【R18】愛しい人へ~愛しているから怖がらないで~

ともどーも

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3話

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~ ノーランド視点 ~

 シャティーの様子がおかしい…。

 侍女長から月の物が来たので、夜の営みは控えるように言われた。
 それなのに、彼女は夜二人きりになると、頬を染めて抱きついてきた。
「どうした?」
「その…少し寂しくなってしまって…。ご迷惑でしたか?」
「とんでもない!大歓迎だよ」
 俺の胸に抱きつき、上目使いで見られたら、その愛らしさに悩殺されそうだ。
「ノーランド様。あの…おやすみの挨拶を…しても…いいでしょうか?」
「?」
 はじめ、彼女が何を言わんとしているのかわからなかった。
「少し…屈んでいただいても?」
 言われた通りに屈むと、彼女の腕がそっと首に巻き付き、柔らかな唇が俺の唇に軽く当たった。
「?!」
 彼女自身も真っ赤に頬を染めて、目線をさ迷わせている。そして、ギュっと俺の首に抱きついた。
「…はしたなくて、すみません」

 うおぉぉぉぉぉ!!!
 可愛すぎる!!

 声にならない雄叫びを心の中で叫んだ。月の物でなければ、彼女に襲いかかってしまいそうな程の破壊力だ。

「いや、嬉しいよ。突然どうしたんだ?」

 ここは冷静に、スマートな声を心がけた。心臓が飛び出るのではないかと思うほどドクドク激しく波打っている。

「その…貴方に…触れたくて…」
 恥ずかしそうに言葉を紡ぐのがわかる。しかも今は抱きついているので、彼女の囁きが耳元で響く。
 思わず彼女を抱き抱えてしまう。
「きゃっ!」
 
 ベッドに優しく下ろし、彼女に覆い被さる。

「俺だって君に触れたいよ。…でも今はダメなんだろ?」
 月の物だからな…。
 頬を染めながら、小さく頷く彼女を小憎らしく思う。ダメなのに、まるで誘う様な仕草をするなんてヒドイ。

 ため息をつきながら、彼女の横に寝転ぶ。
「まったく、ヒドイ人だな」

 小憎らしくて、可愛い人め!

 彼女の顔にかかった髪を優しくどかすと、また彼女は俺の胸に潜り込んで来た。
「温かいです」

 ん、もぉぉぉぉぉ!!
 俺を悩殺するつもりなのか?!
 
 彼女を胸の中に抱き込んでいると、いつの間にか規則正しい寝息へと変わっていた。


×××


 次の日の夜。
 ベットの上でお腹を抱えて横になっている彼女を発見した。
「大丈夫か?!」
 彼女に駆け寄る。
「ノーランド様…」
 元気のない声に心配になる。
「医者をーーー」
「大丈夫です。少し、大人しくしていれば、大丈夫ですから…」
 辛そうな表情が痛々しい。
 女性は毎月この苦しみを耐えているのかと思うと切なくなる。

 頭を優しく撫でると、彼女は嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます。あの…良ければ添い寝していただけませんか?温かくすると痛みが和らぐんです…」
 恥じらいながら要求する姿に、グッときてしまう。
「もちろん!どうしたらいい?」
「でしたら、背中から抱き締めて頂けますか?あの…良ければ…お腹に手を当てていただいても…」

 彼女に言われた通りに、背中から抱き込み、体を密着させ、手をお腹に当てた。

「どうかな?」
「温かいです。とても安らぎます」
 彼女の耳が真っ赤に染まるのが見える。本当に、なんて可愛いんだろう!
 お腹に当てている手に彼女の手が絡んでくる。柔らかい手が気持ちいい。

 彼女のお尻と俺の股間が布越しだが触れあってしまう。
 固くなっている事がわかってしまうかな…。

 こちらの緊張を他所に、またしばらくすると彼女の規則正しい寝息を確認することになった。


×××


 月の物の期間中。彼女はずっと意味ありげな行動で俺を誘ってくる。
 おやすみのキスを真っ赤な顔をしてせがんだり、ベットの中でしてきたり、とにかく距離が近いし、ボディタッチが多くなった。

 そのせいで、仕事中も悶々としてしまう。執務室で書類整理しているだけなのに、部下から恐れられてしまう。
 そして、そんな俺の異変に嬉々としてやって来る男がいる。
「何を怒っているんだ?」
 リックベルト殿下だ。
 ニヤニヤ顔で紅茶を啜りやがって!
 仕事しろ!

「別に怒っていない」
「お前の部下は部屋に入るのに怯えていたぞ。何でもここ数日ピリピリしているそうじゃないか」
 確かにピリピリしていた。
 そうだよ、欲求不満だ!
 毎日愛しのシャティーが体を刷り寄せて、顔を赤く染めながら触れてくれば、理性が焼き切れそうになる。
 そろそろ月の物が終わる頃だ。
 抱いていいと許可がでたら、勢い余って襲いかかりそうだ。

 本当に小憎らしい。
 
「お預けをくらう猛獣みたいだな」
「?!」
「図星か!」

 爆笑するこいつを殴りたい!
 欲求不満解消にサンドバックに出来たら、最高だろう。
 積年の恨みも晴らせるしな…。

「すまん、すまん。そう睨むな。また娼館に連れていってやろうか?」
 娼館と言う単語を聞いて、燻っていた劣情がさっと、消えて行くようだ。

「…何だ。まだ気にしてるのか」
「…」
 答えに困る。
 気にしない方がおかしいだろう…。

「ノーランド。良いことを教えてやろう。生まれてくる赤子の頭の大きさは何センチだと思う?」
「突然なんだ」
「直径で約8センチくらいだ。お前のペニスより大きいんだ。その意味わかるか?女性の膣は柔軟性があり、ちゃんと準備すればお前の拳だって受け入れられる許容力があるんだ。しかも順応性も高い。初めはゆっくりペニスの形を覚えさせれば、しっかり受け止めることができる。安心しろ」

 爽やかな挨拶をするような顔でペニス、ペニスと連呼するなよ。
 リックベルト殿下の言っている事は、娼館に初めて行ったときの娼婦から聞いているので、知識としてはある。しかし、泡を吹いて倒れていた女の姿が脳裏に焼き付いて離れない。
 もしもシャティーに同じことをしてしまったらと思うと、一歩が踏み出せない。

「それでも心配なら、縛ってもらって、シャティアナ嬢に股がってもらえば良いじゃないか」
「はぁ?!」
「暴走しても安心だろ」
「バカじゃないのか!シャティーはそんな…そんな事」
 思わず机を叩いて立ち上がったが、殿下に言われた光景を想像してしまい、顔が熱くなる。
「女神のように美しく、高潔な女が、自分の前だけ、それも上に乗って乱れる姿を独占できるのは最高だと思うよ」
 殿下が一瞬レティーナ様を想像したのがわかった。
 来年結婚するから、待ち遠しいのだろうな。こんな変人に愛されるレティーナ様も大変だな…。

「これをやろう」
 殿下は涙型の小さなビンを紅茶が置いてあるテーブルに置いた。
「潤滑油だ。城の調合師が『女性用の媚薬』を少量混ぜているから、処女と性行為するとき役に立つそうだ。男には効かないから安心して使えよ」

 殿下は優雅な所作で立ち上がり、部屋から出ていった。
 俺はテーブルに置かれた小瓶をどうしようか、頭を抱えた。
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