泥より這い出た蓮は翠に揺蕩う

茜琉ぴーたん

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5・身分と情緒の上がり下がり

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「…ピアスを外しますね、さすがに痛いでしょうから」
「平気?」
「バーベルはそのままで、チャームだけ外します」
「…ちなみに今日はどんなピアス?」
 「これです」と俺の膝の上に置かれたのは輪っかに天使の羽が付いた可愛らしいもので、しかし羽の先がかすれば俺の肌にミミズ腫れが作られるだろうことは容易に想像できる。
 俺はピアスを小指の先に通して、彼女の柔らかい泡付き乳房を背中で受け止めた。
「おー……こりゃ良いね」
「んッ…ちゃんと、洗えてますか?」
 洗体なんて目的じゃないんだけどね、俺はニタニタ笑える口を隠して弾力や僅かに感じる金属の固さに集中する。
「さぁ…前もやってみるか?」
「…ピアスが見えてしまいますよ」
「勃たせるのが目的じゃないんだから良いさ…水蓮、前も洗ってくれないか」
「は、い…」
戻ってきた彼女の上半身には泡が散らかっていて、そこにまた泡を足してどうしたものかと彼女はおずおず近付く。
「立とうか?水蓮が洗い易いように」
「恐れ入ります…お立ち下さい…」
「うん、よろしく」
 お互い立ち上がり体で泡をサンドする、密着しても彼女は動かず、やらせた俺もその感触の気持ち良さに動けなかった。
「…気持ち良いな」
「はい…人肌が…温かくて…ぬるぬるで…」
「うん……ごめん、勃った」
「あ、あ…」
 身長差は15センチほどあるはずだが仕事用のヒールを脱いだ彼女は思ったより視界の下の方に居て、それでも膝を曲げるといきり立ったモノが股の間に挟まり存在感を増していく。
「どうしたの」
「いえ、その…あ、」
「水蓮?言いなさい」
「あ♡拓朗さま…あの、ペニスが…私に…」
 恥ずかしそうだが教科書チックで萌えない。
「当たってるね…ちなみに女性器のことは何て呼ぶんだ?」
と聞けば彼女は困り顔で
「あの…ヴァギナ、と」
と予想通りに答えてくれた。
 これは言葉責めのし甲斐が無い。
 日本語の正式名称を教えたところで「陰茎が小陰唇と膣口を擦って」なんて聞かされても保健体育の教科書のようだ。
「ふむ…水蓮、ペニスはいろいろ呼び方がある…知っている?」
「え…その…陰茎、」
「やっぱそっちか、じゃなくてもっと砕けた言い方」
「……おちんちん、ですとか」
「ふふっ、可愛いな…他には?」
「…ちんこ、とか…」
 これは可愛らしい、戸惑いながらもサラリと外来語のように口にするのでいっそ清々しくエロティックさを感じない。
 けれど俺は興奮したいしどうせならはずかしめを与えたいんだ、
「ちんぽ、が良いかな。丁寧に言ってみて、俺のだから」
と腰の窪みに指をつつと沿わせると
「……意地悪ですわ」
とぴくぴく震えつつ彼女は股をきゅっと締める。
 「お」が付けば恥ずかしいのか、その感性は持ち合わせているんだな。俺はエロ親父のようにすこすことペニスをしごいて少し息が荒くなった。
「水蓮、教えて、俺のコレ、何て言うんだ」
「お、おちんぽ…あ、拓朗さま、ぬるぬるで、」
「んッ…じゃあココはどう呼ぶかな、俗称、学生時代に男子から聞かなかったか?」
「無いです、ずっと女子校だったんです、」
「あぁそう…一般的には『ま*こ』かなぁ、丁寧に言ってごらんなさい」
「え」
 もしかして彼女は知識としてそれを知ってはいるんじゃないのか。今の反応で何となくそう感じた、強いられるのとは別の興奮を感じているように見える。
 教科書的なものはOKで俗っぽいのは恥ずかしいのかもしれない。
「…おま*こ……拓朗さま、趣味が悪いです」
「それは知ってた?」
「あの…映画で…観ました」
「はぁ、AVじゃなくて?」
「任侠映画とか少し昔の映画…メインではないですが濡れ場、と言うんでしょうか、情事の描写があって…はい、」
 官能小説を実写化したものなら俺も観たことはある。汗だくで顔に貼り付いた髪の毛とか紅を引いた唇が艶やかで、言葉遣いなんかも少し古臭い感じだった。確かに、あの妙な静けさの中に聴こえる息遣いとフィルム独特の色彩はムラムラした。
 その映画はひぃ様の趣味だったのかな、彼女の喋り言葉のルーツはそこなのだろう。
「…ひぃ様には言葉責めはして貰わなかったか?」
「無かったです…」
「じゃあ俺が初めてか」
「そうですわ、こんな…初めてです…」
「嬉しいよ」
 上半身を離してけ反りしこしこと彼女を擦る、
「拓朗さま、ッ…入って、しまいます、」
とオロつく彼女の腰は全く引けておらず満更でもない様子が見て取れた。
「角度的に無理だな、でもこれ気持ち良いな…ボディーソープで素股」
「んッ…」
「あー…挿れたくなっちゃうわ、水蓮、胸でお願いできる?」
「はいぃ…」

 俺はスケベ椅子に座り直して大きく脚を開き、彼女のたわわな胸にたっぷりとボディーソープを垂らしてモノを挟んでもらった。
 泡でもおそらく経験があるのか動きも流れもスムーズで、『元気なモノ』を持っていなかったひぃ様にもしてあげたのだろうと思う。
 まぁ逐一過去のご主人様と比べていっても仕方がない、俺は交際期間や付き合いの深さは負けているし何より相手はもう故人なのだ。
 しかし男としての闘争心と言うか嫉妬心なのか、彼女がまだ知らないことを教えてあげられたら心が満たされる想いがする。
 これが『支配』なのかな、小指にはめたままのニップルピアスを握り込んで金属の重みと肌に当たる痛みを味わった。
「拓朗さま…お慕い申しております」
「ありがと…どんなところが?」
「私を好いて下さるところ、過去を明かしてもこうして寄り添って下さるところ、頼もしいところ…全てです」
「恐れ多いね…」
 ふわふわ揺れる髪と乳房、泡が立っては細かくなって、湯を足してやるとシャボン玉が生まれたりして見た目にも楽しい。
 白い泡と胸の谷間から見慣れた亀頭がコンニチハ、弾力と圧と視覚効果で堪らなくいやらしい。
 しかし今回もあまり長持ちしそうにないのが悔しくもある。
「抱こうと思えばやり方はいくらでもありますのに…我慢なさって、模索して下さったり」
「んー…保身もあるよ?いい加減な付き合いをして…仕事に支障が出ても困るし…エッチしちゃうと後戻りできないし、ん、あ、水蓮、」
「それでも…きちんと考えて下さるところが…好きです」
「でも盲目的になっちゃダメだ、水蓮はもっと…ん、自分を、大事にしなさいよ」
「はい…」
 それを説く俺のこの行動の矛盾を何としようか、尻を浮かせて彼女目掛けてモノを擦り付ける、肩をがっちり掴めば上下させるように自然と腕に力が入る。
「あ、」
「水蓮ッ、出る、おっぱいに掛けていいか?」
「はい、ア、」
「あッ♡すいれ、んッ♡♡♡んー…、あ、あ♡♡♡あ、あー…」

 泡の上に異なる白さの液体が飛び落ちる、眉間にしわこしらえた彼女は窮屈きゅうくつな谷間からゆっくり手を離して俺を自由にした。
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