して、ロベルトはゆっくりと脚を動かして、シアンの腰に回した。踵が腰に触れて、シアンの陰茎がぐんと立ち上がる。
「萎える話だから今はやめとく。まあ、苦労して拡げた穴だしな。使えるだけ使っとけ」
「……ほんとケツだけでイけるまでガン突きしてやろうかな」
「こええよ。なんなんだ、そのやる気は」
自分の振る舞いを全て棚上げしてロベルトが言うので、シアンはつい胡乱なものを見る目つきになった。
「あんたが頑張ろうとしてたんじゃねーか」
「そりゃあそこまでお前が頑張ってんだから、まあ……」
「それ、どういうつもりで言ってんだ、あんた」
報われたい、という気持ちが顔を出して、シアンはついきつく問うた。どうかその理由が、愛着で、恋慕で、愛欲であってくれ、と願う。
「クソかわいい弟弟子にご褒美くれてやるのも、兄弟子の甲斐性ってもんだろ」
はは、とロベルトが笑った。
相変わらずの返答に、シアンまた初恋を昇華する機会を失って、苛ついて滾った肉欲を、この男が許す限りぶつけてしまうことにした。
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主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
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これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
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主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
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