泥より這い出た蓮は翠に揺蕩う

茜琉ぴーたん

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7・ヴァージン・キラー

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 枕元に投げていた新しいコンドームに手を掛けて外装をピリピリと破く、意外や彼女は首を持ち上げて物珍しそうに俺の動作を目で追っていた。
「…なに、ちゃんと着けるから安心してよ」
「いえ、その…初めて見ますので…私は教わりませんでした」
「えぇ…これも?バイブに着けてなかったのか」
「はい…消毒して清潔は保っておりましたので…わぁ…薄いんですのね…」
もちろん知識としては存じていたのだろうが男性不在なら買ったりしないもんな、彼女のポリウレタン越しの驚いた顔は可愛らしい。
 おもちゃだって衛生面から避妊具の使用が推奨されているが彼女たちは気にしなかったようだ。
 「着けてみるか?」と聞けばぶんぶんと首を横に振った。
「いえ、いえ…破れてしまったら危ないですもの」
 男性のモノに着けなければ危ない認識はあるのか、無言が気まずくて
「……さくら、もし…デキちゃったらどうする?」
と俺的には他愛の無い話題で空白を埋めてやろうとするも彼女の顔は厳しい。
「……拓朗さまにご迷惑はお掛けしませんわ、私は人の親になる度胸はありませんので…」
「ふん…俺は結婚までする覚悟があったんだけどね」
「え、そんな、私なんて勿体ない…」
「じゃあこれは何のためのまぐわいだ?性欲を発散するためだけのセックスか?馬鹿にするんじゃない…そんなことがしたいだけなら俺は風俗でも行くさ」
 難しい過去の話を知って掘り下げられて、セックスをして楽しむだけの関係で終わらせるなんて彼女にとって利が無さすぎる。寂しい心を癒して体を温めて、職場でも息の合ったコンビネーションを発揮できるパートナーになりたい。
 あのピアスの購入ボタンを押した時点でなんとなく生まれていた自覚が、俺の中でしっかりと育っていた。
「あの、すみません」
「さくら…いや、水蓮か…君の人生は俺には想像つかないくらいヘビーで特異だよ。正直引いてるしコレピアスだってまだ慣れない。でも…俺は笹目水蓮が好きなんだ…笹目さくらも…君が負ってきた人生なんて知らないさ、けど君が好きだ…なんだかんだ考えても俺は君を離したくない…職場がどうとか気まずいとかどうだっていいわ、なぁなぁでこんなことしてる訳じゃない…俺の…俺だけが知ってる君を見たい」
 根元までほどいたゴムの輪を離せばパチンと竿を打つ。
 彼女の膝を掴んで持ち上げて、オロオロと話の続きも気にしているその表情が崩れる。
「あ……あ‼︎」
 僅かな摩擦と貼り付く感触を振り切って彼女の中へ、自身の手の自慰行為では味わえないその温もりと粘度に歯を見せて震えた。
「ふゥっ……あー…たまんねぇな…おあずけからの…あー、あー…」
「あ、あ…たく、ろう、さま…」
「どう?初…人間ちんぽは」
「温かい…です…あの、何…柔…フレキシブル、」
 「柔らかい」と言われれば機嫌を損ねるところだった、過去最大くらいに硬くなっているそれは奥へ奥へと彼女を開拓し冒険を始める。
 男のペニスと違って女性器は外からは具合が見えない、狭そうとか緩そうとかは分からないし形状を変えられるものでもない。性格とかが影響するとすれば彼女の膣は温かくて柔らかくてゆるゆるなイメージ、けれど実際には俺が体験した過去イチのキツさだった。
「んッ♡あ、さくらッ…」
「拓朗さま、もうその名はいいですッ、水蓮、水蓮とッ…お呼び、くらさッあッ♡」
「いいのッ?」
「はい、イ♡っ不思議、です、拓朗さまが、桜のピアス、をッ…選んで、下さって…巡り合わせだとッ、思い、ましたァ♡でもッ、棄てた名ですからァっ」
「たまたま、だけどッ…あー、水蓮ッ♡はァ、あー、気持ち良い…水蓮、ま*こ気持ち良い」
「ふァ、いッ♡おぞれッいり、ま、ずゥ♡」
 突けば揺れる銀の桜、薄目で覗けばピンボールみたいに縦に横にと跳ねて面白い。
 ようやく慣れたかな、両乳を掴んでハンドル代わりに体重を掛けると彼女が苦しそうに「グゥ」と息を吐いた。
「正常位、どうだ?変じゃないか?」
「あの、ここ、に、お顔があるのが、不思議、で、あふ♡」
「そう…映画でもこんな感じだったろ?」
「確かに…でもあれは、布団で隠すために、あん♡演出上、仕方ないのだとばかりッ」
「ははっ…面白いなぁ……あー、…初めても、騎乗位でこう、された、のか?」
「あうッ…は、いッ…」
「ペニバンで、犯されたのかッ」
「きゃ、ア♡お、違い、まずッ、私が、私が、お願い、したのですッ」
「なに、水蓮が?」
「は、いイ♡私が、わだじがァ、」
 これはいけない、彼女の脳裏にひぃ様が広がってそちらで興奮されてしまう。
 妙な嫉妬に焦がされた俺は上半身を倒して苦手なバーベルごと乳頭を口に含む。
「ひッ♡あ、拓朗さま⁉︎あ、大丈夫、ですか…」
「んム…らいじょうぶら…ふふ…水蓮…可愛い乳首だな」
 舌で押して持ち上げて押し下げて少し噛んで、コロコロ転がせば口の中のそれはむくむく大きくぴんと勃った。
「(歯がピアスに当たるな…)」
 ピアスごと愛するとはこういうことではないと思うのだが、視界を切ってしまえば意外となんでもなくて拍子抜けする。
 肉の感触に金属の固さ、根元に円盤がはまっているので吸いづらいことこの上ない。しかしその不自由さがもどかしくてムラムラと欲求を掻き立てた。
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