38 / 46
6日目(夜)
38
しおりを挟む車崎がドラッグストアに入ってしまってから、秋花はティッシュで鼻をかみ、ふぅと後悔のため息を吐いた。
「はぁ…挑発してもうた……抱かずに説教もあるかも…」
嫉妬と寂しさと独占欲と性欲と、満たすために彼を振り回してワガママを言った。
車崎から抱くように仕向けた、狡猾で健かな自分が情けなくもある。
しかしもう止められない、希望も不満も言ってしまった。あとは慰めるように不安を取り払うように仕置きするように抱いてもらう他無い。
数分後、ビニール袋を提げた車崎が戻って来て、乗り込むなり袋からドリンク剤を取り出して秋花へ手渡し、室内灯をパチンと灯す。
「お待たせ……シューカ、これコピーと商品名読んで」
「はい?なに………根本から強く…さ、」
「読んで、」
「さ、先まで…熱く…」
「うん、」
「お、男の自信と…みなぎるパワー、『ぜつりんぼうZ』…シンタローさん、」
「うん、開けて」
それは比較的即効性の高いドリンクタイプの慈養強壮剤、いわば精力剤であった。
「ほい、飲まして」
「ハ、イ、」
口元まで瓶を持っていけば男は薄目で秋花をじぃと見つめ、ぐびぐびと喉仏を動かして胃へ収める。
「かー……くるね…」
「え、しんどいですか?吐く…」
「ちゃう、体が熱くなってんのよ、シューカ、」
「あ、」
「メシはルームサービスでもええか?勃起した俺について歩ける?」
「いや、」
もう効いてるの?恐くてどんな具合かも見れないが秋花は黙って頷いた。
口を拭いた車崎は明かりを消し、顔を上へ反らせて唇を触り
「ん、シューカ、ん、」
と催促する。
「なんすか」
「キスせぇよ、ちゃんと誘え」
「はぁ?」
「今夜はお前から誘ってんねんからな。俺に抱いてもらえるように…誘えよ。お前が下の立場やぞ」
男は偉そうな物言いをして、文字通り上から言葉を投げつけた。
もう秋花のご機嫌をとっているばかりの車崎ではない。彼女を5回抱き昇天までさせた経験はパートナーとしての大いな自信となっているのだ。
そして今夜は彼にとっては謂れのない秋花からの言いがかり、しないと言っているのに浮気を疑われるという不名誉な扱いをされて完全に彼の中での立場は逆転していた。
「は………シンタローさん、ん♡」
「ん、」
頬に手を添えて唇を喰み、秋花が
「ホテル…行きませんか?」
と濁して誘うものの、車崎は
「行ってなにすんねんな」
と突き放す。
秋花はぐぬぬと拳を握りしめるが、じきにしおらしく
「だ、抱いて…欲しいんです…」
と消え入りそうな声で告げると、運転席の男はぶふと吹き出した。
「……………ひゃはは、ええザマやの、シューカ♡あぁ?寂しいか、よしよしして欲しいんか、乙女やのぅ、」
「…腹立つ」
「あ?欲しいの、シンタローくんのち◯ぽ欲しいんか?あ?」
「…欲しい」
「ひゃは、おしおし、ええ女やな、ん、行こう」
一頻り笑って揶揄って、車崎は機嫌良く目的地のホテルまで車を走らせる。
「シューカ、さっきのな、ドリンク。飲んで効果出るのに1時間くらいかかるみたいでな、それまでにメシ食お」
「ルームサービスか…美味いんかな」
「冷食ならそれなりちゃう?あ、ドライブスルーにしよか。メシ食って、風呂入って、んー…一昨日もホテル行ったのにな、ハイペースやなぁ…ド助平シューカ♡」
もう何も言うまい、実際にいやらしい気持ちに歯止めが効かないのだから仕方ない。
秋花はコアラの口になり黙ったままファーストフード店を経由しホテルまで運ばれた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
謎多きお見合い相手は、秘めた愛を彼女に注ぐ
玖羽 望月
恋愛
老舗医療機器メーカーのマーケティング・企画部で働く石田琴葉【いしだことは】(28)は、仕事一筋で生きてきた。
学生時代に恋愛で痛手を負った琴葉は、それから勉強と仕事を最優先に生きてきた。
ある日琴葉は、祖母にお見合いを勧められ、「会うだけなら」と渋々お見合いに臨んだ。
そこに現れたのは眉目秀麗という言葉が似合う榛名智臣【はるなともおみ】(33)だった。
智臣は琴葉の仕事や業界に精通していて、思いの外話しは弾む。ただ自身のことは多くを語らず、会話の端々に謎を残してお見合いは終わった。
その後何も連絡はなく、気になりながらも目の前の仕事に全力を尽くす琴葉。
やがて迎えた、上層部の集う重要会議。
緊張感の中、突如発表されたのはマーケティング・企画部長の異動と、新たな部長の着任だった。
そこに現れた新部長は――
※こちらのサイトのみ投稿しています。
(3月中旬頃まで充電期間いただきます🙏再開をお待ちいただけると嬉しいです)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アダルト漫画家とランジェリー娘
茜色
恋愛
21歳の音原珠里(おとはら・じゅり)は14歳年上のいとこでアダルト漫画家の音原誠也(おとはら・せいや)と二人暮らし。誠也は10年以上前、まだ子供だった珠里を引き取り養い続けてくれた「保護者」だ。
今や社会人となった珠里は、誠也への秘めた想いを胸に、いつまでこの平和な暮らしが許されるのか少し心配な日々を送っていて……。
☆全22話です。職業等の設定・描写は非常に大雑把で緩いです。ご了承くださいませ。
☆エピソードによって、ヒロイン視点とヒーロー視点が不定期に入れ替わります。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる