泥より這い出た蓮は翠に揺蕩う

茜琉ぴーたん

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1・調教済みだ

4

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「役職で呼ばないで…」
「照れてる、可愛い…」
 少し腰を浮かせてボクサーを降ろしてもらいまたベッドへ浅く座る、
「もう……失礼します……わぁ……大きいんですね…お元気そうで…」
とお世辞を言われれば走り去って行った興奮がそこに戻って来た。
「恥ずかしいな」
「ふふ…温かい…こんな…感じなんですね…」
「観察しないでよ」
「いえ、しっかり見せて下さい…ふふっ」
 竿を指先でつまんで縦笛の穴を塞ぐようにたがい違いにピロピロと上げ下げして、明るく笑う彼女が楽しそうなもんだから俺も笑えてくる。
「フェラ、好き?」
「好きとかは分からないんです、感想なども伺ったことがありませんし」
「はぁ」
「こんな…質感で…重量感があって…脈が…血液が集まって勃起するんですよね、凄い…」
「そんな珍しいもんでもないだろ、見慣れて…くわえなれてんじゃないの?」
「…生身の男性は初めて、です」
 「は?」と前のめりになった俺の脹脛ふくらはぎに服越しのたわわな乳房が当たる。何かと突っ込みたい事象があったのだが股間の温かく湿った感触に全ての疑問が一旦消え果てた。
 躊躇ためらわずぱくんと先端を含み俺を撫でる彼女の上唇のいやらしさといったらない、上目遣いで窺うその瞳だってゆらゆら揺れていてアクセサリーのようだ。そう、彼女の両乳首にぶら下がって光を放っていたあのピアスのジルコニアを模したようだった。
「うわ、あ……笹目、さ……エッチだな…」
「ん、ン、はァ…ふ…あたたかい…ん、ん…」
「あー…フロア長、凄腕なんだな」
「ぷはッ…フロア長って…呼ばないで下さい…」
「ん、ごめんごめん…可愛いよ」
「ん…はァ…」

 俺はこれまで3人の女性と交際したがフェラチオなんてされたのはその中の1人だけ、それも10年以上は前の学生の頃に一度だけだ。
 AVで見てから当時の彼女に頼み込んでしてもらったが、苦しそうで嫌がっている顔を見たらとてもじゃないが射精にまで辿り着けなかった。それどころか途中で萎えてしまい「せっかくしてあげたのに」とえらく怒られてしまった。
 その後も好んでフェラチオをしたいなんて女性とは巡り会わず、まぁ価値観が似ていて交際するわけなので互いに口淫や痛い事は性行為に盛り込んだことは無い。
 なもんで今の彼女のうっとりした面持ちを見ればまるでモノが『ご褒美』かのように思えてしまう。そして至高の佳肴かこうを味わうかの如くしゃぶり付くその顔を見ればさも自分が良い事をしているかのような錯覚を起こす。
「美味しい?笹目さん」
「んッ…ふ…なん、塩っぱい…ん…」
「我慢汁、知らない?」
「ん、ん…ん…♡」
 そんなに美味しいのか、慣れているようで初体験とはこれ如何いかに。どうせならもっと焦らして恥ずかしがって欲しかったな。
 俺は足首に溜まったスラックスとボクサーから右脚を抜いて来るべき解放へ向けて開脚し踏ん張る。
 しかし手持ち無沙汰とはこの事だ。両手が空いているのにシーツへつくしか出来なくてもどかしい…彼女の後頭部を抑えても良いがそれで嫌がられてはまた萎えてしまう。
 彼女はそれを察したのか、グーパーを繰り返す俺の手をそれぞれに捕まえ恋人繋ぎにして絡め取った。そして俺の太ももの上に置けば彼女は関節の具合から肩を今以上に上げられなくなり、顔が起こせなくなる。
 俺のモノを喉近くまで咥えたまんまシュコシュコとしごくのだ。喉をオナホールにまで堕とさなくても良いのになぁなんて思いつつも彼女が離れて行かないように手をしっかりと引き付けた。
「(元カレは…エッチはしてもフェラはさせなかったのか、の割にニップルピアスってどういうことだよ…)」
 まるでお守りのように胸を押さえた彼女は本当に至福そうだった、ならばピアス自体に何か『ご主人様』の意図するものがあるのか。
 いずれにしてもそこには俺が易々と入り込めない2人だけの世界がある。
「笹目さん、口に、したことは?精液、」
「んッ…」
彼女は俺を咥えたまま、歯が当たらないよう気遣いながらも首を横に振った。
「そう、あー…もうさ、もう少し…今80パーセントくらいまでキてるんだ、イきそう、いきなり、口に出すのはキツいだろ、あとは手で良いから、」
「ン、ん……そうなんですか?」
「苦いらしいよ、吐くかも」
「……あの、常盤さんが是非にとおっしゃるなら私、」
「言わない、味わって欲しくないよ」
「そうですか…なら…手を…」
 繋いだ手を緩めると彼女は自立する俺を捕まえて、自身のつばまみれのそれを撫で回す。
「あー…気持ち良い…」
「そんな、色っぽい…顔をされるんですね…」
「するよ、超気持ち良い……笹目フロア長の手♡」
「ッ…嫌です……常盤フロア長ったら」
「…恥ずかしいね」
「でしょう?……フロア長、ほら、また…我慢汁が…」
「んー…堪んねぇな…」
 俺たちはお互いフロア長なので立場は対等だ、ワイシャツを着たままだしその名を呼べば仕事モードの自分がチラついたりもする。分別のついた大人だから職場で隠れて致すなんてことは絶対にしないけれど、簡易的なごっこ遊びならいつでもして良いななんて…これからの俺たちの仲を考えたりもした。
「フロア長、私、上手ですか?」
「あぁ、マジで良い…笹目フロア長、ん…あー、イきそう、やべぇ、」
「横に…なられますか?」
「う、ん、あ、あー…」
コテンと頭をマットレスに落として強張っていた腹の力を抜く。
 反対に脚はピンと伸ばし気味に床から上げて、彼女の体を洗濯バサミのように挟む。
「あん」
「ふにふにだ、あー、イく、イきそう、もう、んー、」
「セクシーですわ、フロア長」
「あー、笹目フロ、アちょ、あー♡」
 縛ったりはしたくないけどこれくらいの拘束は良いだろう?
 脚に力を込めて天井を見ていた目を閉じて股間に気を集中させて彼女の顔を浮かべて、
「常盤フロア長、お慕いしてますわ」
なんて彼女が上品にへりくだるものだから興奮が上限まで一気に達した。
「あ、イく、あッ♡♡♡あー、アー♡♡♡ささ、め、」
 ぱたぱたと慣れた感触が根本に落ちる、彼女は『気持ち良い』と『くすぐったい』のちょうど境目で手を離してくれた。
「わ…あ、こんなに…まぁ…」
「きもち……あ、汚れたか?ごめん、ティッシュ…」
「大丈夫です、わぁ…本当に白濁してるんですね…フロア長の子種がここにたくさん詰まってるんですね」
「…みんな死んじゃうけどね…」
 これを君のはらに注ぎたいなんて言ったら君はどんな反応をするのか。
 俺はよたよたと起き上がり枕元のボックスティッシュに手をかける。
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