【完結】フィクション

犀川稔

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54話 赤城と佐々木と相馬

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昨日はあれから家に帰って風呂から上がるとベットに倒れ込みそのまま就寝した。
朝起きると赤城は昨日、恋と家の前で交わした話を思い出して頭を抱えた。
「そうか......夢だ、あれは夢だったんだ。うん、そうに違いない。あんな積極的なこと言う恋の夢を見るなんて俺も相当溜まってるって事か~...。」
大きなあくびをした後に身体を起こすと床に足を付けた。携帯を開くと数分前に恋から「今起きたよ。」と連絡が来ていた。
あ、ほらやっぱそうじゃん。恋もこの通り...いつもと変わらん感じだし......おい誰だよ、恋に抱いてほしい!って夢の中で言わせたの。抜き合いの意味も知らんピュアピュアホワイトな心を持つあの恋きゅんにそんな事言わすなよ。......あ?言わせたの俺か?もう!尊さんのえっちー!
そんなことを脳内で考えながら「俺も起きた。」と返すとすぐに既読がついた。その直後、例の如く長い長いメッセージが送られてきて赤城が深呼吸をしてから読み始めた。

「赤城へ 昨日は貴重な時間を僕のために作ってくれて本当にありがとう!朝から大変なことにあったのにわざわざタクシーできてくれてとても嬉しかった。楽しい時間だったのに僕が水を差したせいで少しの間空気を悪くしてしまってごめんなさい。カフェも水族館もディナーもイルミネーションもとても楽しい時間だったよ!プレゼントもすごく嬉しかった!リングもこれからお休みの日は毎日付けるね!お揃いなのも嬉しい!マフラーも結局、家まで僕に貸してくれてありがとう。必ず今度会う時洗って返します...!それから帰りがけのことなんだけど、流れだったとはいえ突然変なこと言ってごめんなさい。ただ赤城に話したことは全部本心で僕もそういうこと赤城としたいって思ってるのね!でも全然慣れてないから赤城幻滅させちゃうかもだし、僕の裸じゃ興奮しないかもだけど、僕頑張るから赤城にもよく思ってもらえるといいなって思ってる。泊まりまでに色々準備しておくので当日はお手柔らかにお願いします。今日も赤城が大好きです。追伸、今日は家で家族と過ごします。」

......夢じゃなかった。全然余裕でばりばりリアルだったわ。...いや、なんだ?そもそも何基準で俺が恋に興奮しないって言ってんだ?そんなんゴリゴリに興奮するだろ。なんの心配してんだこの子は。つかここまで触れないできたけど流石に無理だわ、準備しておくって......準備しておくって!?これって俺の思う準備であってんの?あー、むずい...むずすぎるぞ。芦野恋の基礎知識検定一級の問題、流石に難易度たけぇ...。これは返信で話に触れた方が......いや、やめておこう。
赤城は最初の方で恋が言っていた話に触れた返信を短く返すと、ついでにその下にあった佐々木からのL◯NEを見た。
「with相馬。」と言うメッセージと共に、位置情報を示すマップのリンクが送られてきた。
特に今日の予定を決めていなかったし人と会ってる方が気も紛れると思い、赤城は服を着替えてダラダラ支度をすると、佐々木たちのいる場所に向かった。

「......で?来たけど...何ここ。」
「何って全然普通に映画館だけどー?つか本当に来てくれちゃうところマジで赤城だわ!お前もホラー行けるっしょー?さっき相馬と話してこれに決まったからさ。早くチケット買い行こうぜ。」
「......いや全然答えになってねぇんだわ。まずお前らが一緒に居んのも謎だし映画なのも謎だし俺が呼ばれた意味も謎いわ。」
赤城の話に対して佐々木がお腹を抱えて大笑いすると「笑うとこじゃない。」と赤城はキレた。
「ねぇ、早くチケット発券しに行こー?俺まとめて3枚買っちゃっていいー?」
言い争う二人に目もくれず、マイペースに話を進める相馬はいそいそと発券機の前に立つと場所を選んだ。その横から佐々木が顔を出すと一緒に画面を見た。
「こう言うのって大抵いちゃこらしたいくそっぷるが一番後ろの一番端を取ってるとみたからその真横取って雰囲気壊してやろうぜ。それかその真ん前にして後ろガン見してやるのも全然あり。」
「...つくづくお前と友達やってる自分が恥ずかしいって思うよ。」
最悪なことを言う佐々木に冷たくそう言い放つと、赤城は呆れたようにため息を吐いた。楽しそうに席選びをする二人の後ろで立っていると携帯が鳴り、見ると恋からだった。
「これから父さんが家に帰ってくるみたいで家でクリスマスパーティーすることになったよ!」
...恋のお父さん、家族とはあんまだから家には行かないって言ってたよな?でも帰ってくるってことは問題解決でもしたのかな...今度恋に詳しく聞いてみようかな。
「そか楽しんでね。佐々木と相馬と映画きた。」
赤城はそう返すと携帯をしまった。

「ポップコーンは絶対塩!キャラメル派の奴とは分かち合えん!」
「え~美味しいのに。キャラメルも食べてみなよ、絶対ハマるよ~?」
上映時間が近くなり飲食物を各々買うと、中に入った。
「赤城は?どっち買ったの?」
「バター醤油。」
「は?一番ねぇわ!」
「うんそれ買うくらいなら俺も塩選ぶ~。」
人の買った物にケチをつける二人に「バター醤油と俺に今すぐ謝れ。」と赤城が言った。笑いながら走って先にシアターに入っていく二人を赤城は怠そうに追いかけた。結局一番後ろの席を取ることにした三人は赤城を挟んで左右に座った。
「...は。なんで俺が真ん中なの?」
「お前ホラーイケるんでしょ?俺らあんま得意じゃないからいざとなったら泣きつくために決まってんじゃん。」
「...なんでこの映画選んだんだよ。」
「佐々木がこれがいいって言ったの~俺はわんこの涙ポロポロ系がいいってあんなに言ったのに~。」
「は~!?カップル共がえーん怖いよ~つって馬鹿みたいに抱きついたり泣き喚いて馬鹿やってるところが見たいって言ったのはお前だろうが!」
醜い争いを自分を挟んでする二人に呆れてポップコーンを食べていると階段を上がってきた新山と千隼が三人のことを見て驚いた。
「え、なんでお前ら居んの?」
「え!兄貴たちも来てたの!?」
「いや...映画見にきたらしい。お前らもこれ見にきたんか。席どこ?」
新山たちの問いに赤城が答えると新山が話を聞いた後、佐々木の奥の席を指差した。
「いやお前らかよ!俺らの餌食になる予定の奴らは!つまんねぇな~!」
「えなに、餌食って。」
「こいつらいい雰囲気のカップルの邪魔するためにここきたらしいわ。で、それに巻き添えくらったのが俺ね。」
「...お前らやってんなまじで。どうせ赤城のこと佐々木が呼び出したんだろ?相馬もって言うのが意外だけどな...赤城に関してはなんかもう同情しかできねぇわ。むしろ俺らでよかったなここ。違ったからクレームもんだよ。」
新山と千隼は笑って席に着くと五人は映画が始まるまで静かにして過ごした。

「えーっと...佐々木と相馬は大丈夫そう?」
両サイドから赤城の腕を強く掴む二人に新山が声をかけた。
「......ぜ、全然よゆーだったわ...マジで。全然怖くねぇわ...」
「それ怖かったやつのセリフなんだよ。」
「ね、俺も...微塵も怖くなかった。......全然大丈夫だった。」
「うん相馬。本当に大丈夫だったやつは足プルプルしてねぇんだよ。」
苦笑いをしながら二人に返す赤城は千隼の方を見て「そっちは大丈夫そうなの?」と聞いた。
「うん、こっちはしっかり寝てるわ。まじでそいつら二人に続いてこいつも何しに来たんだよ。まともなの俺と赤城しかいねぇじゃん。」
新山が笑ってそう言うと赤城は「出ようぜ。」と言って立ち上がった。
「昨日は芦野くんとどこ行ったの?」
シアターを出て歩いている時に新山が赤城に聞いた。
「夕飯食ってイルミ見に行ったよ。」
切り替えたように楽しそうに肩を組んで前を歩く佐々木と相馬を見ながら赤城が答えた。
「へぇ、朝までは一緒に居なかったんだ。」
「うんまぁね。そっちは泊まり?」
「うん、俺んちにね。...赤城は不安になんないの?一応今日もクリスマスではあるじゃん。他と会ってるかもとか。」
不思議そうに聞いてくる新山とその横で便乗して聞いている千隼に赤城は「それはないかなー。」とはっきり答えた。
「すごいな。めっちゃ余裕じゃん。」
「さすが赤城先輩、大人の余裕ってやつですか。」
言い切る赤城を見て二人がそう言っていると赤城は少し悩んだ表情をしてから神妙な面持ちで二人を見た。
「余裕そう...か。そう見える?」
そう言うと意味ありげな薄い笑みを浮かべて「じゃ、俺はここで。」と言って先を歩き、佐々木と相馬にも声をかけて赤城は帰っていった。
「......あれは昨日なんかあったな。」
「うん...なんだろ、ちょっと揉めたとか?」
「いやー......あれはそう言う系じゃないと思うわ。」
あまりピンと来ていない千隼に何かを察したように新山が答えると「俺らも行こうぜ。」と言って佐々木たちに一声かけて別れ、再びデートの続きをした。
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