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しおりを挟む「なぁ、あのカメラがあったってことは、俺が再現しなくても良かったんじゃね?」
所長さんが置いて行った水羊羹を、小さなプラスチックスプーンで掬って口に入れる。
慰謝料は今後の付き合いもあるしと固辞して、手土産だけはしっかり頂いたのだ。
「まぁね。でもナツの言い分も聞いてみたかったし、あのカメラは音声は録れないからさ。もし最後までヤっちゃってたら、めためたに抱いて反省させるだけだし…ナツの証言とカメラ情報が合致するまでは、僕も内心ドキドキしてたんだよ」
「そっか…改めて、ごめんな」
「ううん、カメラのこと黙っててごめん。この前仕事部屋でヤった時のも録れてるけど、観る?」
「…ヤダ」
所長さんには、真秋と俺の趣向は伝えるしかなかった。
それで遠巻きにされるなら仕方ないと。
けれど、どの業界にも同性愛者はいるもので、「そんなことで区別したりしませんよ」と断言してもらった。
木南だってそうなのだし、業務に関係無いから俺が危惧するようなことは端から起こらなかったのだろう。
「ナツ、今夜は一緒に寝ない?」
フルーツゼリーを食べた真秋が、ニッコリそう誘う。
「ほぼいつも一緒じゃん。…あ、でも俺、今日あんまり腹の調子良くないんだよな」
「エッチはしなくて良い、する時もしない時も一緒に…別の部屋に分けずに、寝室をひとつにしない?」
「…良い、よ…何で?」
「離れて寝る理由が無い、からじゃダメかな」
「ダメじゃない、うん…毎日一緒に、寝よ」
この夜はとりあえず真秋の部屋で並んで寝た。
そして翌日、俺のベッドをバラして真秋の寝室へと運び込み、2台並べて置いてみた。
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