愚かな旦那様～間違えて復讐した人は、初恋の人でした～

プロローグ

　昔むかし、ある町にラウトゥーリオと言う男の子がいました。
　両親は流行り病でなくなり、町外れの孤児院に身を寄せていました。

　孤児院には、彼と同じように両親を流行り病で亡くした子供たちがたくさんいました。
　子供達は両親が恋しくてたまりません。

　ラウトゥーリオの両親は亡くなる前に、彼に言い残したことがあります。

「愛するラウトゥーリオ。貴方を置いていく私たちを許して。どんな辛いことがあっても決して諦めないで。懸命に生きてさえいれば、必ず幸せになれるから。貴方が私たちの代わりに、生きて幸せになる姿を、天国の丘で見守っているわ」

「お前は俺たちの自慢の息子だ。必ず幸せになるんだぞ。母さんみたいな素敵な人を見つけろよ。俺たちはお前の姿がよく見える丘で《ラウトゥーリオの丘で》待ってるから、幸せな土産話を聞かせてくれ」

　ラウトゥーリオは両親の言葉を胸に、孤児達を励まし、強く生きて行くのでした。


ーーーーラウトゥーリオの丘でより抜粋ーーーー


　この物語はエリーゼ・ローベンシュタインが孤児達の為に書き上げた童話だ。
　子供達に、懸命に生きてさえいれば、必ず幸せになれるから、強く生きてほしいとメッセージを込めて描かれている。