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結
始まる夏
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仮眠も仮眠。帰って2時間寝たかどうかだけど、清々しい気分で壱弥と沙織里と通学路を歩きながら昨晩のことを話ししていた。
「それで当主を夜緋呂さんにお願して、秋緋は無事に当主を継承することは無くなった、と。」
無事に終わってよかったと思う。俺が巻物に書き込んだのはだいたいこんな感じだ。
『末弟である今代の当主の権限を剥奪し、長兄が当主となり、家族で協力して支えてゆくこと。』
どの代が書き込んだかわからない約定が巻物の隅に覗いていたけどやたら難しい漢字と文章で書かれてあって、こんな幼稚な、しかも私情でしかない約定が刻まれてしまったことはちょっと恥ずかしい話ではあるが…俺の言葉で最低限したいことを一項に納めるしかなかったのだから仕方ない。
「そっかぁ…あーちゃんのお家って大変なんだねぇ。」
ふんわりまとめてくださるなぁ沙織里さんは。
「当主に関しては無くなったけど、筒師の方はどうなの?」
そこだよな問題は。妖怪たちとの関わりを否定して生きてやろうと思ってたけど東雲が俺の使役妖怪になってしまった。だからって筒師として生活しなきゃいけないわけではないはずだけど。
あと、記憶が戻ってから改めて考えてたんだ。
見えたり、関わりがあるのはもうどうしょうもないし、無下にしてこのまま生きていくのは…ととの事も、壱弥の事も、否定してしまうことになるんじゃないかって。
あの時はショックでこんな力いらないって思ってその気持ちを持ったまま育ってきたけど。
「筒師はやるつもりはないが…だからって妖怪たちを避けることはしないつもり。大事な親友とこれからも遊びたいしな?」
「ふぅん?約束なかったことにするつもりなんだ?僕頑張ってたのになぁ。でも、まぁ…その心変わりに付き合うのも親友の役目ってとこかな?」
「えー?!何二人で見つめ合ってるの?!なになにー?!」
仲間はずれにされた気がしたのか、沙織里がむくれて俺と壱弥の間に割り込んできた。
「男同士で色々あるんだよ。」
「あ、あやしい…!」
なんだか久しぶりだなこの感じ!学園生活が復活…!と、言いたいところだが今日は終業式、夏休みに入るのだ。
あっという間、集会とホームルームを終えた。
ルージュ先生はいつも以上に厚化粧だったのが印象的だったかな?多分かーちゃんから受けた愛の制裁。アザを隠してんだろうな。
「それじゃあーちゃん、また休み明けね!夜遊びしちゃだめだよ!」
「おう、沙織里こそなー?」
午前だけの登校、昼過ぎの日差しの強さはまさに夏を感じさせるものだった。
「秋緋はこれからバイト?」
「だな。先輩と夏休みの予定のことも話ししなきゃ…フッフッフッ…。」
「うわぁ…なんか下品だよ。」
ほっとけ!お前達は修行に勤しんでればいい!俺は夏をエンジョイするんじゃい!なんて話をした壱弥と別れ、バイト先についた俺はさっそくヤンキー先輩に話しかける。
「おはようございます!」
「おはよう、真砂くん。今日も暑いね。」
見た目とは裏腹の優しい受け答え…ホッとします。ついつい見つめてしまう。
「な、なに…あっ、そうだったね。俺は明日から1週間休みになるんだけど、真砂くんは予定通り3日後、海瀬市の月之浜海岸の海の家、鮫屋に朝8時に来てもらえれば案内するよ。」
「はい!はい!了解っす!」
「げ、元気だね…バテないようにしてね。」
海の家の名前が物騒だけど気にしないぜ!
あぁ、楽しい…こんなワクワクするのは久々だなぁ…。最近はハラハラドキドキ、ザワザワばっかりだったからな。
気分がいいからファンキーマートのオリジナルスイーツでもお土産に買って行くか…何個だ?いち、に、さん…俺の分を入れて5個…あ、壱弥と鵺のも買ってやるか。
「真砂くん…プリン大好きなんだね。」
そりゃ7個も買えばな?嫌いじゃないけど。シフトを終え、大量のプリンを持って家路を急ぐ。
夏の夜の風は気持ちいいな。この辺は特に風が通りやすいし、山が近いのもあるからサラッとした風だ。気分がさらに上がる。
「プリン、みんな喜んでくれるかなぁ。」
ニコニコの俺、自分の部屋のドアを開け、
「ただい…」
「いただだだだ!!やめぇやこの女狐!!」
「あ、あばれちゃだめです!おとなしくするです!」
「汚したら…わかってるな?」
いやぁ凄まじい。
俺の机、爪と鋭い牙で噛じったあとでボロボロ。
俺のベッド、タオルケットだっただろう布切れと、切り裂かれたお布団。その他色んなものが散乱、砂鬼と砂羅は夕飯を死守。何でこんなことになってるんでしょうね。
「あ!秋くん!!ちょーこの女狐どうにかしてぇ!!俺んとこ噛むわ引っ掻くわ最悪やねん!!」
同族だから嫌なんじゃないですかね?わからんがな?
「外でやれ外で!!」
バンッと窓を開けて東雲と護衛の狐ちゃんを放り出した。
「まったく。せっかくいい気分だったのに最悪だぜ。」
「おかえりなさいです!」
「おかえり。夕飯は無事だ、食べるか?」
とてとてと近寄ってくる子鬼たち。この感じも久しぶりだなぁ…。
「食べる…が、その前に少し片付けるか。あとこれ、後でみんなで、壱弥と鵺もよんで食べような。」
元気よく「はいです!」という子鬼達の返事と、外で騒ぐ狐たちの声。賑やかでいいなぁほんとに!!
「やぁ秋緋、プリンがあるって予感がしたからきたよ?あと外のやつうるさいからどうにか…うわ、何この部屋。台風でもきたの?」
「予感どころか見えたんだろ?ついでだから片付けもしてけ~。」
いいタイミングだぜ壱弥。ただ鵺を使って片付けさせるのは辞めなさい?まぁ、色々あったけど、お疲れ様ってことでプリン食べようか。
明日からの夏休み、楽しみだなぁ…!
「それで当主を夜緋呂さんにお願して、秋緋は無事に当主を継承することは無くなった、と。」
無事に終わってよかったと思う。俺が巻物に書き込んだのはだいたいこんな感じだ。
『末弟である今代の当主の権限を剥奪し、長兄が当主となり、家族で協力して支えてゆくこと。』
どの代が書き込んだかわからない約定が巻物の隅に覗いていたけどやたら難しい漢字と文章で書かれてあって、こんな幼稚な、しかも私情でしかない約定が刻まれてしまったことはちょっと恥ずかしい話ではあるが…俺の言葉で最低限したいことを一項に納めるしかなかったのだから仕方ない。
「そっかぁ…あーちゃんのお家って大変なんだねぇ。」
ふんわりまとめてくださるなぁ沙織里さんは。
「当主に関しては無くなったけど、筒師の方はどうなの?」
そこだよな問題は。妖怪たちとの関わりを否定して生きてやろうと思ってたけど東雲が俺の使役妖怪になってしまった。だからって筒師として生活しなきゃいけないわけではないはずだけど。
あと、記憶が戻ってから改めて考えてたんだ。
見えたり、関わりがあるのはもうどうしょうもないし、無下にしてこのまま生きていくのは…ととの事も、壱弥の事も、否定してしまうことになるんじゃないかって。
あの時はショックでこんな力いらないって思ってその気持ちを持ったまま育ってきたけど。
「筒師はやるつもりはないが…だからって妖怪たちを避けることはしないつもり。大事な親友とこれからも遊びたいしな?」
「ふぅん?約束なかったことにするつもりなんだ?僕頑張ってたのになぁ。でも、まぁ…その心変わりに付き合うのも親友の役目ってとこかな?」
「えー?!何二人で見つめ合ってるの?!なになにー?!」
仲間はずれにされた気がしたのか、沙織里がむくれて俺と壱弥の間に割り込んできた。
「男同士で色々あるんだよ。」
「あ、あやしい…!」
なんだか久しぶりだなこの感じ!学園生活が復活…!と、言いたいところだが今日は終業式、夏休みに入るのだ。
あっという間、集会とホームルームを終えた。
ルージュ先生はいつも以上に厚化粧だったのが印象的だったかな?多分かーちゃんから受けた愛の制裁。アザを隠してんだろうな。
「それじゃあーちゃん、また休み明けね!夜遊びしちゃだめだよ!」
「おう、沙織里こそなー?」
午前だけの登校、昼過ぎの日差しの強さはまさに夏を感じさせるものだった。
「秋緋はこれからバイト?」
「だな。先輩と夏休みの予定のことも話ししなきゃ…フッフッフッ…。」
「うわぁ…なんか下品だよ。」
ほっとけ!お前達は修行に勤しんでればいい!俺は夏をエンジョイするんじゃい!なんて話をした壱弥と別れ、バイト先についた俺はさっそくヤンキー先輩に話しかける。
「おはようございます!」
「おはよう、真砂くん。今日も暑いね。」
見た目とは裏腹の優しい受け答え…ホッとします。ついつい見つめてしまう。
「な、なに…あっ、そうだったね。俺は明日から1週間休みになるんだけど、真砂くんは予定通り3日後、海瀬市の月之浜海岸の海の家、鮫屋に朝8時に来てもらえれば案内するよ。」
「はい!はい!了解っす!」
「げ、元気だね…バテないようにしてね。」
海の家の名前が物騒だけど気にしないぜ!
あぁ、楽しい…こんなワクワクするのは久々だなぁ…。最近はハラハラドキドキ、ザワザワばっかりだったからな。
気分がいいからファンキーマートのオリジナルスイーツでもお土産に買って行くか…何個だ?いち、に、さん…俺の分を入れて5個…あ、壱弥と鵺のも買ってやるか。
「真砂くん…プリン大好きなんだね。」
そりゃ7個も買えばな?嫌いじゃないけど。シフトを終え、大量のプリンを持って家路を急ぐ。
夏の夜の風は気持ちいいな。この辺は特に風が通りやすいし、山が近いのもあるからサラッとした風だ。気分がさらに上がる。
「プリン、みんな喜んでくれるかなぁ。」
ニコニコの俺、自分の部屋のドアを開け、
「ただい…」
「いただだだだ!!やめぇやこの女狐!!」
「あ、あばれちゃだめです!おとなしくするです!」
「汚したら…わかってるな?」
いやぁ凄まじい。
俺の机、爪と鋭い牙で噛じったあとでボロボロ。
俺のベッド、タオルケットだっただろう布切れと、切り裂かれたお布団。その他色んなものが散乱、砂鬼と砂羅は夕飯を死守。何でこんなことになってるんでしょうね。
「あ!秋くん!!ちょーこの女狐どうにかしてぇ!!俺んとこ噛むわ引っ掻くわ最悪やねん!!」
同族だから嫌なんじゃないですかね?わからんがな?
「外でやれ外で!!」
バンッと窓を開けて東雲と護衛の狐ちゃんを放り出した。
「まったく。せっかくいい気分だったのに最悪だぜ。」
「おかえりなさいです!」
「おかえり。夕飯は無事だ、食べるか?」
とてとてと近寄ってくる子鬼たち。この感じも久しぶりだなぁ…。
「食べる…が、その前に少し片付けるか。あとこれ、後でみんなで、壱弥と鵺もよんで食べような。」
元気よく「はいです!」という子鬼達の返事と、外で騒ぐ狐たちの声。賑やかでいいなぁほんとに!!
「やぁ秋緋、プリンがあるって予感がしたからきたよ?あと外のやつうるさいからどうにか…うわ、何この部屋。台風でもきたの?」
「予感どころか見えたんだろ?ついでだから片付けもしてけ~。」
いいタイミングだぜ壱弥。ただ鵺を使って片付けさせるのは辞めなさい?まぁ、色々あったけど、お疲れ様ってことでプリン食べようか。
明日からの夏休み、楽しみだなぁ…!
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