76 / 93
再
転校生と危険な社会見学?①
しおりを挟む
着ていた服は処分されていたが、帰りは鬼道を通ったので夜道を全裸で歩くという事案は起こらずに済んだものの、タオル一枚で歩いたことは事実で、羞恥心も鍛えられた夜だった。
夜兄とは温泉でお別れ。結緋さんはまだお休みが残っているので、例の【しけんかんべびー】を親父のところに持っていって一緒に調べるって。俺の部屋に戻ってすぐに別れた。ちょっと名残惜しい気はしているけど、大変なのはきっとこれからだからな、昔と違って、この先また機会もあるだろうし、少しだけ我慢だ。
温泉の癒し効果のせいかはわからないが見事に爆睡して寝坊してしまい、学校には間に合ったものの、ホームルームの後壱弥に軽くお小言を言われたが、
「…秋緋、ちょっと変わったみたいだね?」
「さすが壱弥くん、わかる?」
ふふんと鼻を鳴らした俺にちょっとだけ嬉しそうな顔をした。勘違いしないでほしいが、別に同じ職業を目指しているわけじゃないからな。それでも、ちょっとした変化に気づいてくれたのは嬉しい。
「あ、そうだ。例の転校生なんだけど、藻江島先生の【特選】の授業取ったみたいだよ。」
「そうなのそうなの!そしたらね、名前教えてくれたんだよー!」
名前が今のいままでわからなかったのは何故か?
それは俺に施されていた術で聞こえないようになってたのもあるし、意図的に沙織里や壱弥にも伝わらないように親父や珠ちゃん先生がなにかしらしていたせいもある。もちろん相手にも、だ。『名前』ってのは呪いを使うにあたって重要な意味を持つんだって。相手に対しても、己に対しても、だ。
霊力が強い俺たちはその影響を特に受けやすいし、その呪いの力に俺たちの名前で起きる害があるとしたら―。
「絢倉千樹っていうんだって!…でもなんで今教えてくれたんだろう?」
「たぶん藻江島先生の監視下に直接入ったことと、見学の時に一緒になるから、事前にこちらにだけ認知させて、万が一に備えてわずかでも対応できるようにしたって感じじゃないかな。」
「…俺もう身バレしてんだけどそこは?」
そう、俺は名前関係なくすでに被害を受けている。それは壱弥もわかってるはずなんだけど。
「それは謎過ぎるんだよね。僕も調べてはみたけどまったく、どうやったのかわからない。存在感消されすぎて逆に目立ったとか…」
んなことあるわけないだろ。存在感ないのに目立つってどういうことだよ、そんな力あるならぜひ教えてほしいわ。一般人の友人を作りたいよ。
「今日午前で終わりだし、師匠に話聞きに行かない?秋緋も用事あるだろうし、一緒に見学行くってだけしか僕も聞いてないし。古泉さんも来るよね?」
「あ、私実家に帰らないといけなくてこの後すぐにいかなきゃで…一緒にいけないの、ごめんねあーちゃん壱弥くん。」
こんな変な時期に実家に?沙織里が呼び出されるなんて珍しいこともあるもんだ。一緒に過ごせないのは残念だけど、仕方ないか。
「僕もいるからふたりきりにはならないよ。」
「わかってるわ、いちいち読むなっ」
なんていつも通り過ごし、昼過ぎに授業が終わり、下校の時間になる。せっかくだから昼飯を一緒にと思って売店で菓子パンと飲み物、一応親父にもコーヒーをひとつ、購入して保健室へ壱弥と向かう。
「先生たちは会議があるみたいだけど、師匠は特別らしくてそういう教育の現場にはあんまり招待されないみたいだよ。だから今日も…」
「そりゃあんなバケモノが真面目な先生たちの中に紛れてたら集中できないだろ。」
「あはは!実の父親なのにバケモノって…否定はしないけれど。」
どこか遠い目をしている。親父の仕事をたまに手伝っている壱弥は俺の知らない親父の顔も知っているはずだ。まぁそんな顔になるんだからろくな姿じゃないんだろうな、ドンマイ。
コンコンッ、と一応ノックして入室。そこにはルージュ…じゃない親父がいる。
「お?なんだ?サボりかお前ら。」
「馬鹿言わないでください。今日は午前で終わりですよ師匠。師匠こそなんで男の恰好のコスプレをしてるんですか?」
壱弥、これが本来の親父の姿だ。珍しすぎて動揺したのかしらんが、これが本来の、俺の親父、真砂紅司郎だよ。落ち着いてくれ。
「あ~ん?今日はあっちの仕事はしないからオフなんだ、お肌もたまには休まないと荒れちまうからな。結緋に頼まれたもんもあるし。な、秋緋?」
化学実験でもするような道具がデスクに並べられている。保健室を私物化しているのがわかる。本当の病人来たらどうするつもりなんだ。
親父の言う頼まれもんっていうのは例の【しけんかんべびー】さんだ。デスクにわかりやすく、試験管入れにそいつが置かれているのが見えた。
「これをどうするんですか?浄化…?」
「それだけなら簡単だけどなぁ…こいつから情報を引き出す。腹減ってんだろ?飯食いながらでもいいぞ、せっかくだから見てろ。そっちの用事はその後でな?」
お言葉に甘えて…ってのがあってるかわからないが、折り畳みのイスを近くに並べ、壱弥と俺はそこに座り、菓子パンをもそもそ食べながら親父の様子を見守る。
まさに手作りといった和紙を取り出し、文字と陣をサラサラと筆で書きこんでいく。
「秋緋知ってる?一応妖怪研究の界隈だと結構有名なんだよ師匠。もちろん普通の方。」
「ひょうなのか?もぐもぐ…ん。だから今日はルージュしてねぇの?」
仕事云々とか、妖怪研究がどうのこうのより、ルージュかルージュじゃないかの方が俺には大事だ。菓子パンを牛乳で流し込み、親父の方に目を移す。
和紙の上に試験管を乗せ、そこに向けて両手の人差し指と親指を合わせて三角形の形に。その三角形に呪文を通すようにブツブツと唱えている。
ふうッと大きく息を吹きかけると、キラキラとした粒子がデスクごと試験管を輝かせる。
「…ふうん、なるほど。あー…そうか…うーーーん」
独り言を言う親父。何に対して返事をしているのか、なにか見えていてそれに対してのひとり言なのか。わからないまましばらく時間が流れる。
「秋緋は見えてる?」
「なにが?」
「うーん…やっぱり。キラキラしてる粒の中に妖怪特有の言語が刻まれているんだよ。僕も全部は読み取れないけど、感覚的にそれを感じてるんだ。半分妖怪だからね」
暗号や信号程度のものらしいけど、そういう言語があるらしい。
親父はそれをはっきりと見て、読み取って、理解できてるってことか。妖怪の血が流れてる壱弥ですらすべて理解できないのに…結構やるじゃん。
普通に研究者だけしていれば、まあまあかっこいいんだけどな。
整った筋肉で身長もある、顔はまぁ濃い目だけど堀が深いのがイケオジとか言われそうだし。
なぜルージュと化すのか。
「壱弥、もう少しこっちに来てくれ。ちょっとだけ見てほしい。」
「わかりました。」
壱弥を呼んで、浮かんでくるキラキラのいくつかを指差して何かを説明している。壱弥もいやいやな時もあるだろうけど、いつもこうやって手伝ったりしてるんだなって。真剣に話し合うふたりを見て思う。
「よっし。なんとかわかってきたな。秋緋、結緋ももう少ししたら来る。もうちょっと待っとけ。」
ポイっと。袋からコーヒーを出して親父に投げる。
「了解。…っと…ま、おつかれ親父。」
「気が利くじゃねぇか、さんきゅーな!」
バシバシと俺の頭をたたきながらコーヒーを飲んでくれ、壱弥も黙って戻ってきて、イスに座った。ちょっとだけ難しい顔。
「秋緋、よく生きてたね、無事でよかったよ、ほんとに。」
なにを見たのかはわからないけど…壱弥がそんな風に心配するんだから、対峙した時にもヤバそうだなってのは感じてはいたけど、相当危険だったんだな。もちろん、それを生み出しちゃってる転校生も、だ。
夜兄とは温泉でお別れ。結緋さんはまだお休みが残っているので、例の【しけんかんべびー】を親父のところに持っていって一緒に調べるって。俺の部屋に戻ってすぐに別れた。ちょっと名残惜しい気はしているけど、大変なのはきっとこれからだからな、昔と違って、この先また機会もあるだろうし、少しだけ我慢だ。
温泉の癒し効果のせいかはわからないが見事に爆睡して寝坊してしまい、学校には間に合ったものの、ホームルームの後壱弥に軽くお小言を言われたが、
「…秋緋、ちょっと変わったみたいだね?」
「さすが壱弥くん、わかる?」
ふふんと鼻を鳴らした俺にちょっとだけ嬉しそうな顔をした。勘違いしないでほしいが、別に同じ職業を目指しているわけじゃないからな。それでも、ちょっとした変化に気づいてくれたのは嬉しい。
「あ、そうだ。例の転校生なんだけど、藻江島先生の【特選】の授業取ったみたいだよ。」
「そうなのそうなの!そしたらね、名前教えてくれたんだよー!」
名前が今のいままでわからなかったのは何故か?
それは俺に施されていた術で聞こえないようになってたのもあるし、意図的に沙織里や壱弥にも伝わらないように親父や珠ちゃん先生がなにかしらしていたせいもある。もちろん相手にも、だ。『名前』ってのは呪いを使うにあたって重要な意味を持つんだって。相手に対しても、己に対しても、だ。
霊力が強い俺たちはその影響を特に受けやすいし、その呪いの力に俺たちの名前で起きる害があるとしたら―。
「絢倉千樹っていうんだって!…でもなんで今教えてくれたんだろう?」
「たぶん藻江島先生の監視下に直接入ったことと、見学の時に一緒になるから、事前にこちらにだけ認知させて、万が一に備えてわずかでも対応できるようにしたって感じじゃないかな。」
「…俺もう身バレしてんだけどそこは?」
そう、俺は名前関係なくすでに被害を受けている。それは壱弥もわかってるはずなんだけど。
「それは謎過ぎるんだよね。僕も調べてはみたけどまったく、どうやったのかわからない。存在感消されすぎて逆に目立ったとか…」
んなことあるわけないだろ。存在感ないのに目立つってどういうことだよ、そんな力あるならぜひ教えてほしいわ。一般人の友人を作りたいよ。
「今日午前で終わりだし、師匠に話聞きに行かない?秋緋も用事あるだろうし、一緒に見学行くってだけしか僕も聞いてないし。古泉さんも来るよね?」
「あ、私実家に帰らないといけなくてこの後すぐにいかなきゃで…一緒にいけないの、ごめんねあーちゃん壱弥くん。」
こんな変な時期に実家に?沙織里が呼び出されるなんて珍しいこともあるもんだ。一緒に過ごせないのは残念だけど、仕方ないか。
「僕もいるからふたりきりにはならないよ。」
「わかってるわ、いちいち読むなっ」
なんていつも通り過ごし、昼過ぎに授業が終わり、下校の時間になる。せっかくだから昼飯を一緒にと思って売店で菓子パンと飲み物、一応親父にもコーヒーをひとつ、購入して保健室へ壱弥と向かう。
「先生たちは会議があるみたいだけど、師匠は特別らしくてそういう教育の現場にはあんまり招待されないみたいだよ。だから今日も…」
「そりゃあんなバケモノが真面目な先生たちの中に紛れてたら集中できないだろ。」
「あはは!実の父親なのにバケモノって…否定はしないけれど。」
どこか遠い目をしている。親父の仕事をたまに手伝っている壱弥は俺の知らない親父の顔も知っているはずだ。まぁそんな顔になるんだからろくな姿じゃないんだろうな、ドンマイ。
コンコンッ、と一応ノックして入室。そこにはルージュ…じゃない親父がいる。
「お?なんだ?サボりかお前ら。」
「馬鹿言わないでください。今日は午前で終わりですよ師匠。師匠こそなんで男の恰好のコスプレをしてるんですか?」
壱弥、これが本来の親父の姿だ。珍しすぎて動揺したのかしらんが、これが本来の、俺の親父、真砂紅司郎だよ。落ち着いてくれ。
「あ~ん?今日はあっちの仕事はしないからオフなんだ、お肌もたまには休まないと荒れちまうからな。結緋に頼まれたもんもあるし。な、秋緋?」
化学実験でもするような道具がデスクに並べられている。保健室を私物化しているのがわかる。本当の病人来たらどうするつもりなんだ。
親父の言う頼まれもんっていうのは例の【しけんかんべびー】さんだ。デスクにわかりやすく、試験管入れにそいつが置かれているのが見えた。
「これをどうするんですか?浄化…?」
「それだけなら簡単だけどなぁ…こいつから情報を引き出す。腹減ってんだろ?飯食いながらでもいいぞ、せっかくだから見てろ。そっちの用事はその後でな?」
お言葉に甘えて…ってのがあってるかわからないが、折り畳みのイスを近くに並べ、壱弥と俺はそこに座り、菓子パンをもそもそ食べながら親父の様子を見守る。
まさに手作りといった和紙を取り出し、文字と陣をサラサラと筆で書きこんでいく。
「秋緋知ってる?一応妖怪研究の界隈だと結構有名なんだよ師匠。もちろん普通の方。」
「ひょうなのか?もぐもぐ…ん。だから今日はルージュしてねぇの?」
仕事云々とか、妖怪研究がどうのこうのより、ルージュかルージュじゃないかの方が俺には大事だ。菓子パンを牛乳で流し込み、親父の方に目を移す。
和紙の上に試験管を乗せ、そこに向けて両手の人差し指と親指を合わせて三角形の形に。その三角形に呪文を通すようにブツブツと唱えている。
ふうッと大きく息を吹きかけると、キラキラとした粒子がデスクごと試験管を輝かせる。
「…ふうん、なるほど。あー…そうか…うーーーん」
独り言を言う親父。何に対して返事をしているのか、なにか見えていてそれに対してのひとり言なのか。わからないまましばらく時間が流れる。
「秋緋は見えてる?」
「なにが?」
「うーん…やっぱり。キラキラしてる粒の中に妖怪特有の言語が刻まれているんだよ。僕も全部は読み取れないけど、感覚的にそれを感じてるんだ。半分妖怪だからね」
暗号や信号程度のものらしいけど、そういう言語があるらしい。
親父はそれをはっきりと見て、読み取って、理解できてるってことか。妖怪の血が流れてる壱弥ですらすべて理解できないのに…結構やるじゃん。
普通に研究者だけしていれば、まあまあかっこいいんだけどな。
整った筋肉で身長もある、顔はまぁ濃い目だけど堀が深いのがイケオジとか言われそうだし。
なぜルージュと化すのか。
「壱弥、もう少しこっちに来てくれ。ちょっとだけ見てほしい。」
「わかりました。」
壱弥を呼んで、浮かんでくるキラキラのいくつかを指差して何かを説明している。壱弥もいやいやな時もあるだろうけど、いつもこうやって手伝ったりしてるんだなって。真剣に話し合うふたりを見て思う。
「よっし。なんとかわかってきたな。秋緋、結緋ももう少ししたら来る。もうちょっと待っとけ。」
ポイっと。袋からコーヒーを出して親父に投げる。
「了解。…っと…ま、おつかれ親父。」
「気が利くじゃねぇか、さんきゅーな!」
バシバシと俺の頭をたたきながらコーヒーを飲んでくれ、壱弥も黙って戻ってきて、イスに座った。ちょっとだけ難しい顔。
「秋緋、よく生きてたね、無事でよかったよ、ほんとに。」
なにを見たのかはわからないけど…壱弥がそんな風に心配するんだから、対峙した時にもヤバそうだなってのは感じてはいたけど、相当危険だったんだな。もちろん、それを生み出しちゃってる転校生も、だ。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる