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7・ヴァージン・キラー
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しおりを挟む「さくら、」
「はい」
「これ…何だ?」
持ち上げたベルトには穴がひとつ、形状からしてそれは股の位置に来るものだ。
そして一見普通のディルドに見えたそれも異様に長く…両端に亀頭が付いている。
これは男は使わない。使えないことも無いだろうが持ち前のモノがあれば不必要なものだ。
「…ペニスバンドと…双頭ディルド、です」
心がざわざわする、そうだったからといって過去がどうなる訳でもないのだが、想像していた彼女の姿がガラリと変わってしまいそうで怖い。
幼い彼女が成金の親父に愛でられている姿を描いていたがきっと違う。EDだろうがモノが付いていれば男は物理的に模造陰茎など着けられはしないだろう。
だとすれば、それを使っていたひぃ様とは。
「どうやって…誰が使ってたんだ」
「…ひぃ様ですわ」
「………ひぃ様って…」
肩の力を抜いて深呼吸をして満を辞して聞けば、彼女は回想でもしているかのように
「女性、ですわ」
と呟き微笑んだ。
「………そう、なのか…」
元気なモノをお持ちでなかったってそりゃあ当たり前だ、生えているはずが無い。
そういや見せてもらったディルドも根本が妙な形状をしていたが、あれはベルトに取り付けるためのものだったのか。
病気の治療の影響かもしくは体質で不能だったのだとばかり思っていたがそうではない…単純に付いていなかった訳か。
「男性としたこと無いって…そういうことか…」
「すみません、いずれはお伝えしようと思っていたのですが…」
「いや、まぁ…混乱するわな」
「はい…一度にお知らせすると…引いて…振られると思って…その…」
「逃げられない状況まで持って行ってから明かした訳か……さくら…悪い女だな…」
なるほど男性が住んだ痕跡が無い訳だ、最初から女性しか住んでいなかった。青い歯ブラシとかT字カミソリとかトニックシャンプーとか分かり易いものもある訳がない。現状に遺品が残っていたとしても女性物なら俺がパッと見で判別できない。
男性は未通だがひぃ様がペニスバンドを着けて彼女の処女以降全てを経験させたのか。
男性に対する嫉妬よりももっと濃いもの、例えば俺が入り込めない絆みたいなものを感じてしまい歯痒い。
「すみません、信用を失くすようなことをしました…すみません…」
「驚いたな…そうか…女性か…」
「はい…聡明で、美しい方でした」
「実業家だっけか…そう……さくら…寝室に戻ろうか」
「はい…」
抱けるか、勃つか、タオル越しに触ってみるもどうも大人しく振動に任せて揺れている。
「あ、」と思い出しリビングの鞄からコンドームを出して、背中を向けている間にここぞと擦る。
そしてまた寝室に戻って、ピンクの部屋に二人きりになれば彼女は俺の知っている笹目水蓮になっていて少し安心した。元ご主人様の話をする時はどうも澄ましているというか妙な自信と余裕が見えてこちらが劣等感を持ってしまったのだ。
俺は職場で出逢った彼女が好きだから、ふわふわした空気が戻って来て嬉しい。となれば『水蓮』と呼び名を戻したいが『さくら』呼びで行くと宣言してしまったがためにもう戻せない。
俺だけの新たな呼び方を作っても良いがそれこそ独占欲の塊だな…執着は自分の身を滅ぼしかねない、はらりと腰のバスタオルを落とした。
「どこまでやれるか分からないけど…さくら、強くされる方が良いか?」
「ッ…はい、ぐちゃぐちゃに…して頂いて構いませんッ」
「そんな罰みたいにしたくないよ……待ってね…ふー…」
些かムードに欠けるが自身で竿を扱いて興奮を呼び戻す。
勃ちそうでも彼女の乳首を見ればまた萎えて、遂に俺は目を閉じて視界を切る。
「拓朗さま、フェラチオ…しましょうか」
健気に寄り添い指がつつつと降りてくる。
求められている悦びとはこういうものか、俺は少し彼女の気持ちに共感を覚えた。
「いいや…自力で…ごめん、色々情報が錯綜して…嫉妬とか少し嫌悪感も…ふふッ……でも、本物のちんぽを見るのは…俺が初めてだったか」
「はい…」
ずりずり皮を扱く俺の手首に指を付けてサポートよろしく共に肩関節を駆動させる、2回目の共同作業が強制勃起なんて虚しいかな。
けれど腹に密着する乳房の感触にも当てられてじわじわと滾ってくる。
ぴたと手を止めて離せば俺はしっかりと自立していて、
「ん…さくら、俺のちんぽ、欲しいか?」
と眉尻を下げて笑えば
「はい、欲しいです、」
と正座の彼女も困ったように笑う。
「どこにだ?」
「あ、私のッ…ここ…おま*こ、に、欲しいです」
「ん……なに、寝て良いよ?」
「え?寝るんですか?」
「眠らないけど寝転んでよ」
「でもそれでは挿れられません」
「?」
「?」
どうにも噛み合わない話を整理すると、どういう訳か彼女はセックスとは騎乗位が『正常位』だと認識していたらしい。玩具は仰向けで使ったらしいが正常位のセックスは邪道、騎乗位で女性が頑張るものがスタンダードだと教わっているようだ。
なので頭から否定はせず「こういうのもあるんだよ」と肩を抱きベッドへ寝かせて脚を絡ませキスの応酬、彼女は胸は温かいが太ももから足先にかけてはどうもひんやりとしてまるで雪女みたいに感じた。
「怖くないか?」
「いえ…これもしたことはあるんです、でも少数派だと教えられて…男性はお嫌いだと」
「…俺は好きだよ、どっちもね……さくら、後悔しないか?」
「致しません…待ち望んでおりましたもの」
「バイブより小さいけどガッカリするなよ」
「しません…下さいませ、拓朗さま!」
そんなお宝でもないんだけどね、がばと開いてくれた膝をさらに開いてまじまじと観察する。
「…キレイだな………さくら…初めてか…」
と褒めれば何故か俺が強いたみたいに彼女は俺を直視せず堪えるような素振りを見せる。
「はい、初めて…あッ♡」
「ここもピンクか…バイブビッチのくせに…清純ぶって悪い子だな」
「すみません…」
「よく見せて貰おう…バイブでガバガバだと困る」
「そんなッ…あ♡あ、拓朗ッさ、まぁ♡」
美味そうに俺の中指は彼女の胎内に呑まれて行く、やっぱりここはあったかいんだな。
関節を曲げるとビクンと腰が浮いて尻の角度が変わった。バイブレーターは意図的に狙った箇所を叩くようにできているから、使用してきた彼女も相当開発されているんだろう。Gスポットに軽く触れると中がぐにゃりと疼いて自分から良い角度へと誘導している。
「んー…キツいな…さくら、鍛えてる?」
「それなり、にィっ♡あ、アっ…あ、」
「ぬるぬるだな…っと…あー、挿れたい」
「下さいッ…拓朗さま、」
「ん…着ける」
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