彼女は銀狼ギャル、ときどきコアラ

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
6 / 46
安全第一

6

しおりを挟む

 駐車場へ戻る道中は楽しげに、二人は何でもないテレビや車の話で盛り上がる。
 友人であり先輩である車崎は優しいし気が合うし、時折奢ってくれるし様々な点で秋花は助かっている。
 彼女は彼に特別な感情など抱いたことは無いしむしろそんな目で見ること自体が失礼、時期が来れば合コンでもして結婚して子供を産んで…とぼんやり未来図を描いていた…それなのに。

「シューカ……付き合わへんか?」
 会話が途切れた後で、咳払いをした車崎が突然そう言うものだから、秋花は本心から
「いいっすよ?どこへ?」
と応えてしまった。
「………そういうの要らんねん、」
「なに、つき…あ…は?」
「男女交際…せぇへんか?って…言うてんねん」
街灯に照らされた車崎は仏頂面で、しかし恥ずかしそうに口を尖らせる。
「は、ぁ、……あ?なんで?」
「なんでて…俺お前のこと好きやから。女として見てるよ…今日誘うたんはたまたま…弱ってんのが見てられへんかったからやけど…また合コン行くなんて聞いたら…今日言わなアカン思うて」
「はぁ?シンタローさん…マジすか…趣味悪…」
 「好き」も「可愛い」も確かに普段から伝えてくれていたがそういう意味合いに捉えたことが無かった。鈍感すぎる自分に呆れ、しかして期待に応える力は無いと自虐した。
「黙れ、なんでやねん……アカンか?」
「いえ、あの………考えたことあれへんかったな…」
「お試ししてみるか?1週間くらい」
車崎は人差し指をぴっと立てて提案する。
 普段よりもう少し会話や連絡の頻度を上げて相手を意識して、特別な何かが生まれれば彼としては儲け物だった。
「漫画やあるまいし……え、本気?」
「本気やん…お前昔から可愛いもん。好きや」
「え、あ、えと…え、」
「お前さっき『ええ』言うたやん。あかんかったら別れよ、な、ええやん」
「は、ぁ、んー…わ、かった…」
じわじわと気持ちは昂るものの案外冷静だが、「具体的に何をすれば良いのだろうか」と思いを巡らせる。
「シューカ、好きやで。手ぇ繋いでええ?」
「いや、まだ早いっすわ」
「ガード堅いなぁ、ひゃはは、」

 ともあれ1週間、二人はお試し交際を開始した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...