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7・ヴァージン・キラー
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しおりを挟む「こちらが寝室です」
「広いなぁ…」
風呂から上がりバスタオルだけ体に巻いて、俺は彼女の案内で廊下を奥へと進む。このマンションはひとつの階に3世帯だから、それらをぶち抜いて一軒にしてあるこの家はべらぼうに広い。
「…あの…無理でしたら仰って下さいね」
「うん…なんだろ、本当慣れちゃったのかな…ピアスに。不思議だね」
「嬉しいですわ…」
穴を開けたい気持ちは分からないままだが我慢はできそうだ。
しかし寝室にこそひぃ様の痕跡が残っていたらすぐ萎えてしまうかも…扉が開かれるまでは心臓がばくばくと煩かった。
「どうぞ」
「……可愛い部屋」
通されたそこは薄いピンクのベッドシーツとカーテンが目立つ10畳ほどの部屋で、飾り気も無くドレッサーと勉強机が置いてありすっきりとしている。
「変な物が置いてあると思われました?」
「うん…バイブとか剥き出しで並べてあるのかと思ってた」
「そんなことしません……そういう物は別室に」
「あるんだ」
「もう使ってはおりませんが、拓朗さまのご興味が向けば…お見せします」
「……牢屋とか無い?」
「ありませんが…手錠くらいならまだ残ってます…ご覧に?」
SMクラブみたいな雰囲気の部屋だろうか、そこだけ切り取れば健康な成人男性の俺は好奇心でうずうずして「うん」と頷いてしまった。
「興味はある……いや、ごめん…形見だよな」
「いえ…こちらへどうぞ」
彼女は期待を押し殺したように波打つ唇を軽く噛んで、
「…どうぞ」
と廊下を挟んで斜め隣の部屋の扉を開ける。
「………おー…」
彼女の寝室より少し狭いその部屋には大きなベッドがひとつと引き出しの入った2段カラーボックスがひとつ、照明はシャンデリアみたいな吊るしタイプの暗めの物が設置されていた。
「ここが?」
「ええ」
感想としては「全く普通の部屋」としか思えず、しかし彼女が
「ご覧ください、」
と引き出しを開けるとそこには女の欲望が詰まっていて絶句する。
中には透明な大小長短様々な様相のモノが仕切りで区分けして不安定に立ててあり、電池や充電ケーブルと思われる小物も端に寄せて置いてあった。
「…ちんぽがいっぱいだ」
「はい…お恥ずかしい」
「ちなみに…お気に入りはどれ?」
「だから、もう使ってないんですってば」
「でも好みはあるんじゃないの?好きなちんぽはどれ、教えなさい」
「…え、えーと…あの、これ、です」
彼女が取り出したのは彼女の寝室の枕と同じピンク色のバイブレーターで、その形状は本物のソレとは似つかないし、肉襞を抉る突起は痛そうだし何より大き過ぎる。
これは強敵だな、お気に入りという事はこのサイズ感に膣が慣れてしまっているのでは。
悔しいが俺の御神体は大きさで勝負をしていない。それどころかテクニックだって持久力だって秀でてる訳じゃない、モーター仕込みの細かな振動には俺の雑なピストンは負けるだろう。
「いつもこんなデカチンで遊んでんの?俺で満足できる?」
「ですから、今は使ってないんです」
「なら思い出してよ…ん?君は俺で満足できるのか?」
「えぇ、あの、ごめんなさい、大きさとか分からなくて、その」
「なら比べてみてよ、ほら…どっちが大きい?」
「あの、」
「さくら、答えて…俺のちんぽと偽物ちんぽ、どっちが大きいんだ」
タオルを捲りブラウンとピンクとを並べて小首を傾げる、これでブラウンを選んだなら彼女は大嘘つきだ。
果たして嘘吐きの汚名と俺を傷付けることとどちらを選ぶかな、結果は分かっているがぷらぷら揺らしたりして彼女を翻弄してみた。
「あ、あの」
「さくら?」
「あ、に、にせもの、ちんぽが、大きい、です…」
「ほー、これは予想外」
「でもっ、でも、あの、」
てっきり俺を持ち上げるのかと思えばそうでもなかった。少し口の端がヒクついたが平静をなんとか装う。
真実を告げて辱めを受けた俺からの逆襲を望んでいるのか、そうなんだな。
ピンクの肉棒で頬をぺちぺちと叩けば彼女は顎を上げて「もっと」とおねだりした。
「ふふっ…正直だね…さすがにここまで増大しない…そうだ、さくらの初めてをあげたのはどれ?まだ残ってる?」
「もう……えっと……これ、です」
それは先程のものと同じピンクだがもっと肉に近い色で、形状もリアリティを取り入れた短めのもので…
「…さくら、これと俺なら、どっち?」
と問えば
「拓朗さまのです」
と即答が返ってくる。
「ちゃんと言いなさい」
「拓朗さまの、おちんぽの方が…ご、ご立派ですっ」
「ん、よしよし」
これは俺の勝ちか、彼女のヴァージンキラーを睨んで先端を撫でてやった。
「これ…どうやったの?挿れてもらったのか?」
「はい…あの、跨って」
「はぁ…痛かっただろ」
「はい…もう憶えてませんが…」
男は精通時に痛みを感じる者もいると聞くが、女性の破瓜は比べ物にならない痛みなのだろう。鼻に大根を入れるくらいとか例え話を耳にして震えたこともある、いやそれは出産の例えだったか。とにかく痛いことに間違いはない。
「これでフェラの練習もしたの?」
「はい…」
「成果が出て良かったね」
「はいぃ…」
「なるほど……さくら、こっちは?」
あると言っていた手錠は上段には無かったので、俺はふとカラーボックスの下段も気になった。
そうすると少し曇る彼女の表情、何かまずい物でもあるのか。
ひぃ様との思い出かな、
「…開けても良いか?」
と尋ねれば彼女はコクリと頷く。
「嫌なら良いんだけど…何が入ってる?」
「手錠ですとか…バイブレーターと…ディルドです」
「たくさんあるんだな」
今さらそれを恥ずかしがるのか?ゆっくり引き出しを手前に引くと、
「………!」
箱の中には黒い革のベルトのようなものと、先程たくさん見た張り型のようなものが収められていた。
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