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終
それぞれの行く先②
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気を使われたなんて…壱弥はそんな考えはしないのを忘れていたわ。きっと、この光景を一緒に見るのが嫌だったんだろう。親父のせいもあるかもだけどさ、おじさん苦手なんだろうなぁ…。
礼拝堂に姿は無かった。沙織里がもしかしたら噴水かも、って言ったから、公園まで下りて行くと…噴水の女神を丁寧に噴き上げている人物がいることを確認した。向こうも、俺たちに気付いたようで…
「わぁぁぁんわぁぁんっ…さおりぃいさおりぃぃ…わぁぁぁ」
「もぉーお父さん…恥ずかしいから…そんな泣かないでよぉ…」
でっかい外国人のおっさんがまるで子供の様に、膝をついてしゃがみ、沙織里にしがみついて泣きわめいている…うーん…迫力あるなぁ…悪い意味で。
そんな俺の視線に気づいたのか、沙織里の父である神父ウォルクは咳ばらいをして、一瞬背中を向け、ハンカチで顔を拭って振り返る。その顔はいつもの怖い顔。
「……。」
「………。」
そりゃ沈黙。目と目が合ってしまってるから余計に。
「…お父さんっ!」
沙織里にとっては妙な沈黙だっただろう。耐えきれずに、父に声をかけ…
「真砂秋緋…言葉に偽りはなかったようだ。礼を言う…沙織里を助けてくれて…ありがとう。」
「いえ、そんな…俺のせいで沙織里を怖い目に合わせてしまったのは事実です、謝ります。申し訳ありませんでした!!」
「あぁ…それは確かに…だが、ここで礼を欠くわけにはいかない。それこそ神に背く行為。素直に受け取れ秋緋くん。」
久々に、くん付けされた。…ちょっとは、認められたってことなのかな。
「ありがとうございます…お父さん!!」
うっかり、壱弥が注意してくれていたのに…あの言葉を口に出してしまった。
「…早く行きなさい…礼を欠く前に…な?」
あ、だめだ。戻った。駄目だ俺。はやくいこ。
「お父さん!また明日ね~!」
沙織里の手を取って、公園前に待機している戌井の車まで向かう。
「そろそろ諦めて認めたらどうだ?」
「お言葉だけではなく、お姿までお見せになるとは珍しいですね…天使様。ふっ…その言葉、そのままお返ししても?」
「まったく…我と関わる男共は本当に…食えない奴ばかりよ…」
一瞬…風が…
公園を駆ける俺たちの背中を押したような気がした。
*********
真砂家―夜緋呂の部屋。
「そう、それはよかった…西の本家にはわたしが報告しておくよ。わざわざありがとう、東雲。」
「なんや秋くん急に成長しよってん!夜くんにも見せたかったわ。あんな…俺のことも…救ってくれたんよ…」
「ふふ…嬉しそうだね東雲。これからも、秋緋をよろしくたのむね?」
「任せとき!」
*********
車に乗るだけで一苦労だった。
千樹が俺の隣がいいと駄々をこね、それに沙織里が物を申し、戌井と壱弥が呆れ…どうして戌井の送迎の車に乗るって時はこう…落ち着きがなくなるのか…。
このままじゃいつまでもホテルに着かないので…助手席に俺が座る事で無意味な争いに終止符を。
深く腰を下ろして、やっと落ち着けると、安心した。
「それにしても秋緋、よく今まで耐えれたね?」
「…あ?なんのこ…れ…?」
ドクンっと心臓が跳ねる音がして、視界がボヤッと。
壱弥のいう、耐えれたっていうのは…霊力の使い過ぎってやつだ。俺が元々魂的にもっている霊力はもとより、体に流れる血の霊力も結構使ったらしく、ここにきて限界が来た。
「あれ…あーちゃん…霊力使い過ぎ?じゃあ、あとでアレしよっか?」
「あれってなに?なにするの?ねぇ秋緋くん、コタエテッ!!」
またいかがわしい言い方して沙織里さんはほんと…あぁ、だめだ、そんなことに構っていられないくらい…眠い。
「あれだけ短時間で霊力を使えばこうもなりましょう…ホテルまでは少々距離もありますし、お休みいただいても問題ありませんよ、秋緋坊っちゃん。」
「…そうですね。ふふ、慣れないことして格好つけるからだよ?次の修行は…霊力の量の強化か、配分を覚えること、かな?」
うるせぇや…みんなに守られっぱなしじゃないってところくらい見せたっていいだろ?
親父にも…沙織里にも…
「くー…くー…」
「秋緋くんの寝息…寝顔…かわいい…」
「せ、千樹さん…?そんなに、あーちゃんの顔に近づいたら…駄目だと思うな?戌井さんの運転の邪魔にもなると、思うな??」
乗り物に乗っている時に感じる心地よい揺れが更に俺の眠気を倍増させ、本当に久しぶりで、誰かのせいでなった寝落ちではない、ガチの寝落ちをかました。こんな一瞬で落ちるもんなんだな…。
「古泉さんも絢倉さんも…秋緋が起きちゃうから静かにしよ?ふたりとも、秋緋ががんばったこと、身を持ってわかってるでしょ?」
「…うん。」
「そうだね…あーちゃん、ありがと、ね。」
こうして、俺たちを乗せた車は親父たちの待つ砂城グランドホテルまでの道のりを行く。
まぁ到着してからも、誰が俺を運ぶのかって大分揉めてたらしい。壱弥も一緒になって騒いでたら親父も来たらしくて…なんとなく、なんとなくだけどな?
親父の腕に抱かれていた感触があった気がする。肩と足…つまり、お姫様抱っこで。
礼拝堂に姿は無かった。沙織里がもしかしたら噴水かも、って言ったから、公園まで下りて行くと…噴水の女神を丁寧に噴き上げている人物がいることを確認した。向こうも、俺たちに気付いたようで…
「わぁぁぁんわぁぁんっ…さおりぃいさおりぃぃ…わぁぁぁ」
「もぉーお父さん…恥ずかしいから…そんな泣かないでよぉ…」
でっかい外国人のおっさんがまるで子供の様に、膝をついてしゃがみ、沙織里にしがみついて泣きわめいている…うーん…迫力あるなぁ…悪い意味で。
そんな俺の視線に気づいたのか、沙織里の父である神父ウォルクは咳ばらいをして、一瞬背中を向け、ハンカチで顔を拭って振り返る。その顔はいつもの怖い顔。
「……。」
「………。」
そりゃ沈黙。目と目が合ってしまってるから余計に。
「…お父さんっ!」
沙織里にとっては妙な沈黙だっただろう。耐えきれずに、父に声をかけ…
「真砂秋緋…言葉に偽りはなかったようだ。礼を言う…沙織里を助けてくれて…ありがとう。」
「いえ、そんな…俺のせいで沙織里を怖い目に合わせてしまったのは事実です、謝ります。申し訳ありませんでした!!」
「あぁ…それは確かに…だが、ここで礼を欠くわけにはいかない。それこそ神に背く行為。素直に受け取れ秋緋くん。」
久々に、くん付けされた。…ちょっとは、認められたってことなのかな。
「ありがとうございます…お父さん!!」
うっかり、壱弥が注意してくれていたのに…あの言葉を口に出してしまった。
「…早く行きなさい…礼を欠く前に…な?」
あ、だめだ。戻った。駄目だ俺。はやくいこ。
「お父さん!また明日ね~!」
沙織里の手を取って、公園前に待機している戌井の車まで向かう。
「そろそろ諦めて認めたらどうだ?」
「お言葉だけではなく、お姿までお見せになるとは珍しいですね…天使様。ふっ…その言葉、そのままお返ししても?」
「まったく…我と関わる男共は本当に…食えない奴ばかりよ…」
一瞬…風が…
公園を駆ける俺たちの背中を押したような気がした。
*********
真砂家―夜緋呂の部屋。
「そう、それはよかった…西の本家にはわたしが報告しておくよ。わざわざありがとう、東雲。」
「なんや秋くん急に成長しよってん!夜くんにも見せたかったわ。あんな…俺のことも…救ってくれたんよ…」
「ふふ…嬉しそうだね東雲。これからも、秋緋をよろしくたのむね?」
「任せとき!」
*********
車に乗るだけで一苦労だった。
千樹が俺の隣がいいと駄々をこね、それに沙織里が物を申し、戌井と壱弥が呆れ…どうして戌井の送迎の車に乗るって時はこう…落ち着きがなくなるのか…。
このままじゃいつまでもホテルに着かないので…助手席に俺が座る事で無意味な争いに終止符を。
深く腰を下ろして、やっと落ち着けると、安心した。
「それにしても秋緋、よく今まで耐えれたね?」
「…あ?なんのこ…れ…?」
ドクンっと心臓が跳ねる音がして、視界がボヤッと。
壱弥のいう、耐えれたっていうのは…霊力の使い過ぎってやつだ。俺が元々魂的にもっている霊力はもとより、体に流れる血の霊力も結構使ったらしく、ここにきて限界が来た。
「あれ…あーちゃん…霊力使い過ぎ?じゃあ、あとでアレしよっか?」
「あれってなに?なにするの?ねぇ秋緋くん、コタエテッ!!」
またいかがわしい言い方して沙織里さんはほんと…あぁ、だめだ、そんなことに構っていられないくらい…眠い。
「あれだけ短時間で霊力を使えばこうもなりましょう…ホテルまでは少々距離もありますし、お休みいただいても問題ありませんよ、秋緋坊っちゃん。」
「…そうですね。ふふ、慣れないことして格好つけるからだよ?次の修行は…霊力の量の強化か、配分を覚えること、かな?」
うるせぇや…みんなに守られっぱなしじゃないってところくらい見せたっていいだろ?
親父にも…沙織里にも…
「くー…くー…」
「秋緋くんの寝息…寝顔…かわいい…」
「せ、千樹さん…?そんなに、あーちゃんの顔に近づいたら…駄目だと思うな?戌井さんの運転の邪魔にもなると、思うな??」
乗り物に乗っている時に感じる心地よい揺れが更に俺の眠気を倍増させ、本当に久しぶりで、誰かのせいでなった寝落ちではない、ガチの寝落ちをかました。こんな一瞬で落ちるもんなんだな…。
「古泉さんも絢倉さんも…秋緋が起きちゃうから静かにしよ?ふたりとも、秋緋ががんばったこと、身を持ってわかってるでしょ?」
「…うん。」
「そうだね…あーちゃん、ありがと、ね。」
こうして、俺たちを乗せた車は親父たちの待つ砂城グランドホテルまでの道のりを行く。
まぁ到着してからも、誰が俺を運ぶのかって大分揉めてたらしい。壱弥も一緒になって騒いでたら親父も来たらしくて…なんとなく、なんとなくだけどな?
親父の腕に抱かれていた感触があった気がする。肩と足…つまり、お姫様抱っこで。
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