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しおりを挟む誰が入って来る訳でもないのに、カチャリと鍵を閉める。
至近距離で見つめ合って、ゆさゆさと揺さぶる。
壁に押し付けて、デスクで小休止して。
押し倒された床に俺を置いて、抱き合い密着して擦り合って。
「ナツ、出る、どこに出す?」
「ナカ、に、」
「ん、じゃあ、いっぱい、飲んで♡」
「くれ、アキの、いっぱい、俺の中に、挿れて、アキのなら、良いからッ♡」
木南が「中に挿れさせて」とか言ったのがちょっと引っ掛かってて、同じことを真秋に返してしまった。
「出す」「入れる」の違和感に真秋は一瞬混乱したようだったが、止められずそのままの勢いで達した。
「あ、あッ……ッア♡♡♡……挿れ、ちゃった、」
「うん、あは…感触、気持ち悪い…」
「トイレしておいで、衛生的に良くないから」
「うん、」
トコトコと、裸で廊下を歩く姿は実に滑稽だ。
これが段々と落ち着いて、艶っぽい抱かれ方なんかが出来るようになるのだろうか。
真秋はその頃にはダンディーになって、もっとテクニシャンになってて、色んな技の精度も上がってたりして。
トイレを済ませてリビングに戻ると、さすがに真秋もグッタリしてソファーに掛けていた。
「大丈夫?」
「うん、いやぁ、鰻パワーすごい」
「鰻のせいかな」
「…愛のせい、かな…」
「鰻のせいだな」
冗談を言い合って、戯れ合って、睦まじい休日。
引っ越そうがどうしようが、他の男が入って来る隙は無い。
今回の出来事は俺の油断が招いたことで、幸いにも無事だったから経験として以後に活かすことが出来る。
俺の危機管理に関しては真秋からクドクドとお説教を受けた。
そして、「僕の仕事ばかり気にしてないで、自分にプライド持ってよ」とも言われた。
俺は真秋を守ろうとしたけど、独りよがりだったみたいだ。
「僕のことは良いから、自分を守るんだよ」と優しく叱られて、俺はまた泣いてしまった。
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