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5・身分と情緒の上がり下がり
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しおりを挟むさて食後、キングだかクイーンだかの大きなベッドに二人横たわり、スマートフォンでピアス購入候補をお披露目してみた。
「これ…挟むだけのやつとかあった」
「落ちてしまいそうです」
「落ちないように乳首勃たせときなさいよ」
「…やぁですよ」
上からものを言えば簡単に頬を染めるのに彼女の意思は固い、やはり乳頭を貫くタイプでなければいけないとのことだ。
「じゃあこれ…キャッチが可愛いと思った」
「耳用のジャラピみたい…チェーンは洗いにくそうです」
「…外せばいいだろ」
「そういうのはお出かけ用ですね」
「…ならこれ、サージカルステンレスだから清潔そうだ」
「無機質ですね、それこそ拷問器具みたいで可愛くないですぅ」
「水蓮、俺の案を採用する気が無いだろ」
「うふ」
彼女は珍しく俺を揶揄って様子を窺って、わざと怒らせて襲われるよう仕向けているのだと分かった。
ならばご期待に応えて俺の候補案を無理やり飲ませるという手もあるのだが…身に着けるのは彼女なのだからできれば納得したものを着けてもらいたいし大切にしてもらいたいのだ。
「んー…じゃあさ、これ…」
「………蓮、」
「水蓮だから…こういうシャレはダサいかな」
「いえ…でも拓朗さんの好みではなさそうです」
どのピアスだって俺好みじゃないんだけどね、俺が提示したのは蓮の花を象ったディスクとかシールドと呼ばれる種類のものだ。乳輪を隠すようにドーナツ状の金具をはめて、乳頭をバーベルで貫くことでストッパー代わりにするというものだ。
俺の懸念材料の球は円盤に紛れてぱっと見分かりづらい、全体も暗がりで見れば乳輪に擬態するしまだマシかなと思えたから候補に入れていた。
「まぁね、仰々しいよな、蓮で囲むって曼荼羅みたいだ」
「…これ、他に…他のデザインとかは」
「んー…こっちの…桜とか良いと思った」
「……桜…可愛らしいですね…私、そういうイメージですか?」
蓮より花びらの数が少なく我々に馴染みのある形、一見日本刀の鍔のようなそれは透かし彫りで乳輪がチラと覗くデザインで…それだけ見れば可愛いと感じられたのだ。
「…蹄鉄からの派生イメージだよ」
「…桜肉ってことですか」
「シャレだよ…でもふわふわして華やかで…合ってると思った…もういい、水蓮の好みのものを選んでくれ」
「いいえ、」
スマートフォンから離した俺の手を彼女はにぎにぎと包み込み、
「この、桜のが良いです」
と頬を寄せる。
「…そう?」
「はい、拓朗さんが考えて選んで下さった…これにします」
「分かった…ちなみにこれ一個売りだけど、両方これにする?」
「んー…はい、両方とも…拓朗さんのお考えに」
「分かった…言っておくけどさ、俺が選んだからって…」
「はい、拓朗さんが無理なら仕方ないです…それでも私は着けますよ、見ていただけなくても」
彼女は仕様や注意書きをよく読んで、買い物カゴに桜のピアスを2点入れて俺にスマートフォンを返した。
「忠犬みたいだな」
「あら…馬の次は犬ですか」
「見た目は羊とかそんな感じ」
「髪ですか?…軽い天然パーマなんです…」
「それが可愛いんだ」
決済はクレジットカード、ポストインの荷物だから配送日もお任せ、ちゃちゃっと購入を確定して画面がホームに戻れば俺は毛先を気にする彼女の腰を抱く。
「期待しないでくれ…ごめんね、へタレで」
「いいえ、一般的じゃないんですもの…無理でも、その…胸を隠してセックスはできますから、あ、後背位という手もあります」
「分かった分かったって…そうまでしてシたくないよ」
「…シたいんです、初めての…方ですから」
「シて差し上げたい」とでも言いそうな唇を塞いで舌を入れる、
「じゃあシてもらおうか…水蓮、風呂入ろう」
と告げると彼女はおずおずと舌を絡ませて同意を示した。
「水蓮…キレイだな」
脱衣所で臆せず丸裸になった俺は下着姿の彼女を褒め称え、ふくよかな胸と尻、そして引き締まった腰と脚をまじまじと観察する。
「痩せ型ではなくて」
「分かってるよ、グラマーだ」
「昔はスリムな方だったんですが…お恥ずかしい」
「ひぃ様に良いものを食べさせてもらったんだな、栄養が付いたんだ」
「は、い…」
かつての主人を褒めると彼女はそれも嬉しそうで、でも
「さ、脱ぎなさい」
と丁寧に命令してやると俺の雌に成り下がりサッとパンティを脱ぎ落とした。
そしてこちらに背を向けてブラジャーを外すとバストトップを腕で隠して振り向き、それなりの恥を顔色に載せて俺を興奮させる。
「恥ずかしい?」
「いえ、見えない方が良いのだろうと…でも…は、恥ずかしいです…当たり前じゃないですか」
「ピアス見せてくれたときはそこまでじゃなかったろう?俺に見られて興奮してたし」
「…全身はそれなりに恥ずかしいです。そこまで阿婆擦れではありま…いえ、恥の観点が…すみません、情緒が不安定で…恥ずかしいです……ぁ」
特定の人だけに見せていたとしてもそりゃ慣れないもんか。
抜群のプロポーションでも自信を持たない彼女の不安が大きくなる前に浴室へと連れ込んだ。
最大出力で噴出していたお湯は丸い浴槽を半分ほど満たしていて、換気システムが行き届いているのだろう『湯気で姿が見えない』なんて事態にはならなくて残念である。
多少はピアス付きの乳首を見なけりゃならない、また萎えたペニスを見せるのがそれこそ恥ずかしい。
さて体でも洗うかと青いスケベ椅子を引き出して置けば、
「拓朗さま、お掛けになって…下さい」
と身を落とした彼女が床へ跪く。
まるでソープだな、行ったことは無いがAVで見たことはある。
でんと座り開脚すれば彼女は「わぁ」と喜び
「ご立派ですわ」
とあからさまに褒めるもんだから可笑しかった。
「ん…洗ってくれるの?」
「はい、あの、胸は…我慢なさって下さいね」
「んー…薄目で見るわ」
「すみません」
数分のことだし外させても良いのだが、また過呼吸みたいになったら困る。化粧をしているのに明らかに青ざめてひゅうひゅうと息する彼女は本当に死んでしまうのかと思ったのだ。
ここに救急車とか呼びたくないし人工呼吸とかAEDとか生命維持の責任を担いたくないんだよな、人としてどうなのという感じだがそれが正直なところだった。
「失礼しますね」
彼女は手の上で器用にボディーソープを泡立ててこんもりと盛って、俺の肩から胸・脇へと手を滑らせ塗りたくっていく。
「逞しいんですのね…うっとりしてしまいます」
「そうかな」
「がっちり、でも細身で…素敵ですわ」
「ありがとう」
精一杯腕を伸ばして背中に手を回せばピアスが膝に当たる、
「あ、すみません」
と恐縮するその顔は心から済まなそうで気の毒だ。
「いいよ、当たるくらい。そっち向こうか……なぁ…水蓮、おっぱいで体を洗ったことは?」
「……」
「教えてもらってないか?水蓮がボディースポンジになるんだ、背中ならピアスが当たっても大したことない」
「え、あの…」
嫌がったりはぐらかしたりしないからOKなんだろう、
「水蓮、俺の背中を洗いなさい、胸を使って」
と命を下せば彼女は一瞬眉を顰めたものの、ボディーソープのボトルを持って俺の背中側へと回り込んだ。
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