56 / 93
結
海
しおりを挟む
輝く太陽、白い砂浜、青い海…鉄板だ。
そして俺の前には、ソースの香り、コテで舞い上げる麺、そり返る香ばしいイカ、鉄板だ。
その熱気の向こうに見えるお客様。俺は蜃気楼であれと願ったが。
「あれ…秋緋?ここでバイトなの?あ、焼きそばと、かき氷のいちごで3つずつ貰える?」
壱弥がいるんだなぁ…。
「あれ?はこっちのセリフだわ。なぁんでここにいんだよ!しかも水着でよ。遊んでるんか?!いらっしゃいませ!!」
驚いたとてバイトは真面目に。先輩に迷惑はかけれないからな。
出来立ての焼きそばを容器に詰め、かき氷を手際よく作る。家じゃ小鬼に家事を任せてはいるが自分で作らないことはない。ひとりで暮らすだろうを想定して料理の基本ぐらいは叩き込んであるからな。
「はい、お待ちどーさん。」
「ありがとう、これお会計ね。そうだ秋緋。休憩とれたらあそこの岩場近くに僕達いるから、よかったら顔だしてよ。」
「…気が向いたらな!あーっした!」
去り際の壱弥のあの笑顔はとても怪しい。
いくら俺が妖怪達が見えて、関わりがあることを受け入れて行こうと思い始めたとしても根本は普通の生活を求めていくことには変わりはない。3人分買っていったってことは親父と沙織里もいるわけだろ?そんなところにわざわ…沙織里…水着…うん…悪くない…。
「うわーやらしい顔しとるやん秋くん。はよ手ぇ動かしーや。」
おだまりなさい東雲!お前も俺にかまってないで接客しとけ!
「俺は呼び込みも接客もしっかりやっとるでぇ?ほれみてみぃ?THE満席!流石俺、有能やろ~?」
うわ、ホントだ。忙しくなるの俺じゃん。
海外のリゾート感のある白い建物。中にはバーカウンター、オープンテラスもある。若者向けに作られただろうオシャレな造り。ここはヤンキー先輩が言っていた海の家、鮫屋だ。
先輩のお兄さんが経営する海の家で、夏場はよくここで手伝いをするんだそうだ。今年は例年とは違うコンセプトで海の家をやり始めたらしく、7月のオープンから入客が多く、夏休み中はさらに増えると見込んで先輩だけじゃ手が足りないだろうと、俺にも声がかかったわけだ。
人手不足ってことだから東雲にも完全な人化をしてもらって手伝ってもらっているんだが余計なことだったかもしれない。普段厚着して、帽子も深く被ってる奴なんだが流石にここじゃそんな格好はできない。
薄い色素のさらさらの金髪に、鍛えられ引き締まった体。脱いだら惚れるは嘘ではなかったわけだ。
顔も茨木ほどじゃないが整ってる。加えてコミュ力もある。そんなのが接客担当になったらまぁすごい。女子たちが。想定外の入客に繋がってしまった。
「真砂くん、彼凄いね。一緒に来てくれてありがとう。こっち手伝うよ。」
オーダーが次々に入り、調理場がどんどん慌ただしくなって来て手が回らなくなりそうなところに先輩が来てくれた。優しさの塊である。
俺が焼きそばやイカ焼きを作り、先輩が鉄板以外のメニューも含めて盛り付けとテーブルごとに振り分けて指示を出し、東雲含めた数人のバイトの子が配膳していく。完璧な連携である。
確かに忙しかったが、あっという間な気もした。いつもと違った環境、ここが海の家だってこともあってか、楽しい、が上回っていたのかもな。
「おつかれ秋くん!水分しっかりとらなあかんで!ほいっ!」
「さんきゅ東雲!ぷはぁ…少し落ち着いたな。」
「おつかれ、真砂くん東雲さん。休憩入ってね。戻ってきたら夜の準備あるからよろしくね。」
ひと仕事終えたあと、冷えた水で体の火照りと喉を潤し休憩に入る。普通に従業員スペースで休むのもありなんだが。飲み物の差し入れくらいしてやるかと先輩に一言伝えて岩場の方に足を向ける。
壱弥が言ってる岩場ってのはこの海水浴場の目玉で、巷で噂のパワースポット。砂浜にある岩場から海へ伸び、岩礁っていうのかな?それが海の中に大きく佇む細長いアーチ状になった岩に続いている場所だ。夜に月が登り、いつもは岩のてっぺんにまで昇るとロウソクのようになる。海の満ち引きと月の位置の条件が合う日にはアーチの中に満月が収まりまるで月へと続く道ができ、幻想的な光景を見せてくれる所だ。
「こんな所にいるってことは…修行だけじゃなさそうだよなぁ。」
「なんやっけ?ムーンロード?恋人たちがそこに立ち会うとができたら一生幸せにっちゅう…?ベタやなぁ。」
夏の海、水着姿の彼女、幻想的な場所って合わさればだいたいそうだっての。まぁ、気になるのはそれだけじゃなくてな?この辺り、霊力の流れが変なんだよなぁ。
「お?秋くん?気づいとったんかいな。一皮むけた男はちゃうなぁーひゃひゃひゃひゃ!」
変な笑い方すんなっつの!一皮むけたってのは力の安定のことだ。夜兄と入れ代わりした時の反動と、俺の記憶が戻ったこと、心の迷い…みたいのがスッキリしたからだと思う。東雲のコントロールもお手の物だよ、お陰様で。
「あ!あーちゃんだぁ!ここだよぉ~!」
天使…天女かぁ…?!白と薄いピンクのビキニとはわかってらっしゃる。あー!そんなに跳ねたらダメだぞ沙織里さん?こぼれちゃ…げふんげふん!ふぅ…ありがとう先輩、ここに呼んでくれて。俺はこのまま熱中症で倒れても、溺れて気を失っても後悔はしない。
「なにバカなこと考えてるんだか。とりあえずバイトお疲れ様。」
「秋くんむっつりやねん…知っとると思うけど。」
読まれることは想定済みよ…俺は強くなったのだ。この程度屁でもないわ。
「あら!会いに来てくれたのねぇ?うれしーじゃないの!」
ゲエェェェ!
言葉に表したくもないが…ルージュの名のごとく赤い水着とパレオを纏い姿を表したクリーチャー。岩場の上でセクシーにくつろいでいた。修行だからなのか、仕事だからなのか。女装というかもうこれはひどいコスプレだろう。
「秋くん、俺の記憶消してくれへんかな。」
「無理だ、受け入れろ。これが俺の親父だ。」
さっきまで女子に囲まれてた東雲には刺激が強かろう、こんなにセクシーなのが出てきちゃな。諦めろ。
「あーちゃんの作った焼きそば美味しかったよ~!帰ったらまた食べたいっ!」
「確かに。秋緋、料理の才能あるんじゃない?」
珍しく褒めるじゃないか君たち。そんな褒めてもご飯しか出ないぞ?ふふん。
そんな話もそこそこに。壱弥と沙織里は素潜りに行った。遠目から見れば海で遊んでるだけには見えるが、体力つけるとか肺活量鍛えるとかそういうことらしい。運動部みたいだな。
さて、持ってきたスポドリを親父とふたり飲みながら、ここ居いる理由を聞いてみる。
「もちろん修行よ?私は夜にお仕事あるけどねん?」
両方かよ。何かあるだろうとは思ってたけどさ。だって…。
「秋緋もわかるでしょ?ここ、今日ね、ムーンロードが開かれる日なのよ。素敵よねぇ?」
「だからこっちに流れてるんだな…ってその目はなんだよ、手伝わねぇぞ…!」
「チッ!」
舌打ちデカイなおい。
親父も俺の力が安定したのをわかってる故になにかしら一緒にやりたい雰囲気だしてる。そういうのはやらないって言ったし、それに俺は先輩の仕事の手伝いしに来てて夜も忙しいの!
「あ、秋くんそろそろ戻らな!時間時間!」
思いの外ゆっくりしてしまったらしい、東雲がしっかりしててくれて助かる。急いで戻らないと。
「夜、もし暇になっちゃったらぁ、ここで楽しい事があるから来てもいいわよぉー?」
「しらん!じゃあな!ケガすんなよな!」
親父の楽しい事なんて信用できるか!絶対に行かない!
そして俺の前には、ソースの香り、コテで舞い上げる麺、そり返る香ばしいイカ、鉄板だ。
その熱気の向こうに見えるお客様。俺は蜃気楼であれと願ったが。
「あれ…秋緋?ここでバイトなの?あ、焼きそばと、かき氷のいちごで3つずつ貰える?」
壱弥がいるんだなぁ…。
「あれ?はこっちのセリフだわ。なぁんでここにいんだよ!しかも水着でよ。遊んでるんか?!いらっしゃいませ!!」
驚いたとてバイトは真面目に。先輩に迷惑はかけれないからな。
出来立ての焼きそばを容器に詰め、かき氷を手際よく作る。家じゃ小鬼に家事を任せてはいるが自分で作らないことはない。ひとりで暮らすだろうを想定して料理の基本ぐらいは叩き込んであるからな。
「はい、お待ちどーさん。」
「ありがとう、これお会計ね。そうだ秋緋。休憩とれたらあそこの岩場近くに僕達いるから、よかったら顔だしてよ。」
「…気が向いたらな!あーっした!」
去り際の壱弥のあの笑顔はとても怪しい。
いくら俺が妖怪達が見えて、関わりがあることを受け入れて行こうと思い始めたとしても根本は普通の生活を求めていくことには変わりはない。3人分買っていったってことは親父と沙織里もいるわけだろ?そんなところにわざわ…沙織里…水着…うん…悪くない…。
「うわーやらしい顔しとるやん秋くん。はよ手ぇ動かしーや。」
おだまりなさい東雲!お前も俺にかまってないで接客しとけ!
「俺は呼び込みも接客もしっかりやっとるでぇ?ほれみてみぃ?THE満席!流石俺、有能やろ~?」
うわ、ホントだ。忙しくなるの俺じゃん。
海外のリゾート感のある白い建物。中にはバーカウンター、オープンテラスもある。若者向けに作られただろうオシャレな造り。ここはヤンキー先輩が言っていた海の家、鮫屋だ。
先輩のお兄さんが経営する海の家で、夏場はよくここで手伝いをするんだそうだ。今年は例年とは違うコンセプトで海の家をやり始めたらしく、7月のオープンから入客が多く、夏休み中はさらに増えると見込んで先輩だけじゃ手が足りないだろうと、俺にも声がかかったわけだ。
人手不足ってことだから東雲にも完全な人化をしてもらって手伝ってもらっているんだが余計なことだったかもしれない。普段厚着して、帽子も深く被ってる奴なんだが流石にここじゃそんな格好はできない。
薄い色素のさらさらの金髪に、鍛えられ引き締まった体。脱いだら惚れるは嘘ではなかったわけだ。
顔も茨木ほどじゃないが整ってる。加えてコミュ力もある。そんなのが接客担当になったらまぁすごい。女子たちが。想定外の入客に繋がってしまった。
「真砂くん、彼凄いね。一緒に来てくれてありがとう。こっち手伝うよ。」
オーダーが次々に入り、調理場がどんどん慌ただしくなって来て手が回らなくなりそうなところに先輩が来てくれた。優しさの塊である。
俺が焼きそばやイカ焼きを作り、先輩が鉄板以外のメニューも含めて盛り付けとテーブルごとに振り分けて指示を出し、東雲含めた数人のバイトの子が配膳していく。完璧な連携である。
確かに忙しかったが、あっという間な気もした。いつもと違った環境、ここが海の家だってこともあってか、楽しい、が上回っていたのかもな。
「おつかれ秋くん!水分しっかりとらなあかんで!ほいっ!」
「さんきゅ東雲!ぷはぁ…少し落ち着いたな。」
「おつかれ、真砂くん東雲さん。休憩入ってね。戻ってきたら夜の準備あるからよろしくね。」
ひと仕事終えたあと、冷えた水で体の火照りと喉を潤し休憩に入る。普通に従業員スペースで休むのもありなんだが。飲み物の差し入れくらいしてやるかと先輩に一言伝えて岩場の方に足を向ける。
壱弥が言ってる岩場ってのはこの海水浴場の目玉で、巷で噂のパワースポット。砂浜にある岩場から海へ伸び、岩礁っていうのかな?それが海の中に大きく佇む細長いアーチ状になった岩に続いている場所だ。夜に月が登り、いつもは岩のてっぺんにまで昇るとロウソクのようになる。海の満ち引きと月の位置の条件が合う日にはアーチの中に満月が収まりまるで月へと続く道ができ、幻想的な光景を見せてくれる所だ。
「こんな所にいるってことは…修行だけじゃなさそうだよなぁ。」
「なんやっけ?ムーンロード?恋人たちがそこに立ち会うとができたら一生幸せにっちゅう…?ベタやなぁ。」
夏の海、水着姿の彼女、幻想的な場所って合わさればだいたいそうだっての。まぁ、気になるのはそれだけじゃなくてな?この辺り、霊力の流れが変なんだよなぁ。
「お?秋くん?気づいとったんかいな。一皮むけた男はちゃうなぁーひゃひゃひゃひゃ!」
変な笑い方すんなっつの!一皮むけたってのは力の安定のことだ。夜兄と入れ代わりした時の反動と、俺の記憶が戻ったこと、心の迷い…みたいのがスッキリしたからだと思う。東雲のコントロールもお手の物だよ、お陰様で。
「あ!あーちゃんだぁ!ここだよぉ~!」
天使…天女かぁ…?!白と薄いピンクのビキニとはわかってらっしゃる。あー!そんなに跳ねたらダメだぞ沙織里さん?こぼれちゃ…げふんげふん!ふぅ…ありがとう先輩、ここに呼んでくれて。俺はこのまま熱中症で倒れても、溺れて気を失っても後悔はしない。
「なにバカなこと考えてるんだか。とりあえずバイトお疲れ様。」
「秋くんむっつりやねん…知っとると思うけど。」
読まれることは想定済みよ…俺は強くなったのだ。この程度屁でもないわ。
「あら!会いに来てくれたのねぇ?うれしーじゃないの!」
ゲエェェェ!
言葉に表したくもないが…ルージュの名のごとく赤い水着とパレオを纏い姿を表したクリーチャー。岩場の上でセクシーにくつろいでいた。修行だからなのか、仕事だからなのか。女装というかもうこれはひどいコスプレだろう。
「秋くん、俺の記憶消してくれへんかな。」
「無理だ、受け入れろ。これが俺の親父だ。」
さっきまで女子に囲まれてた東雲には刺激が強かろう、こんなにセクシーなのが出てきちゃな。諦めろ。
「あーちゃんの作った焼きそば美味しかったよ~!帰ったらまた食べたいっ!」
「確かに。秋緋、料理の才能あるんじゃない?」
珍しく褒めるじゃないか君たち。そんな褒めてもご飯しか出ないぞ?ふふん。
そんな話もそこそこに。壱弥と沙織里は素潜りに行った。遠目から見れば海で遊んでるだけには見えるが、体力つけるとか肺活量鍛えるとかそういうことらしい。運動部みたいだな。
さて、持ってきたスポドリを親父とふたり飲みながら、ここ居いる理由を聞いてみる。
「もちろん修行よ?私は夜にお仕事あるけどねん?」
両方かよ。何かあるだろうとは思ってたけどさ。だって…。
「秋緋もわかるでしょ?ここ、今日ね、ムーンロードが開かれる日なのよ。素敵よねぇ?」
「だからこっちに流れてるんだな…ってその目はなんだよ、手伝わねぇぞ…!」
「チッ!」
舌打ちデカイなおい。
親父も俺の力が安定したのをわかってる故になにかしら一緒にやりたい雰囲気だしてる。そういうのはやらないって言ったし、それに俺は先輩の仕事の手伝いしに来てて夜も忙しいの!
「あ、秋くんそろそろ戻らな!時間時間!」
思いの外ゆっくりしてしまったらしい、東雲がしっかりしててくれて助かる。急いで戻らないと。
「夜、もし暇になっちゃったらぁ、ここで楽しい事があるから来てもいいわよぉー?」
「しらん!じゃあな!ケガすんなよな!」
親父の楽しい事なんて信用できるか!絶対に行かない!
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる