上 下
28 / 34
7

28

しおりを挟む

 誰が入って来る訳でもないのに、カチャリと鍵を閉める。

 至近距離で見つめ合って、ゆさゆさと揺さぶる。

 壁に押し付けて、デスクで小休止して。

 押し倒された床に俺を置いて、抱き合い密着して擦り合って。


「ナツ、出る、どこに出す?」

「ナカ、に、」

「ん、じゃあ、いっぱい、飲んで♡」

「くれ、アキの、いっぱい、俺の中に、挿れて、アキのなら、良いからッ♡」

 木南が「中に挿れさせて」とか言ったのがちょっと引っ掛かってて、同じことを真秋に返してしまった。

 「出す」「入れる」の違和感に真秋は一瞬混乱したようだったが、止められずそのままの勢いで達した。

「あ、あッ……ッア♡♡♡……挿れ、ちゃった、」

「うん、あは…感触、気持ち悪い…」

「トイレしておいで、衛生的に良くないから」

「うん、」


 トコトコと、裸で廊下を歩く姿は実に滑稽だ。

 これが段々と落ち着いて、艶っぽい抱かれ方なんかが出来るようになるのだろうか。

 真秋はその頃にはダンディーになって、もっとテクニシャンになってて、色んな技の精度も上がってたりして。


 トイレを済ませてリビングに戻ると、さすがに真秋もグッタリしてソファーに掛けていた。

「大丈夫?」

「うん、いやぁ、鰻パワーすごい」

「鰻のせいかな」

「…愛のせい、かな…」

「鰻のせいだな」


 冗談を言い合って、戯れ合って、睦まじい休日。

 引っ越そうがどうしようが、他の男が入って来る隙は無い。

 今回の出来事は俺の油断が招いたことで、幸いにも無事だったから経験として以後に活かすことが出来る。

 俺の危機管理に関しては真秋からクドクドとお説教を受けた。

 そして、「僕の仕事ばかり気にしてないで、自分にプライド持ってよ」とも言われた。

 俺は真秋を守ろうとしたけど、独りよがりだったみたいだ。

 「僕のことは良いから、自分を守るんだよ」と優しく叱られて、俺はまた泣いてしまった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私のバラ色ではない人生

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:104,834pt お気に入り:5,052

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:207,307pt お気に入り:12,435

【完結】旦那様、わたくし家出します。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:340pt お気に入り:3,164

メイドから母になりました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:852pt お気に入り:5,892

隣人よ、大志を抱け!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:326pt お気に入り:800

私達は、若くて清い…でもちょっぴり大人になりました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:9

ANGRAECUM-Genuine

恋愛 / 完結 24h.ポイント:411pt お気に入り:501

処理中です...