90 / 93
終
それぞれの行く先①
しおりを挟む
なんかみんな驚いてるみたいだけど、この光景は見たことあるだろうって思う。最初の頃もそうだし、キャンプの時なんか被害者だったじゃないか…忘れちゃったのかな?
「…ここまでやるとはな、大したもんだ秋緋」
驚いちゃいたけどしっかり褒めて頭を撫でてくれた親父。どうだ、息子の成長は嬉しいだろう、ふふん!
「この子が…叔父さん…?」
あぁ、千樹は初めてか。そうじゃなくてもさっきまで人だった叔父さんが猫になってるんだ。そんな顔にな…
「か、かわわわわぁ…」
…そんなに気にしてないみたい。ボコボコにしてたとか言ってたし、元の姿の方は身内とは言えあまり好きじゃなかったのかもしれない。
「可愛いって思ってくれてよかった。で、だ。千樹、お前にお願いがある。」
「え、なにかな?」
「まず、こいつは絢峰瑠鬼だ。それはしっかり覚えてやっていてほしい。で…勝手なことをしたと思うけど、人間の時の記憶も、思い出も、全部、見えなくした。」
「………。」
「俺は千樹の命を、身内の命を使ったことに一番腹が立ってる。だから殴ってやったし、相応の報いを受けてもらった…と、思ってる。家同士の問題もあるし…でも俺は…」
「あーちゃんは、命を奪うことはできない、したくないんだもんね。」
沙織里の言う通り。だから、違う形で絢峰瑠鬼を…
「俺なりのやり方にはなったけど…こいつをもう一度、家族として迎え入れてくれないか?」
自分の欲の為に、弱い自分を恨みながら、ずっと暗い闇の中で生きた絢峰瑠鬼に、俺の家族みたいに、温かい記憶と思い出を与えて、もう一度、生きてほしいって。
「ほんとうに、秋緋くんは、やさしいね…うん、わかった。」
「ありがとうな、千樹。じゃ、頼むわ。」
俺の腕の中で寝息を立て始めそうなくせっ毛の黒い子猫と、俺の手を重ねて、千樹に受け渡した。
「不思議…陰険で根暗でヒジキみたいな叔父さんがこんなかわいい猫ちゃんになるなんて…ふふ、よろしくね、ルキちゃん。」
…やっぱり嫌いだっか。
でも、猫は好きみたいだから…とりあえず大丈夫か…。
「丸く収まったかしら?」
唐突に口を開いた珠ちゃん先生。なんだろ、ちょっと冷たい感じ?
「おう、珠子。ありがとうな、助かったぜ。」
「珠ちゃん先生強いんだな、びっくりした。俺からも、ありが――わっちょ?!」
グンッと引っ張られる感覚。
誰かに引っ張られた、けど、それは、俺が伸ばしている東雲に繋がっている糸が突っ張ったせいでだ。そういえば東雲、珍しく近くに来てない。
「東雲九守。」
「…い、っや、っやぁぁーー!」
ぐいぐいと珠ちゃん先生の方に引っ張られていく東雲につられて俺まで引っ張られていく。できる限り近づかないように、俺と東雲をつなぐ糸の長さを、東雲が極端に短くしている。
何が起きてんだ?く、がみ?ってなんだ?
「おい、珠子。まさかとは思うが、東雲がお前の分身のひとり…とか言わねぇだろうな?」
親父が問うと、
「見たらわかるでしょう~?やぁっとみつけたし、さっき約束もしたし、ねん?」
「俺は考えるっちゅうたんや!約束なんてしとらんやろ!!」
まてまてまて…。
確かに、尻尾の数がおかしかったし、俺んちで風呂入ってた時に九尾だけど今は違うのとか言っていた。今も俺の部屋で太々しく寝ているだろう子狐ちゃんも分身だし…同じキツネの妖怪である東雲がそうであっても…おかしくない?
「僕もこの展開は読めなかったな…秋緋、どうする?」
「どうするって…」
そんなの決まってる。俺には…
「珠ちゃん先生、悪いけど、東雲と俺は切っても切り離せない関係になってる。尻尾みたいに簡単に切り離せないんだ。」
「秋くん…このタイミングでそないうまい事言わんといて…嬉しいけどわろてまう…」
「笑え笑え!それでこそ東雲だろうが。ってわけだから。」
直接縫い込まれた糸の力は、相手がどんな強い力を持っていても、負けないんだぜ?
「あら…あらら…やだ…【不視】なんて卑怯よぉ…」
今日の俺は調子がいいんだ。何でもできる。珠ちゃん先生に近づくより、東雲に使った方が早い。俺の元に引き寄せて、胸に手を当て【不視】を施す。
「東雲は考えるって言ったんだろ?無理やりなんてダメです!」
東雲に『珠ちゃん先生は東雲を見ることができなくなる』ように。これこそ、夜兄が使った【不視】の使い方だしな、東雲もさぞ嬉しかろう。
「ふつうは戻りたがるものなのだけれど…いつの間に…九守の名に恥じぬ、守るものを見つけてしまったってことかしら…はぁ…」
さすがに諦めたようだ。見えないんだから、引き寄せようもない。ため息をついて、人に化けなおした珠ちゃん先生。
「ははは!…俺の息子はすげぇだろ」
「…ただの悪知恵よ。でも、仕方ないわ、どうしようもないもの。その子は貴方に預けるしかないわね…行きましょ紅司郎ちゃん。」
「あ、ああ、そうだった。一般生徒ほっとけねぇな。戌井、すまねぇが砂城グランドホテルまでそいつら送ってくれ、俺たちは先にいかにゃならん。」
「ほっほっほ、無事に送り届けますよ。」
拗ねてふくれている珠ちゃん先生を連れて、親父は宿泊先へ飛んで行った。一瞬抜け出しただけかもしれないけど、生徒だけで先生がいない状態が長く続くのは色々問題があるしな。
「秋くん…ありがとう」
「ん?なんだその顔、今度は泣きそうじゃんか。もっと泣かせてやろうか?ちーとみーと一緒に、夜兄に終わったことを報告しにいってきてくれない?」
「うん、うん!行ってくる!…案内よろしゅうな!」
「ちー!」
「みー!」
いつの間にかイケメンから鳥に戻っていたちーとみーを肩に乗せて、東雲も飛んでいく。まだ長くは持たないのかな?俺としては鳥の方がなじみがあるし、しっくりくるからそのままでいてほしいけど。
そして、残ったのは俺と壱弥と、沙織里と千樹と、戌井。
「あー!絢倉さん、猫さんもいるから、僕たちは、先に行ってようよ!さぁ、戌井さん!くるまはどこにありますか!」
「…ほっほ!そうですな、参りましょうかぁ」
「え、あ、はい…?」
明らかに棒読みで、わざとらしい言い方をして、壱弥は戌井と千樹を連れて墓地を離れていく…気を使われたな、これは。
「あーちゃん、おつかれさま」
「ん、あぁ。沙織里も…ほんとごめんな。」
笑顔が眩しいぜ。なんだかんだ、立て続けに色んな力を使ったから…さすがに、疲れた。
「んじゃ、俺たちもいくかぁ~…」
「そうだね、お父さんにも無事だって伝えなきゃだしね!」
…忘れてた。疲れたなんて言ってる場合じゃない、いちばんの難関が残っていたことを。
『最後までやり遂げてこそ、愛し子の伴侶として―』
うるさい!いつの間にか撤退して姿を消してたお前が言うな天使!
「…ここまでやるとはな、大したもんだ秋緋」
驚いちゃいたけどしっかり褒めて頭を撫でてくれた親父。どうだ、息子の成長は嬉しいだろう、ふふん!
「この子が…叔父さん…?」
あぁ、千樹は初めてか。そうじゃなくてもさっきまで人だった叔父さんが猫になってるんだ。そんな顔にな…
「か、かわわわわぁ…」
…そんなに気にしてないみたい。ボコボコにしてたとか言ってたし、元の姿の方は身内とは言えあまり好きじゃなかったのかもしれない。
「可愛いって思ってくれてよかった。で、だ。千樹、お前にお願いがある。」
「え、なにかな?」
「まず、こいつは絢峰瑠鬼だ。それはしっかり覚えてやっていてほしい。で…勝手なことをしたと思うけど、人間の時の記憶も、思い出も、全部、見えなくした。」
「………。」
「俺は千樹の命を、身内の命を使ったことに一番腹が立ってる。だから殴ってやったし、相応の報いを受けてもらった…と、思ってる。家同士の問題もあるし…でも俺は…」
「あーちゃんは、命を奪うことはできない、したくないんだもんね。」
沙織里の言う通り。だから、違う形で絢峰瑠鬼を…
「俺なりのやり方にはなったけど…こいつをもう一度、家族として迎え入れてくれないか?」
自分の欲の為に、弱い自分を恨みながら、ずっと暗い闇の中で生きた絢峰瑠鬼に、俺の家族みたいに、温かい記憶と思い出を与えて、もう一度、生きてほしいって。
「ほんとうに、秋緋くんは、やさしいね…うん、わかった。」
「ありがとうな、千樹。じゃ、頼むわ。」
俺の腕の中で寝息を立て始めそうなくせっ毛の黒い子猫と、俺の手を重ねて、千樹に受け渡した。
「不思議…陰険で根暗でヒジキみたいな叔父さんがこんなかわいい猫ちゃんになるなんて…ふふ、よろしくね、ルキちゃん。」
…やっぱり嫌いだっか。
でも、猫は好きみたいだから…とりあえず大丈夫か…。
「丸く収まったかしら?」
唐突に口を開いた珠ちゃん先生。なんだろ、ちょっと冷たい感じ?
「おう、珠子。ありがとうな、助かったぜ。」
「珠ちゃん先生強いんだな、びっくりした。俺からも、ありが――わっちょ?!」
グンッと引っ張られる感覚。
誰かに引っ張られた、けど、それは、俺が伸ばしている東雲に繋がっている糸が突っ張ったせいでだ。そういえば東雲、珍しく近くに来てない。
「東雲九守。」
「…い、っや、っやぁぁーー!」
ぐいぐいと珠ちゃん先生の方に引っ張られていく東雲につられて俺まで引っ張られていく。できる限り近づかないように、俺と東雲をつなぐ糸の長さを、東雲が極端に短くしている。
何が起きてんだ?く、がみ?ってなんだ?
「おい、珠子。まさかとは思うが、東雲がお前の分身のひとり…とか言わねぇだろうな?」
親父が問うと、
「見たらわかるでしょう~?やぁっとみつけたし、さっき約束もしたし、ねん?」
「俺は考えるっちゅうたんや!約束なんてしとらんやろ!!」
まてまてまて…。
確かに、尻尾の数がおかしかったし、俺んちで風呂入ってた時に九尾だけど今は違うのとか言っていた。今も俺の部屋で太々しく寝ているだろう子狐ちゃんも分身だし…同じキツネの妖怪である東雲がそうであっても…おかしくない?
「僕もこの展開は読めなかったな…秋緋、どうする?」
「どうするって…」
そんなの決まってる。俺には…
「珠ちゃん先生、悪いけど、東雲と俺は切っても切り離せない関係になってる。尻尾みたいに簡単に切り離せないんだ。」
「秋くん…このタイミングでそないうまい事言わんといて…嬉しいけどわろてまう…」
「笑え笑え!それでこそ東雲だろうが。ってわけだから。」
直接縫い込まれた糸の力は、相手がどんな強い力を持っていても、負けないんだぜ?
「あら…あらら…やだ…【不視】なんて卑怯よぉ…」
今日の俺は調子がいいんだ。何でもできる。珠ちゃん先生に近づくより、東雲に使った方が早い。俺の元に引き寄せて、胸に手を当て【不視】を施す。
「東雲は考えるって言ったんだろ?無理やりなんてダメです!」
東雲に『珠ちゃん先生は東雲を見ることができなくなる』ように。これこそ、夜兄が使った【不視】の使い方だしな、東雲もさぞ嬉しかろう。
「ふつうは戻りたがるものなのだけれど…いつの間に…九守の名に恥じぬ、守るものを見つけてしまったってことかしら…はぁ…」
さすがに諦めたようだ。見えないんだから、引き寄せようもない。ため息をついて、人に化けなおした珠ちゃん先生。
「ははは!…俺の息子はすげぇだろ」
「…ただの悪知恵よ。でも、仕方ないわ、どうしようもないもの。その子は貴方に預けるしかないわね…行きましょ紅司郎ちゃん。」
「あ、ああ、そうだった。一般生徒ほっとけねぇな。戌井、すまねぇが砂城グランドホテルまでそいつら送ってくれ、俺たちは先にいかにゃならん。」
「ほっほっほ、無事に送り届けますよ。」
拗ねてふくれている珠ちゃん先生を連れて、親父は宿泊先へ飛んで行った。一瞬抜け出しただけかもしれないけど、生徒だけで先生がいない状態が長く続くのは色々問題があるしな。
「秋くん…ありがとう」
「ん?なんだその顔、今度は泣きそうじゃんか。もっと泣かせてやろうか?ちーとみーと一緒に、夜兄に終わったことを報告しにいってきてくれない?」
「うん、うん!行ってくる!…案内よろしゅうな!」
「ちー!」
「みー!」
いつの間にかイケメンから鳥に戻っていたちーとみーを肩に乗せて、東雲も飛んでいく。まだ長くは持たないのかな?俺としては鳥の方がなじみがあるし、しっくりくるからそのままでいてほしいけど。
そして、残ったのは俺と壱弥と、沙織里と千樹と、戌井。
「あー!絢倉さん、猫さんもいるから、僕たちは、先に行ってようよ!さぁ、戌井さん!くるまはどこにありますか!」
「…ほっほ!そうですな、参りましょうかぁ」
「え、あ、はい…?」
明らかに棒読みで、わざとらしい言い方をして、壱弥は戌井と千樹を連れて墓地を離れていく…気を使われたな、これは。
「あーちゃん、おつかれさま」
「ん、あぁ。沙織里も…ほんとごめんな。」
笑顔が眩しいぜ。なんだかんだ、立て続けに色んな力を使ったから…さすがに、疲れた。
「んじゃ、俺たちもいくかぁ~…」
「そうだね、お父さんにも無事だって伝えなきゃだしね!」
…忘れてた。疲れたなんて言ってる場合じゃない、いちばんの難関が残っていたことを。
『最後までやり遂げてこそ、愛し子の伴侶として―』
うるさい!いつの間にか撤退して姿を消してたお前が言うな天使!
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる